Part9
380 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 15:52:52.48 ID:
hoXyjvcT0
ーーー城・姫様の部屋
・・・バタバタバタバタ
ガチャン!
姫様「・・・誰だか知らねーけど、ノックくらい・・・」
町娘「おっす」
姫様「ーーーうぇぇぇっ!?おまっ、おい!久っさしぶりだなーおい!!」
町娘「変わりねーか?」
姫様「ねーよ!相変わらず美しい!・・・じゃなくて」
姫様「なに急に来てんだ、一ヶ月も音沙汰無しだった癖によ!」
町娘「あー。いいじゃねーか別に・・・、あたしがいつ来たってよぉ」
姫様「良くねーよ!魔王は一緒じゃねーのか?待ってろ、今勇者呼んでくっから・・・」
町娘「あたしひとりだ。・・・つーか、あー。呼ばなくていーよ、それより・・・」
姫様「ん?」
魔人「・・・・・・・・・」チョコン
町娘「・・・ちっと、女だけで飲もーぜ」
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:05:02.80 ID:
hoXyjvcT0
町娘「ーーーまっさか、メイド服で居るとは思わなかったよなぁ」
魔人「・・・私も、思いませんでしたよ」
姫様「似合ってるだろ?」
町娘「似合ってる似合ってる・・・。こーもカチッと収まるとはなー」
姫様「天職ってやつだ。まだ二日しか仕事してねーけど、完璧だってメイド長が褒めてた」
魔人「・・・今日は、サボってしまいました・・・」
姫様「・・・あん?」
町娘「・・・ほら、チューハイしかねーけど」カシュ
魔人「・・・いただきます」ソッ
町娘「んじゃほら、乾杯しよーぜ」カシュ
姫様「ほらねーちゃん、かんぱい!」カシュッ
魔人「え、ええ・・・」
町娘「ほいカンパーイ・・・」
カツカツン…
382 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:08:53.18 ID:+0n7lofXO
町娘……何を受信したのか……
383 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:12:35.38 ID:
hoXyjvcT0
魔人「・・・んっ、んっ」グビグビ
姫様「・・・で、どーなん?『村』は」
町娘「ああ、ぼちぼち楽しくやってるよ」
魔人「・・・ぷはぁ」
姫様「そりゃ、楽しいだろうよぉ。二人で暮らしてんだろ?」
町娘「・・・まーな」ゴクゴク
姫様「で?で?どーなんだ?え?二人っきりの生活ってのはよぉ?」
町娘「・・・あー鬱陶しいな!ほっとけよ、そんなもん別に、普通だよ」
魔人「・・・んっ」グビグビ
姫様「ふつうー?ふつうねぇー?どーいう風に普通なんだ?なぁなぁ」
町娘「おめー、個人的な質問ばっかしてくんじゃねーよハゲ。あたしはこれでも条約の一つだぞ」
姫様「んな建前はどーでもいーんだよバーカ!聞かせろっての!!」
町娘「あーあー、また今度ゆっくり嫌になるほど聞かせてやるよ」ゴクゴク
魔人「・・・ぷはぁ。んっ・・・」グビグビ
384 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:15:25.90 ID:LmuBJGgb0
魔人ちゃんピッチ早すぎw
385 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:16:13.77 ID:3fa3LLKCO
魔人飲むペースはやすぎだろ…
そんな飲み方したら潰れちゃうぞ
むしろ潰れて俺に大人しく襲われてくださいお願いします
386 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:20:08.98 ID:
hoXyjvcT0
姫様「つーかお前、何しに来たんだ?」
町娘「あー?いーだろ別に、いつ来たって」ゴクゴク
魔人「・・・・・・・・」ゴクゴク
姫様「バーカお前、まだ条約は整ってねーんだ。あんま自由にしてもらっちゃ困るって」ゴクゴク
町娘「里帰りだよ里帰りー」
姫様「・・・なんも未練残ってねーくせに、よく言うよ・・・」
町娘「つーか、今日の本題はこっち」クイッ
姫様「あん?」
魔人「・・・ぷはっ。・・・二本目、いただきますね」カシュッ
