Part16
489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:04:42.41 ID:
0AI19Bpuo
少年B「なあ、爺ちゃん! 爺ちゃんスゲー強いし、良かったら、俺らに稽古をつけてくれないか!」
少年D「あ、それいいかも。僕ら、強くなりたいんです。大きくなったら、みんなで魔王を倒しに行くって約束をしてるから!」
魔老師「ほうほう……。あのバカ魔王をか……。ああ、そりゃええかもな。うん、ええ事じゃ」
少女A「……? お爺ちゃん、魔物なのに、魔王は嫌いなの?」
魔老師「そりゃもう、嫌いじゃわい。あやつはとんでもない大バカ者じゃて。せめて魔界の統一までにとどめておけば良かったものをなあ……」
魔老師「煙のないところに、わざわざ火を起こしおって……。その為にどれだけ無駄な犠牲が流れた事か……」
少女C「うん……。あたしも魔王は大っ嫌い! あいつのせいで、みんな困ってるんだから! 人だって一杯死んでるし!」
少女E「柵を作ってその中で暮らす事になってるのも、魔王のせい……。町に行けば、読んだ事のない本とか一杯あるのに、滅多に行けないし……」
少女A「『勇者(名前)』にずっと会えなくなったのも……魔王のせい。魔物がいなかったら、きっと普通に旅して会いに行けるのに……」グスッ
魔老師「そうじゃなあ……。例えどれだけ強くなろうとも、その強さに溺れて周りを傷付ける様な事だけは絶対にしてはいかん……。優しい心を持つ者こそが、真の強さを持つ者じゃ」
魔老師「それに、修業だけでなく、勉学もせねばならん……。知識は人の器量を大きくする。物語は人の心を育てる……」
魔老師「それらも一生懸命勉強すると言うのなら……お前さんらに教えてやってもええぞ」
魔老師「強さとは、どういうものかをな……」
少年B「じゃあ!」
少女C「稽古をつけてくれるの!」
魔老師「ああ、ええとも……。いつか、本当に強くなって、それで魔王を倒すといい……。そして、世界に平和をもたらしとくれ……」
少年D「やった!」
少女E「ありがとね、お爺ちゃん!」
魔老師「代わりにワシの事は内緒じゃぞ……。魔物と仲良しになっとったら、きっと村のもんが誤解するからのう……」
少女A「うん! 大丈夫だよ。絶対に内緒にする」
490 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:06:35.44 ID:
0AI19Bpuo
ー 翌日 ー
魔老師「村の者には見つからんよう、ちゃんと出てきたかの?」
少年B「もちろん!」
少女A「大丈夫」
少年D「平気だよ」
少女E「」コクッ
少女C「まっかせて!」
魔老師「それでは、まずはこれからじゃな。ほれ」スッ
『少年少女はクワとスキを手に入れた!』
少女A「……?」
少年B「爺ちゃん、これ何だよ? 畑でも作るってのか?」
魔老師「うむ。まずは体力作りからじゃ……。畑を耕してこれを植えるのじゃぞ」スッ
『少年少女は、体力の種・力の種・守りの種・魔力の種・素早さの種を手に入れた!』
少女E「これ、何の種……?」
魔老師「ワシお気に入りの植物の種じゃ。茎や実は苦くて食えんが、種が美味でのう……。滅多にない貴重品じゃぞ」
魔老師「普通は栽培出来る様な代物じゃないんじゃが……長年かけてちょっと品種改良してやってな。種もかなり取れる様にしてやったわい。ここの土地はええ土地じゃから、きっと良い種が幾つも取れるじゃろ……」
少女A「じゃあ、まずはお爺ちゃんのお手伝いって事?」
少年D「授業料みたいな感じかな……。うん。ただで教えてもらうのも気が引けるし、やろうか」
少女C「だね! お爺ちゃんにも喜んでもらいたいし!」
少女E「がんばる……」
少年B「うしっ! 早速取りかかるぞ!」
魔老師「うんうん……。ほんにええ子揃いじゃなあ」ホロリ
491 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:07:49.13 ID:gq2VGWX8O
爺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!
