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少女「おにぎり食べる?」勇者の剣「食えん」
Part7


162 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 21:57:21 ID:pZgnkbQE
姫「……ねぇ、お父さん」
王「なんじゃ?」
姫「今なら、どっちに賭けてみたい?」
王「勇者一行の武具は使うべき人間に引き寄せられる。この伝承に間違いは、ないな?」
眼鏡「……確かに、私の行っていた魔法学校にはそう書かれた文献は存在した」
姫「あぁ、それ、私も見たことがあるかも!」
王「なるほどの……ならば、迷うことはあるまい?少女とその勇者の剣はこれ以上なく惹かれ合っている。ワシにはそうとしか見えん。ならば……ワシは抜ける方に賭けてみたい。……まぁ私情も挟んで、だがの」
姫「……政治に私情を挟むのは禁物だよ?」
王「ふぉっふぉっふぉっ……じゃあそこのお主ら、異論はあるか?」
兵士B「……へ?俺らっすか?」
兵士A「えっ……と……ない……ですけど……」
王「……この話を聞いている兵士諸君!!!どうじゃ!!!異論はあるか!!!!」
「「「「ありません!!!!」」」」
王「ふむふむ。よい返事じゃ。さて、民意の方はどうかのお……」

163 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:00:56 ID:pZgnkbQE
〜丘にて〜
少女「あちゃー。もう水筒の水もなくなっちゃったや……もう夏だもんねぇ」
剣「無理をしなくてもよいのだぞ?」
少女「……するよ、する。するし、してきたんだもん。しなきゃ後悔するもん」
剣「……水くらい補充してきてはどうだ?」
ザワザワガヤガヤ……
少女「……なんだか、街の方が騒がしいね」
剣「呼び掛けが始まったのではないか?」
少女「そっかぁ……って……あれ?なんか音、近づいてきてない……?」
剣「言われてみれば、そんな気がせんでもない」

164 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:08:39 ID:pZgnkbQE
…………ザワザワガヤガヤ
「少女ちゃーん!薬、ありがとなー!恩返しに来たぜー!」
「おーい!少女ちゃーん!結婚してくれー!」オイバカッヤメロッ
「盗賊捕まえてくれたお礼にロープ持ってきたよー!」
「お友達、救うんだろ!今度は協力させてくれ!」
「喋る剣とかいう面白いのがいるんだって?かーっ!なんでもっと早く教えてくれねぇんだ!」
「少女ちゃーん!りんごありがとー!」
「さくらんぼも美味しかったよー!」
……ワイワイガヤガヤ
少女「えっと……これって……」

165 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:09:43 ID:pZgnkbQE
少年「えへへ、なんというか、いつのまにかこんなことになっちゃった」
怪盗「あんな理想論に反対する人間がいないなんて……クレイジーな街だね……」
商人「ほら、ロープ繋いでいくぞ。この先はツルギさんに結んでやってくれ。街の全員で引っ張るぞ。綱引きだ、綱引き」
眼鏡「……綱引き、久しぶり」
八百屋「ロープが足りねぇぶんは服で補うがな!がっはっは!」
鍛冶屋「その剣、抜けたら少し見せて貰っていいか?」
姫「私もここまで人が集まるとは思ってなかったよー!」
王「ふぉっふぉっふぉっ……老いぼれでも少しは力の足しになるのかのう?」

166 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:17:29 ID:pZgnkbQE
少女「えっと、これって、えっ、あの、えっ……」ポロ……
鍛冶屋「おいおい、なんで泣いてんだよ、ほら、こいつ結べ結べ。後で渡すもんもあるんだ。さっさとやるぞ」
少女「わかってるけどっ……でも、なんでかわかんないけど、嬉しくって、涙が……止まんなくて……嬉しいのに……うぇ……」ポロポロ……
剣「……どうやら、少女の願いはわがままというわけではなかったようだな。ここに集まってる人間は全員、お主と同じことを望んでおる。同じ夢を見ておる。独りよがりでなければ、わがままはわがままとは言わん」
少女「うんっ……うんっ……!」ポロ……

