Part4
698:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:43:32.25 ID:
uIBlg1kT0
魔王「結局宿屋までついてきちゃったよ……」
宿主「たびびとの やどやへ ようこそ。 ひとばん 260ゴールドですが おとまりに なりますか?」
魔王「うん、ふたr」
女商人「3人部屋でお願いします」
勇者「えっ!?」
魔王「ちょっとちょっと!! 何言ってんの!!」
宿主「りょうかいしました では おやすみなさいませ。」
魔王「了解しちゃった!!」
女商人「○号室です。行きましょう。あ、ちゃんと自分の分のお金は自分で出しますので」
勇者「……」
魔王「……」
700:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:50:45.91 ID:
uIBlg1kT0
女商人「よいしょ」
勇者「……えーっと」
魔王「どういうつもりなの?」
女商人「あなた達が何かを買いたくなった時、物凄く身近に商人がいたらとても便利だと思うんです」
魔王「ちょ、ちょっと勇者……この子なんか頭のネジ一本外れてるよ」ボソッ
勇者「冷静なドジっ子なんて初めて見た……」ボソッ
勇者「でも、悪い人って感じは受けないんだよなあ……」
魔王「そ、それはなんとなく分かるけど……」
勇者「ある意味素直すぎる性格なんじゃ……」
魔王「どうやって商人の世界で生きてきたんだろう……」
勇者「さっぱりわからん」
708:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:58:42.80 ID:
uIBlg1kT0
女商人「ベッドが3つありますが、勇者くんはどこに寝ますか?」
勇者「え!? あ、ああ! えーっと……じゃ、じゃあ一番扉に近い右端で」
女商人「では私も右端で」
魔王「ちょっとちょっと!! え!?」
勇者「えっと、えーっと、じゃあ俺は真ん中にしようかな」
勇者(どうしても扉側じゃないと落ち着かないのかな?)
女商人「そうですか。それでは私も真ん中に変えます」
魔王「いやいやいやいや!! ダメだから!! 勇者と一緒に寝るのは私なの!!」
女商人「えっ?」
魔王「あっ……」
勇者「……何故か俺がすごく恥ずかしいんだけど」
710:
やべえいつの間にか女商人の口調が敬語になってた:2011/07/03(日) 02:06:07.24 ID:
uIBlg1kT0
女商人「では勇者くんが真ん中で、あなたも真ん中で」
魔王「う、うんうん! そ、それでいいの!」
女商人「一つのベッドに3人……少し狭いかもしれない」
魔王「わざとなの? ねえわざとなの?」
勇者「ま、まあまあ!」
魔王「だめこの問題は見過ごせない! というかなんでそんなに勇者と一緒に寝たいの!?」
女商人「……いつもはお父さんと寝ているから。勇者くんは私をかばってくれる優しいところがお父さんに似てる」
勇者「え、えぇぇ!?」
魔王「し、知らないよそんなの!」
勇者(魔王も人のこと言えないんじゃ……口には出せないけど)
女商人「大丈夫。寝相はいいとお父さんがいつも言ってくれるし」
714:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 02:13:11.95 ID:
uIBlg1kT0
勇者「こ、公平に!! 一人一つのベッドで寝よう!? ね!? ね!? 今日暑いし!!」
魔王「でも……」
勇者「だ、大丈夫だから! きっと寝れる寝れる!」
勇者「ふ、二人とも掛け布団抱いて眠ればいいんじゃないかな!?」
女商人「……勇者くんがそう言うなら、そうします」
魔王「……むー」
勇者「……はあ」
勇者(3人で眠れたらどんなに嬉しいか……でもこのままだと魔王がまたイオナズンを……)
勇者「はあ……」
716:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 02:17:01.97 ID:
uIBlg1kT0
夜
勇者「グガー……グガー」
魔王「……」スッ
魔王「……」トコトコ
魔王「……やっぱり勇者の布団じゃないと眠れない……」
魔王「……いつもだし、いいよね」ペラッ
女商人「スー……スー」
魔王(先客がいた!! なにこれ!! 悔しい!!)
