2chまとめサイトモバイル
僧侶「ひのきのぼう……?」
Part22


507 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:30:54.01 ID:UW5dTRYB0
**『小僧よ』
**『我が配下に加わらぬか?』
僧侶「えっ」
**『貴様が相応の力を持っていることは分かっておる』
**『その貧相極まりない武装で、その足で毒沼を伝い、ただ一人ここまで辿りついたのだ』
**『さらにあの地点には、地上への先遣隊の本隊を配置していた』
**『勇者共の誘い水も兼ねた、猛者揃いだ。それを単騎で破る人間など、そうそうおるまい』
僧侶「……やっぱりあの陸路は……」
**『ククク……察しも良いようだな。なお気に入ったぞ』
**『いかにも。あの港町に続く路は、我が故意に敷いたものだ』
**『当然、魔王軍が本格的に大陸へ侵攻するための足がかりでもあるが――』
**『知っての通り、あの毒沼の道の果てには、我が居城へと続く「旅のとびら」がある』
**『これは万一、勇者たちがこの城に辿り付けなかった際の、保険の意味で設けたものだ』
**『勇者たちには、この時機に「魔王を討伐する」役回りを為してもらいたかったゆえにな』
**『クク……まさか一人で乗り込むような強靭、かつ酔狂な人間がいるとは思わなかったが』

510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:31:19.52 ID:yqZ4Z2RI0
いくら僧侶でも無理ゲーだろこれ

512 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:31:31.93 ID:UW5dTRYB0
**『話を戻そう』
**『小僧よ、いま一度問う。我が配下に加わらぬか?』
**『その歳であれば、将来、我が側近の候補に選ばれるのも夢ではない』
**『その際は――』
**『地上世界の半分をくれてやろう』
僧侶「……!」
**『軽口ではないぞ。五年後には必ず、地上は魔族の物となる』
**『与えられた地の支配者となれば、目に映るもの全ては思いのままだ』
**『名誉も栄光も。金銀財宝も。愛しき者も何もかも、全ては貴様の自由』
**『貴様はここで生まれ変わり、新たな生涯を得るのだ。どうだ? 悪い話ではなかろう』
僧侶「悪い話だよ」
**『ほう?』
僧侶「それだと、みんなが幸せになれない」
僧侶「僕だって、絶対に幸せになれない――」
**『ククク……その口はいささか軽率ではないか? 自身のこれまでの旅路を鑑みてみよ』

517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:32:12.21 ID:UW5dTRYB0
**『貴様の過去は、多少覗かせてもらったぞ』
僧侶「!」
**『いたる所で煙たがられ、冤罪をこうむり、重ね重ね憂き目に遭う』
**『貴様自身が気付かなかった欺瞞や悪意も、数えきれぬほど見受けられた』
**『畢竟、貴様は自らの居場所を失い……最後の理解者までも失うこととなった』
僧侶「……」
**『貴様が味方しようとしている人間共は、貴様に何を施した?』
**『貴様が守ろうとしている世界は、貴様に何を報いた?』
**『貴様が仮に、これから為そうとしていることを為したとて――』
**『どれだけの見返りが得られるというのだ?』
**『貴様自身の「未来」はそこにあるのか?』
僧侶「……」
**『さて、それらを踏まえた上で問おう。これが最後の機会だ』
**『我の配下に加わらぬか?』
僧侶「…………」

521 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:32:43.26 ID:yqZ4Z2RI0
この僧侶なら魔王軍に加わっても許す

522 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:32:55.58 ID:UW5dTRYB0
僧侶「……」
**『……何を迷う必要がある?』
**『先行きを見定めれば、おのずと賢明な判断は――』
僧侶「うん。僕の答えは変わらないんだ」
僧侶「その申し出を『断る』っていう答えは」
**『!』
僧侶「でも、その理由がはっきりしなくって」
僧侶「僕はなんのために、人間の側につくのかなって」
僧侶「それをずっと考えていたんだけど……」
僧侶「昔のことを思い出して、何となく分かったよ」
僧侶「僕がまだ小さかった頃、神父さんに連れられて散歩に行ったことがあるんだけど」
僧侶「お日様がぽかぽかしてて、風が気持ちよくて、とっても楽しかったんだ」
**『……?』
僧侶「他にも、美味しいものを食べたり、綺麗な風景を見たり」
僧侶「勉強も呪文の鍛錬も自由にできて、勇者と楽しくおしゃべりしたりして――」

523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:33:07.88 ID:ra0gQ3Il0
魔王につけよ

