魔法使い「え、えろ魔道士です…」
Part8


202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:31:55.35 ID:woDEtY5N0
魔法使い「勇者様ぁ!嬉しいですぅ!嬉しすぎますよぉ!」
魔法使いが半泣きで走っていきなり抱きついてきた。
勇者「おいっ!そうやってすぐくっつくな尻軽魔道士!鼻水とか涙とかいろいろ服につくだろ!」
魔法使い「だってぇ…そ、そうですよアレですよアレ!ねこちゃんも言ってた『仲間』どうしのスキンシップですよっ!勇者様!」
勇者(こいつっ!調子にのって仲間の部分を強調してっ…!)
勇者(まあ、いいか…無理に突き放そうとするのは何故だか呪いに響くしな)
勇者(それにこいつにくっつかれているのは)
『悪くない』と思うようになったのも、殺意と恐怖を切り捨て仲間だと意識するようになったからだろうか。

203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:32:24.11 ID:woDEtY5N0
魔法使い「ほぇ?」
すぐそこにあった彼女の頭になんとなく手を乗せる。
魔法使い「はぅ…勇者様…?」
勇者「愛玩動物のような奴だなお前は」
魔法使い(勇者様のぺットなら…って何考えてるの私!!)
魔法使いは何を考えているのか顔を赤くしてぶんぶん顔を振った。

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:32:54.99 ID:woDEtY5N0
ねこ(嫌なときに目が覚めてしまったにゃす…)
ねこ(魔法使いちゃんいいにゃあ…)
ねこ(いいにゃあ…いいにゃあ…)
ねこ(魔法使いちゃんは…)
『汝は我に選ばれた…』
ねこ「っ!?」
ねこ(いきなり何にゃ?急に頭がっ!)
ねこ(さっきの記憶は…もしかしてあのときの…)

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:33:27.07 ID:woDEtY5N0
「ふむ。あれが噂の新生勇者か…こんなところで見つけるとは…俺は非常にツイているな」
「ふっふっふっ…前勇者には敗北し屈辱を味わったが…いずれは世界を征服するこの俺の力で…貴様こそは叩きのめしてやろうぞ。新生勇者…」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:34:01.39 ID:woDEtY5N0
第5章
仲間の力

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:34:41.13 ID:woDEtY5N0
勇者「!!」
魔法使い「どうかしましたか?」
勇者「お前とは別に強大な魔力の持ち主の気配を感じる」
「勇者よ、俺と雌雄を決せよ」
夜の暗闇から現れたのは黒いマントを羽織り鋭い牙を光らせる長身の男だった。
魔法使い「ひっ!」
勇者「一目で只者ではないと分かったが唐突な奴だな。俺は勇者だ。一刻も早く魔王を倒さねばならぬ身、ただの喧嘩ならお断りだ」
勇者「貴様、何者だ」
吸血鬼「お前に全く関係ない者ではないぞ勇者よ。俺は魔王から力の一部を授かりし者の一人。吸血鬼だ」

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:35:08.61 ID:woDEtY5N0
魔法使い「残党ですか」
勇者「なるほどな。ならわざわざそっちから出てきてくれたのはありがたい。俺の剣で切り裂いてくれる!」
吸血鬼「そして俺はいつかは俺に力を授けた魔王すらも超える存在となる者だ」
勇者「魔王すらも超える存在だと?」
吸血鬼「ああそうだ。元々魔王は臆病な奴だ」
勇者「力の主に向かって随分と大口を叩くな」

