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女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」
Part7


83 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:15:09.51 ID:Se5xjmHY0
【翌朝】
女勇者「…!」ぱち
僧侶「…すぅ……すぅ…」
女勇者「…あれ?朝…?」
女勇者「詩人のお姉ちゃん…?あれ?魔法は…?」
女勇者「……?」
女勇者「夢だったのかなぁ…」

85 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:18:31.91 ID:Se5xjmHY0
女勇者「でも、こんなにはっきり覚えてる」
女勇者「大切なものがそこにある…?なんだっけ」
女勇者「えっと…。力がない正義は虚しいだっけ?ん…心では誰も救えない?」
女勇者「うぅん…なんだったんだろう?」
僧侶「…ん…」
女勇者「あ、僧侶ちゃん。おはよ」
僧侶「ふあぁ…勇者さま?あれ…今日は早いですねぇ…」ごしごし
女勇者「うん。なんだか目が覚めちゃった」

89 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:23:21.02 ID:Se5xjmHY0
女勇者「えへへ、今日は私の方が早起きだったねぇ。おはよ」
僧侶「ふふ、負けちゃいましたぁ…おはようございます」ニコ
戦士「む。起きたか、二人とも」
魔法使い「おはようございます」
女勇者「うん!おはよう!戦士くんも魔法使いちゃんも早起きだねぇ」
魔法使い「ええ。もう日課のようなものですから」
戦士「俺も早朝稽古にな。もう日課だ」
女勇者「すごいなぁ。戦士くん、どんどん強くなっていくもんね」
戦士「…うむ。それも全て、今日という日のためだ」
魔法使い「いよいよですね…!」

99 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:30:20.05 ID:Se5xjmHY0
戦士「最後に確認しておこう。装備は十分か?」
僧侶「はい。大丈夫ですぅ」
魔法使い「問題ありません。勇者さまは?」
女勇者「うんっ!大丈夫!これでいいよ!」
戦士「よし!では行こう」
女勇者「ねぇ、みんな!」
僧侶「はい?どうしましたか?」
女勇者「ぜったい、ぜったい!誰も欠けないで、帰ってこようね!」
戦士「うむ。当然だ」
女勇者「それから、みんなでまた一緒にカジノ!ね?」
魔法使い「ふふ、そうですね…そのためにも、頑張りましょう」
女勇者「うん!では、出発ぅ!」

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 01:31:56.00 ID:wDe+tEr5O
あああああああああ

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 01:32:44.11 ID:EfMUwR/lO
ヤバいヤバいヤバい

107 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:41:44.17 ID:Se5xjmHY0
【魔王の城】
女勇者「……」ごく…
戦士「大丈夫か?勇者殿」
女勇者「え、えへへ…ちょっとだけ怖いかな…」
戦士「心配するな。俺が居る」
女勇者「!」
戦士「僧侶も、魔法使いもだ。俺達は強くなった。もちろん勇者殿もだ」
女勇者「うん…!そうだね。しっかりしなきゃ!」
戦士「俺が必ずお守りする。安心するといい」
女勇者「ありがとう、戦士くん。私も頑張って手伝うからね!」
戦士「ああ。俺はこの日のために、強くなってきたつもりだ。任せてくれ」
女勇者「えへへ…かっこいいね、戦士くんは」
戦士「…勇者殿をお守りすると誓ったからな。しかも、自分の命を犠牲にすることなく…だろう?」
女勇者「うんっ!!」

