Part10
230 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 02:58:31 ID:
Kh7fgBHQ
メイク師「はーい、リラックスリラックス」
騎士「お、俺は別に良くないか?」ドキドキ
メイ「ダメダメ。男性でもしっかりとすべきです」
メイ「だいたい、少し顔色が良くないではないですか。体調は大丈夫ですか?」
騎士「ちょっとした疲労だから問題ない」
メイ「じゃ、それを隠してより男前に仕立てますねー!」
騎士「わ、分かった」
騎士(こんな事になるとは流石に思わなかったな……)
騎士(にしてもこの町……いや国か)
騎士(……来てしまったか)
231 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 02:59:39 ID:
Kh7fgBHQ
勇者「わー見て見て! ドレスがいっぱい!!」
戦士「ちょっと待て。お前だって何だかんだで良家のお嬢様だろ。ドレスぐらい珍しくないだろ?」
勇者「あの家だよ?! そんな豪華絢爛としたものがあるとでも?!」
僧侶「で、ではどういった格好が取り揃えているのでしょうか?」
勇者「ピシっとした軍服みたいなのばっかだよー! そりゃあカッコイイんだけどさー!」
魔法「それは見た事があるな。一昨年くらい前に近隣の国を回っていたね」
勇者「そうそう、あんな感じの服ばっかなんだよー」
魔法「あまりにも凛々しくて思わず涎を垂らしてしまったよ」
勇者「もう魔法使いちゃんの前じゃ着れない」
232 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:00:48 ID:
Kh7fgBHQ
――……
「ぐぅ……くそっ……」
「ここ、までか……ふ、ふふ……遂に勇者を出し抜いて……」
「残った者は40か……このまま人間の町に雪崩れ込むぞ!」
「し、しかしそれでは……」
「我々の目的は勇者の足止めではない。勇者よ……今一度守れぬ苦しみに苛むがいい」
「止めろっ! 行くなぁ!」ズリ ズリ
「無駄だ……両足を砕かれたお前ではな」
「行かないでくれ……頼む……止めてくれ、止めろーー!!」
233 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:02:12 ID:
Kh7fgBHQ
騎士「っはぁ!!」ガバ
メイ「きゃあ!」
騎士「はぁっ! はぁっ!」
メイ「大丈夫でしょうか? 突然、凄いうなされ始めたので起こそうとしたのですが……」
騎士「あ、ああ……すまない……寝てしまったか」チラ
騎士(酷い面だ……汗で化粧もぐちゃぐちゃじゃないか)
騎士「すまないが、俺は欠席にしておいてもらえないか? 流石に出席できる面ではないだろ」
メイ「……分かりました」
234 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:03:10 ID:
Kh7fgBHQ
騎士「夜風に当たったくらいで落ち着きはしないか……」ザッザッ
騎士「……なんだ? 共同墓地か?」ザッ
墓守「おや、こんな所に人とは珍しい」
騎士「ここでは共同墓地が当たり前なのですか?」
墓守「いえいえ。ここはですね、この国の歴史なのですよ」
騎士「歴史……? 一体何があったというのですか?」
墓守「少し長くなりますがよろしいでしょうか?」
235 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:03:27 ID:v.Siw/Ws
守れなかったのか
でも残ってるってことは全滅じゃあ無かったのかな
236 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:04:12 ID:
Kh7fgBHQ
墓守「かつて不死身の勇者がおられた時代の事」
騎士「……」
墓守「その時、ここはまだ町としての大きさしかなかったという」
墓守「当時の兵士達は、魔物の大軍がここに襲撃しようとしている事を掴む事に成功しました」
墓守「ですがそれに抵抗できるだけの力が無い町でもありました。そんな時、不死身の勇者様が現れたそうです」
墓守「彼はまだまだ若い青年だというのに、快く引き受けて死地へと向かっていったのです」