209 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:36:33.44 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「お前は魔王が何故力の一部を分散させたか知っているか?魔王は次々と魔王軍を殲滅させていく前勇者を恐れていた」
吸血鬼「部下からの敗戦報告を聞くうちに悟ったのだろうな。『今世の勇者には勝てない』と」
吸血鬼「だから軍が消滅してもいいように、己が敗北してもいいように予防線を張っておいたのだ。各地であらかじめ力を分け与えその者たちが力を使い昇華させていく度に封印された己のところにその力が行くようにな」
吸血鬼「確かに前勇者は強き者であった。俺も戦ったが敗北した。屈辱であった。しかしあの時俺は奴に殺す気で襲いかかったのだ」
吸血鬼「一方魔王は最初から諦めていた。これを臆病者と言わずになんと言おう!そんな臆病者に頂点に立つ資格などありはしない。俺はいつか魔王を超える!」
吸血鬼「前勇者亡き今それは容易となった。勇者よ、お前の旅路はここで終わりだ。俺がお前をここで下し、お前が果たせなかった魔王討伐を達成してやろう」
勇者「なるほどな。だがどうにもお前が頂点に立つ世界には平和が見えてこない。俺は頂点に立つために魔王を倒すのではない。平和のために魔王を倒すのだ。よって平和のためにお前を斬る!」

210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:37:05.97 ID:woDEtY5N0
ねこ「うにゃー!すっごい強そうな奴がいるにゃー!」
勇者「ねこ、起きたか。奴は魔王の残党だ。やるぞ」
ねこ「了解にゃす!」
吸血鬼「何人でかかってこようと同じことだ。最後に頂点に立つのはこの俺一人なのだからな!」

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:38:10.06 ID:woDEtY5N0
吸血鬼は真正面から空中を走るようにこちらへ向かってきた。
ねこ「にゃー!」
吸血鬼「弱いな」
そしてねこが振るった拳を軽く手のひらで受け止める。
ねこ「ふにゃ!?」
ねこは一旦身を退こうとするも手がしっかりと掴まれていて動けていない。
吸血鬼「フンッ!」
隙ができた彼女の懐に吸血鬼の鉄拳が入る。
ねこ「んにゃっぁ…」
ねこは堪らずその場に腹を抱えてうずくまった。

212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:38:53.22 ID:woDEtY5N0
魔法使い「ねこちゃん!」
勇者「ねこ!くそっ!うおおお!」
吸血鬼に向かって真っ向から剣を振るった。
真っ向からだが速さは今の俺の中の全力だ。
勇者(このスピード…貴様に反応できるか?)
吸血鬼(ほぅ?速さだけなら前勇者を軽々と超えているな…)
吸血鬼は反応こそできているようだったがかわすまでには至らない。
勇者(遅い!貰った!)
吸血鬼「だが…甘いな…」
勇者「何!?」
俺の一撃を吸血鬼は素手で受け止めた。
当然吸血鬼の手は刃が食い込み大量の血がふき出している。
吸血鬼「受けても大してダメージにならんのなら…受けても問題はないだろう?」
勇者「ぐぅ…」
そのまま剣に力を入れ続けるも剣は吸血鬼の手の中に止まったままだ。

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:40:02.50 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「どうやらお前は速さと手数で勝負するタイプの剣士のようだが…」
吸血鬼「確かに雑魚相手ならそれでいいだろう。だが強者たる俺の生命にその刃は届かない」
勇者(剣を放せば一旦離れられるが武器を取られてはその後が続かない…どうする!?)
吸血鬼「そのまま剣を手放す気がないのなら歯をくいしばれ勇者…これがお前にはない圧倒的なパワーというものだ」
吸血鬼はねこと同じように俺に拳を振るう。
勇者「ぐはぁっ!」
まともに受け剣と共に俺の身体は宙に浮き、地面に叩きつけられた。

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:40:46.51 ID:woDEtY5N0
魔法使い「勇者様!」
吸血鬼「…ふん。たわいない」
吸血鬼「だが少々血を流しすぎたか。喉が渇いた」
吸血鬼「そこの女…なかなか美味そうな見た目をしているな」
魔法使い「ひぃっ!」
魔法使いを見て吸血鬼は舌舐めずりをする。
勇者「おい…!俺がなんとかする!魔法を使え!」
魔法使い「は、はい!」
なんとか足腰に力を入れて立ち上がる。
勇者(喉が渇いているということは若干ながらもダメージにはなっているということだ。連続で斬り続けることが出来ればまだ勝機はある。奴の理性を崩せば!)

