魔法使い「え、えろ魔道士です…」
Part7


172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:04:10.67 ID:IWdDFovF0
迫ってきたくまの大振りの爪攻撃を伏せてかわす。
俺の後ろにあった木に爪が当たり木の上部は一瞬にして木片となった。
勇者「ほう…一撃必殺というわけか。だがそんな攻撃は俺には当たらんぞ」
大振りで隙ができたくまの足元にすかさず一太刀入れる。
くま「グ、グルゥ…」
股の間をくぐり抜け後ろから背にもう一撃。
くま「グゥッ!」
勇者「遅い!」
とっさにこちらに向き直るくまの胸を斬りつける。

173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:04:49.02 ID:IWdDFovF0
勇者「師匠直伝の疾風の剣技にて早々に葬ってやろう」
くま「グゥラアアアアアア!!!!」
勇者「なんだとっ!?くそっ!」
手応えはあったはずだがくまは怯むことなく俺を抱え込んだ。
くま「アアアアアアアアア!!!」
勇者「離せ!」
大きな野生の両腕は俺を軽々と持ち上げてがっちりと拘束し離そうとしない。
浮いた足でくまの腹部に蹴りを入れるも斬撃と違い全く効果がないようだ。

174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:05:22.13 ID:IWdDFovF0
くま「ガルラァ!!!」
俺の背にメリメリと爪が食い込んでいくのが分かる。
勇者「ぐあああああああああ!!!」
勇者(まずいっ!このままでは!)
「それっ!」
くま「グシャアアアア!」
突然くまの片腕が吹き飛び拘束から解放され地に膝を着く。
勇者(!?)
師匠「勇者〜!生きてるかぁ〜?」
勇者「けほっ!けほっ!師匠!」

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:06:02.35 ID:IWdDFovF0
師匠「今日の夜に何かあってもいけねーから村の見回りをしてたんだ。ったらよ、お前が森に走っていくのを見たって人がいたもんで探しに来たんだ。間に合ったようで良かったぜ」
勇者「あ、ありがとうございます。不甲斐ない所を見せてしまいましたね…」
師匠「いいってことよ。まだ闘れるか?」
勇者「はいなんとか…」
回復魔法を使いながら立ち上がる。
くま「ガァルルルル…」
師匠「こうしてデカイヤツ相手に二人で囲むとなんだか昔を思い出すなぁ勇者!」
勇者「そうですね」
師匠「いっちょやったるか!ついてこいよ!」
師匠「ついてこられるならなっ!」

176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:06:32.66 ID:IWdDFovF0
師匠が得意技である疾風の剣技で美しい連撃をみせる。
師匠「オラオラオラオラァ!」
くま「ギャィッ、ギャンッ!ギャーッス!」
片腕をもぎ取られガードもおぼつかずなす術なく斬りつけられ続ける大熊はただ悲鳴をあげるのみとなっていた。

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:07:05.02 ID:IWdDFovF0
師匠「ラァッ!」
疾風のラッシュが終わりぐらついたくまに向かって師匠が叫ぶ。
師匠「美味しいところはくれてやるっ!見せてみろ!今のテメーの疾風剣技を!」
剣を構えて集中する。
全体の風の流れを読み取り、それに乗る。
自らも風の一部となる!
勇者「疾風剣技…!はぁっ…!」
全力を込めた駿足の居合切りを放つ。
くま「グッ…グガァ…ゴ…」
あたり一面に赤黒い血を吹き出すと催眠の魔獣は地に沈んだ。

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:07:47.87 ID:IWdDFovF0
勇者「ハァ…ハァ…」
師匠「うーん。70点ってとこだな」
勇者「手厳しいですね…」
暫くすると眠っていた村人達が徐々に目を覚ましていった。
若者「あ、れ?俺何してたんだっけ」
農夫「ん、あれ?どこだここ」
師匠「立てますか?肩貸しますよ」
村の子供「師匠さん。ぼくおなか空いたー…」
師匠「そりゃそうだ坊主。帰ったら母ちゃんに美味いもん食わしてもらえ」
師匠「俺はみんなを送って先村に帰ってるから。協力してくれてありがとよ勇者!」
勇者「はい…」

