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女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」
Part2


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:33:31.82 ID:wXh2I2XqO
魔法使い「勇者様」
女勇者「はい。なぁに、魔法使いちゃん」
魔法使い「私達は、誰も迷惑だなんて思っていませんよ」
女勇者「…本当?」
魔法使い「えぇ、もちろんです。何故そんな事を思うのですか?」
女勇者「だってぇ…」
魔法使い「だって?」
女勇者「私だけ、こんなちっちゃくて弱いから…おじちゃん達はすごく強いのに」
女勇者「私は勇者なのに、頑張れないから…迷惑かな?って思ったの」
魔法使い「ふふ、そんな事ですか」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:39:06.03 ID:wXh2I2XqO
魔法使い「良いですか、勇者様。よく聞いてね?」
女勇者「…うん」
魔法使い「勇者様はたしかにまだ幼いです。子供です。でもそれは悪い事ですか?」
女勇者「…ううん。ちがうね」
魔法使い「そう。誰だって最初は子供なんです。私達だって子供でした」
女勇者「そうなの?おじちゃんも?」
戦士「…」
魔法使い「ふふ、確かに戦士さんの子供時代なんて想像できませんが」
魔法使い「でもね、勇者様。私達が勇者様くらいの頃は、勇者様みたいに強くはなかった」
女勇者「私?弱いよ?だって、剣も振れないし、盾も鎧も持てないもん」
魔法使い「それは仕方がない事です。勇者様が強いのは、心」
女勇者「こころ?」

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:43:34.91 ID:wXh2I2XqO
魔法使い「そう、心です」
女勇者「…うーん?よくわかんない」
魔法使い「今はまだわからなくて良いんです。でも勇者様は、心に強さを持っている」
女勇者「そうなの?」
魔法使い「えぇ。そんな勇者様だからこそ、私達は命を賭けてでもあなたをお守りする決意をしたのです」
女勇者「…」
魔法使い「だからね、勇者様。あなたはなんにも迷惑だなんて思わなくて良いのです」
魔法使い「私達は勇者様を信じてお手伝いするんですから。だから、迷惑だなんて思わないで?」
魔法使い「…ね?」ニコ
女勇者「…うんっ!」

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:47:20.82 ID:wXh2I2XqO
戦士「では行こうか。勇者殿、足はまだ痛むだろう」
女勇者「うん、ちょびっとだけ」
戦士「そうか。…ほら」
女勇者「ふぇ?おじちゃん?」
戦士「疲れただろう。背中におぶさると良い」
女勇者「…うん!」
すっ
戦士「よし、では宿に向かおう」
すたすた
女勇者「えへへ、おじちゃん」
戦士「む?」
女勇者「ありがとうね」ぎゅっ
戦士「うむ。構わん」
すたすた…

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:55:14.45 ID:wXh2I2XqO
【宿】
戦士「一人部屋と三人部屋を頼む」
女将「わかりました。一晩で12Gになります」
戦士「うむ」
女勇者「やだ!」
僧侶「勇者様?」
女勇者「おじちゃんも一緒が良いな。ねぇ、僧侶ちゃん!良いでしょ?」
戦士「いや、それは…」
女勇者「やだぁ…!一緒が良いもん…」
僧侶「良いじゃありませんか、戦士さん。私達は平気ですよぉ」
戦士「しかし…」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:03:26.34 ID:wXh2I2XqO
女勇者「おじちゃん、お願い。ね?」
僧侶「戦士さん。勇者様は、この歳でママと離れないといけないんですよ?」
戦士「!」
僧侶「私達で代わりになるとは思いませんけど、勇者様の事を1番に考えてあげましょう?」
魔法使い「そうですね。私もそれが良いと思います」
戦士「…」
戦士「4人部屋を頼む」
女将「はい、わかりました」
女勇者「わぁい!」

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:09:43.76 ID:wXh2I2XqO
戦士「それでは3人とも、風呂に入ってくるといい」
僧侶「先に入っても良いんですか?」
戦士「うむ。勇者殿を入れてやってくれ」
魔法使い「わかりました。勇者様、お風呂に行きましょうか」
女勇者「うん!おじちゃんは?」
戦士「俺は後から入ろう。やる事があるのでな。先に入りなさい」
女勇者「はぁい。行って来ます!」
トテトテ

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:13:43.00 ID:wXh2I2XqO
戦士「行ったか。…俺も出かけるとしよう」
すたすた
すたすた
女将「あら?お出かけですか?」
戦士「ああ。少し店までな。まだ開いているだろうか」
女将「大丈夫だと思いますよ。ここを出て少し歩けば店が固まった場所があります」
戦士「そうか。助かる」
すたすた

