勇者「お前が魔王か」 魔王「ふはははは、よくきたな」
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Part1
勇者「お前が魔王か」 魔王「ふはははは、よくきたな」
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1 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/23(火) 23:55:34.82 ID:4v5cjWAy0
勇者「はじめまして」 深々
魔王「うむ、はじめましてだな」
勇者「実際問題、初対面で武器を向けあうのも礼儀がないので一応顔を合わせに来ました」
勇者「これつまらないものですが、お土産です」 勇者印煎餅
魔王「ああ、ご丁寧にどうも」
魔王「メイドさん、緑茶いれてください あとゴーレム屋のヨウカンお出ししてー」
メイド「はーい」
戦士「いや、おかしくね?なんで挨拶してんの俺ら」
勇者「まあまあ」
3 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 00:14:36.72 ID:skmkakZV0
魔王「ふむ、接近型が勇者と戦士で、遠距離攻撃が魔法使いと僧侶、と」
勇者「そちらは四天王とかいらっしゃらないんですね」
魔王「祖父の代には居たそうだが、当時の勇者がきっかけで炎と雪のボスが結婚したのでな」
魔王「で、まあ…結局そのまま廃止になった」
勇者「それは知らなかったです、いいお話ですねぇ」
魔王「うむ、異種族婚に抵抗が無くなりつつあるのは良いことだ」
魔王「属性による優劣から差別が多々あったのだが、おかげさまで改善の兆しとなった」
勇者「こちら人間側からすると、属性攻撃がしずらくなりますから、たまったもんじゃないでしょうね」
魔王「困った風な言い方しつつニコニコするのやめい」
勇者「いやー、参っちゃいますよー」 ニコニコ
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/24(水) 01:30:06.10 ID:pIHrqz4SO
おもしろそう
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/24(水) 08:02:38.87 ID:/cJlnFOpO
和解しそう
7 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 14:08:59.38 ID:skmkakZV0
魔王「…それで、本音は?」
勇者「めんどくさいんで、両者干渉しないって方向にもっていきたいですね」
魔王「やっぱりそうだよなー、でも人間の王様とか皇帝とかが問題だよな…」
魔王「代々悪役担ってきたといえ、こっちから先制攻撃はしてないんだけどね」
勇者「歴代勇者は英雄扱いですけど、俺的には強盗じゃないか、って」
魔王「自分で言っちゃうんだ」
勇者「他人の家のタンスとか壺とかあさっていいなんて誰が言い始めたのやら…」
勇者「あ、俺はやってないよ?」
魔王「え、なにそれ詳しく」
8 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 14:30:48.59 ID:skmkakZV0
戦士「それどころじゃないだろ、勇者!」
戦士「宿敵魔王が目の前にいるのになんで悠長にお茶してんの!?」
魔王「温度差が激しいな」
戦士「勇者が出掛けるって言うから護衛でついてきたけど、魔王城にくるんならあいつらも呼ぶべきだった!」
勇者「すいません、彼だけが妙にヤル気満々で…他の二人は」
『魔法使い「魔族特有の魔術について研究したいぜ」』
『僧侶「魔界にも神官職があるらしいので、信仰について議論してみたいですね」』
勇者「…ってな感じで一緒に来てくれたんだよね」
勇者「あ、ヨウカン美味しい」
魔王「その二人もつれてくればいい、魔神官たちも人間の神職に興味持ってるしな」