109 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:47:11.93 ID:Se5xjmHY0
戦士「この長く続く通路も、相手に不安感を与えるためのものだ。敵の策略にまんまとはまってやることはない」
女勇者「ふぇぇ…そんな意味があったんだぁ」
魔法使い「確かに、同じ景色が繰り返していると不安になりますね」
戦士「うむ。しかし、逆に考えてみろ。敵は我々に恐怖を感じて欲しいと思っているんだ」
魔法使い「!」
戦士「万全の状態で来られたくないと。敵の力量も我々と同等、もしくは俺達のほうが上だという証拠だ」
僧侶「そ、そうですね。ちょっとでも気休めになりますぅ…」
戦士「気は抜かないようにな。一本道は挟み撃ちされやすい」
僧侶「は、はさみうち!?」
戦士「うむ。しかし今の俺達ならば、並みの魔物に前後から襲われてもどうということはない」
僧侶「…そっかぁ。私達も、強くなってるんですもんね!」

112 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:53:05.85 ID:Se5xjmHY0
戦士「もうずいぶん歩いたが、敵の動きはないな…」
僧侶「そろそろかも知れませんね。準備しておかなきゃ…」
女勇者「…」トテトテ
魔法使い「…勇者様、どうかしましたか?先ほどから静かですが…」
女勇者「なんだろう…?怒ってる」
戦士「?」
女勇者「すごく悲しい気持ちで、私を怒ってる…」
魔法使い「…なにか、見えるんですか?」
女勇者「んーん。そうじゃなくって…誰だろう?会ったことあるひとだよ」
僧侶「……?」
コツ…
コツ…
コツ…
戦士「…!気をつけろ。前から来るぞ!」

115 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:55:32.07 ID:Se5xjmHY0
魔物「お久しぶりですね」
コツ…
コツ…
戦士「な!?」
僧侶「あ…あなたは……!」
魔法使い「どうしてここに…!?」
女勇者「え?え?…?」
魔物「覚えていただけたんですね。私は忘れもしなかった」
魔物「あなたたちに復讐するこの日を、夢にまで見ましたよ」
魔物「父を殺され、町を滅ぼされた恨みを、今ここで晴らしましょう」
魔物「私の町を滅ぼし、今もまだのうのうと世界平和を謳い続けるあなたたちを」
魔物「世界中の人々が許しても…あなたたちを自分を許しても」
魔物「私が、許させはしません」

119 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:01:25.26 ID:Se5xjmHY0
女勇者「あの時の…女の子?いけにえの…?」
魔物「そう。あなたが魔物の手から救い出してくれた、いけにえですよ」
魔物「貴方たちが去ってから数日、私たちの町は魔物に襲撃を受けました」
女勇者「違うんだよ?あのね?私は、ただ…」じわ…
魔物「黙ってください。見苦しい言い逃れなど、聞きたいわけではありません」
女勇者「私はただ……いけにえが…死んじゃうのが嫌だったんだよぅ…」ぽろぽろ
魔物「その…幼い、身勝手な正義のせいで…!!!」
魔物「男は殺され!!女は嬲られ!!!それはもう、見るに耐えない光景でした…!!」
魔物「私もあなたたちを呪いながら、死を覚悟した時…」
魔物「私にとって神にも見えるお方から、チャンスをいただいたのです…」
魔物「この惨事を招いた元凶に復讐するチャンスを、いただいたのです…!!」
女勇者「…う…ひぅ…ご、ごめんなさい…!!ごめんなさい…!!」ぽろぽろ

123 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:05:30.42 ID:Se5xjmHY0
女勇者「ごめんなさい…ごめんなさいぃぃ…!!」ぽろぽろ
魔物「あなたが泣いて悔やんだところで…父も、皆も、戻っては来ない…」
魔物「覚悟してください…!」
戦士「いかん!勇者殿!!!俺の後ろに下がっていろ!!」ぐいっ
女勇者「きゃぁ…っ!?」
戦士「魔法使い、僧侶!止むを得ない!行くしかない!」
女勇者「待って!戦士くん、まってよぅ!!」
魔物「ぐおぉぉおおおおおおお!!!!!」
戦士「うおおおおおぉおおお!!!!!」
ガキィン!!!

