Part6
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:41:05.34 ID:
UtAJP8oxo
魔軍師「そもそも異界から帰って来れるという保証がございません」
魔軍師「扉を開けたはいいが、帰りは開かない、となればこちらには二度と戻ってこれないのですぞ」
魔王「だからこそ、余が行くのだろう。世界広しと言えど、時空魔法を使えるのは余だけだ。いざとなれば時空に穴をこじ開けて帰って来れる」
魔王「代償として恐らく寿命を百年ほど失うだろうがな。禁術に手を出してそれで済めばもうけものだ」
魔軍師「……いくら魔王様の寿命が長いとは言え、命を縮める様な魔法は。リスクが高すぎます……」
魔軍師「どうか思いとどまって頂けないでしょうか? 今の状況はそれほど厳しい訳ではありません。そこまでリスクを背負って異界へと行くメリットは……」
魔王「……魔軍師」
魔軍師「はい」
魔王「勘違いするな。余はただテーブルについて料理が出てくるのを待つだけの客ではないぞ。獲物は自ら狩りに行く」
魔王「メリットなど二の次だ。余は王である前に征服者なのだ。わかったら、これ以上は口を挟むな」
魔軍師「……左様ですか。承知しました……」
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:42:18.30 ID:
UtAJP8oxo
魔軍師「ならば、せめて供には側近をお連れ下さい。あやつは守りに秀で、忠誠心が厚き者。必ずや魔王様の良き盾となりましょう」
魔王「ああ、余もあやつを連れていくつもりでいた。心配には及ばぬ」
魔軍師「はっ。ならば、先程の命令にあった新兵どもに指示を与えた後、異界行きの儀式の準備を整えさせます」
魔王「うむ」
魔軍師「それでは、私はこれで」ペコリ
魔軍師「」スタスタ
ガチャッ、バタンッ……
魔王「異界か……。久々に腕が鳴るな……」
魔王「ふっ、ふふはははははっ。これはこれで心踊るというものだ」
魔王「この一策で、一気に竜王との片をつけてやろうではないか。首を洗って待っていろ、竜王!」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:47:09.81 ID:
UtAJP8oxo
ー 訓練場 ー
魔軍師「それでは、これよりお前たち新人五名に魔王様からの命令を伝える。心して聞くように」
闇死霊「はい……」
【死神の使い】(人型・霧状)
『体力 :134977
攻撃力: 7198
防御力: 16127
魔力 : 23346
素早さ: 17271』
焔鳥「SIGYAAAAAA!!!」
【不死鳥】(全長41メートル)
『体力 :271840
攻撃力: 13319
防御力: 5044
魔力 : 9106
素早さ: 17676』
クラーケン「URYYYYYYY!!!」
【烏賊の王族】(全長39メートル)
『体力 :131347
攻撃力: 9930
防御力: 22044
魔力 : 11665
素早さ: 7673』
琥珀蝶「…………」バッサ、バッサ
【神秘の幻蝶】(全長34メートル)
『体力 :128290
攻撃力: 9625
防御力: 7411
魔力 : 23697
素早さ: 15732』
雷獣「GAOOOOOOO!!!」
【破滅の魔獣】(全長52メートル)
『体力 :208724
攻撃力: 18050
防御力: 10437
魔力 : 8502
素早さ: 12140』
魔軍師「うむ」
【不敗の名将】(身長177センチ)
『体力 :129万
攻撃力: 13万
防御力: 27万
魔力 : 45万
素早さ: 18万』
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:48:53.00 ID:
UtAJP8oxo
魔軍師「お前たちはこれから南に向かって進み、妖魔の森を抜けて、人間どもを全滅させてもらう」
魔軍師「人間の国は五国あるから、それぞれが一国ずつ担当せよ」
魔軍師「手を抜かず、必ずや全滅させる事だ。一人も生かしておくな」
雷獣「GYAOOOOOOOOOON!!」
ビリビリ…… (大気の震え)
魔軍師「なお、わかってるとは思うが、妖魔の森を横断する時は必ず西側を通る様に。東側は竜の支配下だからな。もしも遭遇したら、今のお前たちの実力じゃ瞬殺されるだろう」
闇死霊「……理解」
魔軍師「では行け。一週間もあれば足りるはずだ。それまでに任務をこなして帰って来るように」
闇死霊「……はっ」フワッ (暗黒の霧となって移動)
焔鳥「SIGYAAAAAA!!!」バッサ、バッサ (全長41メートル)
クラーケン「URYYYYYYY!!!」ウネウネ (全長39メートル)
琥珀蝶「…………」バサバサ、バサバサ (全長34メートル)
雷獣「GAOOOOOOO!!!」ダダッ (全長52メートル)
