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女騎士「魔王、貴様を倒す!」
Part2


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:05:22.59 ID:mc5FzudR0
騎士父「だが、諸手を上げて賛成するわけにもいかん。一度……あの男と話してみたい。その上で問題がないようであれば……好きにするといい。お前は魔王を倒したほどだ。後悔のない道を選べるだろう」
女騎士「そ、それなのですが、父上……」
騎士弟「ねーちゃ! とーちゃ!」
女騎士「……どうした、そんなに慌てて。食事ができたぞ」
騎士弟「きのうのひとがきたよ!」
女騎士「本当か!? ……父上」
騎士父「そうだな……少し待っていてもらえ。身だしなみを整える」
女騎士「はい」
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31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:06:54.44 ID:mc5FzudR0
魔王「そうか、すまなかったな。食事時であるということを失念していた」
女騎士「気にしないでくれ。父上もじきに来るはずだ」
騎士弟「ねーちゃ、このひとだれなの?」
女騎士「ああ、お前にも説明していないのだったな。この人は……その……」
魔王「婚約者だ」
女騎士「お、おい!」
騎士弟「こんやくしゃ?」
魔王「うむ。結婚の約束をした者同士だな」
騎士弟「ねーちゃ、結婚するの!? わぁ……」
女騎士「ま、まだ決まったわけじゃない! 全く……。それで、その包みは何だ?」
魔王「うむ、父上殿に贈り物をしようと思ってな。剣が入っている」
女騎士「そうか、剣か……。うん、良いと思うぞ。現在父上が使っている剣は少々古すぎるからな。替えたいとも言っていた」
魔王「ほう、ならばこの選択は正解だったわけだな」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:08:27.04 ID:mc5FzudR0
騎士父「待たせた。息子、お前は中へ入ってなさい」
騎士弟「はーい」
魔王「おはようございます」
騎士父「う、うむ……」
魔王「……」
騎士父「……」
女騎士「あー……」
魔王「……父上殿」
騎士父「っ……なんだ?」
魔王「大したものではありませんが、お贈りしたいものが。これを」
騎士父「なに? ……重いが、開けても良いか?」
魔王「どうぞ」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:09:57.10 ID:mc5FzudR0
騎士父「……厳重に包んでいるのだな?」
魔王「失礼、中身に傷でもついてはいけないと思いまして」
騎士父「ふむ……だがわかったぞ。この重さ、長さ……これは剣だな?」
魔王「御察しの通りです」
騎士父「そうか……! うむ、剣か……!」
魔王(おい、女騎士、これは喜んでいるのか?)ボソボソ
女騎士(ああ、こんなに嬉しそうな父上は中々見られないぞ!)
騎士父「これが最後の包装か……!」
魔王「……手に馴染むと良いのですが」
騎士父「いや、わかる。わかるぞ。見なくてもわかる。この剣は良いものだ……!」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:11:50.59 ID:mc5FzudR0
騎士父「さあ、見えたぞ……これが、これが私の剣になるのか……!」
女騎士(す、すまない……。余程嬉しいのか、包装の開き方が汚い……)ボソボソ
魔王(いや、あそこまで喜んでくれると、俺も贈った甲斐があるというものだ。お、ついに剣を抜くぞ)
騎士父「ハッハッハ! これが私の剣にぎゃああああああああああアアアッ!!!」
女騎士「ち、父上!? 大丈夫ですか!」
魔王「なんだと! なぜ!?」
騎士父「手ぇぇぇぇぇ!!! 手がああああああッ!」
女騎士「柄で手が焼けている!? 父上! とにかく剣から手を離してください!」
魔王「馬鹿な……」

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:12:43.71 ID:9vCTkRkO0
父上が邪悪な心を持っているからか!