167 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:27:46 ID:pZgnkbQE
…………
眼鏡「……私は、みんなに強化魔法を、かける」
商人「この人数にか……?」
眼鏡「……がんばる」メガネキランッ
…………
姫「はーい皆さん結んで結んでー!やることのない人は前の方からロープつかんで待機してくださーい!」
少年「纏めるの上手いですね」
姫「ふふん!お姫様ですから!……ってほら、少年くんも!口じゃなくて手を動かす動かすぅー!」
少年「はぁーい」
…………
怪盗「これ、召喚魔法使えばかなりの戦力アップになるんじゃないかな?」
鍛冶屋「……召喚魔法?」
怪盗「ドラゴンとかミノタウロスとか喚べるんだけどな」
鍛冶屋「……ロープや服が千切れるんじゃないか?」
…………

168 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:28:32 ID:pZgnkbQE
…………
少女「……ねぇ、ツルギさん。これ……何人いるのかな……」
剣「一万……は越えてるやもしれんな……」
少女「私、知らない間にこれだけの人と繋がっていたんだね……」
剣「森で泣いてた頃とは大違いのようだな」
少女「ふふっ……本当……そうだよ……うん、よし!元気が出てきた!……私も手伝いまーす!」
「イヤイヤショージョチャンハイママデガンバッテタンダロ?」「ヤスンデヤスンデ」「ソンナワケニハ……」「オッ!ショージョチャン!サクランボイルカ?」「エックレルンデスカ!?ワーイワーイ!」
…………ワイワイガヤガヤ

169 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:31:43 ID:pZgnkbQE
…………
姫「準備はいーいでーすかー!!!!」
……「「「うぉぉおおおおお!!!!」」」……
少年「うわっすごい声量……」
眼鏡「……耳が、きーんって……」キョーカマホーキョーカマホー
少女「さぁて……ツルギさん、覚悟はいい?」
剣「流石にここまでの人間に引っ張られるのは初めてだが……いつでもよいぞ」
姫「いきまーすよー!さーん!」
……「「「にーぃ!」」」……
……「「「いーち!」」」……

170 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:39:32 ID:pZgnkbQE
……「「「うぉおおおお!!!!!」」」……
エーイ!サァー!ホーイ!サァー!
「これ引っ張られてんのか!?びくともしねぇぞ!?」
ビリッバチバチッビリッ……
「足下見てみろよ、魔法結界は破れかかってるぜ」
「うぉっ!マジじゃねぇか!よぉーし、あとひとふんばりだな!いっくぞぉおおお!!!」
…………
〈眼鏡の強化魔法!村人の攻撃力、防御力が二倍化!〉
眼鏡「……キリがない」
怪盗「大変そうだねぇ」
眼鏡「……何やってるの?」
怪盗「見物かな。こういう泥臭いのは苦手なんだよ。まずボクはこの街の人じゃないしね」

171 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:40:39 ID:pZgnkbQE
眼鏡「…………」ムッ
怪盗「そう睨まないでおくれ、ボクはキミにこれを届けに来たんだから」キラン
眼鏡「……これは?」
怪盗「婚約ゆびwゲフッ」
眼鏡「……これは?」
怪盗「こわいなぁ。それは魔法の全体化の指輪だよ。そういえば前の指輪はどうしたんだい?ほら、魔力の……」
眼鏡「……まだ、使ってない」
怪盗「ふーん、そっか。つまんないな
。じゃあボクは他のとこも見回ってみるよ。調子の悪そうな人がいたら引き抜いておく。それだけでも役に立つだろう?」
眼鏡「待って」
怪盗「?どうしたんだい?」
眼鏡「……あの、その……ありがとう」
怪盗「……どういたしまして」

172 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:51:25 ID:pZgnkbQE
〈眼鏡の全体強化魔法!全員の攻撃力、防御力が二倍!〉
〈眼鏡の全体強化魔法!全員の攻撃力、防御力がさらに二倍!〉
…………
メリッバリバリッビリッバチビリッ
…………
少女「ツルギさんっ…………!私……気づいたんだ……」
剣「何に……だっ……」
少女「私、今まで自分の思いしか背負ってなかった……!私は、私のやりたいことしか背負ってなかった!でもそれじゃ、ダメなんだよね!」
剣「……」
少女「私ね!今、最高に幸せなの!……私ひとりじゃなくて!みんなの思いも背負って頑張ってる今が!」
剣「……」
少女「だから、私は私のためじゃなくて……みんなのために……街を守りたい……!」
剣「……私は…………」
ビリッバチバチッビリッビリバチッブブッ

