Part2
17 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:30:17 ID:
ZUaSJheo
エルフ村──
エルフ長老「ほう、珍しいこともあるもんじゃ。人間の来客など何十年ぶりか」
エルフ長老「ここはエルフの村ですじゃ。どうぞゆっくりしていって下され」
勇者「ふむ……エルフ」
勇者「つまり──」
勇者「A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、M、N、O、P、Q、R、S」
勇者「T、U、V、W、X、Y、Z」
勇者「ってことか」
エルフ長老「へ?」
戦士「!」ハッ
戦士「えぇと……多分、Lがないので“エル不”ってことかと」
エルフ長老「ああ……そういう……」
勇者「…………」ニヤッ
18 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:33:17 ID:
ZUaSJheo
邪神殿──
ガーゴイル「ギャオォォンッ!」ブオンッ
キィンッ! ギィンッ! キンッ!
戦士「ちいっ!」ザザッ…
魔法使い「雷よ!」バリバリッ
僧侶「凄まじい攻防……近づけないので、遠くから回復魔法を送らないと!」
勇者「無料かい?」
僧侶「僧侶だけに送料ですよね? もちろん無料です!」パァァ…
勇者「…………」ニヤッ
戦士「よっしゃ、回復したぜ!」シャキンッ
戦士「化け物め、覚悟しやがれ!」
ザシュッ! ギャォォン……
勇者「鋭かった戦士の一撃で、勝った」
19 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:37:55 ID:
ZUaSJheo
魔族の村──
魔族「ここは魔王のやり方に納得いかない魔族の集落です」
魔族「あなたがたに敵対するつもりはありません」
勇者「敵じゃないってことは、つまりスリーショルダーか」
魔族「……どういう意味です?」
戦士「つまり、“スリーショルダー”は三つの肩だろ?」
魔法使い「三つの肩は“三肩”で、“みかた”になるよね?」
僧侶「“みかた”……つまり“味方”のことです!」
魔族「な、なるほど……(なにかの暗号……!?)」
勇者「…………」ニヤッ
20 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:42:19 ID:
ZUaSJheo
ダークタワー──
戦士「ちいっ、魔王軍の基地を兼ねた塔だけあって、精鋭揃いだな!」
僧侶「しかし、ここを攻略すればもう残すは魔王城だけです!」
勇者「たわーいない塔と思いきや、大間違いだったな」
勇者「仕方ない、ここは魔法使いに本気を出してもらおう」
魔法使い「“マジック”だけに本気(マジ)になれってことかい?」
勇者「…………」ニヤッ
魔法使い「分かったよ、やってみる!(なんだかやれる気がしてきた!)」
ボワアァァァッ!
ギャオオォォン……!
魔法使い「おお、ボクもこんなにやれるんだ! 我ながらビックリ!」
戦士「おいおい、こんな魔力を秘めてたのかよ! 俺も負けてられねえな!」
僧侶「すごいです!」
勇者「みんな、腸が整ってきたな!」
戦士&僧侶&魔法使い(成長したっていいたいんだな……)
21 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:45:22 ID:
ZUaSJheo
魔王城城門──
四天王(炎)「キサマらが勇者パーティーか」
四天王(炎)「魔王軍最強のチームである、我々四天王がお相手しよう」
勇者「なんで俺たちが勇者パーティーだって、知ってんのう?」
四天王(炎)「へ……?」
四天王(水)「なにいってるのよ、あいつ」
四天王(風)「知ってんのう、だとォ!? どういうこった!?」
四天王(土)「ふ〜む、ガクッと気が抜けたでござる」
戦士「今だああああっ! 戦死してたまるか!」ダッ
魔法使い「本気(マジ)でやるよ!」ボウ…
僧侶「補助魔法の送料も無料です!」パァァ…
ザシュッ! ボワァッ! ザシッ! ドカッ! バリバリッ!
四天王「ぐわあああああっ!!!」ボシュゥゥゥ…
22 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:47:42 ID:
ZUaSJheo
魔王城──
僧侶「どうにか四天王をやっつけられましたが……」
僧侶「魔王の城だけあって、内部は大迷宮ですね」
戦士「しかも、城内にもかなりの敵が残ってやがる!」
魔法使い「だけど、ここまで来て負けられないよね!」
勇者「きゃっ!」
勇者「通り抜ける」サッ
勇者「きゃっ!」
勇者「通り抜ける」サッ
戦士「へへっ、分かってるって」
僧侶「“きゃっ!”と“通り抜ける”で“きゃっスルー”ですよね?」
魔法使い「つまり“キャッスル”ってことでしょ?」
戦士&僧侶&魔法使い「魔王の“城”だけに!」
勇者「…………」ニヤッ
23 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:50:37 ID:
ZUaSJheo
魔王の間──
魔王「フハハハハッ!」
魔王「勇者ども……ここまでたどり着いたことだけは褒めてやろう」
魔王「だが、すぐキサマらは向かうことになる……地獄にな!」
勇者「俺たちが地獄に行ったら、人類の数は激減するだろうな……」
勇者「ヘル、だけに」
魔王「……は?」
戦士「今だああああっ! 戦死してたまっかぁ!」ダッ
魔法使い「本気(マジ)でやるよ!」ボワァッ
僧侶「最終決戦では、回復も補助魔法も送料無料!」パァァ…
ザシュッ! ボワァァァッ!
