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少女「おにぎり食べる?」勇者の剣「食えん」
Part2


25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 17:12:24 ID:6tdnyeYU
少年「魔法を使えない勇者もいたんですか?」
剣「うむ。しかしその剣の腕はまさに一流であった。二刀流だったから、お主の目指す世界一の剣士とはちょっと違うかもしれんが。剣だけで山ひとつを崩したという伝説もある」
少女「もうそこまで行くと腕力でツルギさんを抜いたんじゃないのかな」
剣「はっはっは。確かにそうかもしれんな」
眼鏡「……魔法だけの勇者は?」
剣「それはお目にかかったことがないな。私が剣だからかもしれんが」
眼鏡「……」ムゥ
剣「そう残念がるな。魔法使いだって勇者に引けをとらぬ伝説を残しているぞ。私も何人もすごい魔法使いを見てきてちる」
眼鏡「……お姉ちゃんは?」
剣「うむ。すごかったぞ。彼女ならば山ひとつ程度崩せるのではなかろうか」
眼鏡「……そっか」

26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 17:14:36 ID:6tdnyeYU
見てきておるだわぁ……。誤字脱字いっぱいありそう……。

27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 17:22:35 ID:6tdnyeYU
少女「ツルギさん、イチゴ食べる?」
剣「食えん」
眼鏡「……わたし、貰っていい?」
少女「いいよ!少年くんも食べる?」
少年「うん、貰うよ」
少女「これね、八百屋のおやじさんに貰ったんだけど今年は色々豊作だーって言ってたよ」
少年「そういうところもツルギさんの影響なのかも知れないね」
剣「まぁ、剣は神聖な道具とも言われるようであるからな。ある程度の加護が憑いているのやもしれん」
眼鏡「……まるで神様そのもの」
少女「抜かない方がいいのかなぁ?」
剣「少女が抜かずとも私はいつかは抜かれる運命だよ」

28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 17:32:02 ID:6tdnyeYU
…………
商人「よってらっしゃーいみてらっしゃー……おっ。おかえり!帰ってきたのかい?」
眼鏡「……ただいま」
少女「魔法の修行は剣の修行と違って頭を使うから爆発しそうだよー」
商人「はっはっは。私はそれが辛くて諦めたな。こんな職業だから薬草や地域の文化なんかの他の知識も色々詰め込まなくちゃなんないしね。まぁ初級魔法程度なら一通りは使えるが……」
少女「一通り!?私より全然使えるじゃないですか!!」
眼鏡「……まだ習い始めなだけでセンスはあると思う」
少女「ほんと!?よし!頑張る!」
少年「少女ちゃんは単純だなぁ……」

29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 17:38:02 ID:6tdnyeYU
商人「少年くんは魔法の修行はしないのかい?」
少年「ぼくは剣の方で手一杯で」
少女「少年くんはほんと剣一筋だもんねー」
少年「さっきのツルギさんの話を聞いてたら僕も二刀流とか始めてみようかなぁって思っちゃった」
少女「なんかかっこいいもんね二刀流」
商人「はっはっは。案外一刀流だと少女ちゃんに抜かれそうで焦ってるんじゃないか?」
眼鏡「……そのうえ、少女は魔法も身につけはじめてる」
少年「アセッテナイデスヨー」

30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 17:46:31 ID:6tdnyeYU
商人「私も世界を回ってきたし武具を売ることもあったから色々な剣士も見てきた。二刀流や、普通の一刀流。背丈くらいの大剣をふるう人間もいたな」
少年「自分に合った武器ってなんなんでしょう」
商人「かっかっか。さぁね。私は剣は使えるが剣士ってわけでもないからなぁ。銃も使うし。まぁ自分の武器が好きだからとか、仲間の武器との折り合いだとか、色々あるんじゃねぇか?」
少女「どれかを使わなきゃいけないってわけじゃないんだから、使いたいものを使えば良いんだよ!自分の使いたいという心を信じて!私は勇者になりたいって思ったから剣を始めたし、魔法を始めたよ!」
眼鏡「……名言だなー」
少女「平坦な口調でそう言われると何故か恥ずかしくなる……」
少年「ははは……そうだね。世界一の剣士ってのも漠然としすぎてたかな。もう少し、悩んでみるよ」