魔王「煎餅も旨いな、紋章の部分がちょっとピリピリするけど面白い」
勇者「ああごめん、焼き印でも反応しちゃうんだね」
魔王「これ、案外ウケそうだな…もしよかったら魔界にも販路広げてほしいな」
勇者「オヤジさんに相談してみr あ、はい」
戦士「だーかーらーーーー!!」
10 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 17:34:28.20 ID:skmkakZV0
戦士「なんでそんなに和気あいあいと!!」
勇者「なんでって…」
魔王「戦士よ、何がそんなに気にくわない?」
戦士「そんなもの、全部だ! 貴様ら魔族のせいで、俺の家族は殺された!」
戦士「一緒の孤児院にいた連中も、みんな同じような境遇だ、魔族を恨んでいない奴なんか居なかった!」
魔王「………それは、おかしいな」
戦士「ああっ!?」
魔王「ここ40年間、魔族同士の殺害事件はあったが、人間を手にかけた魔族はいないはずだ」
11 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 17:58:13.80 ID:skmkakZV0
勇者「うーわ、絶対それやばいよ戦士」
魔王「魔界には常時結界が張ってあるからな、人間を傷つけたものには必ずマーカーがつく」
魔王「殺害となればマーカーは絶対に目立つ、直ぐに通報されて投獄だ」
魔王「魔族同士でもマーカーがつくが、種類が違うけどな」
勇者「なあ戦士…なんで人間を殺すのが魔族だけって言えるの?」
勇者「人間のほうが、人間同士で傷つけあってると思うよ?毎日のように何かしら事件起きてるじゃん」
戦士「そんなはずない!!だって、保護してくれた貴族たちがそう言ってたんだ!」
勇者「それこそ、きな臭いんだけどねぇ…」
12 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 18:12:34.23 ID:skmkakZV0
戦士「そんなはずない、そんなはず、ない、そんな、わけがない……」
勇者「…影使い、戦士の保護、頼んでいい?」
影使い「はい」 スゥッ…
魔王「おわっ!?」
勇者「戦士の妙な雰囲気が不安でね、実はずっとついてきてもらってたんだよね」
影使い「……魔界を悪役にしておきたいのは、王族だけではない、お気をつけください 魔王殿…」
影使い「帰りますよ、戦士…」
戦士「ブツブツブツブツ…」
勇者「あーぁ、やっぱり戦士はつれてこない方がよかった… 湿っぽい空気になっちゃったよ」
魔王「うーん……私としては、来てもらってよかったけどね、結界になにか不備があるのかもしれないし」
勇者「あんな話、はじめて聞いたからちょっと困ったな…とりあえず一回帰るね」
魔王「ああ、他のお仲間によろしく」
勇者「うん、じゃまた」
13 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 19:10:36.80 ID:skmkakZV0
〜人間界、どこぞの宿屋〜
魔法陣用紙『ミュィーーーン』
勇者「ふぅ、到着っと」
魔法使い「あ、おかえりー」
僧侶「おかえりなさい、影使いさんから聞きましたよ…戦士さんがなにかおかしくなった、と」
僧侶「念のため治療院へつれていってもらいましたけど、それでよかったでしょうか」
勇者「そう、たぶん大丈夫 ありがとう」
勇者「一応、お見舞いには行っておこうか」
魔法使い「ええー、めんどくさい、ようやく買えた希少本読んでるのにー」
僧侶「いきますよ、まったく…」
魔法使い「ちえー」
14 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 19:34:07.22 ID:skmkakZV0
僧侶「はあ!?戦士さんの家族が、魔族に殺されたって?」
勇者「本人はそう言ってるけど、魔王が否定してた 仕組みはわからないけど、すぐわかるようになってるらしいよ」