215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:41:38.43 ID:woDEtY5N0
魔法使い「テンタツィオルネ!」
吸血鬼「ぬぅっ!?」
勇者(効いたか?)
吸血鬼「ほーう…ハァ…ハァ…何をしたかは分からんが…女…お前の血がもっと欲しくなったぞ」
魔法使い「効いてない…?」
勇者(いや、効いてはいるが奴の魔法耐性がギリギリ上回っているといったところか)
吸血鬼「血をよこせ…」
勇者(隙はかなりできた!)
勇者「疾風剣技!」
圧倒的手数で次々と吸血鬼の身体に傷をつけていく。
吸血鬼「その程度の力では俺を消し去れんと言っているだろう!」
吸血鬼の拳もまた俺に襲いかかる。
勇者「ぐぅっ!」
鞘を盾がわりにそれを踏ん張り受けきる。
吸血鬼「ふっふっふ…どうしたどうした!このままでは先ほどと変わらんぞ!」

216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:42:08.24 ID:woDEtY5N0
勇者「ねこ!」
ねこ「にゃすぅ!」
吸血鬼を背後からねこが殴りこむ。
吸血鬼「ぬぐぅ!?」
どうやら俺の剣撃よりもパワーがあるねこの拳の方が効いているようだ。
吸血鬼「雑魚に用はない!」
吸血鬼もよろめきながらも裏拳でねこを殴る。
ねこ「にゃんぅ…」
吸血鬼「血をよこせぇ!」
魔法使い「いやっ…!」
勇者「させるか!」
マントを大きく広げ魔法使いに飛びかかろうとする吸血鬼の懐に剣を刺しこむ。

217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:42:54.95 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「がっぐぅ…」
勇者(俺の攻撃はあまり効かないと言っていたとはいえ警戒心が薄すぎるな…じわじわと魔法が効いてきたか)
勇者「…貴様の傲慢さを見ているとついこの前までの俺を見ているようだ」
吸血鬼「何だ…と?」
勇者「俺は最初一人でも魔王を倒せると豪語し旅に出た。しかしそれは大きな慢心だった。道中では何度か命を落としかけその度に色んな人間に助けられている」
勇者「貴様は確かに強い。だが貴様は俺たちの力を甘く見すぎている。俺が今まで戦ってきた残党をなめていたようにな」
勇者「俺たちの力はこんなものではないっ!個々の力ではなく力を合わせればなっ!」
魔法使い「勇者様…」

218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:43:25.16 ID:woDEtY5N0
ねこ(また、また魔法使いちゃんが勇者様に守ってもらってるにゃ…)
『汝は…』
ねこ「にゅっ〜!?!?!?」
ねこ(また…あのときの…)
ねこ(でも何だか不思議な感じにゃ…身体の奥底から力が湧いてくるような…)

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:44:18.66 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「負けんぞ!俺は頂点に立つのだ!俺は!俺は!」
勇者(やはり冷静さを失いかけているっ!)
勇者「俺もここで死ぬわけにはいかん!平和へ導くためにな!」
吸血鬼「ぐぬぬぬぬぬ!」
勇者「はあああああ!」
剣でそのまま貫こうとする俺とそれを引き抜こうとする吸血鬼の睨み合い。
勇者「ぐっ…くっ…そっ…」
俺の押す力が限界を迎えようとしていたその時だった。

220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:45:35.42 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「ぐあっ!」
吸血鬼の身体がかなりの勢いで横へ吹き飛ばされた。
勇者「ねこ!助かったぞ」
勇者「ねこ?」
ねこ「……」
俺の目の前には強大な魔力を纏い無言で立つねこの姿がそこにあった。