492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:08:36.92 ID:
0AI19Bpuo
それから、五人の修業の日々が始まる……
魔老師「ほい、ほい。剣というものはじゃな、腕で振るのではなく、心で振るものじゃぞ」ペシッ、ペシッ
少年B「意味がわかんねえよ、爺ちゃん! あと、痛い! 痛いって!」
魔老師「お前さんは優しい良い心を持っておるな……。ならば、魔法なんぞに頼ろうとするな。慈悲の心こそが、真の回復魔法に通じる道じゃぞ」
少女A「????」
魔老師「ふぉっふぉっふぉっ。体を鍛えるなんぞ無意味じゃて。武道を極めようとするなら、まずは自然の声に耳を傾けてみ。筋力など不要になってくるぞい」ポーイッ
少女C「ふぎゃあああああっ!!」ヒューン
魔老師「まずは魔法ではなく、魔力そのものを出す事から始めようかの。これが出来れば、大体どんな魔法でも習得出来るようになるからの」
少年D「魔法じゃなくて……魔力??」
魔老師「お前さんは商人を目指すのか。なら、何よりも知識じゃろうて。昔話とか、偉人伝とか、民話とかそこらから始めて、果ては数学、経済学、帝王学、法学、経営学、生物学、科学、化学、魔法学、魔導学、まあそんなところを教えてやろうかの」
少女E「」
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:10:25.17 ID:
0AI19Bpuo
案の定、途中で村の人達に見つかってしまったが……
少女A「やめて! このお爺ちゃんは良い魔族なの! 悪い事なんてしないの!」
少女C「そうだよ! 爺ちゃん、何もしてないじゃないか!」
少年B「それに、爺ちゃんをここから追い出そうって言うなら、俺らも村から出てくぞ!」
少年D「父さん母さん、話だけでも聞いてよ!」
少女E「お爺ちゃんの話をちゃんと聞けばわかるから! ね!」
村人A「むう……。村長……どうする?」
村長「……とりあえず、子供らが向こう側についとるからな。催眠とかそんな類いかもしれんが、話だけでも聞くしかなかろう」
神父「……ですが、もしもその途中で子供らに何かした時は」
村人B「俺らも鎌とか持ってからな。八つ裂きにしてやるべ!」
村人C「覚悟しとけよ!」
魔老師「わかっとる……。それより、後で子供らを責めんでやっとくれよ。ワシが秘密にしといて欲しいと頼んだ事じゃからな……」
少年B「爺ちゃんは悪くない! それに、爺ちゃん、スゴい強いんだからな!」
少女A「わたしたちも……勝手に外に出てごめんなさい。だから、お爺ちゃんを追い出すのはやめて……」グシュッ
少女E「お願い……」ペコッ
少年D「お爺さんは良い魔族なんだよ! それは本当だから!」
少女C「悪い事したのはあたしらだけ! 信じて!」
村長「……とりあえず、子供らがああ言っとる事だし、危害を加えない事だけは約束しよう。じゃから、子供らがこっちに戻ってくるよう説得してくれんか? 話はそれから聞くから……」
魔老師「もっともじゃな……。心配かけさせて、申し訳ないのう……。さ、お前たちは向こうにお行き……」
494 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:11:28.77 ID:8SSu4rogo
なんでこんな良い師匠が居たのに賢者はかませになってしまったのか……
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:12:52.53 ID:9VCtDuuwO
賢者は復活してからが本番だよ(適当)
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:12:57.09 ID:
0AI19Bpuo
子供たちの熱意もあり、紆余曲折の末、徐々に村人からの信頼を得ていく魔老師……
村長「話はわかった。じゃが、全部を信用した訳ではない。あんたが悪い魔物じゃないと、ワシらが信じるまでは、逐一、見張らさせてもらうが構わんか?」
魔老師「よいとも……。監視されて困る様な事はしておらんからのう……」
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村人C「爺さん……。突然、すまねえ。実は、うちの嫁さんが変な病気になっちまったんだ……」グシュッ
村人C「神父様も手に負えねえって……。あんた、子供らから聞いたけど魔法も凄いんだろ……? お願いだから、治せなくてもいいから、診てもらえるだけ診てもらえねえかな……」ポロポロ
魔老師「ええとも、ええとも。気功と魔法を修めたワシに治せん病気などないぞ……。安心するがええ」
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村人D「うわ! きょ、巨大な魔物が村のすぐ近くに!!」
魔老師「やれやれ……。軍からはぐれた魔物が迷い込んできよったのかのう……。ほいさと」ドゴオオオオオオオオン!!!
