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女神「眠りなさい、勇者……魔王が再び蘇る時まで」
Part4


21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:18:13 ID:7SLZ3QkY
……
勇者「町だー!」
戦士「そんなに張り切る事か?」
勇者「だってここ英雄の町だよ? あたしのご先祖様のだよ? いやー一度来たかったんだよね!」
僧侶「英雄ですか?」
魔法「確か勇者*****の生まれ故郷だったかな」
騎士(……懐かしいなぁ)

23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:20:06 ID:7SLZ3QkY
勇者「これがかの有名な勇者*****の像!」
騎士「もはや人の形をしていない……」
僧侶「どんな鎧かも分からないですね」
戦士「この像の装備品って残っていないのか?」
勇者「何故か全て失われているんだよ……あればあたしももっと貫禄がつくかなぁ」ガチャガチャ
魔法「見た目も大切だけど、貴女はその行動で示す方が合っていると思うよ」
騎士(もう撤去しちまえばいいのに。最後に見た時でさえだいぶ削れていたんだし)
騎士(まあ、まともに残っていないのは有り難いんだけどな)

24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:23:01 ID:7SLZ3QkY
勇者「あ」
魔法「どうかしたかい?」
勇者「三人部屋と二人部屋で組んだ方が安い」
騎士「ぶーーーっ!」
戦士「おっしゃ、くじ引きだな」
僧侶「こうして見ると、いつもの宿泊も変化があって楽しいですよねっ」
魔法(一番、騎士と二人っきりになったら困る子が何かを言っているよ)ヒソヒソ
戦士(全くだな)ヒソ
僧侶「な、なんですか二人して!」

25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:25:21 ID:7SLZ3QkY
騎士「……」ガチャガチャ
戦士「……」ガチャガチャ
戦士「お前、装備の手入れの仕方とかはバッチリだな」ガチャガチャ
騎士「手が勝手に動くと言うか、きっと体が覚えているってやつなんだろうな」ガチャガチャ
勇者「あんな話しているからてっきり、僧侶ちゃんとのペアかと思ったのに」
魔法「残念だね……フラグが立ったと思ったのに」
僧侶「酷くないですか?!」
魔法「真面目な話、騎士と二人っきりになって大丈夫かい?」
僧侶「……それはもう仲間ですもの」
勇者「わー凄い目が泳いでいる……」

26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:27:03 ID:7SLZ3QkY
戦士「そうだ、お前対人剣術習うつもりはないか?」
騎士「対人? 俺が?」
戦士「記憶が戻らなかったらどうするんだよ?」
戦士「今のところ、お前には兵士の道しかないだろ。それなら必須だぞ」
騎士「それもそうか……だがいいのか? 戦士さんの負担になるだけでは?」
戦士「んなもん、その倍お前が戦闘で頑張れ」
騎士「わーぉ」

28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:29:56 ID:7SLZ3QkY
戦士「違う! そう構えるな! 腰を入れろ! 相手を意識しろ!」バシィ
騎士「ぐ、やあぁっ!」ガキィィン
戦士「人間相手にその太刀筋はなんだ!」キィィンバシィ
騎士「がっ! はあぁぁ!!」キィンキィィンギィン
戦士「甘い! そんなんじゃ盗賊一人捕まえられんぞ!」ギィンバシバシィ
騎士「ぐうおおぉぉ!」ギィィン

29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:32:19 ID:7SLZ3QkY
――……
「お前……本当に勇者かよ」
「こんなんで魔王を倒せるのかねー」
「元々はただの町人で剣なんか握った事も無いんだぞ。手加減してくれ!」ボッロボロ
戦士にボコボコにされたからだろうか。痛い夢を見た。
様々な国を回り、多くの兵士に手合わせを願われた。唯一残った期待の勇者だからだ。
そしてその度に、ボコボコにされて皮肉を言われた。
何が『これが俺達の命運を分ける人なのか』だ。泣きたいのはこっちだ。

