勇者「ヒヒヒ、助けてやったんだから >>2 しろや」 村娘「ヒェッ…」
|
Part2
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:15:41.72 ID:
xzB1bv700
数年後ーーーー
勇者「ついに来たな、ここが諸悪の根源の住む魔王城か」
勇者「ここに居る魔王を倒せば世界から魔物が居なくなる……皆が安心して暮らせる世の中になる」
勇者「この扉を開けた先に、そいつは居る……!」
勇者「ふぅぅ……!! いくぞ、覚悟決めろ俺!!」
ギィィ…
魔王「む、何者だ?」
>>直下「ああ! 助けがついに来てくれたのですねっ!」
勇者「誰か捕らえられてやがるな。ヒヒヒ、間抜けが」
勇者「今助けてやるから待ってろぉ……ひっひっひっ」
魔王「誰かと問うているっ!!」
勇者「うるせぇ!! モブは黙って斬られてろッ!!!」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:18:06.39 ID:Rez3W9+VO
吸血鬼娘
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:28:03.69 ID:
xzB1bv700
魔王「そんな、この我が倒れるとはーーーーーッ!」
勇者「追い詰められた時の変身が無いとか遅れてるな、お前」
勇者「弱そうな見た目のまま死んでいくとか草生える、ヒヒヒ」
魔王「くっそおおおお……ぐふっ」チーン
勇者「ふぅ」
吸血娘「おお、あの魔王を倒すなんてただの人間にしてはーーーーー」
勇者「クソッ! まだ魔物が残ってやがったか!!」チャキッ
吸血娘「ひぃっ! か、構えないで! 私は怪しい者じゃないから、剣をおさめてよぉ!!」
勇者「ヒヒヒ、冗談だよぉーん」
吸血娘「うっ」イラッ
吸血娘「と、とにかくまあお礼は言うね。ありがと! 少しは人間を見直したわ!」
勇者「お礼はいいから >>直下 しろよ」
吸血娘「えっ……」
吸血娘(何こいつ)
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:28:38.36 ID:8+BSsp7/o
手料理をご馳走
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:34:16.70 ID:8Xk5VO3Ao
なにこの、なにこれ浄化される
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:40:08.99 ID:
xzB1bv700
勇者「命のやり取りした後だからな、今凄い腹減ってんだぁ」
吸血娘(いや、あっさり殺したでしょ…開始数十秒で)
勇者「だから、ちょっとここの厨房借りて何か作ってきてくれよ」
吸血娘「はぁ!? 何で私がそんなことっ……!」
勇者「いや助けたじゃん、俺。魔王という強大な悪からお前を」
勇者「それに然るべき見返りがあるべきだと、そうは思わないか?」
吸血娘「打算的で嫌な奴ね! あなた友達居ないでしょっ!」
勇者「居ない……いや、居る……かも」
吸血娘「そんなのどっちでもいいけど! 私は作らないわよ!」
吸血娘「私は高貴なる吸血鬼の娘、いくら命を救われたからって人間なんかに手料理を振る舞うなんてありえないんだから!!」
勇者「おいおい失礼な奴だな」
吸血娘「あなたがね!!」
勇者「……どうしても駄目か?」
吸血娘「ふんっ」プイッ
勇者「……はぁ、嫌ならしょうがないな」
吸血娘「? 折れるの早いわね…いいことだけど」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:53:56.61 ID:
xzB1bv700
勇者「実は俺、誰かの手料理を食べたことないんだよ」
吸血娘「はぁ? んなわけないでしょ! お母さんは?」
勇者「居たけど居なかったのとほぼ同じだ。奴は俺に毎日お金を渡して、それで何か好きな物を食べてこいと言うだけだった」
吸血娘「……」
勇者「これまで冷たい飯しか食ってこなかったからよ、せめて、魔王を独りで倒したお祝いによ……」
勇者「今日くらいは誰かが俺だけのために作ったくれた、温かい飯を食べたいって、そう思っただけなんだよ……」
勇者「迷惑ならいい、ヒヒヒ、もう行っていいぜ。お前には帰る家があるだろ?」
吸血娘「……はぁ」
吸血娘「もおおおおおおお!! 後味悪いわねええええぇ!!」
勇者「!?」
吸血娘「いいわよ、作る! 作ってやんよぉ!!」
吸血娘「人間に優しくするのは今日だけだから、感謝しなさいよこのボケ!!」
勇者「お、お前……っ!」
吸血娘「じ、じゃあ作ってくるからっ! 覗くなよっ!」
バタンッ!
