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勇者「お母さんが恋しい」
Part17


413 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:05:54.27 ID:BmHQe7jvo
執事「地底の一族代表、テール=ベーリーオルクス様」
地底族長「族長となって日が浅いのでな。お手柔らかに頼む」
執事「地底の一族はその名の通り地下で生活しており、」
執事「地の魔術の他、闇の魔術を得意とする者も多くおります」
勇者(強そう)
執事「では、黄金の一族代表、オール=パイライトス様」
金竜頭領「族長代理のパイライトスだ」
執事「もう族長名乗っていいんじゃないですか?」
金竜頭領「族長となるはずだったのは我が弟だ! 私なぞ……」
メイド長「もう、お父さまったら」
勇者「えっお父さん?」
勇者「確かに魔力似てる……」

414 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:06:25.59 ID:BmHQe7jvo
魔政客「私が最後とはどういうことだね」
執事「えっあっすみません」
執事「魔王族代表、先代魔王の弟君であらせられるストゥルトゥス様」
執事「……と、そのご息女、マゼンティア様です」
魔政客「どうしても出席したいといって聞かなかったものでね」
魔政客「連れてきてしまったよ」
魔従妹「ふんっ」
勇者「ひっ」
執事「では本題に」
力族長「あなた、うちの息子に大恥かかされて摂政の座を失ったっていうのに」
力族長「よく平気でこの場に顔出せるわねぇ」
執事「ふっ……くすっ…………おっと失礼」
魔政客「おのれ……」
魔王「……本題に入るぞ」

415 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:07:33.29 ID:BmHQe7jvo
執事「えー、まずは人間を襲おうとする者が後を絶たない問題についてですが」
魔政客「それの一体どこが問題なのだね」
魔王「黙れ」
魔政客「ぐっ」
知恵族長「我々五大魔族は平和を目指すということで意見が一致している」
執事(ここまでこぎつけるのに苦労したなあ……)
知恵族長「貴公はいまだに人間を害虫だと思っているようだが」
知恵族長「古臭い固定観念はいい加減捨てたらどうなのだ」
金竜頭領「うむ。人間に恨みはあるが、人間も同じく我等を憎んでおる」
金竜頭領「争いそのものを無くさぬ限り犠牲は増え続けるであろう」
地底族長「同じく」
空族長「同意だ」
力族長「そもそも人魔の争いに興味ないわぁ〜」
力族長「でもこの頃人間のオトコにも興味あるのよねぇ」
魔政客「…………」
魔従妹「お父様……情けないわ」

416 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:08:17.65 ID:BmHQe7jvo
執事「皆様方のご協力によりどうにか沈黙を保つことができていることに感謝いたします」
執事「今後も引き続きご協力いただきたい」
執事「ご意見のある方は」
執事「異論が無いようですので、次の議題に移りましょう」
執事「真の勇者に関してですが」
勇者「…………」
執事「光の珠の力は非常に危険であり、」
執事「魔王陛下の闇の珠の力しか対抗手段がございませんので」
執事「くれぐれも接触しないようお願いいたします。異論はございますでしょうか」
魔政客「こちらからは一切攻撃を仕掛けないということかね」
執事「ええ」
魔政客「兄者も父上も自ら出向いて真の勇者と戦っておったが」
魔政客「現在の魔王陛下はただ待ち構えるだけなのかね」
魔王「我はデスクワークが多すぎて城から離れる暇がないのでな」
魔王「それに、わざわざ出向く必要もないであろう」

417 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:08:45.07 ID:BmHQe7jvo
魔政客「命令違反が絶えないのはヴェルディウス陛下の威厳が足りないからであろう!」
魔王「っ……」
執事「陛下、こらえてください」
魔政客「今すぐにでも真の勇者と闘い力を示したらどうなのだ!!」
魔政客(その結果戦死すれば政権は我が手に……)
魔政客「ただ待っているだけのこの低身長が!!」
魔王「貴様ァ!」
力族長「奥さんが戻ってきてくれるのをただ待っているだけのあなたに他人のこと言えるのかしらぁ」
魔政客「っ!?」
一同「「「「「…………ふっ」」」」
魔王「私はまだ伸びる!!」
執事「陛下、素が出てます」
魔王「はっ」
力族長「あら、無理に魔王ぶらなくてもいいのよぉ、たった数人しかいないんだからぁ」
一同「「「「「……ふっ……はっ……クスクス」」」」
力族長「まだ若いのに大変よねぇ……頑張ってお父上の真似をしてるのよねぇ」
力族長「微笑ましいわぁ」
魔王「お……のれ…………」
勇者(怒りでプルプルしてる……)

