Part2
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 11:28:58.42 ID:
N/8UczAI0
魔物「なんだ貴様らは?」
女勇者「君を退治しにきたよ。近くの村の人が困ってるからね!」
魔物「ふん、人間ごときが私を倒せるとでも?」
女勇者「残念だけど、普通の人間じゃないんだよー」ニコニコ
魔物「……ふん。どう違うのか見せてもらおう」
女勇者「え?君、そんなに弱かったっけ?」
魔物「は?」
ずるっ…
どしゃぁぁ……
女勇者「あーあ…真っ二つになっちゃったね」
戦士「な…?い、いつ斬ったんだ…?」
僧侶「ぅ…!」
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 11:33:46.55 ID:
N/8UczAI0
魔物を倒した!
僧侶「ぅ、う…」
女勇者「僧侶ちゃん?どうしたの…?」
僧侶「うえぇ…!!!」びしゃびしゃびしゃ…
女勇者「…そ、僧侶ちゃん…」
魔法使い「……大丈夫ですよ、僧侶さん。さぁ、戻りましょう…」
戦士「そうだな。勇者殿、これで返り血を拭くと良い。そのままでは気持ち悪いだろう」
女勇者「え?あ、うん…ありがとう」
戦士「……さぁ、行くぞ二人とも」
女勇者「…」ふきふき
女勇者「…」ふきふき
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 11:38:24.55 ID:
N/8UczAI0
【宿屋】
女勇者「……血が、取れないなぁ」
僧侶「…」
魔法使い「…」
女勇者「…もう。どうして魔物の血ってこんなに取れにくいんだろう」
女勇者「…ねぇ?」
魔法使い「そ!そうですね」
僧侶「…魔法使いさん。大丈夫、もう介抱は結構です…楽になりました」
魔法使い「…そうですか?」
女勇者「僧侶ちゃん、ごめんね…?許してね?」
僧侶「いえ…私こそ、すみません…」
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 11:45:04.38 ID:
N/8UczAI0
魔法使い「僧侶さん、お風呂に行きましょうか。少しは気分も楽になりますよ」
僧侶「…そうですねぇ。そうしましょう」
女勇者「あ、お風呂私も行きたいなぁ。良い?」
僧侶「はい。もちろんですよぅ。皆で行きましょう」ニコ
魔法使い(僧侶さん…)
女勇者「よし、じゃあ早速いこっ!」
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 11:48:04.26 ID:
N/8UczAI0
魔法使い「大丈夫ですか、僧侶さん…?」
僧侶「へ?なにがですかぁ?」
魔法使い「勇者様のこと、怖がっていたのに…」
僧侶「…うん。大丈夫です。だって…」
魔法使い「だって?」
僧侶「勇者様は、悪くないじゃないですか」ニコ
魔法使い「!」
僧侶「さっきのは私が未熟だから、気分悪くなっちゃっただけで…」
僧侶「それに…勇者様だって、望んで強くなりすぎた訳じゃないんですから」
魔法使い「…そうですね。僧侶さんの言うとおりです」
女勇者「二人ともー、早く行こうよぅ!」
魔法使い「あ、はい!お待たせしました」
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 11:51:47.59 ID:
N/8UczAI0
【脱衣所】
僧侶「ねぇ、勇者様」
女勇者「うん?なぁに?僧侶ちゃん」
僧侶「その…さっきはごめんなさい。私、勇者様の気持ちも全然考えずに…」
女勇者「えへへ…ううん、もういいの。誰だってあんなの見たら気持ち悪いもんね」
僧侶「…勇者様」
女勇者「この辺の魔物だと、手加減も難しいんだぁ。後半になると全力で切れるんだけどね」
僧侶「…勇者様。ループは、辛くないんですか…?」
女勇者「うん…辛いよ。すごく辛い」
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 12:11:52.10 ID:
N/8UczAI0
魔法使い「投げ出したい…と、思わないんですか?」
女勇者「えへへ、実は何回も思っちゃった。だけど…」
僧侶「…」
女勇者「私は、勇者に生まれたから」
僧侶「勇者様…」
女勇者「私がやらないと、困る人がたくさん居るもんね」
女勇者「自分を犠牲に、なんてカッコいいものじゃないけどさ」ニコ
女勇者「だけど、私しか居ないんだから私がやらなきゃ」
魔法使い「…辛いですね」
女勇者「うん。だけど平気。みんな居るもん。戦士くんも、僧侶ちゃんも、魔法使いちゃんも」
女勇者「…普通の女の子になりたいって、思わなくはないんだけどね」
ヌギ…
ぬぎ…
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 12:16:11.59 ID:
N/8UczAI0
ぱさっ…
魔法使い「う…」
僧侶「ゆ、勇者様…その身体…」
女勇者「ああ、これはねぇ。えへへ、何回も冒険してたらこんなんなっちゃった」
僧侶「そ、その胸から太ももにかけてのおっきい傷は…斬られたんですか?」
女勇者「そう。たしか3週目の時だったかな」