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:16:49.54 ID:wXh2I2XqO
【武器屋】
主人「いらっしゃい。何の用だい?」
戦士「武器を見せて欲しいのだが」
主人「おうよ。あんた、腕が立ちそうだな。ウチは良いのが揃ってるぜ」
戦士「…8歳の子供が装備出来るものはあるか」
主人「は?なんだって?8歳?」
戦士「そうだ」
主人「あんた、そんな子供に戦わせようってのかい、感心しねぇな」

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:20:36.83 ID:wXh2I2XqO
戦士「その子は戦わねばならんのだ。自分の身を守る為に持たせてやりたい」
主人「うーん…しかしなぁ。どれも子供に扱える代物じゃねぇぞ?」
戦士「重いのか」
主人「こん棒でさえ2キロ近くある。8歳にゃ、とてもじゃないが無理だ」
戦士「女の子にも扱えるような武器はないのか」
主人「女の子ぉ!?」

170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:01:23.89 ID:wXh2I2XqO
戦士「うむ。女の子だ」
主人「…あんた、自分が何言ってるかわかってるか?」
戦士「承知している」
主人「……そうかい。事情がありそうだな」
戦士「……ああ。その8歳の女の子というのはな」
主人「…」
戦士「勇者だ」

174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:06:02.18 ID:wXh2I2XqO
主人「なんだって!?…本当かいそりゃ」
戦士「うむ。出来る事ならば、俺も戦わせたくはない」
主人「…そりゃそうだ。まさか、勇者様がそんな子供だったなんて」
戦士「勘違いしないで欲しい。勇者殿は確かに幼いが、勇者としての器を持つ人だ」
主人「そうかい。…よし、わかった」
戦士「む?」
主人「勇者様が武器を扱えないなら、あんたが守ってやりな。腕には自信があるんだろ?」
戦士「当然だ。俺が生きている限り、勇者殿はお守りする」
主人「よっしゃ、あんた。これを持っていきな」すっ

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:09:41.98 ID:wXh2I2XqO
戦士「これは?」
主人「ここで用意出来る1番良い剣だ。品は保証するよ」
戦士「しかし、こんなに立派な剣を買える程の持ち合わせは…」
主人「良いんだ。お代はいらねぇ。そのかわり、しっかり勇者様を守ってやってくれ」
戦士「かたじけない。ありがたく頂く」
主人「おうよ。がんばってな」
戦士は新たな剣を手に入れた。▼

177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:13:11.85 ID:wXh2I2XqO
戦士「ありがたい。必ず勇者殿をお守りしよう」
すたすた
戦士「…勇者殿にも、何か用意しなければな」
すたすた
戦士「勇者殿が身につけているただの服では、戦いは無理だ」
すたすた
戦士「せめて防具だけでも何か用意してやらねばな」
すたすた

180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:16:37.99 ID:wXh2I2XqO
【防具屋】
ガチャ
戦士「邪魔する」
主人「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか」
戦士「重くない防具をくれ」
主人「はい?」
戦士「出来るだけ軽く、頑丈なものはないか?」
主人「軽い物となりますと…こちらになりますが」

181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:20:06.57 ID:wXh2I2XqO
戦士「ドレスか、服か…」
主人「はい。こちらが比較的軽い物ですね。動きやすく、かつ頑丈です」
戦士「…では、ドレスをくれ」
主人「畏まりました」
戦士「ああ、それから注文があるのだが」
主人「なんでしょう?」
戦士「それを、子供用に繕ってやってくれないだろうか」

182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:21:45.87 ID:XHzyQIpgO
そうか……ドレス(´;ω;`)ブゥァ

184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:22:59.35 ID:wXh2I2XqO
主人「わかりました。何歳くらいのお子さんですか?」
戦士「今日で8歳になるのだが、その割に体はかなり小さい」
主人「畏まりました。少々お待ち下さい」
戦士「うむ。わがままを言って済まないな」
主人「いえいえ。お子さんも、こんなプレゼントをいただいたら喜ばれますよ」
戦士「…そういう訳でもないのだが」

185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:26:35.80 ID:wXh2I2XqO
【宿屋の風呂】
わしわし…
僧侶「勇者様、目を開けちゃだめですよぉ」
女勇者「んー…」
僧侶「ふふ、そんなにおもいっきり目をつぶらなくても…」
女勇者「だって、目に入ったら痛いんだよー?」
僧侶「もう、勇者様ったら。お家でもママと一緒に入ってたんですか?」
女勇者「うん…。時々ね?時々だよ?」
僧侶「クス…はい、時々ですね」
わしわし…

186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:29:20.03 ID:wXh2I2XqO
僧侶「はい、おしまいです」
女勇者「ありがとー、僧侶ちゃん!」
僧侶「どういたしまして」ニコ
女勇者「ねぇ、僧侶ちゃんはいくつ?」
僧侶「私ですか?17ですよ」
女勇者「じゃあね、魔法使いちゃんはー?」
魔法使い「私は19になります」

