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魔王「……来ちゃったっ」 勇者「えっ」
Part3


375:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 17:53:11.15 ID:A0F5cVTo0
宿屋
勇者「朦朧とした意識の中、俺は確かに三途の川でシュノーケリングしてたよ……」
魔王「うん、確かに今回はちょっと可哀相だったかな……」
勇者「もういい!! 寝てやる!!」
魔王「あ、ねっ、寝るの?」
勇者「……実際、死ぬほど疲れたからな」
魔王「あ、そう……」ドキドキ
勇者「じゃ、悪いけど、おやすみ……」
魔王「ゆ、ゆっくり寝なさい!」
勇者「……グガー……」

377:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 17:58:57.19 ID:A0F5cVTo0
魔王「……」
ポワポワポワ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まもの はメダパニをとなえた! ゆうしゃは こんらんした!
勇者「」ダキッ
魔王「な、な、何してるの!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔王「……」ゴクリ
魔王「……そーっと、そーっと」ソロソロ
魔王「……メダパn」
勇者「あ、そういえば」ムクリ
魔王「」ビクゥ!!
勇者「……ん? なんか近くない?」
魔王「え〜? な、何が〜? おいっちに、さっんし!」キビキビ
勇者「……」ジトッ
魔王「ほ、ほらほら! 早く寝ないと!」

380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:04:41.63 ID:A0F5cVTo0
勇者「いや、あの見習いの子はどうなったのか聞いてなかったから」
魔王「あ、ああ、まほちゃんなら明日お礼しに来ると言ってたけど」
勇者「まほちゃん?」
魔王「長くて呼びづらいから」
勇者「そっか、まほちゃん明日来るのか」
魔王「何なれなれしく呼んでるの?」
勇者「えぇえ……」
魔王「ほらほら! 寝ないと! 私も寝るからもうちょっとそっちに寄って!」モソッ
勇者「わ、わかったよ……」
魔王「……はぁ」
魔王(やっぱりメダパニはやめとこう……どうせ、記憶残らないんだし……)

385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:12:03.73 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「お、おはようございます!」
勇者「あっ、おはよう」
魔王「来たかまほちゃん、待ってたよ」
見習い魔法使い「す、すみません!! それで……お礼なんですけど」
勇者「別に無理してお礼しなくてもいいからね? そんなの望んで助けた訳じゃないし」
見習い魔法使い「い、いえ! 無理はしてません! ただ、どうしてもお礼がしたくて……」
勇者「そ、そう? それなら遠慮なく受け取ろうかな……」
見習い魔法使い「そ、それじゃあ! ついてきて下さい!」
魔王「ん? ここじゃ渡せないの?」
見習い魔法使い「あ、あの……物じゃないので……」
魔王「まいっか、ゴーゴー!」

393:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:17:29.08 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「それでは、あの、服を脱いで代わりにこれを巻いて下さい……」
勇者「えっ?」
魔王「ぬ、脱ぐのっ?」
見習い魔法使い「は、はい、よろしくお願いします……」ヌギッ
勇者「ちょ、ちょ!!」
魔王「な、何するの!? なんで脱ぐの!?」
見習い魔法使い「あっ、す、すみません! その、これから師匠自慢の温泉に入っていただくので……」
魔王「お、温泉?」
見習い魔法使い「はい。その、不満でしたか? 旅の疲れを癒していただけると思ったんですけど……」
勇者「やったー!! 温泉だー!!」ヌギヌギ
魔王「……物凄く嬉しそうだね」
見習い魔法使い「よ、よかったー!」

399:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:23:39.23 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「皆さん、準備はできましたか?」
勇者「……」ジッ
魔王「」バコッ
勇者「いたっ!!!!」
魔王「早速入らせて貰おうかな!」
見習い魔法使い「あ、その前に」
勇者「ん?」
見習い魔法使い「ここは師匠の温泉です、そして私はその師匠の下で修業の身……つまり」
魔王「何か障害物があるってこと?」
見習い魔法使い「い、いえ、そんな大したものではないですが、魔法を使う機会が2度ほどあるので……」
勇者「わかった、まほty……魔法使いさんの修行だし、俺と魔王は見守っとくよ」
見習い魔法使い「ありがとうございます!」

404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:31:06.70 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「では早速……」ガラッ
勇者「うわ、なんだこれ!」
魔王「す、すごい湯気だね」
見習い魔法使い「……バギ!!」ブワァァァ
勇者「おおおっ!」
見習い魔法使い「す、すごいすごーい!! い、一回で成功しちゃいました!!」
魔王「おめでとー!」
見習い魔法使い「なんだか今日は調子良いみたいです!! これなら2つとも一回で……」
勇者「お! お湯発見!」タッタッタッタ
見習い魔法使い「あっ!」
勇者「それーっ!」ザブーン
勇者「冷てえええええ!!!!!!」ピョーン
魔王「一人でコントを繰り広げてる……」

407:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:38:07.60 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「2、2度目の魔法を使う機会はそのお湯なんですよ!」
魔王「まったくもう、子供みたいにはしゃぐからだよ?」
勇者「ごべんばばい、びざじぶりばっばから」ブルブルガタガタ
魔王「で、魔法でそのお湯をあっためるってこと?」
見習い魔法使い「そ、そうです! これは今まで一度も最初から成功したことはないので……今日はがんばります!」
魔王「がんばれがんばれまほちゃん! ファイトだファイトだまほちゃん!」
勇者「ううっ……」ガタガタ
見習い魔法使い「……それでは」ゴクリ
見習い魔法使い「ベギラマ!!!!」
勇者「……えっ?」ピュゥゥン
魔王「えっ?」
ゆうしゃ はこんらんした!

414:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:44:07.87 ID:A0F5cVTo0
勇者「……」ニヘラ
魔王「え!? ちょっと!? 何したの!?」
見習い魔法使い「あ、ま、間違ってメダパニ唱えちゃったみたいです!!
        ど、どうしよう!! どうしよう!! ホ、ホイミ!!」
魔王「い、意味ないって!!」
勇者「」ピュゥゥン
ゆうしゃ はさらにこんらんした!
見習い魔法使い「あ! あー!! またやっちゃいました!!」
勇者「……まーほちゃんっ」フラフラ

420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:50:25.09 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「えっ? えっ?」
勇者「……」ダキッ
見習い魔法使い「ちょ、ちょっと勇者さん!?」
魔王「あ! あああっ!」
勇者「冷えちゃった……ちょっとあっためてよ……」ギュゥゥゥ
見習い魔法使い「……ゆ、勇者さんがいいのなら……」ポッ
魔王「いやいやだめだめ!! 何しちゃってんの!? こらーっ!!」
勇者「……まほちゃん」ムチュー
見習い魔法使い「……」スッ
魔王「なんで目を閉じるのっ!? 受け入れないで!! だめだめ絶対!! はな、離れろーっ!!」

434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 18:58:18.86 ID:A0F5cVTo0
魔王「メ、メダパニ!! メダパニメダパニ!!!」
見習い魔法使い「」ピュゥゥン
みならいまほうつかい はこんらんした!
見習い魔法使い「……」フラフラ
勇者「……」ンチュー
見習い魔法使い「……んだコラァ!!!!」バチーン
勇者「ぶへぁっ!!」
魔王「えっ」
見習い魔法使い「なぁぁぁにしてんだテメェコラァ!!! あぁーん!?」
勇者「え!? えぇぇぇぇっ!?」
見習い魔法使い「テメェいい度胸じゃねぇかオォ!? そんな面で私の唇奪おうってのかオイィ!?!?」
勇者「え!? なに!? 何この状況!? くち、唇!?」
見習い魔法使い「うるせェ!!!!」バチーン
勇者「ぶひゃあ!!!!」ピョーン

438:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 19:06:56.69 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「……チッ」ペッ
魔王「……」
見習い魔法使い「……あ? おっ、……かわいい面してんじゃねぇか」ポッ
魔王「え!?」
見習い魔法使い「ふぅーん……」ジロジロ
魔王「え!? え!?」ゾワッ
見習い魔法使い「ふふっ」ニヤ
魔王「ちょ、……や、やめ……」
見習い魔法使い「……いっただきまーす!!」ガバァ
魔王「ゆ、ゆーうしゃああああ!!!!!」
ああああ…………!!
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441:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 19:09:45.75 ID:A0F5cVTo0
勇者「……で、こうなったと」
魔王「あまりの恐怖で加減ができなくて……」
見習い魔法使い「……」グッタリ
勇者「それよりも一体なんで魔法使いさんはあんなに怖く……」
魔王「……」
勇者「どうもお湯を温かくするって話から記憶が……魔王なんか知ってる?」
魔王「……し、知らないっ」フイッ
勇者「えっ? ちょ、ちょっと」

451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 19:33:03.95 ID:A0F5cVTo0
次の日
見習い魔法使い「あのぉ〜……」
勇者「あ、ああ! 魔法使いさん!」ビクビク
見習い魔法使い「あ、あれっ?」
見習い魔法使い「な、なんでそんなに引いてるんですか? あの、あの!」
勇者「いやぁ〜、えーっと……」
見習い魔法使い「ちょっと!!」
勇者「ひいっ!!」バッ
見習い魔法使い「えっ……」
魔王「うん……ごめんね」
見習い魔法使い「えっ? えっ? なんですか!?」