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:13:12.71 ID:mc5FzudR0
女騎士「父上、水です。かけますよ」
騎士父「ああ……ぐぅっ!! くっ、火傷のようだ……」
女騎士「動きますか?」
騎士父「うむ……しばらくは不便だろうが、なんとかなるだろう……。しかし、貴様」
魔王「……」
騎士父「毒を塗ったな? 卑劣な奴だ……話し合いが通じんとみれば、命を狙うか」
女騎士「父上!」
騎士父「私は部屋に戻るぞ。……やはり、無駄だったようだな」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:15:48.13 ID:mc5FzudR0
魔王「……くそっ!」
女騎士「魔王……」
魔王「すまない……父上殿を怪我させてしまった」
女騎士「そなたが毒など塗らないことはわかっている。だが、何が起こったのか私にはわからん。一体……?」
魔王「あの剣は魔族に作らせたのだ……迂闊だった。おそらく、魔族製の武器は人間が扱えないのだ……。そのことを知っていれば、こんなことには……!」
女騎士「そうだったのか……」
騎士弟「ねーちゃ! 話、おわったのー?」
女騎士「弟……」
騎士弟「あ、剣だ! わぁ、すごいや。ほんものでしょ?」
魔王「っ!?」
女騎士「ま、待て、弟! その剣には!!」
魔王「待て女騎士! それに触れればお前も……!」

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:17:22.38 ID:VdFaJCb+0
まさか…

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:17:23.96 ID:mc5FzudR0
騎士弟「わっ……おもくて持ちあがらないや……。ってねーちゃ?」
女騎士「これに触っては駄目だ! ……って、なんだと?」
魔王「馬鹿な……拒絶反応が起こらないのか?」
女騎士「あ、ああ……。私には普通の……良い剣に思えるが」
魔王「何故だ……どうして父上殿だけが?」
女騎士「と、とにかく、この剣は一旦返す。わざわざ贈って貰ったものをすまない」
魔王「いや、良いんだ。これは俺が処分しておく」
騎士弟「えー、こわしちゃうの? もったいないなあ」
女騎士「お前が剣を持つのは、もう少し大きくなってからだ」
騎士弟「えー、でもねーちゃは、ぼくぐらいの年で剣をならってたんだよね?」
女騎士「……じゃあ、まずは木剣からだな。とにかく魔お……そなたは今日のところは帰ってくれ」
魔王「ああ……またな」
騎士弟「またねー! にーちゃー!」
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41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:19:13.61 ID:mc5FzudR0
騎士弟「ねーちゃ。とーちゃは今日も晩御飯いらないってー」
女騎士「だろうな……悪いが、食事の後に氷水を届けてくれるか?」
騎士弟「うん、わかった!」
女騎士(あんなことがあった後では、魔王のことなど話せるわけがないな……)
騎士弟「どうしたの? ねーちゃ。かなしいお顔してるよ」
女騎士「ん? ああ、すまない。ちょっと考え事をな」
騎士弟「そっか。けっこんって、うれしいことなんだよね? だったら、ねーちゃはわらわないと!」
女騎士「弟……ふふ、そうだな。さあ、食事にしよう。今日は弟の好きなものを作ってやっているからな?」
騎士弟「わぁ、やったー!」
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42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:20:03.40 ID:7len6lJ40
くっ殺

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:20:44.85 ID:HjFDj1vR0
女騎士は川澄綾子で

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:20:45.23 ID:mc5FzudR0
側近「お、戻ってきましたね魔王様。どうでした?」
魔王「剣を贈るという発想までは良かった。だが、贈るものが悪かった……」
側近「贈るものが悪い? どうしてです。あれは魔族が扱える中でも最高の……あ」
魔王「気づいたか」
側近「すみません、今理解しました」
魔王「俺が気付いたときも手遅れだっだ。ああなるものなのだな……初めてみたよ。個人差があるようだが」
側近「どうなったんです?」
魔王「手が焼け爛れていた」
側近「あちゃー……それは厳しいですね」
魔王「ああ。また剣術ができるようになるかどうか……」
側近「いえ、そちらではなく、結婚についてですよ」
魔王「そっちもなかなか絶望的になってきたな」

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:22:16.85 ID:mc5FzudR0
側近「それでしたら、いっそ婚約者さんを強引にでも奪い取ってしまえばどうです。何も律儀に家族からの了承を得る必要なんてないでしょう」
魔王「いや、駄目だ。それでは当初の目的が果たせなくなる」
側近「当初の目的? 目的ってなんです」
魔王「うむ、あいつが俺を倒さずに自分の家へ帰るための理……由……を……」
側近「魔王様?」
魔王「……側近よ、今から俺が言うことを全魔族へ伝えろ」
側近「はっ、わかりました!」
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46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:23:54.06 ID:chfl2u3f0
C

