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女神「眠りなさい、勇者……魔王が再び蘇る時まで」
Part11


265 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:33:02 ID:Kh7fgBHQ
騎士「すまない、皆。俺一人にやらせてくれないか?」
勇者「騎士君?」
騎士「君達にしても背負った使命であるのは分かっている……だが、俺もずっとこの双肩に背負ってきた事なんだ」
戦士「……っち、しゃーねーな」
魔法「そうだな、君が納得するまで一人で戦うといい」
僧侶「でも、私達の力が必要であればすぐに仰ってくださいね!」
魔王「くっくくく、本当にいいのか? 我とて今回ばかりは全力だぞ」
騎士「後が無いからか?」ヘラ
魔王「……貴様との茶番に飽きたからだ!」ゴッ

266 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:34:25 ID:Kh7fgBHQ
騎士「ぐぉ!」
魔王「魔力を放出しただけでそれか?」ドゴォ
騎士「がぁ!」
騎士(一瞬で真横に?! こいつ本当に強く……)
魔王「どうしたぁ! 反撃せんのかぁぁ!」ゴァァ
騎士「ぐっ、く、はあぁ!」シャァン
魔王「ふぅむ」ギィィン
騎士「っな……」
魔王「さあお前の太刀は受け止めてやったぞ? 次はどうする?」
騎士(こいつ……ここまで強く? こりゃあやべぇな)バッ

267 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:35:37 ID:Kh7fgBHQ
魔王「そぉうら、捌ききってみろ!」ドドドド
騎士「うぐああぁぁぁ」ガガガガ
魔王「ふんっ!」ドゴォ
魔王「なんと矮小か……我が本気を出してしまえば貴様もこの程度なのか」
魔王「時には肉薄したものだが実につまらん事よぉ!」
騎士「ぐく……くそ、ここまで……強かったのか」ガラガラ
勇者「き、騎士君!」
戦士「これほどなのか……魔王は」
魔法「不味いね……私達が協力したところで」
僧侶「女神XXX……我らをお守り下さい」

268 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:36:40 ID:Kh7fgBHQ
魔王「どうした? 本当にお前の全力はその程度なのか?」
騎士「……っは、すぐにそのへらず口、叩ききってやるよ」
魔王「なんと……もしや貴様、仲間が出来て弱くでもなったというのか?」
騎士「なっ……あ」
魔王「そうか……貴様の力はその程度だったのか」
魔王「っふ……ふふ、くふふふはははははは! たまらん! 愉快だ!」
魔王「本当にその程度の力で我に楯突いていたとは! だがそれもここまでだ!」
魔王「貴様さえ堕ちればこの世界は我が手中に収めたも同然!」グッ
魔王「滅びろ、勇者*****! 塵となれぃ!」ゴァ

269 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:37:56 ID:Kh7fgBHQ
……ォォン
勇者「騎士、君……」ガラガラ
戦士「嘘、だろ……こんな」
魔法「……」
僧侶「いや……いや、騎士さん」
魔王「くふふふふ、くはははははは!! なんと愉快な事か! これほどの愉悦とは!」
騎士「」ガラガラ
魔王「ほう……? 形は残っていたか。流石はと言ったところだろうか?」
  _
騎士\ \フッ
     ̄
魔王「しかし、それもこ騎士「残像だ」

270 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:39:11 ID:Kh7fgBHQ
魔王「……な、に?」ゴクリ
騎士「考えてみたら契約による特典の肉体強化をきったままだったよ」
騎士「お前がべらべら喋っていてくれて助かったよ」ニヤ
魔王「ぐ、ふんぬ!」ブォン
騎士「確かにお前は強い。こうして肉体強化無しでは手も足も出なかった」ッフ
騎士「だからと言って、負けてやるわけにもいかないがな」ヒュォン
騎士「これが最後だ。魔王、全力で行くぞ」チャキン

271 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:40:39 ID:Kh7fgBHQ
魔王「ぬおおおお!」ドドドド
騎士「……」ッフ
騎士「といやー!」ズバァン
魔王「ぐあああぁぁ! 何故だ! 何なのだその力は!!」
騎士(あれで発展途上だったんです、なんて言えないなぁ)
勇者「騎士君……あんなに強く」
戦士「いやいや、今までより三倍は強くなっているだろうが」
魔法「勇者*****……女神の加護を受け、不死身の戦士となった者」
魔法「彼の言っていた契約とやらは加護の事なのだろうな」
僧侶「それでしたら何故今までそれだけの力を?」
魔法「真意は分からないが、勇者*****である事を隠す為にも、その力を抑えていたのだろうね」