僧侶「なんてこと…いったいどれ程の恨みを抱えて私たちと行動していたのでしょう…」
僧侶「そしてそれが誤りであったとしたら、彼の恨みは何処へ向かうのか…ああ、なんてことだ…」
魔法使い「あたしはそういうのどうでもいいんだけどなー、魔族は研究対象だし」
僧侶「不謹慎ですよ!」
魔法使い「別に人体実験したいわけじゃないしいいじゃん 魔体実験か?」
僧侶「止めなさいと言うのに!」
勇者「あははは」
影使い「申し訳ない、勇者殿」 ヌゥッ
僧侶「わっ」
魔法使い「きゃあっ」
勇者「影使い、どうしたの」
影使い「戦士が、治療院から逃走した模様 今、《影》たちに捜索させております」
勇者「うっそぉ…あの状態で脱走はまずいんじゃ…」
影使い「いかがなさいま…… 勇者殿!?」
僧・魔法「「勇者!!」」
勇者「え、あ…」 ゴポッ
戦士「魔王……まお、う、マゾク、 ゆう、しゃ、いら、な、い」
15 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/24(水) 19:50:46.51 ID:skmkakZV0
魔法使い「うっひゃーー、なにこの呪い! えげつない!!」
僧侶「回復呪文連続詠唱!」 シュワワワ…
勇者「う、うぅ… やば…腹に穴とか、はじめてなんだけど… ゲホッ」
僧侶「喋るんじゃねえバカ野郎!」
魔法使い「うわキショイ! 勇者のお腹、キモい!」
魔法使い「あと、戦士の呪いわかったよ!!」
魔法使い「信念…こいつの場合は、植え付けられた魔王が敵っていう概念が崩れ出す直後に発動するタイプよ!!」
影使い「くっ、《影》が引きちぎられそうだ、早く回復してくれ勇者殿…!」
戦士「がああ、ぁぁああああ」 ジタバタ
勇者「よっしゃぁ、ふっかーーーーつ! そいやぁ!!」 ドガーーンッ
戦士「グハッ」 ドサッ
勇者「ふっ、鞘でも痛かろう! ゲフッ」
僧侶「このバカ!まだ動くんじゃねえ!」 スパーンッ
18 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/25(木) 20:32:18.24 ID:+iTUhTWy0
僧侶「ゴホンッ 失礼いたしました… それで、戦士さんの呪いはどうしましょう?」
僧侶「私、呪い関連は専門外なので、治療院のほうがいいのでしょうかね」
魔法使い「うーん、あたしも呪いを判別できるだけだしなー、しょーがない、連れていくか」
戦士「キュゥ…」 気絶中
勇者「あ!忘れてた! 良いものあったんだ!」 モソモソ手袋ポイッ
魔法使い「え゛… 勇者、なにその手のひらの模様…」
勇者「まあいいからいいから……力加減気を付けないと…そーっと…せーのっ」
ヒュッ ベチーーーーン!!
僧侶「ひーーーー!!?」
魔法使い「わー、きれいな紅葉が…」
影使い「……手加減できてませんよ、勇者」
勇者「てへ★」
戦士「………」 瀕死状態
僧侶「か、回復呪文!回復呪文!」 シュワワワ…
21 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/25(木) 21:05:01.50 ID:+iTUhTWy0
〜宿屋〜
戦士「すぴー…」 頬に紅葉クッキリ
魔法使い「はぁぁぁぁ、なんか無駄に疲れた… さて、本を読まねば!」 ワクワク
勇者「あとにしなさいー、明日の予定なんだけど! 戦士が目を覚まして正気に戻ってたら、全員で魔王城に行くってことで良いかな?」
影使い「そうですね、今から私たちを派遣した国の王様に会いに行くにも時間かかりすぎます」
魔法使い「あー、魔法陣用紙は、距離がありすぎると複数回に分けて移動しなきゃいけないんだからたくさん書くのメンドクサイよー」
勇者「たぶんその辺は魔王に聞けば、効率いい方法とか教えてくれそうだよね」
魔法使い「うん、ぜったい聞きたい! 人間の使う魔法は恋率悪いんだよ、燃費悪いー 是非とも教えを乞わねば!」
影使い「わ、わたしは、その…ネクラを治したい…どうしたら闇を纏っても強気でいられるのか、聞いてみたい…」