30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:34:25 ID:7SLZ3QkY
勇者「起っきろー」カンカン
魔法「何で二人して寝坊?」
僧侶「き、騎士さんに至っては何故かボロボロですし」
騎士「ふ、これで少しは俺も強く……」ボロッボロ
勇者「えっ、騎士君もう十分強いのに?!」
戦士「ふぁー……。魔物との戦闘にはあまり効果が無いだろうけどさ」
騎士(まー自分にまだ伸び代があるのが分かっただけでもいいか)
騎士(戦士の言うとおり、後の事も考えないとだしな)

32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:37:13 ID:7SLZ3QkY
戦士「相変わらず、何処の店を回ってもお前の装備を交換する事は無いな」
騎士「ほんと、自分でもいい物使っていると思うよ」
騎士(これ神器で揃えるのに8回死んだけど)
魔法「その分お金は浮くし、戦闘も期待に応えてくれる。こちらとしても良い事ずくめだけどね」
戦士「後は対人技術だなぁ」ガッシ
騎士「……精進します」
僧侶「たった一晩で凄く仲が……」
勇者「何があったんだろう」ゴクリ
戦士「ほぼ棒打ち」
騎士「めった打ち」
魔法「あら拷問」

33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:39:04 ID:7SLZ3QkY
勇者「装備も整ったし行こっか」
騎士(しまった墓参り……いや、魔王を倒してからにするか)
戦士「そういえばそろそろ砦か?」
騎士「え、砦? この近くに?」
魔法「魔物達の砦だよ。次の町との間にあるのさ」
騎士(魔物のかよ。超やべぇ)
騎士「なんでまたそんな所に。国は兵士動かさないの?」
僧侶「防衛線を張ってはいるけど攻める事はないようですね」

34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:41:20 ID:7SLZ3QkY
……
勇者「結構物々しいね」
騎士(めっちゃ要塞だ!)
戦士「よっし、あたしと騎士で特攻」
騎士「特攻?! ああ、勇者さん達は後方援護とか?」
勇者「んー騎士さんいれば問題無い気がするけどなぁ」
魔法「いざとなったら戻っておいで。いつでも魔法を撃てる準備はしておくから」
僧侶「回復魔法もスタンバイしていますからねっ」
騎士「要塞だよなぁ……罠とか地の利とか流石に危険があると思うが」
砦のボスの首「」ゴロンゴロ
騎士「んなこたーなかった」

35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:43:11 ID:7SLZ3QkY
騎士「上手に焼けました」ジュゥゥ
戦士「肉もいっぱい手に入ってよかったな」
魔法「本当、魔物が食べられるなんてもっと早くに気付くべきだったね」
僧侶「お肉♪ お肉♪」
勇者「おいしそー」ジュルリ
戦士「残りは燻製にでもするか?」
魔法「折角部屋もあるんだし試してみようか?」
騎士「一室だけ異様な匂いがするようになるのか……修繕するにしても後の人は可哀相だな」

36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:45:36 ID:7SLZ3QkY
勇者「魔物が使っていたとはいえ、野営中にベッドで寝れるとはー」ウキウキ
魔法「おや、全部二人部屋なのね」
戦士「そんなに敵の数もいなかったからな」
騎士「殆どボロボロだけどな。ベッドなのに快適じゃない部屋がちらほら」
魔法「何処が使えそう?」
騎士「一番右が二つ。右から二番目と真ん中が一つ。左から二番目がぎりぎりってところだ」
騎士「俺は左の部屋に寝るよ」
戦士「いいのか?」
騎士「野宿に比べればまだマシなレベルだから構わないさ」

37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:47:40 ID:7SLZ3QkY
……
騎士「町との間、というわりにこの町まで結構日数かかってるよな」
戦士「真ん中って言ったっけか?」
勇者「あー前の町から砦までの距離の二倍はあったからね。砦からこの町まで」
魔法「保存食が得られたのは運が良かったね」
騎士「というか得られなかったらどうするつもりだったんだ」
僧侶「毎日、倒した魔物を解体でしょうか」
騎士「相当時間かかってるだろうなぁ、それ」