272 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:42:07 ID:Kh7fgBHQ
魔王「ま、待て! 我と協力すればこの世界を思いのままに……!」
騎士「本当に余裕がないんだな。そんな無様な命乞い今までしなかったのにな」
魔王「は、話し合おうじゃないか! 人間は争いが嫌いなのだろう?!」
騎士「……お前は俺から多くのものを奪った。時間を時代を……そして俺が掬おうとした人々を……」
騎士「今更、どうにかなるとでも……? これが最後なんだよ」シャキン
魔王「た、頼むぅ! 見逃し」
騎士「……」シャー チン
生首「」ゴロンゴロン
騎士「最後の最後でそれか……興醒めだ」

273 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:42:44 ID:kKavTrQY
残像キタコレ

274 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:43:34 ID:Kh7fgBHQ
女神「勇者よ……よくぞ魔王を倒しました」パァァァ
戦士「お、おいおい、まさか……本物の……」
僧侶「そんな……こんな奇跡が……主よ」
勇者「というか途中からあたし全然戦っていない」
魔法「むしろ騎士しか戦っていない」
女神「……勇者*****もよく頑張りましたね」ニコリ
騎士「……え、営業スマイル」ボソ
女神「……」ニゴリ
勇者「……?!」ガクガク
戦士「なんだ、このプレッシャーは!」

275 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:44:39 ID:Kh7fgBHQ
女神「貴方という人は何故そうも……」
騎士「何故か契約の時を思い出してしまって……それにしても何故光臨なさったのです?」
女神「これで貴方の契約が終わります。その儀を取り計らいにきました」
騎士「ああ……これで本当に終わりなのですね」
女神「貴方の人生はこれからなのですよ」
女神「辛い事、苦しい事、不安な事ばかりでしょう。ですが今の貴方ならきっと乗り越えていけるはずです」
戦士「やべぇ完全に二人の世界だ」
勇者「もしかして騎士君の礼拝の長さって……」
魔法「こうして普通に会話している所を見ると、普段から会話をしていたのだろうね」
僧侶「むー少し妬けますね」

276 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:45:59 ID:Kh7fgBHQ
パァァ
女神「さあ、これで終わりです。よくここまで戦い耐え抜きましたね」
女神「私は貴方の事を誇りに思いますよ……」
騎士「はい……あ」ポロ
勇者「騎士君……」
騎士「はは……みっともないな。だけどやはり寂しいです。もう女神様と話す事ができなくなるなんて」ポロポロ
騎士「これで……俺の事を知る人物は誰も……」ポロポロ
戦士「……騎士」
女神「貴方は過去に囚われ過ぎです……貴方は何と呼ばれているのです?」
騎士「え……?」
女神「貴方の周りに貴方を勇者という記号で見る者はいますか?」
女神「さあ、前を向き歩きなさい。貴方はこれからなのですよ」パァァ

277 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:47:06 ID:Kh7fgBHQ
騎士「……」
僧侶「騎士さん……」
魔法「まさかとは思ったが……本当に君が勇者*****だとはね」
騎士「えっ!」
戦士「おいおい、答え出ていたのかよ?!」
魔法「それはそうさ。共に旅をして得た情報だけでも自ずと辿り着く」
魔法「が、それを否定する要素もありはしたからねぇ」
僧侶「さ、流石は天才と呼ばれる方ですね」
勇者「出切れば魔法使いちゃんの推理を聞きたいなー」

278 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:48:35 ID:Kh7fgBHQ
魔法「そうだなぁ……では歩きながら話そう。こんな所で立ち話と言うのもあれだからな」
魔法「まずは騎士がいた神殿。確実な情報ではないけど女神XXXXXが祀られ、その女神様は我々が信仰している女神XXXと同一である」
戦士「そうなのか?」
騎士「それで合っている。しっかし情報が残っているとは思ってもいなかったな」
魔法「そして古銭の年代は女神XXXXXがいた時代だ。次に旅慣れ、というレベルではないか」
魔法「魔物を食す知識は経験則なのだろう? 毒で死んでも復活できるからな」
魔法「それと合わせて対人剣術の低さだ。そんな条件に当てはまるには、長く魔王がいた時代ならではだろうな」
騎士「切れ者こえぇ」
勇者「聞いておいてなんだけど何でここまで分かるのドン引き」