455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 19:38:15.78 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「あの……何故か昨日一部分記憶が飛んでしまってるんですけど、
        その、温泉は楽しんでいただけましたか?」
勇者「あ、え〜っと」
魔王「う、うんうん! すごく疲れがとれたよ! ありがと!」
勇者「えっ」
見習い魔法使い「そ、そうですか! よかった〜! 私しっかりお礼できたのか分からなくって……」
魔王「も、もうそれはしっかりと!」
見習い魔法使い「これで安心して修行の日々に戻れます! ありがとうございました!」
勇者「あっ、ううん、こっちこそありがとう」
見習い魔法使い「そ、そそんな! 恐縮です!」
見習い魔法使い「お二方は、次の町を目指されるのですか?」
勇者「そう……だよな?」
魔王「うん、そだね」

473:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 20:20:53.45 ID:A0F5cVTo0
見習い魔法使い「そ、それでは、一つ、忠告があります」
魔王「ん?」
見習い魔法使い「この町の隣の町は、商人の町なのです」
勇者「へぇー、賑わってそうだなぁ」
見習い魔法使い「ええ、それはそれは賑わっています。このあたりでは一番かもしれません。
        しかし、だからこそ危険なのです……」
魔王「どういうこと?」
見習い魔法使い「商人の町とは文字通り商人の集う町。つまり商人同士の競争が激しく、
        彼らは様々な手法で旅人に商品を売りつけようとしてきます。詐欺とか、押し売りとかですね」
勇者「なるほど……」
見習い魔法使い「も、もちろん良い商人もいますよ? 良い噂と同じくらい悪い噂も聞くってことです。
        ですから、そういう方達に出会わないように、気をつけて下さいね!」
勇者「わかったよ! ありがとう!」

476:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 20:25:01.50 ID:A0F5cVTo0
魔王「それじゃ、行きますかっ!」
勇者「ああ、そうだな」
魔王「このあたりの魔物はもう余裕だから、魔物との訓練は次の町で行うこととします!」
勇者「するのには変わりはないんですね。わかってますけど」
魔王「づべこべ言わない! はい、じゃあ、今日も元気にぃー」
魔王「走りましょー!!」
勇者「……はい」
魔王「それがんばれがんばれ勇者!」ボウッ
勇者「あつっ!!!」タッタッタッタ

479:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 20:30:30.50 ID:A0F5cVTo0
勇者「……なんか、案外近かったな」
魔王「うーん、多分12,3kmくらいかなぁ……物足りない感じだね」
勇者「い、いや? 別に?」
魔王「……体力有り余ってるよね?」
勇者「……ハハッ」
魔王「それでは引き続き魔物との訓練を行いましょー! 暗くなるまで!」
勇者「く、暗くなるまで!?」
魔王「このあたりの魔物は結構強いよ」
勇者「まじかよお……」

482:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/02(土) 20:36:05.69 ID:A0F5cVTo0
魔王「ザオリク! ザオリク!」
魔物1「グアーッ!」
魔物2「キシャーッ!」
勇者「な、なんで2対1なの!?」ズバァ ザシュッ
魔王「ベホマラー!」
魔物1&2「」パアァ
勇者「くそっ!!」ズバァ
魔王「スクルト!」
魔物1&2「」パァァ
勇者「な、なんかいつもより厳しくない!?」
魔王「ほらほら! 無駄口叩いてるとやられるよ!」

658:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 00:56:36.96 ID:uIBlg1kT0
勇者「クッ……やばい……さすがに疲れてきた……」
魔王「もう少し! 後4体倒したら終わりにしよ?」
勇者「あ、あと4体……果てしなく遠く感じる……」
魔王「限界の先に成長が待っている!!」
勇者「……う、うおおおおおおっ!!!!!」
魔王「お、かっくいー!」
勇者「おりゃああ!!!」ズバッ
魔物「ぎぇー!!」

665:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 00:59:10.72 ID:uIBlg1kT0
勇者「よっしゃ!! お、終わったー!!」
魔王「2体相手によくがんばった! 感動した!」
勇者「や、宿屋探そう! 早く!」
魔王「そだね、さすがに疲れたね」
勇者「よし、そんじゃあ町の中に……」
女商人「……」
勇者「って、うわっ!!」ビクッ
魔王「な、なになに!?」
女商人「あなた達は、有名になってる」

672:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:05:49.21 ID:uIBlg1kT0
勇者「ゆ、有名? なんで?」
女商人「そんなにメチャクチャな修行をこんなに目立つ所でやっているから」
魔王「私は視線感じてたけど、だから何?」
女商人「この町で有名になるのは避けるべきだと思う」
勇者「……あー、魔法使いさんが言ってたな。悪い商人に目をつけられないようにって」
女商人「その通り。危険を回避したいなら、私と一緒に行動をした方がいい」
魔王「嫌だよ」
女商人「なぜ?」
魔王「私達、強いから」
女商人「……この町は肉体的な強さでは回避できない危険の方が多く存在してる。
    商人は頭の切れる人間しか生き残れないから」
勇者「……」
魔王「気づいてないかもだけど、あなたが一番怪しく見えてるの、私達」
女商人「……」

680:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:15:33.20 ID:uIBlg1kT0
魔王「唐突な優しさをぶつけてくる人間は、どうしても裏に何かを隠し持ってるように映るの」
女商人「……」
女商人(どうする私。なんか強いからお金持ってるだろうな、とか単純に思って適当なこと言って
    近づいてみたけど、思ったより賢い人たちだった)
女商人(なんか怪しまれちゃったどうしよう。こんな目立つところで修行なんてしてるからおつむの弱い人達だと思ったのに。
    なんなんだろう、そこまで強さに自信があるのかな)
女商人(……まあいっか。売らないと死んじゃうし、売れるまで勝手に付きまとおう。
    私って意外と行動的なとこあるよね。よく表情ないねとか言われるけど)
女商人(心の中ではあなた達が聞いたことないくらいしゃべってるんだよね私、ふふっ)
女商人「……」
魔王「さっ、行こ? 勇者」トコトコ
勇者「う、うん」スタスタ
女商人「……」スタスタ
勇者(……なんかついてきてる……)
女商人(今勇者って言った。今勇者って言ったよね。ビンゴ、やっぱお金持ってるじゃん。どこ行くのかな。
    お父さんの自慢の武器売りたいな。質は良いけど見た目が地味だからあんまり売れないんだよね)

689:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:22:45.34 ID:uIBlg1kT0
魔王「……あの」
女商人「なに?」
魔王「ついてきて欲しくないんだけど」
女商人「……それは賢明な判断とは言えない。商人の敵は商人っていう言葉を聞いたことあるならその理由が分かると思う。
    商人のずる賢いやり口は同じ商人の方が鋭く感知できるから」
勇者「……結局、ここで何も買わなかったらいい話なんじゃ……」
女商人「……しょ、商人の町で何も買わないなんてそんなのおかしいと思う」
魔王「……」
勇者「……」
女商人「……コホン」
勇者(……恥ずかしそう)

692:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:28:25.97 ID:uIBlg1kT0
魔王「怪しい! 怪しすぎる!」ズビシッ
勇者「ちょ、ちょっと」
魔王「だって怪しいじゃん!」
勇者「た、確かにそうだけど……」
魔王「何を企んでるの?」
女商人「何も企んでない」
魔王「嘘だ嘘だー、じゃあなんでついてくるの?」
女商人「……商品を売りたいから」
魔王「はい出た! 本音出たよ!」
女商人「ち、ちがっ、そんなにやらしい考えとかは持ってない」
勇者「……でも買う意思のない客に買わせようとするのって、押し売りって言うんじゃなかったっけ……」
女商人「……」

696:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/03(日) 01:35:50.20 ID:uIBlg1kT0
女商人(……根気よく、根気よくだよ私。商人に大事なのは頭のキレと根気よさってお父さんが言ってた)
女商人「……あなた達が買うという意思表示をしない限り無理に売ることはしないと約束する」
魔王「信用できません!」
女商人「信用して欲しい」
魔王「というかあなたが付きまとう事実は変わらないので関係ありません!」
女商人「つきまとわせてほしい」
勇者「な、なんて頑固な子なんだ……!」
女商人(……根気よく、根気よくだよ私)
魔王「早速まほちゃんの言うとおりやっかいなのに見つかっちゃったね……」
女商人「私が付きまとって何か怪しい行動をとったとしてもあなた達ならなんなく危機回避できるはず。
    あなた達の強さは本物。恐らくこのあたりの魔物ならもう手こずらない」
魔王「……はあ」
勇者「ま、まあまあ。この子の言うとおり、付きまとうだけで害は無さそうだし、そこまで邪険にすることはないんじゃないかな?」
魔王「付きまとうこと自体が害なんだけど」
女商人(かばってくれた。勇者くんはいい人)