墓守「それこそが魔物達の狙いであった事を、彼も我々のご先祖も知らずに」
237 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:05:13 ID:
Kh7fgBHQ
墓守「しばらくして勇者様の叫ぶ声が町に届き、何事か斥候を出しました」
墓守「この襲撃そのものが罠で、勇者様が魔物に蹂躙されているなどと誰が想像できたでしょうか」
墓守「何よりもそんな状況となっても尚、彼は獣のように遠吠えを上げて戦い続けている」
墓守「多くの者が涙しました。不死身と言えど痛みや死ぬ苦しみが無いはずが無い」
墓守「それでも彼は戦い続けている。苦しみを耐え抜いて……多くの者が勇者様の援護をすべく出撃しようとしました」
騎士「……それで、勇者様は?」
墓守「……その時の町長は彼らを止めました。勇者様が必死に戦っているのは我々を守る為」
墓守「ここで我々が判断を違えれば、彼の決死の防衛を無にする事になる」
墓守「町長は……結果として勇者様を見捨てるご判断をしました」
238 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:06:16 ID:
Kh7fgBHQ
墓守「戦えない者を最優先に他の国や町へ移動。その護衛に当らない兵士は町に残り、魔物の襲撃に備えました」
墓守「避難が終わるよりも早く、魔物達が町に入り込んできました」
墓守「兵士達は必死に戦い、民間人を逃がすだけの時間を稼ぐ事ができたそうです」
墓守「ただし、勇者様に防衛を依頼した町長と牧師を除いて」
騎士「……え?」
墓守「町長は町の行く末を最後まで見届けたい、と長の役目をご子息に譲りその場に留まり」
墓守「牧師もまた最後まで見届ける責任があるとして……」
騎士「……そうですか」
墓守「そして生き残った人々と町長のご子息は荒れ果てた町に戻り」
墓守「また勇者様が訪れた時には胸を張って誇れるように、大きな……大きな町にしようと」
騎士「……」
239 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:07:13 ID:v.Siw/Ws
イイハナシダナー
240 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:07:17 ID:
Kh7fgBHQ
墓守「今となってはこの国の子供が必ず学ぶ歴史でもあります」
騎士「そうでしたか。わざわざお話いただきありがとうございます」
墓守「あまり公にはされていませんが……この話には続きがありましてね」
墓守「最後の最後まで牧師は手記を書き続けていたのですよ」
騎士「それには……なんと?」
墓守「……きっと、勇者様がここへ立ち寄る事は無いのかもしれない」
墓守「それでも私は残り少ない時間でここに記そうと思う」
墓守「貴方に全てを押し付けてしまった事の謝罪」
墓守「本来であれば君はごく一般的な青年だったと聞く。なのに我々は君一人に依存した」
墓守「本当に申し訳ない。謝罪程度でどうにかなるとは思えないが、それでも言わずにはいられない」
墓守「そしてもう一つ、心からの感謝を伝えたい」
騎士「……感謝?」
241 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:08:21 ID:
Kh7fgBHQ
墓守「どう足掻いても勝てないのであれば、諦める事だって見捨てる事だってできたはず」
墓守「それでも君は戦い続けた。一心不乱に形振り構わず」
墓守「君の姿はこの町の……全ての人々の心に焼き付いて消えないだろう」
墓守「君が魔王を倒した、町を救ったという話はよく聞くものの、誰一人君の戦う姿を語る者はいなかった」
墓守「君がどれほどの苦しみの中で、どれほどの想いで戦っているか……我々は初めてその断片に触れた」
墓守「非武装の者でさえ声高らかに勇者様救出を唱えた。だけどそれは貴方に対し報いる行為にはならないし、今の我々では報いれない」
墓守「だからこそこの町をより良い場所へと発展させよう。貴方が守って下さった町であると誇りを持って」
墓守「そして、もしも……もし、貴方にとって辛い記憶ばかりのこの町を訪れて下さった時に私の我々のこの想いを伝えたい」
墓守「心から感謝していると」
騎士「……ぁ」ボロ