526 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:33:33.18 ID:UW5dTRYB0
僧侶「とにかく、僕は満ち足りてたんだ。そして、今だって満ち足りている」
僧侶「そりゃあこの旅で、すれ違いや残念なことも、悲しいこともたくさんあったよ」
僧侶「でも、そういうのも引っくるめて、僕はこの世界が好きなんだ」
僧侶「色んな事を教えてくれて、時に目一杯の幸せを感じさせてくれる、この世界が好き」
僧侶「だから僕は、この世界のために、僕にできることをしたい」
僧侶「だから僕は、戦うよ」
**『……』
**『ならば交渉決裂だな』
**『少しは利口だと思っていたが、常軌を逸するまでに奇人であったようだ』
**『さて……』
**『いま貴様は、「戦う」という語を漏らしたようだが』
**『それが何を意味するのか、理解した上での放言なのだろうな』
僧侶「できれば僕も、無用な争いはしたくないよ。稽古は好きだけど、実際に傷つけ合うのは嫌い」
僧侶「この旅だって、無意味な殺生はしなかったつもりだし、これからもしないつもりだけど」
僧侶「……お前が、僕をすんなり外に出してくれるとは思えないから」

533 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:34:17.38 ID:UW5dTRYB0
**『その通りだ』
**『敵対が明確になったことは元より』
**『貴様がこの先の扉に押し入るというなら、我は阻止しなければならぬ』
僧侶「……」 グッ
**『さて……ところで我は、先刻勇者と相まみえた傷が癒えておらぬ』
**『またあの場から離脱することに、並ならぬ魔力を費やしてしまった』
僧侶「えっ? 勇者と戦ったって?」
**『そうだ』
**『計画が水泡に帰す危険を冒してまで、勇者の前に姿を晒したのは』
**『あの一行の素性を、この目で確かめてみたかったためだ』
**『伝説の武具の威力は、いかなるものであるのか』
**『我を打ち滅ぼそうとする輩とは、どのような顔つきをしているのか』
**『諸々の事情を兼ね、我は勇者共の前に現れた』
**『そして我は……やはり人間は下らぬ存在だと悟った上で、彼奴らに挑み……』
**『ろくに勇者共の戦力を削ぐことも叶わず、敗れ去った!』

542 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:35:10.42 ID:UW5dTRYB0
**『ただしそれは、我が真の姿を伏せていたためだ』
**『我が、寸での場面で矜持を押し殺し、情に駆られなかったためだ』
**の ずじょうに
一対の赤い水晶が ならんだ! ▼
僧侶(! 眼が……浮かんでる……!?)
**『先に述べたように、今の我は困憊しており、魔力も枯渇寸前にある』
**『この姿で戦うとなれば、貴様如きにさえ、遅れを取りかねぬ』
**『ゆえに貴様を葬るには、不本意極まりなくも全霊を尽くすが必然となる』
**『絶望せよ。我の寛大なる招聘を拒んだこと』
**『その目、その耳、その身をもって悔いるがいい――』
僧侶(来る……!)
赤い水晶が あやしいひかりを はなった!
**は ドラゴラムを となえた!!  ▼

546 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:35:45.71 ID:yqZ4Z2RI0
今まで出てきた人間がクズ過ぎて魔王の方が良い奴に見えるから困る

548 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:36:03.31 ID:UW5dTRYB0
 
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
 
僧侶(! ローブが千切れて……影が伸びていく……!)
僧侶(大きい……どんどん膨れ上がっていく!)
僧侶(どんどん……膨れて……)
僧侶(……あ……ああ……)
僧侶(大き――)
 
*「『グオオオオオオオオオオォォォォォォォォッッ!!』」
 
ビリビリビリ      ビリビリビリビリ  ピシッ
       ビリビリ       ビリ
    ピシッ    ビリビリ      ビリビリビリ
           
    竜王が  あらわれた!!   ▼

552 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:36:37.57 ID:UW5dTRYB0
竜王『我こそは王の中の王、「竜王」である』 ズズズ…
竜王『おろかものめ』
竜王『おもいしるがよい』
僧侶「!」
僧侶は フバーハを となえた!
僧侶を やさしい ひかりのころもが つつみこんだ! ▼
竜王は もえさかるかえんを はきだした!
僧侶は 大ダメージを うけた! ▼
僧侶「うわああッ!」
僧侶(フバーハで軽減したのに、なんて火力!)
僧侶(――今まで戦ってきたドラゴンの魔物とは、大きさも強さも、まるきり次元が違う!)
僧侶(自身の強化を捨ておいてこれだけの力を! これが真の魔王――!)
竜王『グルルルル……』シュウウ…
僧侶「でも僕は……戦うんだ!」

563 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:37:50.30 ID:UW5dTRYB0
竜王『ククク……久々にこの姿に帰ったが、身体を慣らす必要はなさそうだな』
竜王『むしろ力が漲ってくるわ……もはや何物も恐れはしない』
僧侶「やあああっ!」
竜王『む?』
僧侶の こうげき!
ミス! 竜王は ダメージをうけない! ▼
竜王『なんだそれは?』
竜王は 僧侶を けりとばした! 
僧侶は ダメージを うけた! ▼
僧侶「うわあっ!」 ドシャッ  ゴロゴロゴロ
竜王『何かを秘めているとでも思っていたが……まさかその得物は、本当にただの棒なのか?』
竜王『見たままに突いてくるとは、我への侮辱を通り越して呆れて果てるわ。ククク……』
僧侶「ハァ……ハァ……」
僧侶「まだ……戦いは始まったばかりだ!」