勇者「そ……そうか、頑張れ! (いや、君はネクラじゃなくて物静かな性格ってだけじゃん…そこがいいんだ!)」
魔法使い「え、っと…参考になるといいね… (影ちゃんってば、勇者の好みにドンピシャなのに、気がついてないんだよなーこの娘…)」
影使い「あ、あの!僧侶殿は、や、やはり神職についての議論…を…… 僧侶殿…?」
勇者「あれ?」
魔法使い「え、あ…… げ、なんかヤバいんじゃ…?」
勇者「今のさっきで、もう次の事件かよ!?黙っていなくなるやつじゃないじゃん!確実にヤバい!」
魔法使い「もーーー!あいつ、一番体力無いんだから!普通拐われるのって女の子でしょ!あたしとか!!」
勇者「今その話、関係無くね!?とにかく探知魔法使ってくれ!あと《影》にも頼む!」
影使い「は、はい!!」
魔法使い「アイアイサー! 僧侶の持ち物何かなかったかなーっと…」
23 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/25(木) 21:43:33.00 ID:+iTUhTWy0
〜どこかの部屋〜
僧侶「 い、たぁ…」
僧侶「うぅ…ああそうか、勇者さんたちと引き離されましたね…」
僧侶「うわー… オカルト系なタペストリーに家具に怪しい道具だらけ…確実に関わっちゃいけない分類の方に捕まりましたねこれは…」
僧侶「あいたたた… 回復呪文…あれ、発動しない…? ん、なにこれ…手錠?」 ジャラッ
白服の男「目が覚めましたか、救世主殿」
僧侶「それは勇者さんに言ってやってください、私はしがない修行中の僧です」
白服の男「いえ、勇者など偶像でしかないのです… 我らは貴方様を待っていました、救世主殿」
白ローブの男「ただ唯一なる神を信仰する我らは、唯一なる神より賜りし御声を届けに参りました」
白服の男「さあ、唯一なる神と同じ色を持つ、神よりおくられし誉れ高き僧へ、神の御声を!」
白服の集団「「神の御声を!!」」
僧侶「(あちゃー…強引系の唯一神信仰か…他の宗教を弾圧してどんどん範囲を広げてるっていう、やばいほどでかくなりすぎたオカルト集団でしたか…)」
僧侶「…神と同じ色ってことは、私の銀髪ですかね…だとすると、あなたがたは《銀の鳥籠》、ですか」
僧侶「まあ、残念ながら普段は剃髪してますし…今は軽く生えてますけどまあ置いといて、それにローブをかぶっていますので、眉毛の色で判断なさいましたか? よく気がつかれましたね」
僧侶「ですが、重ねて残念ながら、私は一つの宗教にとらわれず、様々な教えを学ぶため旅をしております、勇者と出会ったのもその途中です」
僧侶「お話は聞きますけれど、あなた方の考えだけを受け入れる訳じゃありません」
僧侶「神々がたくさんおられる、という考えもまた受け入れておりますからそこは覚えておいて欲しいのですよ?」
24 :
◆G/mqESF7Ns :2016/08/25(木) 21:58:51.39 ID:+iTUhTWy0
白服の男「なにを仰っておられるのかちょっと分かりかねます」
白服の男「神は我唯一のみ、その他の偶像にすがるものどもなど、ひとにあらず これが我らに与えられた最初の御声ですよ」
ワーーーパチパチパチパチ
僧侶「(なんの拍手!?そしてどんだけ自己中な神様!?)」
白服の男「さあ、唯一なる神の御声をお聞きください そして、我らのために、貴方様の聖なる血を分け与えくださいませ」
白ローブの男「お待たせいたしました皆様、これより儀式を行います」
ワーーーパチパチパチパチ!!
白ローブの男「事前にお知らせしました神の御声を大きな声で御唱和くださいませ、そして、救世主殿より血をお分けいただきましょう」
白ローブの男「それでは…いちにのさんはい!」
僧侶「なにそのデカイナイフ!明らかに腕一本は切り落とす勢い!ヤーメーロー!!」
白ローブの男「ちょっと!!邪魔してはいけません救世主殿!はい皆様、頑張ってもっと大きな声で!」
僧侶「うっわーーーーっ!!勇者ーーーー!みんな助けてぇぇえええ!!」