魔王「……」
魔王「……」モソッ
魔王「……」
魔王「スー……スー」
724:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 02:27:35.55 ID:
uIBlg1kT0
勇者「んっ……う、腕が痛い……なんだ……?」
女商人「スー……スー」
魔王「スー……スー」
勇者(えぇっ!? 何これどうしたの!! 結局3人で一つかよ!! でも嬉しいいいい!!!!)ヒャッホウ
勇者「……ゴクリ」
勇者「……今ならなんでもできる」ボソッ
勇者「……今ならなんでもできる」
勇者「……今ならなんでもできるッ!!」
女商人「んっ……」モゾ
魔王「……な……に……」
勇者「!!」
勇者「…………セーーーーフ」
727:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 02:34:13.38 ID:
uIBlg1kT0
勇者(と思ったけど二人の重みで腕が一切動きませんでした)
勇者(まあそうだよね。世の中そんなにうまくできてないよね。最初から魔王来ちゃうくらいだもんね)
勇者「……」
魔王「スー……スー」
勇者(俺……いつかこの魔王と闘わなきゃいけないのか…………嫌だな)
勇者(…………甘ったれるなとか言われるのかな。でももう……仲間みたいな感覚になっちゃってるんだ、俺)
勇者(……なあ魔王。……運命ってのは、どうしても逃れられないのかな)
魔王「スー……スー」
勇者(かわいい、寝顔だなあ……)
730:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 02:40:04.85 ID:
uIBlg1kT0
朝
女商人「……な、無い」
魔王「ん? どうしたの?」
女商人「お父さんの鞄が……ない」
勇者「お、お父さんの鞄?」
女商人「……」
魔王「もしかして、商売道具のこと?」
女商人「……」コクリ
勇者「えっ!? ぬ、盗まれたとか!?」
女商人「……わからない」
魔王「……気配は感じなかったけど……相当場数を踏んでる盗賊なのかも……」
勇者「お、俺、ちょっと宿主に怪しい人物見なかったか聞いてくるよ!」
女商人「……」
734:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 02:52:44.04 ID:
uIBlg1kT0
魔王「というか……どうしてお父さんの鞄なの?」
女商人「お父さんが……病気に罹ったから。代わりに私が商人として武器を売らないと……生活できなくて死んじゃうから」
魔王(……なるほど……『どうやって商人として生きてきたか』も何も、一時的にやってただけなんだ……。
妙に怪しいとは思ってたけど……なんてことはない、商売の仕方を知らなかったんだね……)
女商人「どうしよう……どうしよう」ウルッ
勇者「聞いてきた! 昨日町に赤い髪のなんでも隣町で有名な盗賊が来てたんだって!