31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 17:53:57 ID:6tdnyeYU
…………
少年「ほっ……はっ……」
剣「あやつは曲芸師志望に鞍替えでもしたのか?剣の上に立たないと死ぬのか?剣が常に宙を舞ってるが危なくないのか?」
少女「八刀流だって……」
眼鏡「……何を血迷ったのか」
少年「聞こえてるよ」
眼鏡「……腰に鞘多すぎ」ププッ
少年「笑うなよぉ。これでも子供の頃の"剣なんて多い方が強いに決まってる"っていう信念を信じて!」
少女「"剣なんて大きい方が強い"って方を信じた方がいいんじゃないかなぁ」
少年「あ、やっぱり?」
眼鏡「………浮遊魔法を教えようか?……剣を浮かせるために」
少年「魅力的だな……」
剣「その優柔不断な状態が一番お主の足を引っ張っておるのだ」
少年「うっ……世界一への道はまだまだ遠いね……」
少女「遠回りしてるだけじゃない?」

32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 18:36:08 ID:6tdnyeYU
【第5話】
八百屋「おっ、少女ちゃんじゃねぇか。いちごいるかい?」
少女「貰います!いつもありがとうございます!」
八百屋「いやぁ、少女ちゃんは野球んとき大活躍してもらったからな!これくらいこれくらい!」
少女「えへへぇ……あれ?今日は珍しくおばさんいないんですね?」
八百屋「あぁ……それが……どうも風邪で寝込んじまってな……薬屋にも行ったんだが薬がないらしくてよ」
少女「ははぁ……ちょっと薬屋さんにお話し聞いてきます!」ピューッ
八百屋「え?お、おう……気をつけろよー!」
ピューッ
少女「あっ、おばさんにはお大事にとお伝えください!」
八百屋「お、おう」
少女「それでは!」ピューッ
八百屋「……元気だな」

33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 18:43:24 ID:6tdnyeYU
…………
薬屋「お、少女か。野球以来だな。どうしたんだ?」
少女「あの、ゼーハー八百屋さんのとこの、ゼーハーおばさんの、ゼーハー薬の、話、ゼーハーなんですけど……ゼーハーゼーハー」
薬屋「……とりあえず一旦休みな?」
…………
薬屋「どうやらあの風邪、この街で流行ってるようだ。いろんな奴がうちに来るんだがとうとう昨日材料の薬草のひとつを切らしてしまってな」
少女「次の薬草はいつ来るんですか……?」
薬屋「ここらで手に入る薬草は東の方の小さな町がいろんなとこから採取して分類、保管、出荷してる。俺んとこもそこの商人から薬の材料を買っているんだが、次にこの街に回ってくるのは明後日だな」
少女「明後日……」
薬屋「一応ここらにもその薬草は生えてるらしいんだが、俺は調合専門で、薬草採取の知識まではなくてな……。どこにあるのやら」
少女「……!あの、その薬草、どんなのかわかりますか!?」

34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 18:50:09 ID:6tdnyeYU
…………
少女「ということがありまして」
商人「それで私のとこに来たって訳か」
少女「前に薬草の知識もあるって言ってたような気がしたので……」
商人「私は商人で世界中を渡り歩いているが、旅の道中で見つけた薬草はある程度採取してるし記録もしてある。この辺りも何度か通ったこともあるからわかるかもしれないな」
眼鏡「……おかげで私もいらない薬草の知識がついた」
商人「いらないってこたぁないだろう。まぁいいや、その紙、見せてみな」
少女「ほんとですか!?えっと、はい!」

35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 19:00:36 ID:6tdnyeYU
商人「ルビーハーブだな」
少女「ルビーハーブ?」
商人「透き通るような赤色をしていることからそう呼ばれる。もっと言えば湯に煎じて茶にして飲む人もいる。この茶の色も鮮やかな赤色でな。この茶の色が由来だという説もある」
少女「は、はぁ」
眼鏡「……商人、語りだすと止まんないから」
商人「あまりの美しさから観賞用としても使われるが、その効用も中々だ。最も効くのは喉らしいが大体の病気はこいつで和らげられる。すりつぶして塗れば外傷にすら効くらしい。…まぁハーブだから中々に染みるから、こっちの用途で使うやつはあまりいないけどな」
少女「止まんないね」
眼鏡「……私にいらない薬草の知識がつくのもわかるでしょ?」
商人「おっと。語りすぎたかな。とりあえずルビーハーブの自生条件は三つだな。ひとつ、温かい地域であること。ふたつ、日光がよくあたる場所であること。そしてみっつ。高度の高い場所であること」
少女「えっと……つまり?」
商人「君達のいつも行っている丘のもう少し向こうの方に自生しているはずだよ。とはいえ元々大量に生えるものでもないから、少しだけだろうけどね」
少女「…………ほんとですか!」