242 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:09:21 ID:
Kh7fgBHQ
騎士「ぁ、ぅ……違う……俺は……感謝なん……」ッボロッボロ
騎士「そんな……なんで……」ッボロッボロ
墓守「……」
墓守「私はね……その牧師の直接の家系の者なのですよ」
墓守「だからこそ……その時に命を散らした兵や町長、私のご先祖様が眠るここを守っています」
騎士「……」ッボロッボロ
243 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:10:26 ID:
Kh7fgBHQ
墓守「貴方は確か、勇者様方ご一行の方ですよね」
騎士「ぁぁ……」ッボロッボロ
墓守「……ではこれは私の独り言です」
墓守「また訪れて下さりありがとうございます。ここに来るという事は、並ならぬ苦悩の上なのでしょう」
墓守「それでも尚、来てくださり当時の方々の言葉を聞いて下さった」
墓守「この町……この国と勇者様の事を誇りに思っています。今を生きる我々もまた同じ気持ちです」
墓守「……ありがとうございます」
騎士「ぐ……ぅぅ、っぐぅ」ッボロッボロ
騎士「ぅぁぁ、ああぁぁぁぁ!」
244 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:11:33 ID:
Kh7fgBHQ
戦士「なんだぁ? 騎士の奴どこにいるんだ?」
魔法「全く見当たらないね。これはもうここに来ていないと見るべきかな」
僧侶「どうかなさったんでしょうか?」
勇者「なんか心配だなぁ」
戦士「もう式は始まっちまったし、あたしらは終わるまでは出られないな」
魔法「折角、着飾って誘惑しようと思っていたのだが……残念な事だ」
245 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:12:38 ID:
Kh7fgBHQ
……
戦士「あーやっと終わったぜ」
魔法「とりあえず騎士の部屋にでも行ってみようか」
勇者「もしかしたら外で素振りしていたりしてー」
僧侶「あ、なんかありえそうですね」
戦士「騎士ーいるかー?」ガチャ
騎士「あ……」
メイ「あら?」
246 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:13:52 ID:
Kh7fgBHQ
勇者「なんだかんだで騎士君も男の子だよねー」スラァ
戦士「あたしら四人がいるっつーのにな」フォンフォン
魔法「正直、これは来るものがあるね」ゴゴゴ
僧侶「あら、いい所に持ちやすい燭台が」ガチャ
騎士「うおおぉぉぉ待て! お前ら待て! 落ちつけ!!」
メイ「……っは、まさか騎士さんは皆さんに如何わしい事をしてらっしゃるのですか?!」
騎士「強要されてるんだよ!」
247 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:14:36 ID:GwQgoFT2
しいられているんだ!!
248 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:14:53 ID:
Kh7fgBHQ
騎士「お前らも物騒な物を仕舞え! 色々とあったんだよ!」
魔法「その女性とかい?」ゴゴゴ
メイ「あたしはまだ何もされてませんよ?」
勇者「……まだ?」ヒュォン
騎士「なんで油を注ぐの?!」
僧侶「では何があってこうなっているのか、ご説明いただけますか?」
騎士「ちょっとあってだな……とてもお前らに合わせられる顔じゃなかったんだ」
メイ「それなので、皆さんにご心配をかけないようにと、化粧で誤魔化して欲しいとの事でして」
騎士「そのフォロー、もうちょっと早くても良かったよね?」
249 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:15:57 ID:
Kh7fgBHQ
メイ「まあ、ばれてしまったので化粧は落としてしまいますね」
騎士「度々すまないな」
メイ「はい、しっかりと落ちましたよ。では私はこれで失礼しますね」
勇者「むー……その色々って何さ」
騎士「やましい事ではないが……ちょっとな」
魔法「……ちょっと、何?」グィ
勇者「ま、魔法使いちゃんが騎士君の胸倉を……」
僧侶「ええ?! ど、どうして」
騎士(めっちゃ怒ってる? 何で?!)