127 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:10:24.39 ID:Se5xjmHY0
僧侶「勇者様…我慢して…!」
戦士「ぬりゃああああ!!」
戦士の攻撃!
ズシャアア!!!
魔物に192のダメージ!▼
戦士「…勇者殿には、指一本触れさせんっ!!」
魔物「ぐぅ…!!…ぐがぁぁ!!!」
魔物は大きく息を吸い込み、火炎を吐き出した!
ぶぉぉぉぉぉ!!!
戦士「くっ…!」
戦士は29のダメージ!
魔法使いは86のダメージ!
僧侶は97のダメージ!
戦士は女勇者をかばった!
戦士は21のダメージ!▼

129 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:16:28.03 ID:Se5xjmHY0
魔法使い「冷気魔法(最大)!!」びゅおおおお!
僧侶「全体回復魔法(中)!」ぱぁぁぁ
戦士「ぬりゃあああ!!!」ばしゅ!!
女勇者「あぁ…うわぁ……!」
魔物「………ぁ……」
戦士「…はぁ…はぁ…。もう動けんようだな…。僧侶…」
僧侶「は、はい!」
戦士「…勇者殿に見せたくない…」
僧侶「…」こく
女勇者「いやだ…いやだよぅ…!」
女勇者「ねぇ、人を殺すの?私たち、世界の平和を取り戻すんだよ?なんで…」
僧侶「…ごめんなさい…!睡眠魔法(最大)…」
女勇者「…人を殺すの……?やめて…あげて……」
女勇者「………」
女勇者は眠ってしまった。▼

130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 02:17:57.45 ID:EfMUwR/lO
それでか…

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 02:18:03.51 ID:GzvjSWX/0
いやあああああああああ

133 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:23:09.96 ID:Se5xjmHY0
戦士「……すまない」
魔物「パパぁ……パパぁ…!」
僧侶「うっ……うぅ…」ぽろぽろ
魔法使い「……」
魔物「ぐ……ぐがぁぁ!!」ばしっ!
戦士に4のダメージ!▼
戦士「…許しては……くれないのか」
魔物「許さない……!!!絶対に許さない…!!」
戦士「……」
戦士は剣を魔物に振り下ろした。
魔物「ぎ…あ……ぁ」
魔物「……ぱ……ぱぁ」
魔物を倒した。
10032の経験値を獲得。
戦士のレベルが上がった!
魔法使いのレベルが上がった!
僧侶のレベルが上がった!▼

142 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:35:34.17 ID:Se5xjmHY0
女勇者「…ん」ぱち
戦士「…起きたか、勇者殿」
女勇者「……!」がばっ
女勇者「…あの子は…?ねぇ、あの子は…?」
戦士「勇者殿。あの子は、倒さなければならなかった。わかってくれ」
女勇者「……そんな…いやだよぅ…」
僧侶「…」
女勇者「どこに…どこに居るの…?」
戦士「…あそこだ。見ないほうがいい」
女勇者「いや!!」
戦士「…勇者殿。先を急ごう」すっ
女勇者「離して!このままなんて行けないよぅ…!」
戦士「勇者殿…!」
女勇者「離してっ!!!」
戦士「…!」ぱっ

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 02:36:29.25 ID:RQ0m0laK0
ちょ、それって…

144 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:38:44.50 ID:Se5xjmHY0
女勇者「…」たったった
魔物「   」
女勇者「…う……」
魔物「   」
女勇者「ごめんね?本当にごめんね…ごめんなさい…」
魔物「   」
女勇者「ごめんなさい…」ぽろ…
魔物「   」
女勇者「ごめんなさい!ごめんなさい!…うわぁぁぁん!!」ぽろぽろ
魔物「   」
女勇者「ああああああぁん!!うぇぇええん…」ぽろぽろ