36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 19:09:31 ID:6tdnyeYU
…………
ガバラッガバラッ
少年「ということで森に行くの?」
少女「うん。そういえばおやじさんが"曲芸師のぼっちゃんによろしくなー"って言ってたよ」
眼鏡「……私は迷わないように着いていけって。この馬車の魔装具で街までの道を記録できるから」
少年「とりあえずぼくは曲芸師ではない」
少女「街中で八刀流の練習するからだよー」
眼鏡「……でも今は大剣」
少年「残念ながら八刀流はまだ実用段階じゃないからね……」

37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 19:18:30 ID:6tdnyeYU
ガバラッガバラッ……ヒヒーン
少女「……!?」
少年「崖……」
眼鏡「……"日光がよく当たって"、"高度のある"場所"」
少年「え……じゃあ……」
眼鏡「だから……馬車……」
少年「この馬車、薬草を運ぶためじゃなくて……崖登りの道具を運ぶためか……!」
少女「えへへー、このおっきな袋はそれだったんだねー」
眼鏡「……少年の浮遊魔法で飛んでもいい」
少年「なんで少女ちゃんはちょっと楽しそうなの……それにぼくの浮遊魔法は実用化できる状態じゃないよ……」
少女「眼鏡ちゃんの浮遊魔法じゃだめなの?」
眼鏡「……この高度を三人は帰りの魔力が保たない」
少女「迷子にはなりたくないねー」

38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 19:26:41 ID:6tdnyeYU
少女「えっさーほいさー」
少年「なんか気の抜けた掛け声だね」
少女「これも勇者になるための修行だよ!えっさー!ほいさー!」
眼鏡「……」フワフワ
少年「一人だけ浮遊魔法なのずるくない?」
眼鏡「……一人ぶんなら……どうにかなる……」
少年「絶対嘘だよ……」
少女「えっさー!ほいさー!」

39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 19:33:28 ID:6tdnyeYU
…………
少女「あともう少しだよ!」
眼鏡「……がんばれー」
少年「なんで疲れ果ててるのぼくだけなの……」
ガッ……
少女「えっさー!ほいっさー!」
三人「「「わぁ」」」
少女(登りきった景色。そこは、色とりどりの、花畑でした)

40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 19:39:29 ID:6tdnyeYU
少年「花は色とりどりだけど……葉っぱは綺麗な赤色だ。透き通るような赤色……ルビーハーブだね」
少女「うん……あれ……でも……」
商人『……とはいえ元々大量に生えるものでもないから、少しだけだろうけどね』
少女「大量に生えるものでもないって……」
眼鏡「……私も、いままでこんな景色は観たことが、ない」
少女「これもツルギさんの力、なのかな?」
眼鏡「……大地そのものの生命力も増大している?」
少年「ほんとに神様めいてきてるね」
少女「とりあえずこんなにいっぱいあるなら……町のみんなの病気もよくなるんじゃないかな!」
少年「馬車があるとはいえ、ほどほどにね」

41 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 19:50:55 ID:6tdnyeYU
…………
商人「ルビーハーブの花畑?」
眼鏡「……記録してある」
商人「見せておくれ……ほほう……これは……私でも見たことないね」
少女「やっぱりツルギさんの力なのかなぁ」
商人「ルビーハーブ、薬屋さんにはもう届けたのかい?」
少女「はい!届けました!」
少年「手提げ篭いっぱいくらいの量だけに留めましたけどね」
商人「うん、採りすぎなかったのは正解だね」
少女「ハーブの場所、教えていただいてありがとうございました。私、薬屋さんに少しハーブを分けてもらったんです。風邪の予防にもなるらしいですし、ハーブティー……飲みませんか?」
商人「はっはっは。まぁ記録とはいえ珍しいものも見れたし礼には及ばないよ。でもハーブティーはいただこうかな。長居しようと思ってから宿から出てひとつ部屋を借りてね。……眼鏡と一緒に」
眼鏡「……もう少し広い部屋がよかった」
商人「はっはっは。まぁそういうわけでね。丁度私の部屋にはカップもいっぱいあるんだ。一緒にティータイムなんて、どうだい?」
……
「「是非!」」