173 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:52:48 ID:pZgnkbQE
少女「いや、違うかも。……えへへ。ちょっとヒーローぶっちゃったかな……」
剣「……!」ビビビッ
…………
少女「私は、私だけじゃなくて!!!みんなごと、世界ごと幸せにしたい!それだけだった!でも!それじゃ!それだけじゃ!!……ダメかな!!!!」
ビリッバチバチッビリッ……ズッボォォオオオオンッッッ!!!!
…………

174 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 22:57:13 ID:pZgnkbQE
…………
「いてぇ……抜けたのか!?」
「抜けただろ!ほら!足元!」
「うおっ結界消えてる……マジか……」
…………
少年「いってて……大丈夫ですか?」
商人「あぁ、なんとか。まるで人間ドミノ倒しだな……」
眼鏡「……もう、へとへと」
…………
少女「……えへへ、やっと、抜けたね」
剣「……そうだな」
少女「……思ったより長いね、ツルギさん」
剣「木刀よりはな」
少女「あははっ……ははっ…………やったああああああああああ!!!」

175 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:06:49 ID:pZgnkbQE
【始まりを紡ぐためのエピローグ】
怪盗「ということでだ。本当なら祝賀会くらいは開いてやりたいところなんだけど……」
商人「私と眼鏡は街に近づいてくる魔物を一掃する。ヤバイのは大体ゴーレムだ。少女達にはそっちを誘導してもらいたい」
姫「騎士団から馬を借りておいたよ。乗り方はわかる?」
少女「……」ヒューヒュー
少年「乗れないんだね……」
姫「少年くんは?」
少年「一応乗れますけど……」
姫「よし、じゃあ少年くんは馬をよろしくね。……それと、これ」
少女「これって!もしかして!」
王「用意しておく、と言ったであろう……冒険者証明の手形じゃ。それを見せれば大抵の街や国に入れる」
少女「あ、ありがとうございます!」

176 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:11:59 ID:pZgnkbQE
少年「でも、どこに向かえばいいんでしょう?」
商人「魔王軍は北から南下してきている。ここより南に行ってもここが途中経路になるし、逆に北に行けば鉢合わせになる確率が高い」
少年「つまり、東か西へ?」
眼鏡「……東に、魔装具の研究が進んでいる大きな街がある」
怪盗「あぁ、あそこなら周りも大きなバリケードに囲まれてるし安全かもしれないね。」
眼鏡「……私たちも、後から追う」
商人「……眼鏡、魔装具に興味があるだけだろ?」

177 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:15:56 ID:pZgnkbQE
…………
鍛冶屋「よう、やったな」
少女「はい!」
鍛冶屋「ほら、これ。渡そうと思ってたんだ」
少女「……これ!マゼンタベリーの!」
鍛冶屋「あぁ、あのときに持ってきてくれたやつを使った。自信作の剣だ。ランク的には……Sだな」
少女「S?」
鍛冶屋「最高傑作ってことさ」
少女「そ、そんなもの!」
鍛冶屋「いーんだよ。俺はお前にあげたいと思った。そいつは作ってるときからそう思いながら作ってたんだからお前のもんだ。……それとな、これはサイズが合うかわからないんだが……」
…………

178 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:18:16 ID:pZgnkbQE
少女「……おしゃれになったねぇツルギさん」
剣「ふむ。私もいくつもの鞘に収まってきたが……これは良い鞘だな」
鍛冶屋「あ、ありがとよ。……とは言ってもうちにあったもんのなかで合いそうなもんを引っ張ってきただけだからジャストフィットってわけにはいかないだろうけどな」
少女「何から何まで……ありがとうございます!」
鍛冶屋「ははっ。お礼に帰ってきたときはそのツルギさんをじっくり見せてくれ。ついでにツルギさん用の鞘も作ってやるよ」
少女「……はい!」