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:08:28.90 ID:IWdDFovF0
勇者「はい…」
師匠や村人たちの後ろ姿を見送ったあとまだ寝ていたねこと魔法使いを起こすことにした。
勇者「ねこ!クソ魔道士!起きろ!」
勇者「…どっちも起きないな」
勇者「おいクソ魔道士。いつまで寝ているんだ」
魔法使いの身体を雑に揺すると気だるそうに目を覚ました。
魔法使い「あ、れ…?ゆうしゃさま?どうして私こんなところで…そうだ!くまちゃんに会ってそれで…」
勇者「あいつは残党の魔獣だった。もしや普通に騙されていたのではあるまいな」
魔法使い「えっ!?そうだったんですかぁ!?」
勇者「……」
呆れて溜息もでない。

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:09:13.27 ID:IWdDFovF0
魔法使い「だ、だって…寝たら嫌なこと全部忘れられるってくまちゃんが…」
勇者「…夢に安寧を求めるほどお前は病んでいたのか?」
魔法使い「いえけしてそんなことは…なくは…なかったんですけど…」
勇者「そうか」
魔法使い「…気にしないで下さい。その、お荷物のちっぽけな悩みなので…」
視線を下に向けながら魔法使いは拗ねたように言った。

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:10:44.96 ID:IWdDFovF0
勇者(俺のせいでそうなってるとでも言いたそうな顔だな。俺はお前に悩まされてるというのに)
『そういうの一旦全て無しにして彼女を見てみろ。何か変わるかもしれんぞ』
『えへへ〜ゆーしゃさまぁ…ぎゅーってして…ぎゅーって…』
勇者「はぁ…」
勇者「別にどうでもいいことだがお前、寝相に自信があるとか言っていたが大嘘だったな」
魔法使い「えっ!?う、嘘…私寝ている間に勇者様に何かご迷惑をお掛けしましたか!?」
勇者「それはもう最悪だ。寝ぼけたお前に誘惑魔法をかけられた」
魔法使い「ひっ…ひぃ!?こ、殺さないで下さいお願いしますっ!ここは不可抗力ということでどうか…」
勇者「…だから、今から俺がやることは誘惑魔法のせいだ」
魔法使い「え?」
俺は試しに魔法使いを抱きしめてみた。

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:11:58.62 ID:IWdDFovF0
魔法使い「ふぁ…へ…?ゆうしゃ、さま?」
とても柔らかい感触がする。
少しでも力を入れようものなら壊れてしまいそうな華奢な身体だ。
女というのはみんなこんなものなのか?
まぁ、これで頭痛がなくなるかもしれないというのなら安いものだ。
確かに、また少しだけ楽になったような気がしないでもない。
勇者「これで満足か?」
魔法使い「あ、あぅ…」
魔法使いは腕の中でもじもじと赤面しながら言う。
魔法使い「死んじゃいそうなくらい幸せ…です…」

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 05:12:54.27 ID:IWdDFovF0
勇者「っ…」
そのとき今までの魔法使いには抱かなかった謎の感情が一瞬だけちらついた。
勇者「はんっ。こうしているだけでお荷物が死んでくれるなら万々歳だな」
何故かもう少しだけこのままでいたいと思った自分に理由をつけるようにほざいた。
魔法使い(今日の勇者様すごく優しい。どうしたんだろう…。もしかして本当に魔法のせいなのかな…)
ねこ「にゅん…ずるいにゃす」

184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 08:00:21.45 ID:Av7YIJC10
素晴らしいな

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 12:44:11.40 ID:dklucFNz0


186 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 15:07:37.94 ID:Yi681FhZO
乙です

