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勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
Part2


15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:50:48.40 ID:0i+UKr460
魔法使い「あ、なーによ僧侶、あんた笑っちゃってないで一緒にこの馬鹿なんとかしなさいよ」
僧侶「えっ いえ、私にはどうしようも……」
 ごにょごにょと僧侶は困ったように言葉にならない言葉を並べる。
魔法使い「何言ってるかわかんないわよう」
勇者「魔法使い、僧侶をあんまり困らせるな」
魔法使い「なーによ勇者まで、私が悪者?」
勇者「いや、そういうわけじゃないけど…」
魔法使い「もう怒った、勇者なんてしらない!」
 魔法使いは頬をふくらませ、プイッとそっぽを向いてしまった。
勇者「そう怒るなよ、機嫌直せって」
魔法使い「……」
 魔法使いは半目でじとっと勇者をにらむ。
勇者「なんだよ……」
魔法使い「買い物」
勇者「ん?」
魔法使い「次の町で、一緒に買い物につきあってくれたら、許してあげる」
勇者「ん? 買い物?」
 意図がよく読めない勇者であったが、これ以上魔法使いの機嫌を損ねるのも面倒だったので、了承する。
魔法使い「ホント? ホントに?」
 了承した瞬間、魔法使いの顔が、コロッと笑顔になった。
勇者「ああ、いいよ買い物くらい、ただし、あんまり高いものは困るぞ」
魔法使い「わかってるって、女神様に誓って約束よ、勇者」
 魔法使いは子どものような笑顔を勇者へ向け、小指を出す、勇者は若干の理不尽さを感じながらもその指に自分の小指を絡ませた。
「勇者ぁぁぁ」
 はげ上がった頭頂、両目が厚ぼったく腫れ上がり、鼻が豚のようにでかく、奇妙な口をした者が、口から液をはき出さしながら勇者の名を呼んだ。
 鉄柵ごしに、魔物に引きずられながら、その異形な顔をした者は、勇者の名を呼び続ける。
「どうしよう勇者、私……ずっとこの顔なんだって……死んでも直らないんだって……魔王がそういう呪いをかけたんだってぇぇぇ」
勇者「……ッ!!」
 猿ぐつわを噛まされたままの勇者は、目を見張り、その奇形の女を見つめる
 まさか……魔法使い?
「どーしよー勇者……なんで…なんでこんな、ひぎゃ」
 魔物の蹴りが、魔法使いの腹部に突き刺さった。
 魔法使いの体が浮き上がり、地面に落ちる。
 豚のような鼻から、膿のような臭い汁を出し、魔法使いはうずくまる。
「うっううっ」
 すすり泣く声が聞こえる。
 魔法使いは、引きずられながら、自分の独房の中へ帰って行った。

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:51:18.76 ID:0i+UKr460
「……ッ」
 魔法使いの悲痛な叫びが耳から離れない、それは勇者の胸の締め付ける。
 その痛みは、爪を剥がされた手足の痛みを、折檻により痛めつけられた体の痛みを凌ぐほどの苦痛を勇者にもたらした。
 魔王に破れ三日がたった。 三日間、ほぼ一日中魔物より与えられる苦痛、時には魔王みずからが、虐待に参加することもあった。
 死なないように細心の注意を払いながら行われる拷問の数々。
 特に魔王の拷問が何よりも残忍であり、冷酷であった。
 勇者はそれを思い出すだけで、未だに体が震える。
「うっ…ううう」
 遠くから、魔法使いのすすり泣く声が聞こえる。
 猿ぐつわはされていない、しゃべれることから舌を噛むことだってできる……
 でも、きっと魔法使いは、それをしないだろう
 人一倍外見に気を遣っていた彼女だ。 あんな顔で人前にでるなど、彼女に取って死ぬよりも苦痛であろう。
 勇者は、顔をゆがめる。
 言ってやりたかった、そんなお前でも俺はかまわないと、
 ほかの誰が何を言おうと守ってやると。
 ただ、勇者の口からは猿ぐつわを伝って唾液が漏れるのみで、声は液にまみれどこにも響くことはなかった。