勇者「……」ジーン
勇者「ヒ、ヒヒヒ…生きてて、良かった……!」
吸血娘「あーもう! あんなこと言っちゃったけど、何作るか決めてないわよ!」
吸血娘「んー、>>直下 でいいか!」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 19:55:47.14 ID:dken8ctf0
満漢全席
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 20:06:33.67 ID:
xzB1bv700
勇者「……手料理ってどのくらいかかるものなんだ? やけに遅いな」
バンッ!
勇者「ヒヒヒ、来たか」ワクワク
吸血娘「ちょっと作りすぎちゃったから運ぶの手伝いなさいよ!!」
勇者「おう、いいぜぇ! ひっひっひっ!」
ーーーこの後めちゃくちゃ並べた。
勇者「ヒヒヒ…おいおい、なんだこれはぁ!?」
勇者「壮観だぜぇ!!」
満漢全席 ズラー
吸血娘「やけに食材があり余ってたから、勿体無いなと思って全部使ったらこんな量になっちゃったわ」
吸血娘「責任持って、あと感謝して全部食べなさいよね!」
吸血娘「それじゃ、私はもう帰るから……」
勇者「は? おいおい、待てよ」
勇者「誰もお願いが一つとは言ってないぜぇ? ヒヒヒ…」
吸血娘「はぁっ!? これ以上どういった見返りを求めるつもりよ! このクズ!」
勇者「俺は魔王を倒したんだぜ? 一個じゃ物足りないよなぁ?」
吸血娘「な、何よ! 何をお願いする気なのよ!」
勇者「一緒に食べてくれ、独りは寂しい…」シュン
吸血娘「ううううううううううう!!」
吸血娘「別にいいわよ、もうっ!!」←自棄
勇者「やったぜ。」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 20:18:04.15 ID:
xzB1bv700
勇者「はふっはふっ…うめぇ! こんな美味しいもの初めて食べた!」
吸血娘「そ、そう? 褒められて悪い気はしないわね…」テレテレ
勇者「なんか店開けるレベルで美味しい!」
吸血娘「お店? ふ、ふーん」
吸血娘(考えとこ)
勇者「あ、そういえばお前。何で魔王に捕まってたんだ?」
吸血娘「あーなんか見た目が好みだとかで、屋敷から連れ去られたのよ」
勇者「ヒヒヒ、こんな見た目ちびっ子を好くとか魔王はロリコンか何か?」
吸血娘「ッ! 今食ったもの全部吐きなさいよ!!」
吸血娘「こう見えて私は150年生きてるの! あなたみたいな子供より遥かに生きてるんだからねっ!?」
勇者「……150年? ああ、お前は人間じゃないのか」
吸血娘「今更ッ!? 翼とか生えてるんだから一目で気付きなさいよ!?」
勇者「あれ、じゃあ何でお前生きてるんだ?」
勇者「魔物なら消えてるはずだが……」
吸血娘「魔物と高貴な吸血鬼を一緒にしないでよっ」
勇者「ほーん、細けぇこたぁ気にするなってことか、ヒヒヒ」
吸血娘「そうよ……ってか冷めるから早く全部食べてよね!!」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 20:22:51.66 ID:
xzB1bv700
勇者「うぷ、ご馳走様…ヒヒヒ、なかなかハードな量だったぜ」
吸血娘「はいはいお粗末さま」
吸血娘「……で?」
勇者「ん?」
吸血娘「私はもう帰るけど、あなたはどうするの? ここに住むの?」
勇者「なわけないだろ。このままお城に帰って報酬貰って……」
吸血娘「それから? それからどうするのよ」
勇者「それから、育ててもらった恩返しに金をいくらか親にも分けて……それから、それから……」
勇者「……>>直下 するぜ」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 20:23:22.67 ID:Tgun2u3j0
ダンサーの修行
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 20:30:55.89 ID:
xzB1bv700
吸血娘「だ、ダンサー!? ……ぷぷぷ、あなたが?」
勇者「ヒヒヒ、そんなに面白いか?」
吸血娘「顔に似合わないこと言うのね、あなた。全く意外な発言よ」