姫様「・・・いーけど・・・、ねーちゃんペース、速くね?」
魔人「・・・私は戻すことは無いので、心配なさらず。・・・んっ」ゴキュゴキュ
姫様「・・・・・・・・・」チラッ
町娘「・・・ま、そーいうこった」ゴクゴク
魔人「・・・ぷは。・・・んっ」ゴクゴク
387 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:33:35.79 ID:
hoXyjvcT0
町娘「・・・・・・・・・」ゴクゴク
姫様「・・・よーし、私も飲もー」ゴクゴク
魔人「・・・んっ、んっ」ゴクゴク
町娘「・・・は」
姫様「・・・ん、ふぁ」
町娘「おめーは、ほどほどにしとけよ」
姫様「人のこと言えんのかー?酔って延々惚気とかされたらたまんねーよ?」
町娘「ばっ・・・!誰がんなことすっかハゲ」
魔人「・・・んっ」ゴクゴク
姫様「いーんだよ恥ずかしがらなくて。聞いてほしーんじゃねーのー?」
町娘「ほっとけ」ゴクゴク
姫様「お互い好き合ってんだ、ラブラブしてんだろー?」
魔人「・・・・・・・・・」
町娘「・・・っとにしつけーなぁ。もう出来上がってんのか?」
390 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:39:11.46 ID:
hoXyjvcT0
魔人「・・・っぷは」
姫様「そーやって逃げるきかー?」
町娘「ほっとけっての」ゴクゴク
姫様「またまたぁ、好きなくせに・・・」
魔人「・・・『好き』、とは」
姫様「・・・え?」
魔人「・・・『好き』、とは、なんですか・・・?」
姫様「・・・・・・・・・」
町娘「・・・ぷは」
魔人「それは・・・、物に対する感情ではないのですか?」
魔人「・・・それは、他人に対しても、使える感情なのですか?」
魔人「・・・私は・・・、『彼女』に・・・、『彼女』の・・・」
魔人「・・・そして・・・、『彼』の・・・」
町娘「・・・おい」
391 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 16:45:04.22 ID:
hoXyjvcT0
魔人「・・・・・・・・・」
町娘「話せよ、聞くから」
魔人「・・・っ」
姫様「・・・・・・・・・」
魔人「・・・なぜ・・・」
町娘「知りたいんだろ?教えてやる」
町娘「だから、話せ。聞くよ」
魔人「・・・いい、んですか」
姫様「いいよ」
魔人「・・・・・・・・・」
姫様「話して、いいよ」
魔人「・・・・・・・・・」
魔人「・・・お願い、します」
町娘「任せろ」
393 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:01:03.40 ID:
hoXyjvcT0
ーーー『彼女』のことを話した。
初めて会ったときから、『魔人』の私を受け入れてくれた彼女の話を。
『彼』のことを話した。
『魔人』と『人間』は似ていると言ってくれた、彼の話を。
ーーーそれから、彼に対する、燃え上がるような熱い感情の話をした。
初めての感情で、熱くて、もやもやとして、怖いのに、
不思議と心地よい、感情の話を。
ーーーそして、彼女についた『嘘』の話をした。
何故嘘をついてしまったのか。
何故彼女の手を振り払ってしまったのか。
このお腹の中にある重くて冷たい塊はなんなのか。
どうして自分は、こんなに醜いのか。
ーーー最後に、その嘘が彼女を突き刺した話をした。
突き刺した私は、その場から逃げ出し、
こうしてあなた達と酒を飲んでいると。
ーーーここに至るまでの、すべての話。
いっそ忘れたいと思うほど、鮮明な記憶。
そのすべてを、目の前の彼女たちは、
黙って聞いていてくれた。
394 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:09:35.35 ID:
hoXyjvcT0
ーーーいつの間にか、泣いていたらしい。
自分には、泣く権利すらないというのに。
本当に泣きたいのは、『彼女』のほうなのに。
悲しかった。
悲しかった。
どこまでも汚い奴だ、本当に本当に醜い奴だ。
『魔人』め。
魔人「・・・・・・・・・」グスッ
町娘「・・・・・・・・・」
姫様「・・・・・・・・・」
魔人「・・・終わり・・・、で、す・・・」
町娘「・・・んっ」ゴクゴク
