2chまとめサイトモバイル
勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」
Part35


164 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:35:12.56 ID:UTIW4pM7o
ー 夜、宴会後
  約束の木の切り株近く ー
勇者「……楽しかったな、宴会。みんな喜んでくれて、祝ってくれて……」
勇者「お墓参りも済ませたし……。魔老師さんにも、俺の両親にもきちんと報告する事が出来た……」
勇者「ついこの前まで、こんな事、想像もしなかったな……。でも、本当に魔王を倒したんだよな……俺」
勇者「あっさり過ぎるぐらいに終わっちゃったから、感慨はあまりわかないけど……」
勇者「……でも、こうして祝われたり、報告したりすると、その実感が少しずつわいてくるから不思議だな」
勇者「素直に嬉しい……。それがどんどんはっきりした形になっていって……」
勇者「今まで魔王を倒す事を目標にしてたけど、実際はそうじゃなかったんだってのがよくわかるや……」
勇者「俺はきっと……」
勇者「魔王を倒したその先にある、平和な世界が欲しかったんだ……」
勇者「みんなが、ずっと楽しく笑顔でいられるようなそんな世界が……」

165 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:37:45.89 ID:UTIW4pM7o
「いかにも勇者らしいな」
勇者「?」クルッ
剣聖「よう、酔いざましに外に散歩に出たって聞いたからな。俺も出てきたよ」
勇者「剣聖……」
剣聖「平和か……。確かにそれが一番だよな。師匠もよくそんな風に言っていた。争いは人を悲しませるだけで他には何も生み出さないってな」
勇者「うん。その通りだと思う。平和が俺は好きだよ。もっと言えば、人の笑顔が好きなんだ」
勇者「子供の頃に散々泣いたり、泣かされたりしてきたからかな……。泣くのが嫌でさ。自分だけじゃなく、誰かが泣いてるのを見るのも辛いよ」
勇者「だから、みんなが仲良く出来たらそれが一番だと思う。そして、そうなる様にしていきたい」
剣聖「師匠の教えを受けてないのに、師匠の教えを知る、か……。流石は勇者だな。俺では多分そうはいかないだろうからな」
勇者「そんな事ないよ。立場が逆だったら剣聖もきっと俺と同じ事を思うんじゃないかな」
剣聖「どうだろうかな……。俺がもしも子供の頃、勇者の境遇に立たされていたら、ひねくれて暴力に走ってそのまま育ちそうな気がするからな」
剣聖「勇者みたいに、人の辛さや痛さがわかる人間にはならなかったと思う。今でもどうだか。その自信がないしな」
勇者「そんな事はないよ、剣聖は立派だよ」
剣聖「いや……この歳になって、更には国王にもなったってのに、未だに俺は半人前だ。成長すればするほど師匠の偉大さが身に染みる日々だよ」
剣聖「これまでした失敗は数多くあるし、後悔はその倍以上あるからな。今日の事にしたってそうだ」
勇者「今日?」

166 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:39:06.13 ID:UTIW4pM7o
剣聖「ああ、勇者がいない事に気が付かないまま、俺達だけで盛り上がっていた事だ」
勇者「ああ、なんか宴会の時、みんなからも似たような事を言われて、また謝られたっけ。全員、気にしないでって言っておいたんだけど……」
剣聖「酒も入ってて感情が出やすかったんだろう。みんな、許してもらったとはいえ、まだ気にかけていただろうからな」
勇者「前も言ったけど、正直、あの時の事を俺はほとんど覚えてないから、いいんだけどね。みんなが助かってほっとした事しか記憶にないし……」
剣聖「とはいえな。勇者はそれで良くても、俺自身にはわだかまりというか、しこりが出来てしまっているからな」
剣聖「だから、今からけじめをつけさせてくれないか、勇者」
勇者「けじめ?」

167 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:39:55.81 ID:UTIW4pM7o
剣聖「ああ、俺を一発殴ってくれ。勝手な言い分かもしれないが、それですっきりさせたいんだ」
勇者「殴れって……。やめようよ、剣聖。そんな事しなくても」
剣聖「いや、頼む。それで俺は今回の事にけじめをつけるつもりだ。そういう気質だからな」
勇者「そういえば……昔もこんな事が一回あったけ。子供の頃にさ」
剣聖「ああ。あの時も最初は勇者は拒否したけど、最終的には一発殴ったよな。だから、今回も頼む」
勇者「……わかった。なら、これでお互い忘れようか。もうこの話はなしで」
剣聖「ああ。そのつもりだ。だから、勇者。手加減とかせずに、思いっきりいってくれよ」
勇者「うん。じゃあ……」スッ (構える)
剣聖「おう」(歯を食い縛る)
「行くよ!」
「来い!」
「せーのっ!!」
ズガゴラバキボキガッキーーーーーンンンンッッ!!!!!!!
「ごぶがらぎぶごふごあああああああああああああああああああああっっっ!!!!」
ヒューン……キラーン!!!
「け、剣聖ーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」