村人D「うおおおおおおおおっ!!! 爺さんTUEEEEEEEEEEEEEE!!!」
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村人E「今年は雨が降らねえな……。このままじゃ、凶作になっちまう……」
魔老師「雨は無理じゃが、水なら魔法でいくらでも出せるぞ。ほれ」ドボドボドボドボドボドボドボ
村人E「爺さんSUGEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!」
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村人F「へえ、こりゃうめえな爺さん! この種、おらも育てたいから、少し貰ってもええだか?」
魔老師「ああ、ええぞ。子供らが育ててくれとるし、何よりここの土地は収穫が段違いだからのう……。腐るほどあるから、好きなだけ持ってくとええ」
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村人G「爺さん、良かったら子供たちだけじゃなく、おら達にも武術ってもんを教えてくれねえだか? 最近、やけに畑仕事が早く済むから時間が余ってんだべよ」
魔老師「ええとも、ええとも。習いたい者はいくらでも来るがええ。ただし、強さに溺れる事のないよう、他の事も一緒に教えていくからな……。強さと腕力自慢を履き違えるでないぞ……」
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497 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:14:52.80 ID:
0AI19Bpuo
そして、魔老師と初めて出会ってから五年が過ぎたある日……
少女E(16歳)「それじゃあ、これで」
魔老師(7842歳)「うむ……。この五年でよくぞあれだけの学問を学んだわい……。物覚えが良すぎて、逆にワシが困ったほどじゃからな……」
少女E「代わりに、武術や魔法の方はまるで才能がなかったですけどね。みんなから置いてかれるばかりで」
少年B(16歳)「ホント、お前はそっちの才能はなかったよな。毎回一人だけ、別メニューだったし」
少女E「うるさいわね! 代わりに学問じゃ毎回別メニューだったでしょ!」
少女A(14歳)「結局、あの種まで品種改良しちゃったもんね、少女Eちゃん。おかげでもっと美味しくなったし」
少年B(15歳)「頭が良いっていうのも立派な才能だよね。僕にもその才能を少し分けて欲しかったって思うもんなあ」
少女C(15歳)「でも、本当に行っちゃうんだね。また、寂しくなるなぁ……」
少女E「もう16歳だしね。それに、武術とかじゃ勇者の役には立てないってはっきりしちゃったし。ここでない才能を伸ばそうとするより、別の事で私は役に立とうと思って」
魔老師「そうじゃな……。旅するには資金が不可欠じゃ……。それに、情報とかも。これは馬鹿に出来んぞ。むしろ、一番重要な事かもしれん」
少女E「私もそう思います。だから、これからはガンガンお金を稼いで、十年後には勇者がびっくりするぐらいの大金持ちになってやろうかなって」
魔老師「うむうむ……。それも良い事じゃて……。頑張るんじゃぞ。たまには帰って来いよ……」
少女E「はい! 行ってきます!」
498 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:17:29.80 ID:
0AI19Bpuo
更に五年後……
魔老師「」ゴホッ、ゴホッ
魔老師「お前たち……。よくぞこれまで十年間、真面目に修業をした……」
魔老師「ワシから教える事は……もう何もない……」
魔老師「これからは……自分達で修業をしていくと良い……。世界を見て……己を知って……そして五年後に……」ゴホッ、ゴホッ