567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:38:33.70 ID:UW5dTRYB0
僧侶は ピオリムを となえた!
僧侶の すばやさが あがった!
僧侶は スカラを となえた!
僧侶の 守備力が あがった! ▼
竜王『この歴然たる差を前にしてなお、我に楯突くというのか』
竜王『ククク……狂気も度が過ぎれば興があるものよ』
竜王『来るがよい』
僧侶「やああっ!」
僧侶の こうげき!
竜王に 1のダメージを あたえた! ▼
竜王『かゆい』
竜王の こうげき!
僧侶は ひらりと みを かわした! ▼
竜王『ほう、ピオリムか。なかなか見物だ。ククク……そら!』
竜王の こうげき!
竜王の こうげき! ▼

572 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:39:08.80 ID:UW5dTRYB0
僧侶(落ち着いて。攻撃なら、何とかかわせる。落ち着くんだ)
僧侶(この竜王は、他のドラゴンと違って二足歩行)
僧侶(大きいのに小回りが利くし、攻撃を急所にも当てづらい)
僧侶(だからまず……四つんばいに這わせなきゃ!)
僧侶(となると最初に狙うべき部位は……重心のかかっている、足!)
僧侶の こうげき!
竜王に 1のダメージを あたえた! ▼
竜王『効かぬ!』
竜王は もえさかるかえんを はきだした!
僧侶は ダメージを 受けた! ▼
僧侶の こうげき! 
竜王に 1のダメージを あたえた! ▼
僧侶は ベホマを となえた!
僧侶の キズが 回復した! ▼
竜王『ほう……?』

577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:39:52.77 ID:UW5dTRYB0
竜王『今……攻撃と呪文を同時にこなしたな』
竜王『なるほど。その軽装ならではの特技か』
竜王『確かに回復の合間に攻撃も可能なれば、防戦一方にもならぬ』
竜王『これまで貴様が、数々の不利な戦いに勝利してきた要因は、そこにあるか』
僧侶(そ、そこまで見破られた?)
竜王『だが、分かっておろうな』
竜王『その攻撃も、相手に通じなければ何の意味も持たない』
竜王『無闇に回復し続ければ、徒に魔力を消費するばかり。その魔力もいつかは果てる』
僧侶「……」
竜王『僧侶である貴様が、我に傷を負わせる手段があるとすれば、ただ一つ』
竜王『その生命を賭した自爆呪文――メガンテのみ』
竜王『だが我は早々に、貴様の持ち札をすべて見透かしておる』
僧侶「……!」
竜王『回復呪文、補助呪文、蘇生呪文、バギ系呪文――これだけだ』
竜王『貴様は、我が唯一警戒に値する呪文、「メガンテ」を習得してはおらん!!』

584 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:40:27.38 ID:A/U81iRNO
メガンテだけは絶対唱えるなよ
絶対だぞ

585 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:40:36.50 ID:UW5dTRYB0
竜王『……天の定めし勇者でもなければ、伝説の武具すら持たない』
竜王『あまつさえ武装といえるものは、凡愚なる蛮人のそれと何ら遜色もない』
竜王『貴様には勝機どころか、一矢報いることすら奇跡と呼べよう』
僧侶「……」
竜王『そして、大魔王からは逃げられぬ。もとより逃げ場もない』
竜王『この【竜王の間】が、貴様の終焉の地である』
竜王『絶望せよ』
 
僧侶「……」
僧侶「しないよ」
僧侶「僕は最後の最後まで、自分ができることをやるんだ」
 
竜王『――ここまで説き伏せて、まだ抗うか?』
竜王『よかろう。そろそろ興も醒めてきた』
竜王『朽ち果てるが良い』

586 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:40:39.93 ID:FDXbchyl0
メガンテフラグ消滅

593 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:41:15.87 ID:UW5dTRYB0
――
僧侶の こうげき!
僧侶は スカラを となえた!
  竜王の こうげき!
  竜王は もえさかるかえんを はきだした!
 
僧侶の こうげき!
僧侶の こうげき!
  竜王は 尾を たたきつけた!
  竜王は はげしいほのおを はきだした!
 
僧侶の こうげき!
僧侶は ベホマを となえた!
  竜王の こうげき!
 
僧侶の フバーハの 効果が きれた!
僧侶の こうげき!
僧侶は フバーハを となえた! 
  竜王は はげしいほのおを はきだした!
 
僧侶は こうげき!
僧侶は ピオリムを となえた!
――

595 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 03:41:28.12 ID:28Ordrof0
魔王軍はいってほしかったなー