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:50:41.20 ID:
UtAJP8oxo
ー 北の国、北東部、小さな村 ー
大賢者「流石にここまで来ると寒いな……。手が凍りそうだ」ハァ…… (息を吹きかける)
大賢者「防寒着もきちんと買っていかないとまずいな……。食料の前にそっちから先に行くか……」テクテク
占い師「ふぇっふぇっふぇっ。そこのマントをかぶったお兄さんや」
大賢者「?」
占い師「そう、そこのあんたじゃよ。他にはいないじゃろうに」
大賢者「……僕に何の用かな、お婆さん?」
占い師「あんた、普通の人とはどこか雰囲気が違うからね。悪い意味で言ってるんじゃないよ、オーラを感じるんだよ」
占い師「袖すり合うも多生の縁って言うじゃないか。興味がわいたから、ちょいとタダで占ってやるよ」
大賢者「占いですか……」
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:51:36.50 ID:Ntxc+WSQO
どうすりゃいいんだ…
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:51:39.19 ID:TKI8rHFAO
敵強すぎだろ。
こりゃあ商人のアイテムに期待だな。
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:51:47.49 ID:
UtAJP8oxo
大賢者「すみませんが、遠慮しときます。それ、よくある手ですよね? そう言ってろくでもない予言をして、その後、この御利益の高いお守りを買えば回避出来る……って言ってくるつもりなんでしょう?」
大賢者「一種の詐欺です。その手に乗る気はないですよ」ニコッ
占い師「あらまあ、なんちゅう事を言うんだかね、このボウズは。人が善意で占ってやろうって言ってんのにさ」
占い師「ほんと、最近の若いもんはすーぐにこれだ。人の好意を平気で踏みにじって、更には小賢しい事を言って逆に得意気なツラしてさ。まったく、嫌な世の中になったもんだね」
占い師「ああ、いいさ、いいさ。どこへなりともお行きよ。見所ありそうだと思ったのに、あたしのとんだ勘違いだったよ。ったく」ブツブツ
大賢者「わかった、わかりましたよ。それならどうぞ、是非お願いします」(苦笑)
占い師「もう有料だよ。そんでもいいって言うなら占ってやるがね」
大賢者「ホント、商売上手ですね。わかりました」
大賢者「はい、これ。銅貨四枚でいいですか? それぐらいが相場ですよね」スッ
占い師「あたしゃ、当たる事で有名なんだ。銅貨は七枚だよ」
大賢者「わかりました。じゃあ、もう三枚どうぞ。さ、お願いします」スッ
占い師「毎度あり。ふぇっふぇっふぇっ」
大賢者「参るなぁ、本当に……」(苦笑)
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:52:40.70 ID:
UtAJP8oxo
占い師「それじゃあ、お兄さんや。この200枚のカードの中から適当に4枚引いておくれ。それがお兄さんの運命だ」
占い師「このカードにはあたしの魔力が込められてるからね。純粋に未来だけを導き出す。そこには運や気まぐれが入る要素はないよ」
占い師「お兄さんが引く4枚は自分で選んだものじゃない。未来が導いた4枚だ。わかったなら、さあ、引いておくれ」スッ
大賢者「……じゃあ、これと、これと、これと、これ」スッ
占い師「………………………………」
大賢者「ん? どうしたの、お婆さん。そんな深刻そうな顔して」
占い師「…………あんた、これはまずいよ。……だって、あんたが選んだカード…………」ブルブル
『恐怖』 『死神』 『墓場』 『時計』
占い師「最後に引いたのが時計ってのが、更にまずいんだよ……。四枚目の時計は、時間の無さの表れだ……」ブルブル
占い師「あんた……近い内に、何かに巻き込まれて死ぬよ。こんな危ない予言出たの初めてだよ……。どうすればいいかあたしにだってわからないよ……」ブルブル
大賢者「…………」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:53:36.14 ID:
UtAJP8oxo
大賢者「えっと……」
大賢者「それって、やっぱり、僕が最初に言った通りの結果で……」
大賢者「ああ、結局、僕は騙されちゃったって事か……。参ったなあ、降参です。こういう駆け引きとか自分では得意だと思ってたんだけどな」(苦笑)
占い師「違う……! 女神様に誓って言えるけど、この予言は本物だよ! あんた、今すぐどっか遠い町にでも行った方がいい!」
占い師「予定があるんなら、それは全部変更しな! でなきゃ、本当に死ぬよ!!」