187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:33:00.01 ID:wXh2I2XqO
女勇者「そーなんだ!じゃあなんで魔法使いちゃんは年上なのに、僧侶ちゃんより小さいの?」
魔法使い「!」
僧侶「ゆ、勇者さま…」かぁぁ
女勇者「おっきくなったら膨らむんだよね?ねぇ、なんでー?」
魔法使い「勇者様」
女勇者「はぁい?」
つねっ
女勇者「ふぇ?あぁに?」
魔法使い「悪い事を言うのはこのお口ですか?」
ぎゅう
女勇者「…ご、ごえんあはい……」

192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:42:43.30 ID:wXh2I2XqO
僧侶「変じゃないですよぅ。勇者様は勇者様ですから」
女勇者「んー。なんか変な感じ」
魔法使い「勇者様は仲間であり、私達のリーダーですからね」
女勇者「じゃあわたしも、魔法使い様って呼んでいい?」
魔法使い「ふふ、それはどうかと思いますよ」クス
僧侶「みんな、勇者様を慕って様とか殿とか呼ぶんです。勇者様が気にする必要ないですよ」
女勇者「そうなのかなぁ…?」

194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:46:19.09 ID:wXh2I2XqO
女勇者「僧侶ちゃん達は、ちゃんって呼ばれてイヤ?」
僧侶「いいえ。うれしいくらいです」ニコ
女勇者「本当?じゃあ、おじちゃんも戦士くんって呼んでも良いかな?」
魔法使い「きっと喜ぶと思いますよ。戦士さん、ああ見えて若いんですから」
女勇者「えへへ、じゃあ帰って来たら戦士くんって呼んじゃおう」ニコニコ

205 :1:2009/05/16(土) 21:43:23.71 ID:KjaZkCw/0
PCに移行します
女勇者「ねぇ、もう出るー」
僧侶「そうですねぇ。じゃあ、あと10数えたら出ましょうか」
魔法使い「勇者様、一緒に数えましょう。いち、にぃ」
女勇者「さーん、しーい、ごー…」
僧侶(…本当は、寂しいんだろうなぁ…)
僧侶「ろーく、しーち、はーち」
魔法使い「くー、じゅう!」
女勇者「おわり!出よ!」
僧侶「はい。もう戦士さんも帰ってきてるかも知れませんしね」
女勇者「うん!そういえば、どこ行ってたんだろうねー」
ざぱぁっ
トテトテ
トテトテ

206 :1:2009/05/16(土) 21:47:10.19 ID:KjaZkCw/0
トテトテ
ガチャ
戦士「お、出たのか」
女勇者「うん!戦士くん、おかえりなさい!」ニコ
戦士「ただいま。…ん?」
女勇者「えへへ」
戦士「なんだ、その…戦士くん、というのは」
女勇者「えっとねぇ、戦士くんって呼びたいの。いや?」
戦士「…そうか。嫌ではない」
女勇者「本当?うん、じゃあ戦士くんね!」
戦士「……」
僧侶(ふふ、喜んでるなぁ)

207 :1:2009/05/16(土) 21:53:28.09 ID:KjaZkCw/0
戦士「勇者殿、今日は8歳の誕生日といったな」
女勇者「うん!今日でわたしも8歳だよ」
戦士「誕生日プレゼントはもらったのか?」
女勇者「えっとねぇ…えへへ」
戦士「…もらっていないのか」
女勇者「今日、旅立つことになっちゃったからねぇ」
戦士「そうか。…これは、誕生日プレゼントだと思ってくれ」
女勇者「え?」
戦士「こんなものしかあげられなくて申し訳ないが…これからの役に立つだろう」
女勇者「うわぁ!プレゼント!戦士くん、ありがとう!開けていい?ねぇ、いいかな?」
戦士「ああ、開けてみなさい」

208 :1:2009/05/16(土) 21:57:10.63 ID:KjaZkCw/0
ぱかっ
女勇者「うわぁ…!!これ、ドレス?」
戦士「うむ。防具屋で売っていた質素なものだが」
女勇者「私、ドレスなんて着たことないよ」
戦士「そうか。着てみるといい。似合うといいが」
女勇者「うんっ!えへへ、戦士くん!ありがと!」
戦士「喜んでもらえてなによりだ」
女勇者「ねぇ、僧侶ちゃん!これ着せてー」
僧侶「はい。ふふ、良かったですねぇ勇者様」
女勇者は皮のドレスを装備した。
女勇者  皮のドレス E 
防御力  3 → 5

209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 22:01:10.78 ID:o+eP4fBrO
皮のドレス・・・

210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 22:03:36.03 ID:XMLNBYbJ0
これが 防御力 999 になるんだよなあ・・・