38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:50:26 ID:7SLZ3QkY
戦士「じゃああたしら宿屋に」
魔法「くじ引きの用意しておこうか」
騎士「えー」
女神(おや、中々良いようですね)
騎士(何がです?)
女神(彼女達との信頼がより高まっているようですね)
騎士(そんな事が分かるのですか?)
女神(詳しい胸中までは分かりませんが、人同士の想いは分かりますよ)
騎士(俺から女神様だから、俺の気持ちは気付かなかった、と)
女神(ドン引きですけどね)
騎士(えー)

39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:52:26 ID:7SLZ3QkY
女神(それはいいとして、これからも頑張っていくように)
女神(貴方の働き次第ではより良い関係が気付けるでしょう)ニヤニヤ
騎士(うーん)
女神(あら? 皆さん好みでないと?)
騎士(いえ、やはりこうしていると、女神様が一番だなぁと)
女神(マジキチ)

40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:54:09 ID:7SLZ3QkY
女神(魔王を倒した時点で契機満了ですよ?)
女神(そうしたらもう、私ともこうして話す事はできなくなるのです)
女神(飽くまでも貴方の思いは夢のようなもの。追いつけないものの為に人生を無駄にする気ですか?)
騎士(じゃあ再度契約するとか)
女神(使命をもたない貴方に行える契約はありません。そもそも同じ人間に二度の契約は行えません)
騎士(神の僕的なのは)
女神(天寿を全うしたら考えてあげましょう)
騎士(うーむ、駄目かぁ)
女神(当たり前です)

41 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:55:06 ID:gxdI0pvc
女神様ハァハァ

42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:55:56 ID:fT5APg.k
あえての魔王ルート

43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:56:07 ID:7SLZ3QkY
勇者「騎士君騎士君」ツンツン
騎士「……どうかした?」
勇者「いやー礼拝中に眉間に凄い皺作ってたからどうしたのかなって」
騎士「え、マジか。僧侶も見た?」
僧侶「ええ、確かに何事かとは思いましたが」
騎士「うーむ」
騎士(気をつけないとだなぁ)

44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 20:58:48 ID:7SLZ3QkY
勇者「そーいえば、あれから戦士ちゃんとは訓練してないみたいだけど」
騎士「流石に野営中にやるのは自殺行為だからなぁ」
騎士「戦士には町にいる間だけって事で頼んでいるんだ」
勇者「ほうほう……いっそ魔法ちゃんにも頼んでみたら?」
騎士「魔法使いに? そうだな、魔法戦士になれたらいいな」
騎士「ま、そこまでは時間は取れないだろうから、剣を伸ばしたほうがいいんだろうけども」
騎士(一年かかって回復魔法小が習得できなくて諦めたなんて言えない)

45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:00:14 ID:7SLZ3QkY
勇者「レディースデー?」
戦士「そ、女性客のみだと安くなるんだとよ」
魔法「私達で四人部屋と騎士の一人部屋の組み合わせが一番安くなるのだよ」
僧侶「それにしても、こんな所の宿屋でレディースデーとは効果が……」
戦士「いや、ここは色んな国へ行くルートになるからな」
勇者「そういえば結構物資も充実しているよね」
魔法「そんな訳で騎士には一人部屋でお願いするよ」
騎士「そこで申し訳無さそうにされると俺も困る。というか、皆と一緒の部屋がおかしいからね!」
勇者「凄い強調したね」
騎士「だって四人とも仲間はずれごめんね、ぐらいの感覚でしょ」

47 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:02:22 ID:7SLZ3QkY
勇者「さて」
戦士「何だよ改まって」
勇者「遂に騎士君のあたし達に対する好感度がMAXのあたりまで高まったよ!!」
魔法「どんな基準なんだい?」
勇者「あたし達の呼び方とか」
僧侶「飽くまで仲間としての好感度という事ですか?」
勇者「そうそう。まずはそこに辿り着かないと、一歩は踏み出せないでしょう」
勇者「で、三人は騎士君の事をどう思ってる?」ニヤニヤ

49 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:03:45 ID:tACvi9Os
そろそろパンツ脱いでいい?