魔老師「幼い頃の約束通り……勇者と共に旅立ち……魔王を倒してくるのじゃ……」
魔老師「驕るな……負けるな……そして、大きく世界へと羽ばたいて来い……」ゴホッ、ゴホッ
魔老師「我が愛する弟子たちよ……」
少年B「はいっ! 師匠!!」グスッ
少女A「お爺ちゃんも……体に気を付けてね……。無茶しちゃ駄目だよ……」グシュッ、ヒック
少女C「あたし達、次に会った時はもっともっと強くなってるから!!」グスッ
少年D「先生も……どうかお元気で……」ポロポロ
魔老師「ふぉっふぉっふぉっ……。そうじゃなあ……。お前たちが戻ってくるまでは……絶対に生きておるからな……」ゴホッ、ゴホッ
魔老師「しっかり……強くなって帰って来いよ……」
「はいっ!!!」
499 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:18:20.45 ID:
0AI19Bpuo
ー 下山後。山の麓辺り ー
少年B「それじゃあ、俺は手始めに東の国に行く。向こうは今、荒んでるって聞くからな。修業の身としては丁度いい」
少女A「わたしは北の国に行くね。向こうはいつも水不足に困ってるって聞くから」
少年D「僕は西の国に。向こうは珍しい本が沢山あるって話だからね」
少女C「あたしは船に乗って世界中を回ってみる」
少年B「だけど、忘れるなよ」
少女A「うん。少女Eちゃんみたいに、一年に一回は必ず山奥の村に帰ってきて……」
少年D「先生の様子を見に行く」
少女C「何かあったらすぐに連絡出来るよう、今の居場所を村長に教えておく事! 大丈夫だよな!」
「それじゃあ、またな! お互い強くなろうな!」
「うん!」
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:19:24.90 ID:
0AI19Bpuo
しばらく後……
ー 東の国、地方の町 ー
役人「ふざけんなっ!! とっとと税金を納めやがれ!!」
商人「で、ですが、これだけ高くてはとても支払いなど……!」
役人「なら、代わりにてめえんとこの商品を貰ってくぞ! それしか方法がないからな!」ガタッ、ドサッ
商人「お、お止め下さい! それを取られては売る物が無くなって生活出来なくなってしまいます!」
役人「黙れ!」ドゲシッ
商人「ぐはっ!」ドサッ
役人「何なら、てめえんとこの嫁や娘を売り飛ばしてもいいんだぜ! それをされたくなかったら、大人しくしてろ!」チャキッ (剣を抜く)
商人「ひ、ひぃっ!!」
役人「しっかし、しけたもんしかねえな。ろくな物がありゃしねえ」ゴサッ、ゴトゴト、バリンッ
商人「あ、ああああああああっ!!」ポロポロ
少年B「これは酷いな……。想像以上だ……」
少年B「重税に、厳し過ぎる法律。なのに、逆に役人は威張り散らして、権力をかさに着てやりたい放題だ……」
少年B「こんなの、見過ごしておけるか! 俺がこの国を変えてやる!!」
501 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:20:39.24 ID:
0AI19Bpuo
ー 北の国、小さな村 ー
少女A「はい、どうぞ。お水です。川を潤しておきますね」ドポドポドポドポ
村人A「おおっ! ありがたや、ありがたや……。これで田んぼに水が張れます。今年は何とか生きていける……」
少女A「そう、良かった。でも、ここら辺一帯には井戸とかないんですか? どこも水不足だって聞きましたけど……」
村人B「あるにはあるんだがねえ……。すぐに干からびちまうんだ。乾燥した地域だし、雨がろくに降らねえんでな……」
少女A「そうなんですか……」
村人C「昔はもっと雨が降ったもんなんだがなあ……。女神様の力が弱くなったかもしんなくてな……。魔王が出てきてからは本当に雨が少なくなっちまった……」