418 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:09:15.32 ID:BmHQe7jvo
執事「くふっ……次の議題に移りましょう」
執事「ふふっ……災害の多発に関してですが……はっ……」
魔王「笑うな」
執事「すみませ……現在、賢者達が原因を究明しているのですが」
執事「いまだ原因は不明です」
執事「賢者の方以外もご協力お願いいたします……ふっ……」
執事「ご意見が無ければ、これにて本会議を終了させて……いただきま……」
魔政客「待て」
魔王「何だ」
魔政客「人間の血を引く女を后にするとは本気なのかね」
魔王「ああ」

419 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:10:03.61 ID:BmHQe7jvo
魔政客「汚らわしいとは思わんのか!」
勇者「…………」
魔王「全く」
魔政客「うちの娘の方が魔王妃に相応しい!」
魔従妹「お、お父様……」
空族長「娘を嫁がせることにより自分が権力を得たいだけではないのか」
魔政客「うっ」
知恵族長「貴公の方が遙かに汚らわしい」
地底族長「何故このような者が魔王族代表なのだ」
力族長「汚いことばっかやって権力だけはちょこっと持ってるものぉ、こいつ」
金竜頭領「種族違いの恋には障壁がつきものだが……」
メイド長「…………」
金竜頭領「人間の血を引く者との婚姻は新たな時代の礎となろう」
地底族長「うむ」
魔政客「ぐぬぬ……」
執事「では、これにて大魔族会議を終了させていただきます」

420 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:10:33.35 ID:BmHQe7jvo
執事「やあ、久しぶりだねフォーコン。結婚おめでとう」
隼青年「ありがとう」
執事「やっぱりお相手はシーニュかい?」
隼青年「ああ」
執事「今度久々に手合わせしないかい? 1kmほど空を競走しよう」
勇者「親しいんだね、コバルトさんとフォーコンさん」
メイド長「ええ。彼等は生息地が近いので、幼い時分より交遊があったそうですわ」
魔政客「散々娘の前で恥をかかせおってこの年増が!」
力族長「あぁんらぁ、ごめんなさいねぇ」
魔政客「ふん、これだから力の一族は……」
力族長「知ってるわよぉ、あなた、数年前うちの息子に奥さん寝取られかけたんですってぇ?」
力族長「うちの息子も隅に置けないわねえ! あぁははは!」
魔政客「があぁぁぁ!!!!!!!!」

421 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:11:00.23 ID:BmHQe7jvo
魔王「疲れた……」
魔王「エミル、その格好は一体どうしたんだ」
勇者「兄上……その、あの子の視線が怖かったら」
勇者「男の子の格好をすれば、少しマシにならないかなって……」
魔従妹「…………」
勇者「意味なかったけど……」
魔王「はあ、まったく……」
魔王「マゼンティア」
魔従妹「…………」
魔従妹「何なのよ! もう!!」
魔従妹「ポッと出のちんちくりんの男か女かいまいちよくわかんないやつと」
魔従妹「結婚するなんて認めないんだから!!」
魔王「ちんちくりんはお前もだろう……」
魔従妹「ヴェルディウスみたいな低身長のこと好きになる女の子なんて私くらいだったのに!」
魔王「てい……しん…………」
メイド長「陛下、しっかり」
魔従妹「バカ!!」
マゼンティアは何処かへ走り去っていった。

422 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:13:44.00 ID:BmHQe7jvo
勇者「ただでさえぼく兄上の胸くらいまでしかないのに」
勇者「これ以上体格差が大きくなったら………………壊れちゃうよ……」
魔王「……お前もまだ伸びるから問題ない」
勇者「そうだといいんだけどなあ」
メイド長「しかし大丈夫でしょうか、マゼンティア様」
メイド長「護衛も付けずに城の中を走り回るのは危険ですわ」
メイド長「いろいろな思想の者がおりますので……」
魔従妹「ヴェルディウスの……ばか……」
魔従妹「…………ぐすっ」
魔豪族1「あやつ、ストゥルトゥスの娘ではないか」
魔豪族2「奴には恨みが積もり重なっておる」
魔豪族2「少し悪戯して憂さ晴らしでもするか」

423 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:14:15.40 ID:BmHQe7jvo
魔従妹「ちょ、ちょっと何するのよ!」
魔豪族1「少々お付き合い願いたい」
魔豪族2「はっ、あいつの娘の癖に顔だけはよいではないか、胸は小さいがな」
魔従妹「い、いやあああ!! 魔王族にこんなことして許されると思ってるの!?」
魔豪族1「魔王族なのに辱めを受けただなどと他人に言えるのか? こっちへ来るがよい」
魔従妹「う……」
魔豪族2「お前の父親に恥をかかされた分めいっぱい辱めてやろう」
勇者「ーーウォーターピストル」
魔豪族1「ぐはっ!」
魔豪族2「あだっ!」
勇者「子供に復讐するのは流石に卑怯だと思うんですよ」
魔従妹「っ…………」