148 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:42:59.37 ID:Se5xjmHY0
魔法使い「……勇者様」
女勇者「えぅ…えぐ……」ぽろぽろ
魔法使い「…こうするしかなかったんです…わかってください…」
女勇者「…わか…ってる…」ぽろぽろ
魔法使い「え…?」
女勇者「だから……私も…ちゃんと…」ぽろぽろ
女勇者「私がしたことを、責任を…ちゃんともって行くの…!」
戦士「!」
女勇者「……私だけ、見ないでなんて行けない…」
女勇者「皆だけじゃなくて、私も…ちゃんと……」
女勇者「私は……勇者なんだから……」
僧侶「勇者さま…」ぽろぽろ

152 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:48:25.74 ID:Se5xjmHY0
女勇者「…ごめんね。もう大丈夫」ぐしぐし
戦士「…もう少し休んで行こう。まだ落ち着いていないだろう」
女勇者「んーん。平気。泣いちゃってごめんなさい」
僧侶「…」ふるふる
女勇者「…うん、大丈夫。みんな、行こっ!」
戦士「…勇者殿…。うむ、そうだな。先を急ごう」
女勇者「うんっ!早く、戦いをおわらせようね!」
女勇者「もう、この子みたいな思いをする人は、いやだもん…」
魔法「…そうですね。もうこんな思いをする人を出さないためにも、急ぎましょう」
すたすた
トテトテ

241 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:27:42.52 ID:QkoGcofM0
女勇者「…早く、魔王を倒さなきゃ…!」
すたすた
トテトテ
魔王の側近「くっくっく。お待ちしておりましたよ」
女勇者「!」
魔王の側近「まさかあなた達があの半人半魔を倒してしまわれるとは…」
魔王の側近「あの娘には相当の実力を与えたと思っていたのですがね」
女勇者「まさか、あの子を魔物にしたのって…」
魔王の側近「いかにも。あなた達人間もなかなかに非常な生き物のようですね」
魔王の側近「それとも…やはり半魔の出来損ないには貴方達の相手は務まらなかったか…」
戦士「貴様!!」ぎり…!
僧侶「許せない…!!!」ぐっ
魔法使い「…あの子の命を、純粋な心を弄んだ…!」
女勇者「……!」わなわな

244 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:33:54.82 ID:QkoGcofM0
魔王の側近「くっくっく。何を怒っているのです?貴方達がしたことは正しい」
女勇者「…」
魔王の側近「今までも何千もの魔物を殺してきたではありませんか?」
魔王の側近「それが、貴方達の言うところの『正義』なのでしょう?」
女勇者「!」
魔王の側近「さぁ、かかっておいでなさい。私が、その愚かしい正義を打ち砕いてみせましょう」
女勇者「…許せない」じわ…
戦士「勇者殿」
女勇者「許せない…!許せないよぅ…!!」ぽろぽろ
魔王の側近「はぁっはっはっは!!勇者が、怖気づいて泣くのですか?」
女勇者「…どうしよう、戦士くん…!あいつが憎いよ…!!憎い…!」ぽろぽろ
戦士「…俺もだ」
女勇者「こんな気持ちが…!!正義なの…!?だって、私ね…こんなにも、あいつを…!!」ぽろぽろ

245 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:38:38.08 ID:QkoGcofM0
女勇者「こんな気持ちになるのが…正義なの…!?」ぽろぽろ
戦士「勇者殿。正義とは、正しいことを正しいと信じることだ。言っただろう」
女勇者「でも…でもぉ…!!」ぎりぎり
戦士「自分の正義を疑うな。もう二度と、あの子のような思いをさせたくないんだろう」
女勇者「…!」
戦士「今は戦うしかない。心を決めろ、勇者殿」
女勇者「…うん!あいつを……倒さなくちゃ…!」
魔王の側近「くっくっく。泣き言は終わりましたか?」
戦士「外道め…!」
魔王の側近「では…はじめましょう。魔王様には、指一本触れさせません!」
魔王の側近は両手を掲げて詠唱を始めた。
悪の気が側近の両手に集まっていく!▼