姫様「・・・・・・・・・」スクッ
魔人「・・・?」
町娘「ーーー恋だな」
姫様「ーーーおめでとう!」パチパチ
395 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:16:24.30 ID:
hoXyjvcT0
魔人「な・・・っ」
町娘「あー、心配して損したー」ゴクゴク
姫様「そっかー、ねーちゃんもなー。うんうん、良かった良かった」ゴクゴク
魔人「良っ・・・?わ、私は・・・、ま、真面目に話してるんです・・・!」
町娘「・・・はい、門出にかんぱーい」カツン
姫様「かんぱーい」カツン
魔人「・・・そん、な、わた、私は、ま、まじめ、に・・・」ボロボロ
町娘「あーあー泣くな泣くなー。わーってるよ、そんなことはー」
姫様「私らも真面目真面目クソ真面目に言ってんだよー」
魔人「・・・う、ゅ・・・?」グス
町娘「ちょっと厄介だけどまー・・・、知りたいのは、何でこーなっちまったか、ってとこだろ?」
魔人「・・・・・・・・・」コクン
姫様「そりゃ簡単だよ。恋だよ恋。言うだけなら、すげー簡単」パタパタ
魔人「・・・こ、い・・・?」グスッ
397 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:32:31.98 ID:
hoXyjvcT0
町娘「何から説明してけばいーんだろーなー。こじれにこじれてんなー」
姫様「つい最近、恋を知った奴のセリフじゃねーな」
町娘「ばっか・・・!こ、恋くらいいくらでもしてきてら・・・!」
姫様「嘘だぁ、絶対痛、痛い痛い分かりました蹴らんといてください・・・」
魔人「はっ、話をそらさないで・・・!」
町娘「悪ぃ悪ぃ・・・。とりあえず、今回の一連の事件はな、ぜーんぶ、『恋』の話」
魔人「・・・本当に、それだけの話なんですか・・・?」
町娘「そうそう。だけどこの『恋』ってのが厄介でなぁ。簡単に解決できるかはまた別問題」
姫様「・・・まーとりあえずだ。一個だけ、なによりも確実に一つ言えることがあんだけど・・・」
魔人「・・・は、はぁ」
姫様「・・・『人間』でも、ねーちゃんと同じよーなことする奴は、居る」
魔人「・・・っ」
姫様「良いとか、悪いの話じゃねー」
姫様「・・・そこに、『人間』も、『魔人』もねーよ。ねーちゃんが『人間』だったとしても、起こった」
398 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:39:19.68 ID:
hoXyjvcT0
魔人「・・・・・・・・・」
町娘「・・・まー、そーだなぁ。ねーちゃん、恋したことは?」
魔人「・・・ありません」
姫様「恋ってのは誰でもするもんなんだ。水疱瘡、おたふく風邪、恋」
町娘「・・・そのラインナップはいかがなものかと・・・」
姫様「あん?いーんだよ分かり易いだろー?」
姫様「・・・とにかく、ねーちゃんは『魔人』だからな。今まで知らねーのも、不思議じゃねー」
姫様「・・・でも、『村の魔人』だ。今から知ったってのも、これまた不思議じゃねー」
魔人「・・・・・・・・・」
町娘「自覚がねーから上手く言えねーんだけど・・・、コレって、育てばそれなりに理解してくもんなんだ」
町娘「だから、あんたみたいに成長しきってから初めて知ったらまぁ、想像できねーけど・・・」
町娘「・・・相当、ビビると思うぜ。あたしでもビビる。これは、仕方ねーよ、うん」
魔人「・・・・・・・・・」
402 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:05:25.66 ID:
hoXyjvcT0
姫様「・・・でも、ねーちゃんの『どっか』では、知ってたんだなー」
魔人「・・・どういう、ことですか?」
姫様「だってついちゃったんだろ?嘘」
魔人「・・・っ」
町娘「・・・彼女は、兵士って奴のことが好きだった。つまり、恋してた」
町娘「それを知って、ねーちゃんはショックだったわけだ。だから、嘘ついちまった」
魔人「・・・なぜ、そんなことを」
町娘「決まってんだろ。あんたが、兵士に恋してっからだよ」
魔人「ーーーっ」
ーーー彼女の彼に対する感情が、『恋』。
私の彼に対する感情も、『恋』。
あの熱くて、怖いけれど、心地良い感情の正体が、
『恋』。