168 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:40:40.48 ID:UTIW4pM7o
その日、夜空に一つの流れ星が舞った。
それを眺めた人の何人かは、揃って夜空に向けて似たような願い事をした。
「この平和がずっと続きますように……」
その願いはきっと叶うだろう。
勇者と、その勇者の仲間達がいる限りは、永遠に……。

169 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:42:45.63 ID:UTIW4pM7o
残された記録によると、勇者達の旅はここで終わりを迎える事になる。
勇者は途中でなついた天海竜と共に王都へと戻り、しばらく経った後で姫と結婚式を挙げた。
その後は、王族の一員として勇者として、教育制度や福祉制度の改善、軍から離脱したはぐれ魔物への対処などに尽力を注いだ。
剣聖は東の国へと戻り、王として再び政務に取り組んだ。後に東の国は完全な立憲君主制の国家へと変わる。
聖女は中央国へと戻り、女と共に教会の悪しき風習や規則を一新した。その後は妖魔の森へと旅立ち、そこで竜と暮らす道を選択する。
女闘神はアジトへと戻り、海賊団を解散させて新しく巨大な貿易商会を立ち上げる。
真魔王は異界へと戻り、そこで変わらず魔法の研究と開発の日々を過ごした。
女大富豪は各国を旅しながら、魔物がいなくなった為にこれから必要とされるであろう、街道の建設や整備、交易事業、交通事業、観光事業などに精力的に着手した。
全員が全員とも、自分の責務を果たし、平和でより良い世界を作る努力を惜しまなかった。
その傍ら、修行や訓練・研究や開発も怠る事なく、自身を磨き続けた。
そして、三年後……。

170 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:43:50.67 ID:UTIW4pM7o
ー 山奥の村、牧場奥の謎の洞窟前 ー
名馬「」パッカ、パッカ
勇者「どうどう」
名馬「」ヒヒーン
勇者「ここに来るの、懐かしいな。全然変わってないや」ストッ
名馬「」バルルッ
「あ、来たよ! 勇者ぁー!!」
勇者「久しぶり、みんな! 元気にしてた!」

171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 18:44:26.32 ID:ncYJUN680
勇者より強くなってるんだろうな

172 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:45:13.47 ID:UTIW4pM7o
剣聖「ああ、この通り元気だ! 勇者も元気そうで何よりだな」
【天下無双の大剣聖】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 魔力 :9999垓
 素早さ:9999垓』
聖女「うん! わたしも元気だよ! 勇者だけなかなか会えなかったから寂しかった」
【竜に愛されし大聖女】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 聖力 :9999垓
 素早さ:9999垓』
女闘神「子供が生まれて大変だったのはわかるけどさ! あたしらの事も気にかけなよ!」
【武を極めし女大闘神】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 魔力 :9999垓
 素早さ:9999垓』
真魔王「みんな、勇者になかなか会えなくてがっかりしてたんだからさ」
【異界に君臨せし超真魔王】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 魔力 :9999垓
 素早さ:9999垓』
女大富豪「だよね。集まる度にまた勇者がいないんだってみんな残念がってたんだから」
真魔導機神「」…… (全長49メートル・人型)
【最終決戦兵器・真魔導機神ディスティニーエボリューションゴーレム、ミーティア装備】
『耐久力:9999垓
 火力 :9999垓
 装甲 :9999垓
 運動性:9999垓
 持続力:9999垓』
勇者「ごめん、各国を回る事が多かったし式典式典で都合がつかない時が多くてさ」
【伝説を超えし最強の勇者】
『体力 :8623京
 攻撃力:5807京
 防御力:5598京
 魔力 :4031京
 素早さ:5207京』