大賢者「わかりました。参考にしておきますね」ニコッ
占い師「違う! あんた、全然わかってないよ!! 嘘じゃないんだ! 本当なんだよ!」
大賢者「そう言われましても……」(頬をかく)
大賢者「生憎、僕は寿命以外では絶対に死なない自信があるんで」ニコッ
【大賢者】
『体力 :5254
攻撃力: 12
防御力:8296
魔力 :9999
素早さ:6238』
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:54:26.60 ID:
UtAJP8oxo
占い師「冗談言ってないで、あたしの忠告をお聞き! ちょっとばかし、腕に自信があったって、それが完璧って訳じゃないんだよ!」
占い師「世の中にゃ、あんたみたいな若いのが想像も出来ない様な怪物もいるし!!」
占い師「想像もつかない様な、不運や出来事だってあるんだ!!」
占い師「黙ってあたしの忠告をお聞きよ!! この跳ねっ返りが!!」
大賢者「わかりました。心に留めておきますよ」ニコッ
大賢者「それでは、僕はこれで……」クルッ、スタスタ
占い師「ちょいとあんた! これからどこ行く気だい!?」
大賢者「装備を整えて、北に向かいます」スタスタ
占い師「こっから北って……」
占い師「あんた、何にもわかってないじゃないか!! そっちには妖魔の森があるんだよ!!」
占い師「人が生きて帰って来れる場所じゃない!! そんなとこへ、一体、何しに行くんだい!!」
大賢者「軽く腕試しです。勇者が現れたって話を聞いたのでね」ニコッ
占い師「!!?」
大賢者「それでは……」スタスタ
占い師「この……馬鹿男が……!!!」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:54:55.00 ID:
UtAJP8oxo
ここまで
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:55:36.23 ID:ksNTm7ouO
想像以上に魔法使いが硬かった
乙
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 18:57:38.84 ID:UHhcQBRT0
読者「魔物TUEEEEEEEEEEEEEE!!」
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 19:13:37.50 ID:+TkYvB2io
敵TUEEEEEEEEEEEEEEEE!!
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 19:32:16.29 ID:8QKzbpy2O
読者「作者TUEEEEEEEEEEEEEE!!」
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 19:57:27.73 ID:Z10llEKz0
(敵の)仲間TUEEEEEEEEEE
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/24(水) 18:49:57.03 ID:
rJic2Cgyo
ー 北の国、王都
『七つ星大商会』本店三階
冒険用品売場 ー
大商人「はい、いらっしゃい、いらっしゃい。七つ星印でお馴染みの魔法銃がズラリと揃ってるよ。これを売ってるのはうちの商会だけだよ。他にはないよ」
大商人「魔力を使えない人でも平気な代物だよ。誰か魔法が使える人にこの特製の弾を持ってもらって、後は魔法を唱えてもらうだけ。すると、その魔法が弾に込められて、引き金を引けばこの銃から飛び出すって便利な代物さ」
大商人「弾さえ事前に用意しときゃ、魔力を気にせず何度でも撃てるし、射程距離だって普通の魔法の四倍はあるって優れものだよ。今じゃどこの国でもこの魔法銃が正式採用されて大人気だよ」
大商人「旅の必需品だし、弱い者の味方さ。値段もお手頃価格になって販売中だ」
大商人「弾は一発につき、銅貨4枚。ラム酒1瓶と同じ値段だ。だけど今日は勇者様旅立ち記念バーゲン中につき、特別に銅貨3枚で売っちまうぜ。さあ、持ってけ泥棒」
大商人「銃本体も、銀貨4枚ポッキリの大特売だ。これだけ安値なのは今日だけだぜ。さあ、買った買った」
大商人「今ある分だけの限定特別価格だ。後になって無くなってても知らないよ。今しかチャンスはないよ」
※『通貨のおおそよその日本円換算』
銅貨1枚→250円
銀貨1枚→5万円
金貨1枚→50万円
なお、通貨の価値は国や質によって微妙に変動する。
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/24(水) 18:51:14.86 ID:
rJic2Cgyo
アリガトウゴザイマシター!!