221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:46:11.90 ID:woDEtY5N0
魔法使い「すごい…」
勇者(身体強化系の魔法か?いつの間にそんな技を…)
吸血鬼「ぐっ…なんだこの力は…これがさっきまでの雑魚の真の力だというのか!?」
ねこ「にゃあああああああ!!!」
勇者(速いっ!)
目にも止まらぬ速さでまだ地面に転がる吸血鬼に接近し、蹴り上げる。
吸血鬼「がっ…はぁ…」
ねこ「んにゃあ!」
宙に浮いた吸血鬼の懐目掛けて鬼のような連撃を放つ。

222 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:46:41.15 ID:woDEtY5N0
ねこ「ふんにゃっ!」
吸血鬼「がぁ…」
ねこ「ふしゃー!」
吸血鬼「ごふっ!」
ねこ「ぐぅぅにゃあ!」
吸血鬼「ごっ…はっ…!」
冷静さを失いガードの緩くなった吸血鬼にそれら全てがまともに入る。
吸血鬼「血を…血を…」
満身創痍の吸血鬼はただただ自らの源を求める声を上げるだけとなっていた。

223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:47:15.33 ID:woDEtY5N0
ねこ「んーにゃっ!」
ねこのとどめの一撃が吸血鬼の顎を鋭く叩く。
吸血鬼「ま…さ…か…これほど…とは…」
ついに力尽きた吸血鬼は地面に膝を着くとゆっくりと倒れた。

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:48:08.08 ID:woDEtY5N0
ねこ「はぁ…はぁ…あれ…?」
吸血鬼「」
ねこ(これ、にゃーがやったにゃす…?)
死闘の終焉、日は昇り出始めの太陽の光に包まれた吸血鬼は灰となって消えた。
魔法使い「すごいですよ!ねこちゃん!」
ねこ「はぁ、はぁ、勇者様…魔法使いちゃん…」
勇者「ねこ…お前いつの間にそんなに強く…俺も負けてられないな」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:48:48.09 ID:woDEtY5N0
ねこ(どうしよう…思い出せない…何も思い出せないにゃす…怖いにゃ…怖いにゃ…)
ねこ「にゃっ…にゃはははは…今回はにゃーのお手柄にゃすね〜」
魔法使い「そうですね!」
勇者「お前の魔法が効いていたのもあるがな」
魔法使い「勇者様?」
勇者「いつもは使えないが…今回はまぁ、クソ魔道士にしてはよくやったんじゃないのか?」
魔法使い「勇者様ぁ!ありがとうございますぅ!」
勇者「っ!だからそうすぐにくっつくのはやめろ!」
魔法使い「仲間どうしのスキンシップ…ですよね?ねこちゃん!」
ねこ「……」
魔法使い「ねこちゃん…?何かこわい顔してますよ?」
ねこ「にゃ?そ、そうにゃす!スキンシップは大切にゃす〜!にゃーも混ぜるにゃ!」
勇者「んなっ!ねこっ!お前までっ!」
魔法使い「なんかいいですね〜こういうの…仲間って感じがします!」
勇者「お前らな…」
勇者(しかし…)
偶にはこういうのも悪くない…か?

226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 09:19:00.05 ID:MIFwSawQO
ねこが魅せられた

227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 19:12:07.21 ID:eVK1JAeUo
ねこにもあめをあげてくだせぇ

228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 23:07:03.96 ID:T6zFNdQ30

これは面白くなってきたな

230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 01:54:07.83 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃああああああ!!!」
ファング「キャィィン…」
ねこ「はぁ、はぁ…終わったにゃす」
勇者「こっちも片付いた」
魔法使い「えっ!これねこちゃん一人でやったんですか!?」
ねこの周りには俺たちが倒した数の二倍以上の魔獣がくたばっていた。

231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 01:54:39.74 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃははは…ここのところ絶好調にゃすね〜」
勇者「……」
吸血鬼との闘いから数日、確かに彼女自身の言う通りねこは絶好調だった。
勇者(だがどうも様子がおかしい)
最近の戦闘が終わったあとのねこの顔はまるで魔法使いの魔法に恐怖していた俺のような顔だった。
自らの力に怯えているような…
そんな感じだ。

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