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:52:17.05 ID:0i+UKr460
……
「ぴー、ぴー」
「そう怖がるなよ、友達になろう」
……
「ぴー」
「いて、ははは、かみついてくるとは、いい度胸だ」
「ぴーっ!」
「いててて、このやろう」
……
「ぴー」
「そんな顔するな、すぐ戻ってくるから」
「ピー…」
「馬車の事、たのんだぞ」
……ピィ 
勇者「……」
 囁きかけるような鳴き声に、勇者はぼんやりと目を開ける。
 目の前、青い体のスライムがいる。
勇者(スラきち…)
 こんなところまで来たのか……
 体中の筋を削がれ、もはや動くことすら出来ない勇者。
スラきち「ぴぃ」
 スライムは、悲しそうな顔でこちらを見る。
 捕まって……どれくらいたった……みんなは……
 久しぶりに見た仲間の姿に、勇者は心にわずかな余裕を取り戻していた。
 勇者になってから出会った友達……、まだ魔王の事も、魔物の事もよくわかってなかった頃。
 その見た目のかわいさと、負けん気の強そうな目に惹かれ、つい構っていたら、仲間になった、唯一の魔物。 そして女神の加護を受けた魔物でもある。
 しかしスライムにおける女神の加護の伸びしろは人ほど長くはなかったらしく、俺たちが成長を続ける中、早期にスラきちの成長の限界は訪れてしまった。
 そこらの魔物には負けないだろうが、音速戦闘が行えるレベルに達する事はなかった。
 だけど
勇者(今の俺を殺せる攻撃力くらいは……ある)
 勇者は、目で訴える。
スラきち「……」
 スラきちは、黙って勇者を見つめた。
 勇者とスライムは、しばらくお互いを見つめ合った。
 そして
 スライムの牙が、勇者の喉を食いちぎった。

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:53:45.53 ID:0i+UKr460
ーー……
神官「……勇者」
 教会、ステンドグラスからそそぐ光に目を細め、勇者は静かに、自由の利く体を噛みしめた。
いつぶりの自由だろうか
勇者「今何時でしょうか? すぐにでも王に報告したいことが……っ」
 しゃべり、動き出そうとした勇者はその場にかがみこんでしまった。
神官「勇者、大丈夫か?」
勇者「大丈夫です、少し体に違和感があるだけですので、それよりも、早く王に報告したいことがあります。ことは一刻を争うのです」
神官「…うむ、わかった。司祭、事情は分かったな? すぐに城へ向かいなさい。私は勇者の介抱をする」
 近くにいた若い司祭の男がうなずいた。
司祭「…わかりました」
勇者「いえ、俺が…」
神官「勇者、あなたは疲れているのです、死んだばかりだ、無理もない、とにかく一度腰を落ち着け、何か温かいものを飲んでから、城にむかいなさい」
勇者「しかし……」
神官「みなさい、体が震えているではありませんか、今シスターに温かい飲み物を用意させます、それまでおとなしくしているのです、いいですね?」
勇者(確かに……体も思うように動かないし、気分も悪い…)
勇者「……わかりました」
 勇者は、教会の椅子に座ると、一度大きく息を吐いた。
勇者(スラきちは…うまくやっているだろうか、それとも…俺が最後なのだろうか?)
勇者「神官さま、私の仲間はこちらにいらしているでしょうか?」
神官「!…今はそんな事よりも、自分の回復に努めなさい」
勇者「神官さま、そんな事ってどういうことです? 何かご存じなのでしょうか?」
神官「後で話ます、今はとにかく気を落ち着けなさい」
勇者「いえ、今すぐ教えていただきたい、私の仲間は、何人、こちらに来しました?」
神官「……一人……です」
勇者「誰です?」
神官「……僧侶が、あなたの来る5時間ほど前に」
勇者「! 彼女は今どこに?」
 勇者はふらつきながらも立ち上がった。
神官「会わない方がいい」
勇者「!? なぜです? まさか醜い姿で転生されたとか?」
神官「いや、女神の転生を経れば、肉体に対する傷も呪いも正常状態時に戻ります」
勇者「! ではなぜ!?」
神官「心です、彼女の心は……壊れてしまっていた」
勇者「……!」
神官「もはや意思の疎通はとれず、日常生活は不可能、あんなに信仰熱心な子だったのに……残念だ」
勇者「合わせてください」
神官「勇者よ…」
勇者「お願いします」
神官「……」

19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:55:54.35 ID:0i+UKr460
僧侶「あー」
勇者「……」
 教会の個室で、床にペタリと腰をつけ、だらしなく涎を垂らしながら、彼女は天井を見つめていた。
勇者「…僧侶」
僧侶「うー…あー」
 僧侶は応えない、ただ天井を見つめてうめき声を上げる。
勇者「……」
 この5年の旅だってつらかった。
 辛いことがたくさんあった。
 でも、みんなで協力して乗り越えることができたんだ。
 でも……でも
 あんな……拷問を受けたことはなかった。
 死ぬ方がマシと思えるようなことは……なかったんだ。
 仲間がいたから。
 体が動けたから。
 死んでも……教会で目覚めることができたから
 彼女も、信仰を捨てるよう、迫られたのだろう。
 でも、人一倍信仰の強かった彼女は、どんな拷問を受けてもそれを捨てることはしなかった。
 心を犠牲にしても……っ
 俺のおごりだ。
 俺の作戦ミスだ。
 死なないことにあぐらをかいた、俺のミスだ。
勇者「僧侶……すまない…ッ!」
 勇者は、うつろな瞳で天井を見上げ、ただ声を漏らす僧侶の前に項垂れた。