179 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:21:28 ID:pZgnkbQE
…………
少年「……準備はいい?」
少女「うん!お父さんやお母さんにも会ってきた!」
少年「ぼくもだよ……ついでに大剣も持ってきた」
…………
「うぉー!しょーじょちゃーん!寂しくなるよー!」
「さっさと帰ってこいよー!」
「少女ちゃーん!結婚してくれーー!!!」オイバカッダカラヤメロッテ
「またねー!」
「寒くなるまでには帰ってきなよー!」
…………
少女「……照れくさいね」
少年「……うん」

180 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:24:45 ID:pZgnkbQE
少女「さてと、相棒さん?」
剣「相"棒"ではなく愛"剣"と呼べ」
少年「そういう意味ではないんだけどね……」
少女「よぉーし、じゃあ思いっきり魔力を解放しちゃって!」
剣「うむ」
少年「じゃあ……」
少女「うん……」
「「行ってきます!!!」」
……「「「いってらっしゃい!」」」……

181 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:27:29 ID:pZgnkbQE
パカラッパカラッ……
ポワァァァアアアアア…………
眼鏡「……通った後に、花畑」
怪盗「そういえばあの剣、夏の初めに自分の周りに樹を生やしていたね。魔力がそのまま自然に影響してるのかな」
商人「案外魔力とは関係なくて、自然もあいつらを送り出してやってるだけなんじゃないか?」
…………

182 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:30:41 ID:pZgnkbQE
…………
パカラッパカラッ
少女「あっ、そういえばね、さっき八百屋ののおじさんにもう当分会えないからーってすごくたくさん果物を貰ったんだ」
少年「うわ……盛り合わせだね……ってうわっ見てぼくらの後ろ」
少女「わ、花畑!……これ、ツルギさんがやってるの?」
剣「ふむ……そうなのだろうな……初めてだが……」
少女「あ、これさくらんぼも入ってるよ!ツルギさん食べる?」
剣「食えん」

183 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:37:27 ID:pZgnkbQE
…………
『それから数日後、街には小さな魔物が数体現れるだけで、ゴーレムは勇者の剣の移動を関知したものの、経路の途中から魔力が追えなくなり、魔界へと帰ることになりました』
『少女のいた街には再び平和が訪れました』
『こうして、ひょんな出会いから、小さな勇者の冒険は始まったのです。』
『めでたしめでたし』
『え?この続き?うーん。続きはどこにやったかなぁ。』
『嘘だよ、嘘。そんな顔しないでおくれ。……でもボクも少しばかり疲れちゃってね』
『またいつか、気が向いたら、続きを聞かせてあげるよ』
『それじゃあ、また。今度は紅茶でも用意して待ってるよ。』

184 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:48:07 ID:pZgnkbQE
 ということでおしまいです。
 短い間でしたが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。楽しんでいただけたなら幸いです。
 ラストだけは最初からこんな感じにしようと思ってたので登場人物はありったけ増やしまくりました。
少女「雨宿りですか?」

隣人「めりーくりすまーす」パンパン
など、今まで登場人物の少ないSSばかり書いていたので書いてて新鮮でした。登場人物がごちゃごちゃして読みにくかったらごめんなさい。
 最後に誤字脱字は僕自身すごく気にしておりますので寛容な心で見て見ぬふりしてあげてください。
 いつかまた、気が向いたら彼女たちの物語の続きも綴っていきたいです。
 それでは、この作品の続きか、はたまた別の何かか。またいつかどこかでお会いしましょう。

ゆきの(Twitter:@429_snowdrop)からのお届けでした。

185 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 23:51:58 ID:v9RuWWgE


186 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/04(金) 00:01:18 ID:sB0C8042
おつ!たのしかった

187 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/04(金) 03:52:29 ID:GP4.lS76
お前だったのか
雨宿りも隣人もリアルタイムで見てた
嬉しい

188 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/04(金) 19:14:00 ID:ay6vbsPA
近年稀に見る傑作

192 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/06(日) 22:58:44 ID:539x5.fY

王道な話で面白かったわ

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