吸血娘「ま、でも応援しないこともないわよ。せいぜい頑張りなさい」
勇者「あ、ありがとう」
吸血娘「はぁ…思ったより長居してしまったわね、こんな所に」
吸血娘「それじゃあね、勇者!!」バサバサッ
勇者「じゃあな!」
勇者(また会えるといいな……)
勇者「俺もそろそろ行くか」
勇者「待ってろよ人間共……ひっひっひっ!!」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 20:42:43.24 ID:
xzB1bv700
勇者の凱旋はとても淡白なものだったと、当時の人間は語る。
国王から報酬の金を受け取ると、勇者は引き留める声に耳を貸さず、
実家に帰り、親に一生かけても使い切れないほどの大金を残すと、
逃げるようにその場を後にしたという。
当時の人々は世界を救った英雄の顔をろくに見ることも叶わず、
ただ漠然と勇者の偉業を讃えるのみであった。
その後、勇者はーーーー
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 21:08:20.95 ID:
xzB1bv700
ーーーーとある大きな街の酒場
踊り子「……」ピタッ
踊り子(決まったっ……!)
パチパチパチパチ…
大男「あんたの踊りから凄い情熱を感じたぜ! これからも頑張ってくれよぉ!」チャリン
女「きゃー! 最高ですー!」チャリン
村娘妹「お姉ちゃん酔っ払いすぎでしょ……」チャリン
人間に変装している吸血娘「人間にしてはやるわね」チャリン
踊り子「あ、ありがとうございましたー!!」
踊り子「……ふぅ、今日もまあまあ稼げたわね」
大男「なあ、あんた」
踊り子「あら、さっきの人じゃない」
踊り子「何? デートのお誘い?」
大男「そんなんじゃねーよ。いや、何というかその」
大男「……俺も、あんたと踊りたいな、と思ってよぉ……」
大男「ヒヒヒ」
踊り子「!!」
踊り子「き、気付かなかったわっ……! ここ数年見ない間に大きくなって…ていうか、何? そのハゲ頭は」
元勇者「いいから返事だよ、返事を聞かせてくれよ」
踊り子「……ふふ、そんなの」
踊り子「お断りよ!!」
元勇者「何だって!?」
踊り子「髪を生やしてからまた出直してきなさい!」
元勇者「おいおいそりゃねーぜ!! 」
踊り子「うふふ、嘘よ」
踊り子「これからずっと、一緒に踊りましょうか」
元勇者「……! ああッ!」
元勇者(俺は勇者を卒業して、ダンサーとして生きていく……)
元勇者(勇者に生まれてから、己の人生を呪ったものだが……ヒヒヒ、案外その人生ってのは捨てたものじゃなかったみたいだ)
元勇者(色んな奴との出会いが俺を変えた……救ってくれたんだッ!)
元勇者(これからは俺が守ったこの温かな人間達と共に、今まで楽しめなかった分、残りの人生を面白おかしく生きてやろうと思う)
元勇者(ヒヒヒ、未来を想像して楽しくなるなんて日が来るとはな……!)
踊り子「ああ、そうだ」
踊り子「これから踊りを教えてあげる見返りに、私と結婚してよ」
元勇者「はぁ!?」
この後元勇者が今まで見返りを求めた奴らに逆襲されるのだがそれはまた別の話。
END
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 21:09:02.41 ID:
xzB1bv700
エロが書きたかったのにッ!
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 21:09:31.35 ID:3DvTtRyuo
清いスレだった乙
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 21:12:21.65 ID:VDfiArpU0
期待通りだった、乙!
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 21:21:14.14 ID:D0XRFytxO
良いスレだった
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/02(日) 22:41:16.98 ID:yDn0VGQGO
乙
実に健全なスレだった