魔王「ぐ、ぐぬっ!」ヨロッ…
魔王(おかしな話術で、気が抜けたところを攻めてくるとは……!)
24 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:54:18 ID:
ZUaSJheo
魔王「舐めるなぁぁぁっ!」
ズガガガガァァンッ!!!
戦士「うおおっ!」
僧侶「きゃあああっ!」
魔法使い「四天王さえ倒した、必勝パターンが通じないなんて……!」
勇者「大丈夫、ひっしょう懸命やれば、勝てるよ!」
戦士「……だな!」チャキッ
僧侶「そうですね!」スクッ
魔法使い「勇者の言葉を聞くと、勇気が湧いてくるよ!」スクッ
魔王「なにいいい!?」
魔王(勇者の話術には、敵の力を削ぎ、味方を鼓舞する力があるのか!?)
魔王(そうか……あの話術があったから、奴らはここまでたどり着けたのだ!)
25 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 20:56:34 ID:
ZUaSJheo
魔王「ならば、先に勇者を仕留めてやる!」ギロッ
勇者「床や柱に小便はしなくていいのか?」
魔王「は……?」
勇者「“魔王”だから“まキング”……つまり“マーキング”しないのか?」
魔王「うぐぐっ……」ガクッ
魔王(い、いかん! こやつの話術にかかると、どうしても戦意が削がれる!)
戦士「ふん、ずうっと勇者と一緒に旅して戦ってきた俺らじゃなきゃ」
戦士「勇者のセリフを聞いたら力が抜けちまうぜ!」
勇者「血から力が抜ける」
26 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 21:00:19 ID:
ZUaSJheo
戦士「どりゃあっ! 剣はそーっど扱うもんだ!」
ザシュッ!
僧侶「回復はお任せを! 潮干狩りもお任せを!」
パァァ……
魔法使い「ほのシッポほどじゃないけど、炎魔法も強いんだぞ!」
ボワァッ!
魔王「ぐっ、ぐおおっ……! おのれぇ……!」
魔王「ならば最強の魔法で、まとめて片付けてくれるゥ!」ブゥゥン…
魔法使い「!」ハッ
魔法使い「まっ、まずい!」
魔法使い(すごい魔力だ……! あれを撃たれたら、全滅するかも!)
27 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 21:03:40 ID:
ZUaSJheo
勇者「サイが長い間ストライキを起こしてるのか」
魔王「……は?」
勇者「“最強”で“サイ強”で“サイストロング”」
勇者「つまり、サイのストがロング」
魔王「なんだそりゃ……」ボシュッ…
魔王(ゲェッ、今ので集中を欠き、せっかく溜めた魔法が消えてしまった……!)
勇者「今がチャンスだ! みんなっ!」
戦士&僧侶&魔法使い「なに!?」チラッ
勇者「俺を見んな」
戦士&僧侶&魔法使い(やっぱりね……)
戦士&僧侶&魔法使い「うおおおおおおおおおっ!!!」
魔王「な、なんだこの迫力は!?」
魔王(勇者の言葉で、三人の力が結集して──)
ズドォォォォンッ!!!
28 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 21:07:09 ID:
ZUaSJheo
魔王「ぐ……このワシがやられるとは……」
魔王「戦士の剣技、僧侶の支援魔法、魔法使いの攻撃魔法……」
魔王「それぞれ大したものだったが……」
魔王「やはり真に恐ろしきは……勇者の話術よ……」
魔王「敵ながらみ、ごと……」ボシュゥゥゥ…
戦士「消えた……!」
戦士「やったぜぇ!」
僧侶「ついに魔王を倒したんですね、私たち!」
魔法使い「うん、これで世界は平和になったんだよ!」
勇者「へぇ〜、わっ! すかした返事をしてから驚いてみたよ、平和だけにね」
29 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 21:12:31 ID:
ZUaSJheo
城──
国王「よくやってくれた、勇者」
国王(正直やってくれるとは思わんかったが……)
国王「ワシにできることなら、どんな願いでも叶えよう」
勇者「では、“ね”がいい」
国王「……へ?」
勇者「国王陛下が、“ね”と書いたサインがいいです」
勇者「願い、だけにね」
国王「え、ホントにそんなんでいいのか!?」
国王「金だって、地位だって、名誉だって、できるかぎり与えてやるというのに!」
勇者「“ね”がいい」
国王「いやいや、考え直し──」
勇者「“ね”がいい」
戦士&僧侶&魔法使い(さすが勇者……)
30 :
◆a2EWyVxcQM:2014/07/10(木) 21:18:18 ID:
ZUaSJheo
こうして勇者たちの活躍によって、世界に平和が戻った。
後に、味方を鼓舞し、敵を脱力させる勇者の話術は世界中に広まり、
目には見えないが恐るべき効力を発揮する話術として
『Dark Jagged Ray(暗黒なる鋭利な光線)』
と呼ばれ、永く畏怖されることとなった。
なお余談ではあるが、今日に伝わる『ダジャレ』の語源は、
この『Dark Jagged Ray』であることは、いうまでもない。
おわり
32 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 22:22:38 ID:61aBeg46
乙
33 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 23:55:32 ID:ylj5GTPM
面白かった
34 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/11(金) 02:17:00 ID:whOV3EeM
乙
35 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/11(金) 08:09:30 ID:myf/PcSc
ダジャレのすごさが解りました(小並)