もしかしたらそいつかもしれないって」
女商人「……な、なんで私の……」ウルウル
魔王「目立ってる私達と一緒に行動してたからかもしれないね。標的にされるのには十分な理由だと思う」
勇者「……どうする?」
魔王「……勇者が決めることじゃない?」
勇者「……」
739:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 03:02:11.52 ID:
uIBlg1kT0
勇者「なんで特訓ついでみたいになってんのぉ!?」タッタッタッタ
魔王「おんぶ&ラン! おんぶ&ラン!」
女商人「すみません……」
勇者「盗賊から取り返しに行くんだよね!? 体力削ってどうすんの!?」タッタッタッタ
魔王「急がないと逃げられちゃうでしょ! 今なら道中に遭遇できるかもしれないし!」
勇者「く、くそおおおっ!!!」タッタッタッタ
魔王「はいおんぶ&ラン! おんぶ&ラン! ほら一緒に!」
魔王「おんぶ&ラン! おんぶ&ラン!」
女商人「がんばれがんばれ勇者くん! ファイトだファイトだ勇者くん!」
勇者「うおおおおおおおおおっ!!!!!!」タッタッタッタッタッタ
745:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 03:18:10.49 ID:
uIBlg1kT0
隣町付近
勇者「ハァ……ハァ……も、もう少しだな……」タッタッタ
女商人「ごめんなさい、私のために」
勇者「だ、大丈夫……ゼエ……ゼエ」タッタッタ
魔王「ん?」
魔王「ね、ねえ!」
勇者「な、なんだ……?」タッタッタ
魔王「あれ見て! あれあれ!」
勇者「ん……?」
女盗賊「〜♪」スタスタ
勇者「……あっ! あ、赤い髪に大きな鞄……!! 間違いない!!」
魔王「犯人はっけーん!」
勇者「そうと決まれば……うおりゃあああ!!」ドドドドドッ
女商人「きゃっ!」
747:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 03:25:19.66 ID:
uIBlg1kT0
勇者「待ちな!! そこのお嬢」ガッ
勇者「ぢゃっぶへああ!!!」ズザァァァッ
女商人「きゃあっ!」ズサーッ
女盗賊「うわっ! な、なんだよテメェら!」
魔王「ださい……ださすぎるよ勇者……」
女盗賊「いきなりコケやがって……って! ゲッ! お前らは!!」
勇者「そ……その荷物……返せ……」ピクピク
女盗賊「や、ヤベェ!!」ダッ
魔王「おっと、逃がさないよー」シュンッ
女盗賊「なっ!!」
758:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 03:44:21.80 ID:
uIBlg1kT0
女商人「それは私のお父さんの大切な鞄。返して!」
女盗賊「あァ? 知らねェな、証拠はあんのかよ?」
女商人「か、鞄の横の部分」
女盗賊「鞄の横……?」
『女商人』
女盗賊「ゲッ! こ、こいつこの歳で鞄に名前書いてやがる!!」
女商人「それが証拠だから、あなたは早く私にその鞄を返した方がいいと思う。
じゃないとそこのとても強い二人にあなたは倒されてしまう」
女盗賊「あぁん? そんなよわっちそうなやつに負ける訳ねェだろ」
魔王「……ほーう」ピクッ
勇者(うわっ……やばそう)
765:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 04:01:58.27 ID:
uIBlg1kT0
魔王「よわっちそう……ね」コオォォ
女盗賊「二人とも青臭ェ、温室でぬくぬく育った臭いがプンプンしやがる」
勇者「そ、それ以上言うのはやめた方が……」
女盗賊「あたしみてぇに幼いころから親に捨てられた身のやつはな、毎日生きるために必死なんだよ。
場数を踏んできた経験の差ってのを知ってからきやがれ。こちとら6歳の頃から人の物盗って生活してんだよ」
魔王「経験の差……? せいぜい生きて100年……見たところ、あなたはまだ22,3かそのあたり……ふふっ、笑えるね」
女盗賊「あァ? ……もういっぺん言ってみろコラ」
魔王「魔物年齢にして800歳。数知れない闘いをこの身体で経験してきた。
数々の強敵と対峙し、勝利をこの手に掴んできた。
多くの血を流し、この身を削ってきた。経験の差? 私からしてみたら、随分と青臭い発言だよ」
女盗賊「はァ? 800歳? 何言ってんだテメェ」
勇者(……う、嘘だろ……)
魔王「覚悟は、できてるの?」
女盗賊「……ケッ、上等じゃねェか」
勇者(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!)
769:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 04:15:57.27 ID:
uIBlg1kT0
魔王「……そんじゃ、いくよ」コォォォォォォッ!
女盗賊「はぁぁっ!」タッタッタッタ
勇者「や、やめろ!! 町が消えてなくなっちゃう!!!!」
魔王「ラリホー!!!!!」
女盗賊「」ポヨンッ
おんなとうぞく はねむってしまった!