250 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:16:57 ID:
Kh7fgBHQ
魔法「答えなさい、騎士」
騎士「い、いや本当に大した事」
魔法「答えろと言っているのだよ」グイ
戦士(やべぇ、超こえー)ヒソヒソ
勇者(あたし、魔法使いちゃんだけは絶対に怒らせないようにする)ヒソヒソ
僧侶(わ、私も……)ヒソヒソ
251 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:18:00 ID:
Kh7fgBHQ
魔法「騎士……私はね、つかなくていい嘘をつかれるのが大嫌いなのだよ」
魔法「最近の君を見ていれば大した事があるのぐらい分かる」
魔法「それでも尚、君は大した事は無いと私達に嘘を吐きかけるか?」
騎士「……すまない」
騎士「少しだけ……記憶の断片を思い出した」
騎士「多分、この国だと思う……この国の人々を俺は救えなかった」
騎士「大勢が死んだ……守れなかった。それ以上は分からないが……俺にとって居るのが辛い場所なんだ」
魔法「……初めからそれを言えばいいのに」スッ
騎士「だけどこの国に着て良かった……この国の歴史を知った……守れなかった事へは慰めにはならないが」
騎士「記憶を全て取り戻せた時……きっと前に進める」
252 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:19:00 ID:
Kh7fgBHQ
騎士「悪い、凄い湿っぽくなっちまったし、心配をかけていたみたいだな」
魔法「一つは私が強要したのだから気にすることは無いが、後半は許さない」
僧侶「わ、私達は大切な仲間です。き、騎士さんとは、それ以上の」ゴニョゴニョ
勇者「もっとあたし達を頼って。君みたいな力は無いけど、持たれかかってくるのをぐらい支えられるよ」
戦士「そーいうこった。あたしらだってあんたの記憶喪失には気ぃつかってんだぞ。一人で背負い込むな」
騎士「……ありがとう。俺は何時も同じ所で足踏みをしているな」
253 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:20:04 ID:
Kh7fgBHQ
女神(まさか……貴方がここに訪れるとは思っていませんでした)
騎士(冷静ではなかったので、初めにここに立ち寄るのも忘れていましたけどね)
女神(……また一段と成長したようですね)
騎士(どうでしょうか……俺はいつも過去を悔やみ、立ち止まってばかりです)
女神(今日、貴方が数百年越しに経験した事は何物にも変えがたい宝です)
女神(魔王ももう目と鼻の先……その先の貴方の人生においてきっと役立つ事でしょう)
騎士(だと……いいのですがね)
254 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:21:06 ID:
Kh7fgBHQ
女神(ここから先は人間の居住地も少なく、聖堂があるのもここだけでしょう)
騎士(昔は国もあったのですがねぇ)
女神(場所が場所だけに忌み地とされていますからね)
女神(ゆきなさい勇者*****……これが最後の戦いです)
騎士(……っふ)
騎士(女神XXXXXのご意向のままに)
騎士(我は剣。女神XXXXXの煩悶、断ち切って見せましょう)
255 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:22:10 ID:
Kh7fgBHQ
勇者「騎士君のあれ……どういう事なんだろう」
戦士「あたしの知る限り、この国は至って平和だからな」
魔法「別の国と混同している可能性はあるだろうけど……」
魔法「この国の歴史と言っていた……だとしたらやはりこの国なのだろう」
僧侶「もっと小規模の事件に巻き込まれた、とかでしょうか?」
勇者「国々に伝わらない程度の?」
魔法「断定は出来ないけど、そんなところかもしれないねぇ」
256 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:22:31 ID:aBqooI1Q
え…?
そろそろ終わり…?