50 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:04:44 ID:7SLZ3QkY
戦士「何だよ、その手の話がしたいだけかよ」
勇者「えーしようよー! あたし達、列記とした乙女だよー?!」
魔法「乙女は魔物の肉にかじりついたりはしないでしょうけどもね」
勇者「ぶー! そういう魔法使いちゃんはどうなのさ」
魔法「勿論良く思っているよ」
戦士「あっさりと肯定しやがったな」
魔法「そうかい? 彼、良い人じゃないか」
僧侶「確かに優しいですよねぇ」

51 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:07:04 ID:7SLZ3QkY
戦士「まーそこは否定はしねーけども、そんな言うほどかぁ?」
戦士「つーか、僧侶も満更でもないのか」
僧侶「なな何を言っているんですか! 私はそんな軽い気持ちであの方を想っている訳でありません!」
勇者「鞍替えかー」
魔法「所詮、ただの一目惚れなのだろうしね」
僧侶「三人して苛める……」

54 :Here is not Pink's bookmark.:2012/04/07(土) 21:09:14 ID:7SLZ3QkY
僧侶「そういう勇者さんはどうなのですかぁ……」
勇者「わーごめんごめん、そんな拗ねないで」
勇者「あたしはまあ、好きだよ」
戦士「何となくそんな気はしていた」
勇者「いやーというより、まともに異性と接する機会が無かったからなぁ」
魔法「家柄?」
勇者「うん。稽古とか一緒に鍛練していた人はいたけど、父さんが凄い眼光放ってたし」
戦士「そりゃあ誰も親密にはなりたくはないわな」
勇者「だから異性として好きなのかはちょっと分からないなー」
魔法「抱き締めたい、抱き締められたいと思うのならそうだよっ」
勇者「なんと?! そうなると、むむ……」
戦士「唯一の経験者が異常者だから当てになんないぞー」

55 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:11:17 ID:7SLZ3QkY
勇者「やっぱあたしは分からないなー」
勇者「尊敬の好きなのか恋愛の好きなのか……うーん」
戦士「別に急いで答え出す事でも無くないか?」
魔法「そういえば戦士はどうなんだい? 強い人が好きだと言っていなかったかい?」
戦士「そりゃあ今は頼もしいが、本来の職を考えるとちょっとなー」
戦士「まー良くは思っている、程度かねー」
勇者「超上から目線」
戦士「いけ好かないからしないが、これでも貴族から色々と来ているぞ」
魔法「人柄は置いておくにしても、職業上は有望株だものね」

56 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:13:14 ID:7SLZ3QkY
僧侶「……あの、ここだけの話でお聞きたいのですが」
勇者「え、そんな改まってどうしたの?」
僧侶「あ、いえ……その彼から何かされた、とかありますか?」
戦士「ちょっと打ち首にしてくるわ」
勇者「あたし取り押さえるね」
僧侶「あ、違、そうじゃないんです! その……もし二人部屋で一緒になったらと」
魔法「そこまで不安かい?」
僧侶「すみません……この間のは虚勢です」
勇者「うん、言わなくても分かってた」

57 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:15:10 ID:7SLZ3QkY
魔法「私は大歓迎だけどもそういうのは無いね」
勇者「大歓迎なんだ……」
戦士「魔法使いぱねぇ……ま、あいつはそういう事しなさそうだけどもな」
僧侶「さっき打ち首とか言っていましたよね?」
戦士「信頼してるからこそだ」
勇者「そこは戦士ちゃんに同意だね」
魔法「冷静に考えなくてもハーレムだというのに……もっと求めてくれればいいものを」
勇者「魔法使いちゃん……」

58 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/07(土) 21:17:12 ID:7SLZ3QkY
騎士「そういえば、今日は稽古どうするんだろう……」
騎士「確認……いや、なんか入り辛いな」
騎士「型の練習と素振りでもしておくか」ガチャ
勇者「騎士くーん、晩御飯食べにありゃ?」ガチャガチャ
魔法「外出しているのだろうか?」
勇者「うーん、男の人ってこんなものなのかなぁ。四人もいて丸放置って」
戦士「正直、枯れてるんじゃないかと思う」
僧侶「枯れてますか? 活力で溢れているような方じゃないですか」
勇者「流石僧侶ちゃん」