279 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:49:56 ID:Kh7fgBHQ
魔法「僅かではあるけども、勇者*****の武勲については今の時代でも残っている」
魔法「僧侶が聞いた騎士のうわ言からも繋がる話さ」
戦士「なんかこう聞くと判断材料って山盛りだったんだな」
僧侶「あの……それで否定する要素というのは?」
魔法「一つは不死身という点だ」
魔法「本当に不死身であれば、魔物の拠点で僧侶を守る上でもう少しやりようがあったはずだ」
魔法「あの状況下で無理にでもそれを隠す必要があるとも思えない」
魔法「自分で言うのものなんだが、君が私達の事を信頼してくれていると思っていたからな」
騎士「蘇生の加護は消失していたんだよ……女神様の名前が変わったりしたあたりで、契約の内容がかなり下方修正されていたんだ」
戦士「それ笑えねーな」
勇者「それどころか泣ける」
騎士「むしろ泣いた」

280 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:51:12 ID:Kh7fgBHQ
魔法「もう一つ最大の要因だがね……まさか自分の末裔と関係を結んだからね。流石に人としてありえないだろう」
勇者「……はっ!」
騎士「あーそれか……」
魔法「騎士の言った私が初めてだというのが嘘なのか本当なのかも悩んだものでね」
魔法「そこで決断しきれずにいたのだよ」
勇者「き、騎士君……変態っ」
戦士「失望したぜ……」
騎士「お前ら……」

281 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:52:24 ID:Kh7fgBHQ
僧侶「それで……実際はどうなんですか」ジー
騎士「そんな目で見るな。誤解だ。それに……あんまり話したくはないんだがなぁ」
戦士「やっぱそうなのかよ?」
騎士「違ーう……勇者の家系の立場とかがだ」
僧侶「……それってまさか」
騎士「俺の発言は本当だ。今まで性交経験は無い。勇者から俺の子孫だと言われた時」
騎士「内心かなりうろたえて、いや軽くパニックを起こしていたな」
魔法「やはりそっちか……」
騎士「流石は魔法使い……俺と同じ結論に至っているな」

282 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:54:19 ID:Kh7fgBHQ
勇者「な、納得しないで! じゃああたしの家はなに?! 全く関係ないの?!」
騎士「俺の祖父はあの魔王を初めに討った勇者として祭り上げられ、その子孫の俺達は死地へと追い立てられた」
騎士「俺は男兄弟だったから詳しくは知らないが、女性は討伐には行かせなかったらしい」
魔法「とすると……君の両親の時点から違う家系であると?」
騎士「恐らく伝説の勇者の血族、特に四回魔王を倒した俺の、という捏造で従姉妹やはとこの家系を利用したんだろうな」
勇者「この血、全部流しきっていい?」スラァン
戦士「お、落ちつけ!」ガバ
騎士「悪い意味の捏造じゃない。少しでも人々を安心させる為の……英雄の象徴が欲しかったんだろう」
騎士「つっても……直前の三度目の時点で俺が旅経ってから50年以上経っているんだけどさ」

283 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:56:34 ID:Kh7fgBHQ
魔法「勝手にやられていた可能性は?」
騎士「魔法使いは俺に夜這いが成功すると思っているのか?」
魔法「連勝の勝ち越しは伊達ではないという事か……」
戦士「おい、ちょっと待て。魔法使いどういう意味だ」
勇者「え、抜け駆け?! 何時から?!」
僧侶「ずるいです!」
魔法「未遂だよ未遂」ハハハ
戦士「こいつ抜け抜けと……」

284 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:59:20 ID:Kh7fgBHQ
騎士「ま、俺についてはそんなところだ」
魔法「私としては謎が解けて良かったよ」
僧侶「それにしても……もう本当にこれで平和なのですね」
騎士「俺が女神様と交わした契約は、瀕死の俺を救う代わりに復活を繰り返す魔王を完全に討つ事」
騎士「少なくともあの魔王は二度と蘇らない。そういう意味では本当に平和になる」
勇者「あたしら途中から全然戦っていない……」
戦士「……全くだな」