187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/28(日) 15:36:22.86 ID:gjMVXVeSo

勇者いっつもピンチになってんな

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/29(月) 00:04:53.93 ID:NDeU9Y9ZO
ねこさん空気やなw

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/31(水) 03:49:09.75 ID:1mrlrLHMo
勇者さんピンチになりすぎてあんまり強く見えなくなってきた

190 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/31(水) 06:34:46.41 ID:B+HFPx/S0
敵も強いんだよきっと

193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:26:03.62 ID:woDEtY5N0
勇者「それでは師匠。どうかお元気で」
師匠「おう!もう魔王城もそこそこ近いしな。魔王討伐、頑張れよ!」
魔獣による村人失踪事件を解決し、二日ほど村に滞在した俺たちは出発の朝を迎えていた。
勇者「ねこ、寝相最悪魔道士、行くぞ」
ねこ「しゅっぱーつ!にゃす〜」
魔法使い「はい勇者様!」
魔法使いも調子を取り戻したようだ。
勇者(男に甘えるだけで元気を取り戻すとは…やはり尻軽なメス兎だな)

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:26:51.18 ID:woDEtY5N0
魔法使い「勇者様」
勇者「なんだ?」
魔法使い「あっ、えっと…えへへ…呼んでみただけです」
勇者「そう、か」
魔法使い(『なんであのとき抱きしめてくれたんですか?』…なんて聞きづらいよ)
勇者「…鬱陶しいだけだ。そういうことはやめろ」
師匠「勇者〜!」
勇者「師匠?」
師匠「何か、掴めたみたいだな!」
後ろで師匠がにやにやした顔でそう言った。
勇者「……」
勇者(確かに…俺は少しあいつを見る目が変わったかもしれんな…どういう風に変わったのかは自分でも分からんが)
ねこ「勇者様…」

195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:27:25.16 ID:woDEtY5N0
魔王城に近づくにつれ空気中に漂う魔力も強くなっているのか道中の魔獣もかなり手強くなってきた。
ねこ「くらうにゃあ!」
ファング「グルッ!」
ファング「ガルァ!」
ねこ「うーん。かなり本気だったんにょに」
勇者「その傷でまだ立ち上がるか。一発で沈むやつは少なくなってきたな」
ファング「グルルル…グァウ!」
魔法使い「え?」
傷ついたファングは狙いを俺やねこから俺の後ろにいた魔法使いに変えた。
魔法使い「き、きゃあ!」
勇者「とりあえず弱いやつから狙って頭数を減らそうというわけか。知能の低い獣にしては考えたな!」
俺の隣を横切ったファングを疾風剣技で追って切り裂く。
ファング「グ…ル…」
それが致命傷になったようで力尽きた獣は倒れた。

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:28:03.47 ID:woDEtY5N0
魔法使い「あ、ぅ…はぁ…はぁ…」
勇者「…大丈夫か?」
魔法使い「は、い」
勇者「まったく。別個体とはいえ魔獣ですら強くなっているというのにお前はいつまで経っても変わらんな」
剣を鞘にしまいながらため息をついた。
ねこ「一応誘惑魔法はどんどんすごくなってるにゃすよ」
勇者「雑魚相手にはいらんだろ。お前と俺がいれば」
ねこ「まぁそうにゃすね」
ねこ「でも偶にはにゃーも勇者様に守って欲しいにゃすね〜」
勇者「面白い冗談だな。お前は一人でも十分強いだろ」
ねこ「冗談じゃないにゃすよ?にゃーは魔法使いちゃんが羨ましいにゃす!」
魔法使い「すみません…」
勇者「もういい。行くぞ」