20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:58:59.15 ID:0i+UKr460
今日はここまで。 前回、魔力が魔翌力になるとは考えもしませんでした。
次も明日か明後日に投稿します。 
それでは

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:59:39.34 ID:lVm4i45Vo
乙なんだよ

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/03(水) 21:59:40.24 ID:aFOoipTeo


23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/04(木) 07:17:56.84 ID:Y8/VB2jGo
魔法使いつらすぎワロタ

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/09/04(木) 17:59:19.22 ID:UTq1gToA0
でも死んだら治る

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/04(木) 18:58:24.07 ID:/7bE4/aVO
死んだら呪いが解けるらしいけどもしかしたら解けないかもしれないからな…
さてどうなるのか…

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/04(木) 19:04:56.19 ID:hK7oz+Y5O
死んでも治らないと言っておろうに

29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/09/04(木) 20:34:49.75 ID:lZn7fQPP0
 魔物の出現と同時日発生したウイルスは、研究の結果、微生物型の魔物であることがわかった。
 このウイルス型の魔物は《オルガ》と名付けられた、オルガは魔物の体内では無害であり、また魔物の呼吸から外にでたオルガは大気に触れた瞬間死滅してしまうほど弱い。しかし、魔物の牙や体液を通して人間の体内に侵入することがある。
 そして人間の体内に侵入するとオルガの構造が変化するのである。
 変異したオルガは性質が変わり、宿主の人体を攻撃すると同時に、魔物の体内時とは比べ物にならない速度で増殖を始める。また、人間の呼吸から空気中にでた変異オルガは、すぐに死滅することなく他人の体内に侵入できるようになる(なお、その状態で魔物に感染しても魔物に対しては無害である)。
 人間の体内に侵入したオルガは一週間徐々に体を破壊し、やがて全身に死ぬほどの痛みをもたらした後に宿主を絶命させる。
 オルガは、教会の研究により、人の体内に巣くうオルガのみを破壊を可能とする魔法を生み出すことで、人類は絶滅の危機を回避することができたが、病原の発生元は、魔物であるため根本的な解決には至らず、治癒魔法が開発された現在でもいまだに年間で1000人を超す死者が発生する。

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/04(木) 20:39:16.47 ID:lZn7fQPP0
 戦士、魔法使いが来るのを待った勇者であったが、一向に来る気配はなく、城から派遣された兵士が勇者を迎えに来たため、勇者は後のことを神官に任せ、一時城へ向かうこととした。
 会議室
 楕円型のテーブルを囲むように、国の重鎮たちが勇者の話に耳を傾けている。
 勇者は、魔王城への旅路や、魔王と実際に戦った経験を通して話をした。
勇者「……五年の旅の中でまず感じたことは、魔王城へ近づくにつれ、魔物が強くなっているということでした」
勇者「その疑問も、魔王と戦闘をした今ならば理解できます、おそらく魔王城を中心に魔族を強化する空気のようなものが放出されているためでしょう、つまりあの、私たちを蹂躙する力を持つ魔王も、城から離れてしまうと本来の力は出せないと考えられます、そうでないのなら、魔王自らが世界を滅ぼすこともできたはずです。加えて、魔王城から最も遠いこの国がもっとも被害が少なかったことも説明できます」
参謀長「しかし、弱体化するといってもどの程度なのか、君たち勇者一向を屠る力など、弱体化したところで我々にとっては脅威以外のなにものでもない」
勇者「そうですね……しかし、ここで魔王にはもう一つの問題が発生します」
参謀長「もう一つの問題?」
勇者「ええ、魔族との戦闘中にも感じたことなのですが、魔王と直に戦ったことで確信しました。魔族は、神系の魔法を使うことができない」
参謀長「神系の魔法……回復魔法……空間移動魔法のことか」
勇者「そうです、拷問を受けている最中、魔王の姿を確認しましたが、私たちとの戦闘で受けた傷はまだ残っていました。この事実からも信憑性はかなり高いです。傷を治さない理由はありませんからね。 つまり神系魔法である転移呪文を持たない魔王は、ここまで攻め込むには自分の体で行くしかない。おそらく魔王城からこの国まで、どんな移動手段を用いようと1年は要すると考えられます。しかしこちらには空間移動魔法がある、魔王が留守にしている間に魔王城を落とされるリスクを、魔王が犯すとは考えずらいかと」
参謀長「うむ……では仮に、軍を率いて魔王が攻めてきたとして、その戦闘能力はどれほどになると考えられるか?」
勇者「オルガの感染能力から割り出せるのではないかと、思っています、参謀長、オルガの感染率は、魔王城から近い町と、この国でどれほどの差がありましたか?」
参謀長「確認できる範囲ではおおよそ、1000分の1ほどであったと記憶している」
勇者「だとすれば……国の全軍でなんとか対応できるレベルではないかと思われます」
参謀長「うむ……なるほどな、ならばさっそく準備に取り掛かるとしよう」
勇者「…では、私はこれで」
王「待て、勇者よ」
 今までずっと黙って話に聞き入っていた王が突然口を開いた。
勇者「は」
王「これから、どうするつもりなのだ?」
勇者「どう……と言われましても、まず教会へ行き、仲間の安否を確認します、もしまだ戻ってこないようならば、今すぐにでも転移魔法で乗りこみ、仲間を助け、そして魔王を討つつもりです」
王「…女神様の加護の効力は、すでに限界を迎えていると聞いているが」
勇者「…はい、その通りです、一か月前、教会でお告げを聞き、もうこれ以上強くはなれないと告げられ、それは先ほどお告げを聞いた時も同じでした」
王「さらに言えば、伝説の装備もすべて失ったのであろう?」
勇者「はい、装備をすべて外された状態で転生したので、今、私のもとに伝説の装備はありません」
王「…また捕まったらどうするつもりなのだ?」
勇者「もちろん、策があります」
王「う……うむ…」
勇者「もう行っても?」
王「…うむ……武運を祈っておる」
勇者「はっ、見事魔王を倒して見せます」
 勇者は一礼すると会議室から出て行った。
王「……」