285 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:00:29 ID:Kh7fgBHQ
魔法「さて、これからは一気に王国に戻るわけだが……」
僧侶「?」
勇者「騎士君は……どうするの?」
騎士「何がだ?」
戦士「まず戻った時だよなぁ。お前勇者*****として名乗るのか?」
騎士「俺が名乗ったら勇者の家系がやばくなるか、勇者との関係が疎遠になるかだな」
勇者「わーーーー!」

286 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:01:31 ID:Kh7fgBHQ
騎士「俺は……名無しの騎士でいいさ。遠い世界のどこかの国の……」
魔法「では騎士の立ち位置はそれに決まりで」
騎士「えっ」
勇者「軽っ!」
戦士「待て待て待て! これ本人にとってはデリケートな問題だろ?!」
僧侶「さ、流石の私でもそれはないと思います!」
魔法「なに、道中で仲間になった者で最も貢献してくれた、と報告すれば彼もまた順当な報酬が得られるだろう」
勇者「そこ?! 問題そこ?!」

287 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:03:16 ID:Kh7fgBHQ
魔法「では皆、大事なのはなんだと思っている」
勇者「え?」
戦士「話を聞く限り、今後の事じゃないのか?」
魔法「そうかなるほど。君達にとって今後の騎士とどう時間を共有していくかは眼中に無いのだな。では私と僧侶で二人締めしようか」
僧侶「ええ?!」
勇者「あーー! なにそれーーー!」
戦士「てんめぇ! また抜け駆けか!!」
騎士「さりげなく俺の扱い酷かったよな」

288 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:05:51 ID:Kh7fgBHQ
魔法「それで騎士はどうしたいの?」
騎士「俺かー……なんかもう魔王討伐の無い生活って実感がないんだよなぁ」
勇者「あ、あたし達にとっても凄い大事な事なんだよ?」
騎士「……」
僧侶「……ごくり」ジー
騎士「……今の時代って重婚ってできるのか?」
戦士「そうきたか!」
魔法「問題ないわ」
僧侶「即答?!」

289 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:06:06 ID:aBqooI1Q
見ているぞー
最後までガンヴァレー

290 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:07:41 ID:Kh7fgBHQ
勇者「えぇ?! あたしのとこも魔法使いちゃんとこ、戦士ちゃん達の所だって認めていないよね?」
魔法「禁止という訳ではないし、私達の功績を盾にすればそのくらいまかり通るさ」
勇者「い、一応あたし達英雄扱いされるんだよ。そんな邪欲にどっぷりはー……」
魔法「おや、立派な英雄になりたいのかい?」
魔法「面倒な事だよ。政治に使われたりなんだり。おまけに所属する国はばらばらだから、勝手に対立させられる時だってくるだろう」
魔法「だったら英雄として正義の象徴にされる前に、俗世という泥で顔を汚しておいた方が生活しやすくなるだろう」
戦士「そしてあたしらにとっても良い話、と……」
僧侶「な、なるほど……」ゴクリ
騎士「そこはいいんだが……四人が今後どう暮らすかによって色々と変わってくるんだよなぁ」

291 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:08:44 ID:Kh7fgBHQ
勇者「五人で暮らす? あははは……父さんが殴りこみにきそう」
戦士「それどの道絶対祝儀だよな。あたしはー……流石にいきなり軍を辞めるって訳にもいかないしな」
僧侶「私は教会がある所でしたら移動できますが」
魔法「私も戦士同様すぐにとはいかないな……契約の問題もあるだろうし」
騎士「五人で暮らす事前提でいいのか?」
勇者「どうせ暮らすなら皆一緒がいいじゃん!」
戦士「つーか分散したらしたで面倒、つーかどっちかに騎士が偏ったら嫌だしな」
僧侶「それに五人で暮らすと言っても今までも寝食を共にしてきましたしね」