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:28:44.79 ID:woDEtY5N0
そんな調子で一週間が経った。
勇者「次の街までもう少しだが今日はもう遅い。ここで野宿するぞ」
ねこ「ふにゃあ…今日はたくさん歩いたにゃす」
勇者「そうだな。ねこもゆっくり休め」
魔法使い「そうですね〜」
勇者「お前は今日も特に何もしていないがな」
魔法使い「あぅ」
勇者「ふっ…」
ねこ「!」
ねこ(勇者様今笑ったにゃす?あの普段はお堅い勇者様が…)
魔法使い「あ、明日こそはちゃんと頑張りますからっ!」
勇者「頼むぞ。期待はせんがな」
ねこ(なんか最近魔法使いちゃんと話してるときの勇者様…楽しそうにゃすね…)
ねこ(にゃーと話してるときはあんな顔絶対しないのに)

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:29:19.77 ID:woDEtY5N0
夜、月と星の光だけが辺りを照らす中ねこも魔法使いも寝た頃俺は一人剣の素振りをしていた。
勇者「ふんっ!ふんっ!」
勇者(最初は一人で十分だと思っていたが…俺はこの旅が始まって既に何回か命を落としかけている)
勇者(師匠やねこ、そしてあいつがいなければとうの昔に死んでいる。もっと強くならねば…)
魔法使い「あれ?まだ起きてたんですか?」
勇者「ん?」

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:29:52.75 ID:woDEtY5N0
さっきまで寝ていたはずの魔法使いが目をこすりながらこちらへ来た。
勇者「起こしたか?すまんな」
魔法使い「いえ…少し目が覚めちゃっただけなので気にしないでください」
勇者「そうか。なら俺は構わず続けさせてもらう」
俺は彼女に背を向けてまた剣を振り始めた。
魔法使い「あの!勇者様!」
勇者「どうした?」
魔法使い「少し休憩…というかお話ししませんか?」
勇者「それは別に構わんが、なんだ?」
剣を鞘にしまって魔法使いの方を向く。

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:30:35.64 ID:woDEtY5N0
魔法使い「あの、その、なんであのとき…」
そこで彼女の言葉は一旦止まった。
まるでこの話は言っていいのかと迷ってるようだった。
魔法使い(やっぱり聞きにくい…)
勇者「?」
魔法使い「じゃなくてっ…なんで勇者様はいつも私のことを守ってくれるのかなって…そう思っちゃいまして…だって勇者様にとっては私が死んでも別にどうでもよくて…むしろ都合がいいのにどうしてかなって」
最初に聞こうとしていたこととは別の質問に変えたようだったがそこは深く聞かないことにした。
勇者「なんだ死にたかったのか?なら別に俺が直々に殺してやっても構わんが」
魔法使い「い、いえいえいえ!そんなことはありませんっ!死にたくないです!死にたくないです!」
勇者「ふっ、冗談だ。それは分かっている。何しろ漏らすほどだしな」
魔法使い「その話はしないでくださいよぅ…」
魔法使いは両手で自分の顔を覆う。
無理もない。

201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/06(火) 05:31:22.28 ID:woDEtY5N0
勇者「確かに最初は理由などなかった。ただ目の前に敵がいたからそれを斬っていただけだった」
魔法使い(あ、深い意味なんてなかったんだ。そうだよね。何を期待してたんだろ、私…)
勇者「だが今は違う」
魔法使い「!」
勇者「恥だが俺はお前に二度も命を救われている。俺は人にあまり借りを作りたくない主義でな。その借りを返しているだけだ」
勇者「あとは…その、あれだ。囮にしか使えん荷物とはいえここまで一緒に旅をしてきたんだ」
魔法使い「…?」
魔法使い(何かいつもと様子が違う?)
勇者「変な情が湧いてるのかもな。ねこもそうだが、お前のことも一応…仲間だと思ってるのかもな…」
魔法使い「勇者様…」
勇者(とりあえず俺自身がこのお荷物を見る目が変わったのは事実だ。どう変わったのかは知らんがそういうことにしておくか)

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