魔法使い「火傷や凍傷…切傷や擦過傷…なにがあればそんな身体に…」
女勇者「…うん。色々あったから」
女勇者「やっぱり、気持ち悪いよね」
僧侶「…………うわぁ……」
魔法使い「…………」
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/02(土) 12:26:40.89 ID:
N/8UczAI0
女勇者「……ごめん、変なもの見せちゃったね」
僧侶「いえ…」
女勇者「……ごめん。本当にごめんなさい」
魔法使い「そんな、勇者様が謝ることではありません…!」
女勇者「…私、後から入るよ。二人とも、先に入っちゃって」
僧侶「…いえ、一緒に…」
女勇者「ううん。大丈夫。やっぱり私も、一人のほうが気兼ねなく入れるしさ」ニコ
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:14:48.89 ID:
03o1SKIUO
女勇者「じゃあ、私は部屋に戻ってるね」ニコ
僧侶「ホントに、帰っちゃうんですかぁ…?」
女勇者「ん。ちょっと外の風に当たってくるよ」
魔法使い「……わかりました」
女勇者「それじゃ、ごゆっくり!」
トテトテ
トテトテ
バタン
僧侶「……」
魔法使い「…悪いことをしてしまいましたね」
僧侶「……はい」
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:19:28.72 ID:
03o1SKIUO
トテトテ
女勇者「…しょうがないよね。こんなの見せられちゃったら、誰だって」
トテトテ
女勇者「誰だって気持ち悪いよね。私だって気持ち悪いもん」
トテトテ
ガチャ
バタン!
女勇者「……私だって、一緒にお風呂なんて入りたくないもん」
女勇者「えへへ、こんな醜い傷跡で…普通の女の子になりたいだなんて…」
女勇者「笑っちゃうよね、ホント。あはは」
女勇者「回復魔法(最大)…」
ぱぁぁ…
女勇者「もう、なんで治んないかなぁ?回復魔法(最大)!」
ぱぁぁ…
女勇者「回復魔法(最大)!!」
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:24:13.74 ID:
03o1SKIUO
女勇者「…治ってよ」じわ…
女勇者「はぁ…もう良いや。もう良い。誰とも一緒にお風呂なんて入らないで過ごすよ」
女勇者「……誰を恨んでも仕方ないことだよね」
女勇者「今回の旅が無事に終わっても、また繰り返しになるのかなぁ」
女勇者「……えへへ、なんだか今日は泣き言ばっかりだ」
女勇者「だめだめ。私は勇者、しっかりしなくちゃね」
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:28:55.99 ID:
03o1SKIUO
【風呂】
かぽーん…
魔法使い「ねぇ、僧侶さん」
僧侶「はい?なんですか?」
魔法使い「勇者様のあの傷…治らないんでしょうか」
僧侶「…あそこまで深い傷は、きっと完全に治らないです。…いったい何があったんでしょうね」
魔法使い「勇者様の仰ったことが本当なら、きっと過去の冒険で傷を負ったのでしょう」
僧侶「…本当なんでしょうか」
魔法使い「…どうでしょう。けれど、今日の勇者様の強さを見ると、それ以外に思いつきません」
僧侶「もしかしたら、昔にすごい修行をしたとかじゃ…?」
魔法使い「修行で、あそこまでの傷跡が残るでしょうか…?」
僧侶「…」
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:34:15.22 ID:
03o1SKIUO
僧侶「もし本当の事だったとしたら…」
魔法使い「?」
僧侶「私達は、必要なんでしょうか?」
魔法使い「!それは…」
僧侶「このお風呂の件もですけど…私達が勇者様の枷になるんじゃあないですか…?」
魔法使い「そうかも知れませんね」
僧侶「……どうしたらいいんだろう?」
魔法使い「……」
僧侶「私ね?今日、勇者様の戦ってる姿を見て、ちょっと怖かったんです」
魔法使い「それは、私も…きっと戦士さんも同じですよ」
僧侶「魔物とはいえ、自分より弱いものを力でねじ伏せる…」
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:42:18.98 ID:
03o1SKIUO
僧侶「それが、本当に正義の為の戦いなんでしょうか?」
魔法使い「…勇者様の信じる正義なのでしょう。私達はそれについていくしかありません」
僧侶「…ですよね。…私、どうかしちゃってるなぁ」
魔法使い「無理もありません。今日の戦いを見ては…誰だって…」
僧侶「…でも」
魔法使い「…?」
僧侶「あの傷を受け入れられなかった事は、私間違ってると思います…」
魔法使い「…そうですね」
僧侶「勇者様も、今までずっと戦ってきて、苦しい思いをしてるのに…」
魔法使い「それを見て怖がってしまう私達は、本当の意味での仲間にはなれていないのでしょうね…」
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:44:55.49 ID:
03o1SKIUO
魔法使い「そろそろ、あがりましょうか。勇者様も待っているでしょうし…」