若者「ヤベエ、ついつい買っちまった……。だけど、これさえあれば、魔物とか襲われた時、役立つだろうし……」スタスタ
大商人「おっと、毎度ありぃ! お兄さん、今日は良い買い物したよ。また来てくれよ」
大商人「もしも、高度な魔法を弾に込めたいって思ったら、この通路を真っ直ぐ行った専用の魔法屋に行ってくれ。熟練の魔法使いが待ってるからさ。そっちも今日は特別価格で営業してるよ」
大商人「はい、いらっしゃい、いらっしゃい。今日は特別バーゲン中だよ。安いよ、安いよ」
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/24(水) 18:52:17.39 ID:
rJic2Cgyo
女大富豪「」スタスタ
秘書「」スタスタ
大商人「はい、いらっしゃい、いらっしゃっい。そこの美人なお嬢さんもナイスミドルな紳士も是非見ていってくだ……か、会長!?」
女大富豪「うん。ちょっと立ち寄ってみたとこ。自ら売り込み、御苦労様。店長」
大商人「は、はい!!」ペコペコ
秘書「どうも。御無沙汰してます」ペコリ
大商人「はい! 秘書の方も、お元気そうで」ペコペコ
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/24(水) 18:53:13.37 ID:
rJic2Cgyo
女大富豪「それにしても、やっぱり手慣れたものね。本店の店長ともなると、何をやらせても一流。さっきから見ていたけど、お客さんの食いつきが違ったから」
秘書「ええ、本当に」
大商人「あ、ありがとうございます!」ペコッ
女大富豪「でも、今日はどうしてまた売り込みなんて?」
大商人「はい。バーゲン初日という事で、店員全員の気合いを乗せる為にと。現場に出ないとわからない事もありますし」
女大富豪「なるほど……流石だね。ちなみに、売り上げはどう? 今月も好調?」
大商人「ええ、そりゃもう。やっぱりこの魔法銃の量産化が効いてますね。ここまで安く出来たら、国相手だけでなく一般にも販売出来ますし」
女大富豪「地道な研究開発がようやく実ったからね。魔法銃の開発に5年、量産化まで3年、ずいぶん長い道のりだったけど……」
大商人「はい。ここからまだまだ上が見えますね。いくらでも上っていけそうなぐらいに」
女大富豪「そうだね。その為にも、あなたには期待しているわ」ニコッ
大商人「ありがとうございます!」ペコッ
秘書「引き続き、この店を宜しくお願いしますとの事です」
大商人「はい! ありがとうございます!!」ペコペコ
商人B「おい……。あの店長がめっちゃ嬉しそうに頭下げてるぜ……」ヒソヒソ
商人C「何者なんだ、あの二人……?」ヒソヒソ
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/24(水) 18:54:19.38 ID:
rJic2Cgyo
女大富豪「それじゃあ、私はこれから寄るところがあるから。悪いけど、これで」
秘書「失礼しますね」
大商人「はい! お気をつけて!」ペコッ
女大富豪「ふふ。大丈夫よ。護衛もいるしね」
秘書「…………」
【秘書、兼、ボディーガード】
『体力 :182
攻撃力: 61
防御力: 64
魔力 : 38
素早さ: 69』
大商人「それもそうですね、要らぬご心配を」
女大富豪「ええ。それじゃあね」クルッ、スタスタ
秘書「では」ペコッ
大商人「はい!! またのお越しをお待ちしてます!」ペコッ
商人A「おお……。最後までずっと頭下げ続けてるぞ」ヒソヒソ
商人B「……一体、誰なんだよ、本当に。店長があそこまで頭下げるなんて……。国のお偉いさんの娘か?」ヒソヒソ