女盗賊「スカー……スカー……」
勇者「……えっ? あれっ?」
魔王「はい、今の内に荷物取り返してさっさとここから離れちゃおう!」
女商人「……」スッ
勇者「えっ? えっ?」
魔王「ん?」
勇者「……ね、眠らせるだけ? あんなに怒ってたのに?」
魔王「無駄なMP消費は極力避けよう! 最善でスピーディーに。これが強さを極め、長年の経験を積んだ者の答えだよ!
戦闘時に冷静な判断力を欠いちゃったら命なんていくらあっても足りないよ。さ、ほら早く早く!」
勇者「……わ、わかった……」タッタッタッタ
779:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 04:30:45.58 ID:
uIBlg1kT0
勇者「……」タッタッタッタ
魔王「腑に落ちない?」
勇者「えっ? あ、いや……」
魔王「『どうせなら倒せばよかったのに』とか思ってる?」
勇者「……ま、まあ、正直なところ、そう思ってる。別に痛めつけなくてもさ! ほら、剣士の時みたいに最善でスピーディーにザキで……とか」
魔王「うーん……そうだね。でも今回は剣士とは訳が違うんだよね」
勇者「えっ?」
魔王「女盗賊が息絶えたら、仲間の誰かが教会に連れて行くでしょ? 女盗賊の仲間なんだから盗賊でしょ?
教会で魂呼びもどすにはお金がいるでしょ? じゃあそのお金はどこから来るのって考えたら、
結局私のザキによってどこかの誰かの財産が盗まれることに繋がっちゃうんだよね。
かといって、私達がそのお金を払うほど義理もないし……だから、ラリホー!!」
勇者「……な、なるほど……やっぱり、賢明なんだな」
魔王「もちろんだよ、これでもまおフガッ!」モゴモゴ
勇者「こ、こらっ! 女商人さんにバレるだろ!」ボソッ
魔王「っぷはぁ! ごめん、勇者に褒められて調子に乗っちゃったっ」テヘッ
勇者「賢明っての、前言撤回しようかな……」タッタッタッタ
782:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 04:42:30.89 ID:
uIBlg1kT0
町の中
勇者「ここまで離れれば大丈夫だろ」
魔王「そだね!」
女商人「ありがとう。お父さんの鞄を取り返すことができた。
一時はどうなることかと思って取り乱したけど、これで今後も生活することができる」
勇者「もう盗まれないように気をつけてね」
魔王「まずは父親の病気を治すのに専念して、治ったら一緒に商人の仕事をすればいいんじゃない?
その方が、もっともっと商売上手になれるよ!」
女商人「ありがとう……。これ、お礼と言ってはなんだけど、受け取って欲しい」チャキンッ
勇者「えっ!? こんな高そうな剣!? いいの!?」
女商人「これはお父さんが自信作って言ってた。だから相応しい人に使って欲しいって。
お父さんも全部話したら怒らないと思うし、勇者くんが相応しいと私は思うから」
勇者「あ、ありがとう……!」ジャキッ
793:
本当だミスってた:2011/07/03(日) 04:54:07.16 ID:
uIBlg1kT0
勇者「じゃ、じゃあ俺も……今まで使ってた剣を、女商人さんにあげるよ」
勇者「お父さんの薬代とか、ちょっとでも足しになってくれると嬉しいし」
女商人「それは……別に必要ない」
勇者「え゛っ!? なんで!?」
女商人「売っても5ゴールドにしかならないから……」
勇者「な、なんだってー!?」
魔王「勇者……初期装備のままだったの……?」
勇者「だって出発前に来てそっから特訓しかしてなかったから! 防具だけはじいちゃんのお下がりだから結構良いのだけど、
武器は……」
魔王(……そ、それで魔物の相手を……? も、もしかして……もう十分……)
女商人「では、私は自分の町に戻る。お父さんが待ってると思うから。本当にありがとう。お世話になった。
後、付きまとってごめんなさい」
勇者「ははっ、もう気にしてないよ」
魔王「また、どこかで!」
女商人「……うん、また!」
800:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 05:09:49.81 ID:
uIBlg1kT0
魔王「じゃあ、今日のところはもう宿屋n」
勇者「い、いや! 特訓しよう! 特訓特訓!!」キラキラ
魔王(う、嬉しそう……)
勇者「ひゃー、うひょー、かっちょいいなぁー!」ジャキッ
勇者「斬れ味を試したくて仕方ねぇ!! ぬははっ!!」
魔王(嬉しさのあまりありがちな悪役のセリフ言い出した……)
勇者「おーい、魔物ー!」
魔王「……ま、どれくらい強くなったか知りたいもんね」
勇者「うんうん!」
魔物「グオォォッ!!」
まもの が一体あらわれた!