僧侶「そうですね。…勇者様に謝らなくちゃ…」
魔法使い「…私も、そうします」
ざぱぁ…
トテトテ
トテトテ
ガチャ
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:48:12.18 ID:
03o1SKIUO
トテトテ
トテトテ
僧侶「勇者様、気を悪くしてるでしょうか…?」
魔法使い「…そうかもしれませんね。きちんと謝りましょう…」
トテトテ
ガチャ
魔法使い「あら?勇者様の服が落ちて…」
僧侶「ホントですね。勇者様、着替えたのかな?勇者様?」
トテトテ
女勇者「…回復魔法……回復魔法」
僧侶「ゆ、勇者様…」
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 00:58:51.60 ID:
03o1SKIUO
女勇者「!」
魔法使い「勇者様…」
女勇者「ご、ごめん!気づかなかったよ。もうあがったんだね」
僧侶「…ごめんなさい」
女勇者「え?」
僧侶「勇者様のお気持ちを考えずに…私、自分のことばっかりで…」
僧侶「怖がることしかできなくって…勇者様の傷だって、好きで負ったわけじゃないのに…」
女勇者「ううん、いいんだよ」ニコ
僧侶「…勇者様」
女勇者「こんなの、誰だって気持ち悪いよ。回復も効かない傷なんて…」
僧侶「…」
女勇者「だから、もう良いの。怖がらせちゃってごめんね」
僧侶「そんな、勇者様は悪くありません…!」
女勇者「じゃ、お風呂入ってくるよ!じゃね」ひらひら
トテトテ
バタン…
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 01:03:53.22 ID:
03o1SKIUO
僧侶「…許してくれない…ですよね」
魔法使い「……」
僧侶「仲間なのに、こんな溝ができちゃって…私のせいです…」
魔法使い「勇者様は、私達を許さないのではなく…きっと」
僧侶「え…?」
魔法使い「きっと、ご自分でも自身を怖がっているんではないでしょうか…」
僧侶「勇者様が、自分を怖がってる…?」
魔法使い「なんとなくですが…。ループも、勇者様が望んでいるわけではないのでしょう?」
僧侶「あ…」
魔法使い「ご自分がどこまで強くなるのか、どんな傷を負うのかがわからなくて…」
僧侶「そう…なのかもしれませんね」
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 01:11:02.67 ID:
03o1SKIUO
かぽーん…
女勇者「…ふぅ。良い気持ち…」
女勇者「やっぱり私は、こうやって一人でいるのがいいや…」
女勇者「この旅が終われば、きっと皆とも別れることになるんだろうし」
女勇者「…うん。もうこの事は忘れよう。私は頑張るだけ」
女勇者「勇者なんだから。何回だって、世界を守るために頑張らなくちゃ…ね」
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 01:14:36.81 ID:
03o1SKIUO
女勇者「よし、そろそろ出よう。明日も早いしね」
ざぱぁ…
女勇者「…この傷も、この強さだって、私が今まで世界を救ってきた証なんだから」
女勇者「誰から嫌われたって良いよ。私だけがわかっていれば良いもんね」
トテトテ
トテトテ
ガチャ…
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 01:19:35.53 ID:
03o1SKIUO
【次の日】
戦士「今日の目的地は、北の村だったか」
女勇者「うん、そうだね!もうすぐ見えてくると思うよ」
戦士「そうか。…む、魔物のようだ」
女勇者「あ、ホントだ。よっと」
ぶしゃあああ!!!
魔物を倒した!
女勇者「それでね?そこの村では…」
戦士「……」
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 01:25:21.04 ID:
03o1SKIUO
【北の村】
戦士「ここが、その村か…」
僧侶「なんだか、皆忙しそうに働いてますね…」
女勇者「そうなんだー。ここは土地が悪いからね、農作物が育ちにくいんだって」
女勇者「今年は特にひどいらしくて…」
魔法使い「そうなんですか。それで皆こうして働いているのですね」
女勇者「うん。近くに町やお城もないしね」
女勇者「それで、ここらへんに住む魔物が…」
村人「きゃああああ!!!」
女勇者「村の子供を攫ってっちゃうんだぁ…」
僧侶「た、大変です!追いかけないと!」
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 01:29:29.67 ID:
03o1SKIUO
村人「あ、あの…!貴女方は勇者様ご一行ですか…?」
女勇者「うん、そうですよ!」
村人「つ、つい今しがた魔物が村にやってきて…!私の子供が攫われてしまったのです…!」
女勇者「うん、任せて!すぐに助けてくるよ」ニコ
村人「ああ…ありがとうございます…!」
戦士「よし、勇者殿。すぐに向かおう」
女勇者「そうだねっ。早く助けてあげないと!」
僧侶「お母さん、ご安心くださいね。必ず助けてきますから…!」
村人「ありがとうございます…!」