424 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:15:19.23 ID:BmHQe7jvo
勇者「えっと……大丈夫?」
魔従妹「あ、あんた……」
勇者「…………」
魔従妹「助けるなんてバカじゃないの!?」
魔従妹「私は……あんたに……」
勇者「だって、どんな人であっても、酷い目に遭ってたりしたら後味悪いでしょ」
勇者「ほら、手を取って」
魔従妹「ん…………」
魔従妹(お人好しにもほどがあるわ)
メイド長「エミル様ーっ! もう、走るのがお早い……」
メイド長「……あら?」

425 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:16:19.35 ID:BmHQe7jvo
勇者「あ、あはは……」
魔従妹「…………」
メイド長(マゼンティア様がエミル様にぴったりくっついておられるなんて……)
魔従妹「……人間育ちのあなたに教えてあげるわ」
魔従妹「魔族は人間の多くの国と違って同性婚が認められているのよ」
勇者「えっ」
メイド長「あらまあ」
魔従妹「もう離さないから」
勇者「ちょっと待って!」
勇者「待って! ぼくには兄上が……ヴェルがいるから!!」
勇者「助けてえええええ!!!!」
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426 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/23(火) 21:24:19.71 ID:BmHQe7jvo
kokomade

427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 21:36:56.95 ID:ynKr/TAIO
magentia-san choroin sugi daro lololol

428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/23(火) 21:57:33.83 ID:Z10llEKz0
otu

432 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/24(水) 21:09:00.91 ID:xE3RRmhpo
Section 14 混血
勇者「お城の裏にお庭があったなんて……」
魔王「母上がこの庭によく訪れていた」
勇者「いろんなお花があって綺麗だね!」
勇者「このバラいい香り……」
   「くぅ〜ん」
勇者「あれ?」
勇者「この辺りから子犬の鳴き声が……」
勇者「この子、弱ってる! すぐに助けなきゃ」

433 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/24(水) 21:09:33.37 ID:xE3RRmhpo
ーー魔王城・エミルの部屋
狼犬「すぁ〜ふぐぐぐ……すぁ〜ふぐぐぐ……」
勇者「この子、真珠みたいな毛色……綺麗……」
勇者「ふわふわだぁ」
魔王「……魔狼と動物の犬の混血だな」
魔王「動物も魔の気を恐れるため、このようなことは滅多にないのだが」
勇者「……この子、ぼくとおんなじなんだ」
狼犬「すぅ〜……わふ?」
狼犬「アンアン! アン!」
勇者「よかったぁ〜元気になったみたい!」

434 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/24(水) 21:10:01.47 ID:xE3RRmhpo
狼犬「くぅ〜くぅ〜! くぅ〜ん!」
勇者「懐かれちゃった」
勇者「この子もお城に住んでいい?」
魔王「構わんが」
勇者「やったあ!」
勇者「……よし、決めた! 君の名前はパルルだよ!」
狼犬「ワン!」
勇者「かわいいなぁ〜も〜〜」
勇者(……あれ? どうして今まで気が付かなかったんだろう)
勇者(普通、同じ種族か、ごく近い近縁種でしか子供は作れない)
勇者(魔属と動物の間に子供ができたってことは、元は両方同じ種族……)
勇者(ということは、魔族と人間も祖先は同じ)
勇者(大昔、元いた人間や動物が後天的に魔属化したんだ……!)

435 : ◆qj/KwVcV5s :2016/02/24(水) 21:10:39.85 ID:xE3RRmhpo
商人「セントラルの町? 今は行かない方がいいよ」
商人「避難勧告が解除されたばかりでバタバタしてるらしいし、」
商人「ちょっと火山灰が積もっちゃってるらしくてね」
勇者兄「そうですか……」
商人「僕もしばらくまではあそこで商売してたんだがねえ……」
勇者兄「エミル・スターマイカって少女に会いませんでしたか? 俺の妹なんです」
商人「……ああ、似てると思ったよ。黒髪の小さな勇者さんだろう?」
勇者兄「はい!」
商人「一度しか話さなかったが、とても印象に残っているよ……」
商人「巷じゃ死んだなんて噂になってるが、僕は討伐隊の人から直接聞いたよ」
商人「魔王に連れ去られてしまった、ってね……」
勇者兄「討伐隊……? 詳しく聞かせてください!」