173 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:46:20.35 ID:UTIW4pM7o
魔学者「おや、揃ったようだね」
勇者「はい。魔学者さんもお久しぶりです」
剣聖「おじさん、ようやく前回の雪辱を果たせそうだぜ。俺もあれから修行して相当強くなったからな」
女闘神「あたしも! 三年前とは比べ物にならないぐらい強くなったよ! 今度こそ、倒してみせるから!」
聖女「うん! わたしも頑張って特訓したからね!」
女大富豪「私だって、前回より格段にパワーアップさせた機体を開発したんだから!」
真魔王「僕も新しい魔法を幾つも開発したよ。今度こそは必ず倒してみせるから」
勇者「俺もそうだよ。皆に負けないよう限界まで修行してきた。今回はそう簡単には負けないつもりでいるから」
魔学者「そうですか。それは頼もしい。ですが、そう簡単にはいきませんよ」
剣聖「いや、いけるさ。みんな、装備も一新してきたし、次こそは」
聖女「うん!」
魔学者「ふふっ。わかりました。期待してまた待っていましょう。頑張って下さいね」
勇者「それじゃあ、行こうか、みんな! これで本当に最後の戦いにしよう!」
「おーっ!!」
魔学者「」ニコニコ

174 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:47:01.84 ID:UTIW4pM7o
ー 洞窟奥、異空間
  地下1862階 ー
全てを超えし者『……そろそろあやつらが来る頃か』
全てを超えし者『再び絶望の狭間へと叩き落としてやろう……』

175 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:47:29.38 ID:UTIW4pM7o
ー 洞窟奥、異空間
  地下1863階 ー
真・全てを超えし者『……奴が倒されたら我の出番か』
真・全てを超えし者『どこまでやれるか、見届けてやろう……』
真・全てを超えし者『我が元まで来れればの話だがな……』

176 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:47:56.75 ID:UTIW4pM7o
ー 洞窟奥、異空間
  地下1864階 ー
絶・全てを超えし者『……奴らが倒されたら我の出番か』
絶・全てを超えし者『まだまだ当分はかかりそうだがな……』
絶・全てを超えし者『果たして生きてる内に我まで辿り着けるかどうか……』

177 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:51:18.62 ID:UTIW4pM7o
……勇者に関する伝承は相当数残されているが、その中のどれ一つとして、勇者達がこの様な際限なき戦いに挑んだという記録はない。
勇者の戦いは魔王で終わり、それ以降は訓練以外で一度も剣を振るった事がないとされる。
だが、『名もなき告白』によると、この終わりなき戦いは28年後まで続き、そこで勇者達一行は遂に最下層の魔物を仕留めたと記述されている。
なお、その頃には、勇者は完全についていけなくなり、仲間の帰りを洞窟前で待っていたとある。
勇者はその時の心境をこう綴る。
「寂しくなかったと言えば、嘘になる。でも、同時に誇らしくもあった。これだけ強い仲間達が、それでもこんな弱い俺をいつまでも慕ってくれているのだから」
『名もなき告白』は最後にそう締めて、「ありがとう」という言葉と共にその物語にピリオドを打っている。
果たしてこの書物は、空想で紡がれた物語なのか、はたまた現実にあった出来事なのか。それは最早誰にも判別がつかない。
勇者もその仲間達も、多くを語らなかったから。
後に残るは人の噂とそれをまとめた記録のみ。
ただし、この二点だけは間違いなくはっきりとしている。
一つは、この勇者パーティーが、歴史上最も強いパーティーだという事。
そして、もう一つは……。
彼等の働きによって、この世界は長い間、平和な歴史が続いたという事である……。
今でも人々は勇者達に対して感謝する心を忘れない。
この平和をありがとう、と……。
かくて勇者の偉業は、親から子へ、子から孫へと、永遠に語り継がれていく……。
FIN

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 18:51:53.00 ID:O3lFX7vCO
スーパーサイヤ人を越えたスーパーサイヤ人を更に越えたってあれがかわいく思えてきた

179 : ◆bXfZj5FIu6 :2016/04/09(土) 18:52:46.04 ID:UTIW4pM7o
長くなったけど、これで終わり
魔王倒したところで止めときゃスッキリ終われて良かったなと後悔。毎回、終わり方で悩む
何にしろお疲れ様

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 18:53:50.74 ID:Ecv7hSQeO
>>1OTUUUUUUUUUUUUUUU!!

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 18:58:24.09 ID:ioWK1NmAO
大変面白かった


182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 18:59:59.37 ID:u69P6gyhO


183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 19:00:06.90 ID:MEhrNiVAO
乙!
完走お疲れさまでした!
勇者も幸せそうで良かった!

184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 19:12:11.27 ID:Xdf+Ijxio
この物語をよくもまあ綺麗に終わらせられたものだ
乙でした

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 19:13:00.82 ID:H2rPPC72o
乙乙
素晴らしいインフレだった

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 19:14:14.02 ID:Mxa5FEYvO
乙、久々に作者SUGEEEEEEEEE以外の言葉が見当たらないssを見れたわ