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:24:16.91 ID:mc5FzudR0
女騎士「父上、もう一週間になりますが……手の具合はどうです」
騎士父「ああ、問題ない。こうして一人で朝食も摂れる。剣もあと一週間もすれば握れるだろう」
女騎士「……そうですか」
騎士弟「今日もにーちゃ、こないねー」
女騎士「弟!」
騎士父「ふん! 毒を塗った相手の家に、のこのこと来るわけがないだろう」
女騎士「ですから父上、あれは誤解です」
騎士父「誤解だと! この火傷が何よりもの証拠ではないか!」
女騎士「……」
女騎士(こんな状態で、『あの人が実は魔王だ』などと言えば……間違いなく良い方向へは向かわないだろうな)
騎士弟「ねーちゃ……」
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48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:28:38.63 ID:mc5FzudR0
側近「今日もお出かけはなさらないので?」
魔王「ああ……」
側近「どうしてです」
魔王「行く理由がないからな」
側近「婚約者さん、待っているのでは?」
魔王「それもない」
側近「それこそどうしてです」
魔王「あいつは俺を必要としていない。目的を達成しているんだ……。あいつはあの場所にいる。婚約だって、俺が一方的に押しつけたようなものだ」
側近「はあ……よくわかりませんけど……。ですが、お好きなのでしょう? それでしたら、その相手のために何だってするべきでは……」
魔王「……・いい加減に黙れ。消すぞ」
側近「……」
魔王「……すまない」
側近「いえ」
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50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:30:22.77 ID:mc5FzudR0
女騎士(今日も来ない……か)
女騎士(結婚などと大層なことを言う割に、あの程度で挫けてしまったのか?)
女騎士(そもそも……結婚など、本当にする気があったのか?)
女騎士(もしかしたら、出まかせを言って弄んだだけということも……)
女騎士(……それはないな。短い付き合いだが、そんなことで悦に入るような奴ではないことはわかる)
女騎士(……しかし、当たらずも遠からずかもしれないな)
女騎士「ふっ……」
女騎士(同情など要らんと言ったのに……)
女騎士「馬鹿……っ」

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:31:31.47 ID:mc5FzudR0
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側近「今日もおでかけは?」
魔王「……」
側近「……そうですか。では、私が魔王様の分まで出かけてきます」
魔王「余計なことはするなよ」
側近「それも考えましたけど、あくまで魔王様の問題は魔王様の問題です。本当にただの散歩ですよ」
魔王「そうか……」
側近「人の問題に首を突っ込むほど、私も子供じゃありませんからね。では、失礼します。何日かしたら帰ってきますのでー」
魔王「そんな期間出るのか!?」
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53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:32:37.86 ID:mc5FzudR0
騎士父「おはよう」
女騎士「おはようございます。父上」
騎士父「今日も息子は洗濯物を干しているのか?」
女騎士「ええ、そろそろ終わると思いますが」
騎士父「そうか……。あいつにも、そろそろ剣を教えるのもいいかもしれんな」
女騎士「手は大丈夫なのですか?」
騎士父「うむ、前と謙遜無い動きができるだろう。と言っても、もう歳だからな……」
女騎士「そんなことは……。朝食ができたので、弟を呼んできます」
騎士父「ああ」

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:33:43.83 ID:mc5FzudR0
女騎士「おーい、朝食ができたぞー。弟ー?」
女騎士「いない……? 洗濯物は……干してある」
女騎士「となると……部屋に戻ったのか。あいつめ、干し終わったら食堂に来いと言っておいたのに」
女騎士「仕方ない。呼びにいってやろう」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:36:07.76 ID:mc5FzudR0
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女騎士「父上!」
騎士父「どうした? そんなに慌てて」
女騎士「弟が……弟がいない!」
騎士父「何だと!? 部屋にもいないのか!」
女騎士「部屋どころか……屋敷中どこを探しても!」
騎士父「私は外を探してくる!」
女騎士「父上、私も!」
騎士父「お前はここに残っていろ! 弟が帰ってくる可能性もあるし、誘拐の類であれば何か連絡が来るはずだ!」
女騎士「誘拐……!?」
騎士父「可能性の話だ! とにかく、お前は残っているんだ。いいな!」
女騎士「……はい」
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56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/02/02(日) 00:37:36.28 ID:mc5FzudR0
騎士父「……」
女騎士「父上! 弟は見つかりましたか!?」
騎士父「駄目だ……連絡も、ないのか?」
女騎士「ええ……」
騎士父「日が昇れば、再び探しにいく。また家を頼む」
女騎士「わかりました……」
女騎士(教えてくれ、魔王……私は、どうすれば……)
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