42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 20:32:21 ID:6tdnyeYU
【第6話】
少女「んー!んー!」
剣「まだまだだな」
少女「勇者としてまだ私に足りないものはなんだろう……」
剣「…………」
少女「かわいさ?あっサインとか作るべきかな?決めポーズとかも……」
少年「少女ちゃん……勇者はアイドルじゃないんだよ……」

43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 20:36:16 ID:6tdnyeYU
…………
少女「ってことで何が足りないのかな……」
少年「薬草のこともあってか少女ちゃん、街の人の間では頑張ってるねってよく噂になってるみたいだけどね」
少女「うへへ、照れますなぁ……でも抜けないってことはまだまだなんだよね……」
眼鏡「……守りたいものとかじゃない?」
少年(適当に言ってそうだなぁ)
少女「なるほどぉーーー!それ!それだよ眼鏡ちゃん!私には守りたいものがなかった!!!!なるほどぉーーー!」
少年(感銘受けまくってるなぁ)

44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 20:39:34 ID:6tdnyeYU
少女「でも何を守ればいいんだろ?」
眼鏡「……世界とか?」
少年「スケール大きすぎない?」
眼鏡「……うーん。ピッチャーマウンド?」
少年「野球は当分やらないよ……多分……」
少女「私が守りたいもの……守っているもの……守れるもの……かぁ……」
少年「迷宮に迷い混んだなぁ」

45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 20:50:34 ID:6tdnyeYU
…………
商人「……とりあえず形から入ってみればいいんじゃないか?」
少女「かたち?」
商人「なんかこう、勇者っぽいものをゲットしてみるんだ。剣とかな。そういえば少女、まだ木刀だろ?」
少女「はい、お気に入りです!」
商人「でもここらだっていつ魔物が出るかわからないしな、普通の剣も一本持っておいて損はないぞ」
少女「でもお金が……」
商人「……そこで、だ」

46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 20:55:28 ID:6tdnyeYU
…………
少女「いらっしゃいませー!薬草や野菜、他所の街の魔導書など売ってますよー!」
少年(絶対バイト欲しがっただけだこれー!)
商人「へいらっしゃーい!安いよー!薬草が5Gだよー!ほら少年!品だしよろしく!」
……
薬屋「少女じゃないかこの前はありがとうよ」
……
八百屋「お、少女ちゃん頑張ってるねぇ!どれどれ……」
……
「あ、あの子よ!ほら、薬がなかったときの!「きゃーかわいー「えっ?崖を登ったっていう?…………
少女(わ、わたしいろんな人に知られてるんだ……)
商人(売り上げが三割増……看板娘になってもらおうか……)

47 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 20:57:48 ID:6tdnyeYU
少年「しっかし……この商店、魔導書なんかも売ってるんですね」
商人「まぁ魔導書は目利きが利く奴が同行者にいるんでね」
眼鏡「…………」眼鏡クイックイッドヤァ
少年「なるほど……ところで少年ちゃんのあの服装なんですか」
商人「メイド服!……異国の文化だ……」
少年「なるほど……」

48 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 21:01:06 ID:6tdnyeYU
…………
少女(知らない人にまで感謝されてちょっとくすぐったいな)
少女(いろんな人にありがとうって言われて……知らない間にいろんな人を助けてたのかなぁ)
少女(そういえば、なんで私、薬草を採りに行ったんだろう)
少女(そっかぁ。私、探さなくても守りたいもの、あったんだ)
…………

49 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/29(月) 21:06:08 ID:6tdnyeYU
商人「……ほぅれ、二人とも、今日のギャラだよ!ありがとう!」
少女「ありがとうございます!」
少年「ありがとうございます」
商人「少女、剣、買うんだろ?」
少女「いえ……もう少し、悩んでみます。やっぱり私の次の相棒は、ツルギさんだと思うので。……それより私、もっと素敵なことに気がつきました!」
商人「なんというか、すごく晴れやかな表情だね」
少年(そんなにバイト楽しかったのか……?)