31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/04(木) 20:42:50.99 ID:lZn7fQPP0
勇者「…!」
 城を後にした勇者の前に、三人の男女が待ち構えていた。
魔法戦士(男)「……」
武道家(男)「お待ちしていました、勇者さま」
賢者(女)「ぜひ私たちを、魔王討伐に連れて行っていただきたいと思っています」
勇者「……君たちでは、無駄死にするだけだよ」
 勇者は、そういうと三人を横切り歩く
魔法戦士「待てよ」
 勇者の前に立ちはだかり、彼は言葉を続ける。
魔法戦士「そら、加護を受けたあんたにとっちゃ、俺たちなんて、戦力にならないかもしれねぇ、だけど、その加護とやらを俺たちにも授けれくれりゃあ、話は変わるんじゃねぇのか?」
賢者「そうです、勇者さま、勇者様の仲間と同じように、私たちにも勇者の加護をお授けください。必ず力になって見せます」
勇者「……、三年だ」
武道家「え?」
勇者「戦士、魔法使い、僧侶が、加護の力を得たのは、俺が勇者になってから三年たったころだった」
賢者「……どういうことです? 加護は…勇者様が任意にお与えになっているのではないのですか?」
勇者「そう都合よくできるなら、全人類に加護を授けているよ」
魔法戦士「……」
勇者「俺から加護を与えられる者は、俺と長く時間を共にし、かつ俺の信頼を得ている者ってのが俺の結論だ、多分だが、女神への信仰とは別に、俺への信仰を求められるんじゃないか?」
武道家「でしたら、我々も負けていません! 勇者さまのことは誰よりも尊敬していると自負しているつもりです」
勇者「理想の俺を信仰しても意味なんかない。今の仲間とは、小さいころからの付き合いだった。それでも、俺が勇者になってから3年たって、加護の力を得た、この意味わかるか? そもそも俺は与えるという意識すらなかったってことだ、もちろん、今の俺にそんな長いこと悠長に待ってる時間はない」
 そもそも魔王の前では、また新しい仲間を作ったところで同じことの繰り返しにしかならないだろう
賢者「…そんな」
魔法戦士「……だが、あんたのサポートくらいはできるはずだ」
勇者「…あきらめが悪いな」
魔法戦士「当然だ! 俺たちは家族をオルガや魔物に殺されたんだ、その仇を討つために、今まで血反吐を吐いて、特訓を続けてきた! 魔王討伐の為に死ねるのなら本望、頼む勇者様、大した力にはなれないかもしれない、しかし、魔王への隙をつくるくらいはできるはずだ」
 武道家も、賢者も強い眼差しで勇者を見つめる。
勇者「……はぁ、わかった」
 魔法戦士、武道家、賢者の顔がほころぶ。
勇者「ただし、俺に触れることができたらな」
魔法戦士、武道家、賢者「!」