少女A「女神様の力が弱まって……」
「おーいっ!! 大変だあぁぁっ!!」
村人A「何だ、どうした!?」
村人D「」ハァハァ、ハァハァ
村人D「む、村の近くにりりり竜が出ただっ!! そんで、旅の娘が今、そこにっっ!!」
村人A「!!?」
村人B「竜が!?」
村人C「なしてこんなとこに!?」
少女A「!!」タタタタタッ
村人D「あ、ちょっとあんた、どこさ行くだ!!」
少女A「その子を助けに行くっ!!」タタタタタッ
村人D「む、無茶だ!! 絶対殺されるぞっ!!」
502 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:22:08.75 ID:
0AI19Bpuo
ー 西の国、貴族の屋敷 ー
少年D「凄い……。王都でもないのに、これだけの書物があるなんて……」
少年D「しかも、魔法関連の書物ばかりだ。あ、こっちには魔導書が。こっちは魔物関連のが」バサッ、ドサッ
貴族「お気に召したかね、魔法使い殿?」
少年D「ええ、とても。ありがとうございます。助かります」
貴族「いやいや、礼など要らぬよ。我が領地に現れた魔物を無償で倒してもらったのだからな。こんな物で済むならお安いご用だ」
少年D「とんでもない。ここの図書室は金貨100枚以上の価値がありますよ。こちらは、貴族様が集められたのですか?」
貴族「いや、先代の先代が古書好きでな。私ではないし、私には価値がさっぱりわからんよ。書いてある文字すら読めんからな」
少年D「ほとんどが古代文字ですからね。しかし、素晴らしいです。しばらく滞在して、ここの本を読ませてもらう事は出来ますか?」
貴族「構わんよ。好きなだけいるといい。部屋も用意させておこう」
少年D「ありがとうございます!」
貴族「それでは、私はこれで失礼するよ。食事の時間になったら、メイドを遣わそう。それではな」クルッ、スタスタ
バタンッ……
少年D「助かるなあ。ありがたい話だ」
少年D「読みたいものばかりだからな。この魔物大全集とか、他にも魔導関連の書物が一杯」ゴソゴソ
ザザッ、バサッ (積み上げていた本が落ちる)
少年D「っと、いけない。貴重な書物だっていうのに」ササッ
少年D「ん……これは?」
少年D「異界移動の儀……? 昔、先生から異界の事は伝説として聞いてたけど、本当に異界なんてあるのかな……? あるのならここにも行ってみたいものだけど……」ペラッ、ペラッ……
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/13(日) 17:24:33.13 ID:
0AI19Bpuo
ー 南の国、海上 ー
船員「大変です、船長!! 向こうから海賊船が!!」
船員「あれは、疾風の海賊団の旗です!! まずい!!」
ワー、キャー、タスケテー!!
船長「舵を西に取れぃぃっ!! 逃げるぞ! 全速前進!! 」
船長「それと、客を落ち着かせろ!! 邪魔だから、船室にでも全員ぶちこんどけ!!」
少女C「うるさいわよ! ったく! 海賊船一隻ぐらいで騒がないで!」バタンッ!!
船長「おい、何だお前は! 邪魔だから向こうに」
少女C「聞きなさいっ!!!」ビリリッ
船長「」ビクッ!!
船員「」ビクッ!!
少女C「命令は変更! 舵を正面に!! 海賊船を逆に叩き潰すわよ!!」
船長「ア、アイサー!!」
船員「アイサー!!」
少女C「まったく……。そういえば、うちの国は海の魔物が比較的少ないから、一番海賊が多い海域だったっけ」
少女C「まあ、丁度いいわ。これも何かの縁よ。折角だから、海賊達をこの海から根こそぎ葬ってやろうじゃないの」
少女C「海賊を狩る海賊といったところね。名前を変えて、この海で一暴れしてやるわ!」
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