魔王「来たよ!」
806:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 05:13:47.33 ID:
uIBlg1kT0
勇者「魔王! 早く!」
魔王「え? な、何?」
勇者「何って、ザオリクだよザオリク!」
魔王「え? だ、だってまだ倒してな……」
勇者「もう倒したよ?」
魔王「えっ……?」
魔物「……」グタッ
魔王(い、いつの間に……)
勇者「すっげー!! かなり良いよこの剣!!」
811:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 05:19:02.74 ID:
uIBlg1kT0
勇者「りゃあああっ!」ヒュンッ シュッ ザシュッ
魔物「ぐぎゃあああ!!!」
魔王「ザ、ザオリク!!」
勇者「ほっ、よっ、そりゃああ!!」シャッ ズバァ!
魔王「ザオリク!」
勇者「はああああああっ!!!!」ビュォッ
魔物「ぐがっ……あが」
魔王「ザオリク! ザオリク!」
勇者「とりゃあっ!!!」ヒュンヒュンッ
魔王「ザ、ザオリク!!」
魔王(お、追いつくだけで……精一杯なんだけど……)
817:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 05:29:47.86 ID:
uIBlg1kT0
勇者「……ふう」クルクルクルクルヒュンッ、ジャキンッ
魔王「……」
勇者「な、なんかすごい気がしてきた! 俺って実はメチャクチャ強いんじゃないか!?」
魔王「……」
勇者「……ま、魔王?」
魔王「……そ、そうだね。正直、びっくりしてる」
勇者「ははっ、いやー! 女商人さんのお父さんは本物だな! じゃあ、宿屋探しに行く?」
魔王「あ、あぁ! うん! そだ、ね」
魔王(……私のMPが無くなりかけた……こんなこと……いつぶりだろう。
短い時間しか生きられない分、人間の成長スピードは魔物と比べて計り知れないってのは知ってたけど……
まさかここまで……いや、でも異常過ぎる……勇者には……物凄く才能があるんだ、きっと……)
819:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 05:36:46.50 ID:
uIBlg1kT0
宿屋
勇者「うー、疲れたー……」ボフッ
魔王「もう結構暗くなってきたね」
勇者「今日も色々あったな……なんかもう眠くなってきた」
魔王「寝てもいいよ? 私も寝る」
勇者「そ、そう? じゃあ、寝ようかな」
魔王「うん」モソッ
勇者「……」
魔王「……勇者」ギュゥゥゥ
勇者「え!? な、なに!? どうしたの!?」
魔王「ううん……でもちょっと、こうしてていい……?」ギュゥゥゥ
勇者「えっ……う、うん……」
魔王「……ありがと」
821:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 05:42:11.67 ID:
uIBlg1kT0
夜
ギシ……ギシ……
勇者「……んー? ……」モゾッ
勇者「……ま、魔王? 起きたのか……?」ムクリ
女盗賊「あっ」
勇者「……あっ」
女盗賊「……よ、よォ」
勇者「ああああフゴォッ!」モガモガ
女盗賊「しっ! だ、黙れボケ!」