257 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:24:00 ID:
Kh7fgBHQ
勇者「ここから先は町の数も激減……そして険しい道の果てに魔王がいるんだね」
戦士「だな。流石のあたしらも全力で行かないとだな」
魔法「とは言え、やはり突破の要は騎士だというのが情けない話だな」
僧侶「わ、私も全力でサポート致します!」
勇者「さあ、皆行くよ!!」
勇者「騎士君の猛進余裕でした」
戦士「安定の突破力」
魔法「道中と変わらない進行速度だったね」
僧侶「ごく普通に魔王のいる禍々しい城まで……」
騎士「なんかごめん」
258 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:25:13 ID:
Kh7fgBHQ
勇者「ここに……魔王が」
戦士「遂にここまで来たか」
魔法「扉越しでこのプレッシャー……一筋縄ではいかなさそうね」
僧侶「い、行きましょう!」
騎士(これで……全てを終わらす)
魔王「良くぞ来た。勇者よ」
259 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:26:17 ID:
Kh7fgBHQ
魔王「っくふふふ、久しいな勇者よ」
勇者「お前とはこれが初めての対面だ! そして最後だ!」
魔王「お前のような小娘に言ったのではない。そこの勇者*****に言ったのだ」
勇者「え……えっ?!」
戦士「まさか……騎士……」
僧侶「そん、な。勇者*****……?」
魔法「……」
騎士(当然、そうなるよな……)
騎士「そうだ、俺は勇者*****だ」
260 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:27:21 ID:
Kh7fgBHQ
戦士「何で、隠して……」
魔王「あれから数百年、勝手も状況も分からんからなぁ。下手に身分を明かすのは得策じゃ無かろうて」
魔法「……そういう事だったか」
騎士「どうであれ騙していた。すまない」
魔王「謝る事はないだろう。どの道、その者達は死ぬのだからな」
勇者「騎士君が何者であろうと関係ない! あたし達はお前を倒す!」
魔王「関係ない? 何を言っている。お前達はその男とも戦うのだぞぉ?」
戦士「なに?!」
騎士(何を言って……?)
261 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:28:30 ID:
Kh7fgBHQ
魔王「何故お前達に付き、常に最前線で戦っていた? 楽であっただろう? どれだけ成長できた?」
勇者「……な」
魔王「神々の伝説の武具は集めたか? 最高級はそいつが装備しているが、それだけしか存在しないとでも?」
魔王「当然だろう? 神々がただ一式作って終わりだと思っているのか? まだまだ各地にあるぞ?」
戦士「……てめぇ何が言いたい」
魔王「勇者*****は我が死ねば消える。そして我が目覚めれば現れる。こやつも疲れていたのだ」
魔王「だが我が寿命でもって死すれば目覚める事はない。こやつも本当の死が得られる」
魔王「だから我々魔王側についたのだ」
騎士(そう来たか……魔王)
262 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:29:40 ID:
Kh7fgBHQ
騎士(既に騙していたという事実がある中、何を言っても言い訳にすらならない)
騎士(俺は四人の初撃を掻い潜って魔王を討たなきゃいけないのか?)
騎士(人を騙すには真実九割って事か……やってくれたな)
勇者「そんな……どうして」
戦士「ふざけるな……こいつは、仲間だ……」
魔法「騎士……君は……」
僧侶「嘘だと……言って下さい!」
騎士(その言葉に意味はないだろうな……)
263 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:30:47 ID:
Kh7fgBHQ
戦士「こんな……こんな事……」
戦士「あるあ……ねーよ!」
勇者「ないねぇ」
魔法「まあないね」
僧侶「あるわけないに決まってるじゃないですか」
騎士「……え?」
魔王「なに?!」
264 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/08(日) 03:31:58 ID:
Kh7fgBHQ
戦士「騎士もさーあたしらがあんたを妄信的に慕っているとでも思ってんのかよ」
勇者「騎士君の背中を見ていれば何が真実かなんて簡単に分かるよ」
魔法「そういう事だ。良かったな、良き想い人に囲まれて君は幸せ者だ」
僧侶「そ、そうです! 私達は貴方を、勇者ではなく貴方として見てきているのです」
騎士「皆……」
魔王「……っふん下らん茶番だ。ならば我が力でねじ伏せてくれる!」
勇者「さあ! 最後の戦いだよ!」
戦士「よっしゃあ! 全力で決めてやるぜ!」
魔法「例え騎士に頼っていたとしても、怠惰でここまできたのではないからね」
僧侶「今こそ私達の力を!」