292 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:10:28 ID:Kh7fgBHQ
騎士「……住む場所をまず考えないとか。魔法使いや戦士は仕事を続けたいか?」
魔法「私はメインは魔法の研究だからね。その気になれば自宅でもできるし、国が近ければそこで雇われればいい」
戦士「あーあたしは正直、続けたいんだよなぁ」
騎士「勇者、仮に五人で住むとして戦士達の国の近く、あるいは国でも大丈夫か?」
勇者「あたしはそういうしがらみは無いから平気だよー」
戦士「家柄以外は、だな」
騎士「魔法使いはどのくらい時間かかりそう?」
魔法「そうだね……一年の内には準備が整うと思う」
騎士「んー……具体的な事は凱旋の後とするか」

293 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:11:47 ID:Kh7fgBHQ
……
勇者「あたしや戦士ちゃんはしばらく催事で引っ張り凧になりそうだよ」
騎士「立場柄仕方が無いよなぁ」
魔法「私も一旦国に戻って色々と面倒を押し付けられるね」
僧侶「教会で色々とあるかとは思いますが、催事という程の事はありませんね」
戦士「なんだよ……しばらく騎士と僧侶でしっぽりかよ」
騎士「いや、俺もしばらく旅に出ようと思う」
勇者「えぇ?!」
魔法「その後の事は大丈夫なのかい?」
騎士「いくつか物件の候補はつけた。皆で見ておいてくれ」
騎士「半年……いや九ヶ月くらいで戻ってくるよ」

294 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:12:48 ID:Kh7fgBHQ
僧侶「差し支えないようでしたら、どちらに向かうかを伺っても宜しいでしょうか?」
騎士「あらゆる所だ」
騎士「俺が今まで立ち寄った所、守った所……守れなかった所、大切な場所……帰るはずだった場所」
魔法「そうか……そうだな、君はそれをすべきなのかもしれないな」
騎士「悪いな、我侭を言って」
勇者「ちゃんと帰ってきてよ……」ギュ
戦士「なんか……お前が勇者*****だと思うと、何時の間にか消えてあたしらとは別の時代で目覚めそうで怖いな」
騎士「もう終わったよ……こうして凱旋して何日も経つなんて初めの事なんだ」

295 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:14:14 ID:Kh7fgBHQ
……
騎士「お、あったあった」
騎士「自分で建てたとは言えでかい墓だな」
騎士「誰か掃除してくれてたのかな……ありがたい話だ」
騎士「ただいま……俺、全部やり遂げたよ。こんな事でしか親孝行できなくてごめん」
騎士「……」
騎士「それじゃあ行ってきます。近い内にまた来るから。はは、その時は驚かせるだろうけどさ」
騎士「さ、て神具の返却も済んだし……良し、八ヶ月で戻れそうだな」

296 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:15:47 ID:Kh7fgBHQ
騎士(それにしても、見事に俺についてはあまり触れられていないな)ザッザッ
騎士(まあ助かる事ではあるけども……やっぱちょっと残念だな)ザッザッ
騎士(英雄の家、か……四人はわざわざ郊外に決めたのか)ザッザッ
騎士(報奨金があるとは言え、俺も職を探さないとだな)ザッ
勇者「騎士君! 皆ー! 騎士君が帰って来たー!」
戦士「お、案外早いじゃねーか!」
僧侶「騎士さん、お久しぶりです!」
魔法「待っていたよ。必ず戻ってきてくれるとね」
騎士「当たり前だ。だから要らない心配だって言っただろ」
騎士(俺にはもう帰るべき場所は四人のところしかないんだ)
騎士「だけどそれも、幸せの事なんだ」
勇者「え、何がー?」
騎士「何でもないよ……ただいま、四人とも」
女神「眠りなさい、勇者……魔王が再び蘇る時まで」 完

297 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:16:54 ID:XyK/l7Yo

最高に面白かった

298 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:17:01 ID:aBqooI1Q
乙でした!
夜中にご苦労様〜!

299 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:17:03 ID:qmXMt3os
凄くよかった
遅くまで乙

300 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:17:18 ID:GwQgoFT2


303 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:22:50 ID:qvRBxdvk
乙!
起きてた甲斐あった

307 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 04:32:38 ID:tAcVla9o
乙でした〜
これは金を払ってでも読みたくなるレベルだ、本当に面白かったです

323 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 12:25:19 ID:XVBZhzvE
おもしろかったっす