なるほど、それは、しっくりくるかも知れないと思った。
私は、彼のことが好きだった。
だから、同じく彼のことを彼女が『好きだ』といったとき、
動揺したのだ。
だから、嘘をついた。
404 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:12:13.19 ID:
hoXyjvcT0
町娘「・・・しっかし、タイミングが悪ぃよな」
町娘「状況が状況なら、あたしだって嘘ついてただろーよ」
姫様「私も私もー」
魔人「・・・そんな」
町娘「ねーちゃんが嘘をついたのは、そのくらい当たり前のことだよ」
町娘「でも、それは『悪いこと』だ。それは、分かるだろ?」
魔人「・・・は、い」
魔人「・・・私は、彼女を、傷つけました・・・」ボロボロ
魔人「嘘で・・・、傷つけました・・・」グス、ヒック
町娘「・・・そっか。分かってれば、いーんだよ」ポンポン
姫様「『人間』のなかにはなー、ソレを悪ぃことだって思わねー連中が多くてなー」
姫様「・・・それはそれで、すげーさっぱりした生き方なんだけど。でもな」
姫様「・・・やっぱソレって、寂しいよ。大事なもん捨てるってのは、寂しいことだ」ゴクゴク
408 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:21:54.03 ID:
hoXyjvcT0
町娘「それじゃ、どーしたい」
魔人「・・・え」グスッ
町娘「これから、一番に、どーしたい」
魔人「・・・私は・・・」
魔人「・・・私は、彼女に謝りたい・・・」ボロボロ
魔人「あ、謝って、謝って、それで・・・」グスッ
魔人「・・・それで、また・・・」
魔人「・・・また一緒に、チョコレートをーーー」
ーーーコソコソ食べるのがおいしーからに決まってるじゃないっスか。
彼女は笑った。
その笑顔を奪ったのは、私だ。
虫のいい話だということは、分かっている。
でも、それでも。
あの時食べたチョコレートは、
本当に、本当においしかった。
もしも、願いが叶うのならば。
許して欲しかった。許して欲しかったのだ。
彼女に嘘をついたことを、許して欲しい。
そしてまた、一緒に、笑って欲しい。
一緒に。
409 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:22:03.78 ID:3fa3LLKCO
俺今日誕生日だからハッピーエンドになるよきっと
411 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:23:08.15 ID:
hoXyjvcT0
>>409
ハッピーバースディ
412 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:25:28.37 ID:1VklCjz0O
>>409
オメデト
413 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:26:07.00 ID:RwmFWC+G0
>>409
ハッピーバースディトゥーユー
415 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:27:57.69 ID:3fa3LLKCO
>>411-413
ありがとう
今日初めて言われた
ありがとう
目から液体出てるけど気のせいだよね
416 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:29:11.03 ID:tyXxpaUd0
>>409
ついでに話にださせてもらえよ。
417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:30:28.22 ID:Up7FH/xmO
>>409おめでとー
418 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:31:31.35 ID:Nj5wCD/TO
>>409
おめでとうなんだぜ
419 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:32:08.30 ID:RntMW6P70
>>409
ハッピーバースデー