2chまとめサイトモバイル
勇者「幼女大好き」
Part7


147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/08(土) 00:41:13.89 ID:Et7/xiGi0
勇者「……人が人を殺すのは?」
龍「同族殺しなど有り得ないな。少なくとも魔物はそのような事はしない」
勇者「龍は、人を殺すのか?」
龍「……場合によってはな。なるべく穏便に済ませたいところだが。無益な殺生は極力減らしたい」
勇者「なるほど。
あと、魔物について訊きたい」
龍「答えるかは訊問によるな」
勇者「近年、魔物の数が唐突に増えた。何故だ?」
龍「……終の国から流出しているんだ。理由は幾許か有るが、最大の原因はおそらく……」
勇者「王の乱心か」
龍「……ああ。だが、それだけではなく、食糧に乏しいんだ。
より豊富な食糧を求めて北方の祖国を捨てて南に下る者が増加しつつある」

148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/08(土) 00:46:20.58 ID:Et7/xiGi0
勇者「そのような時期に、無為に時を過ごして良いのか。
四天王はおそらく国務大臣に該当するのでは?」
龍「私だって煮詰まった時は気分転換もしたくなる。
そこから妙案が浮かぶことも有るしな。……詭弁か」
勇者「次に。魔物同士は意思の疎通が取れるのか?
言語を解す魔物の数は少ないようだが」
龍「基本的な種とは様々な方法で取れる。
お前たちは大味に分類するが、私たちはかなり厳密に細分化しているんだ。
まあ、通じない奴の殆どは家畜のようなものだな」
勇者「なるほど。分かった」
龍「質問は終わりか?」
勇者「最後に要望が一つ」

149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/08(土) 00:48:17.57 ID:Et7/xiGi0
龍「何だ? 私のために購入した服の返却か?」
勇者「抱き締めさせて」
龍「は……?」
ボフッ
勇者「さあ、吾人の上に腰掛けて」
龍「……どうしてそうなる? 理解が追いつかない余り頭痛がしてきた」ズキズキ
勇者「さあ、ハリーハリー」オイデオイデ
龍「はあ……」
ポフッ

150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/08(土) 00:50:58.38 ID:Et7/xiGi0
ギュウ
勇者「温かいままだ。その姿でも恒温動物のままか。
……それにしても、素晴らしい抱き心地」
龍「……まあ、お前に抱き締められるのは嫌いじゃない」
勇者「そうか」ギュッ
龍「ん……。強過ぎだ……」
勇者「……」ペロ
龍「ひゃっ……!?」ビクッ
勇者「身体を強張らせる銀鱗美幼女可愛い」ナデナデ
龍「お前……!」
勇者「二人が上がってきそうだから鱗を消して」
龍「……ちっ」スウ

151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/08(土) 01:06:49.03 ID:Et7/xiGi0



勇者「ところで。この手風琴は何処から?」
黒「昨日会った人から預かった。暫く遠くに行くからって。
それと、その人に色々と唄を教えてもらった」
勇者「そうか」
参少女「……」ウツラウツラ
勇者「そろそろ寝よう。君は吾人のベッドを使うと良い」
参少女「でも……」
黒「勇者は?」
勇者「黒、一緒に寝よう」
黒「イヤ」
勇者「ぐすん」
龍「仕様がない。私のベッドで眠れ」
黒「……口調」
龍「バレたからもう良い」
黒「えっ」

152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/08(土) 01:08:00.06 ID:Et7/xiGi0
勇者「そうする」
参少女「あの……わたし、あなたに感謝してもしきれなくて……どうすれば……」
勇者「良いから今日は早く眠って。
あの肥満体に襲われることは絶対に無いから安心して」
参少女「は、はい……」
勇者「おやすみ」
参少女「おやすみ、なさい……」
参少女「…………」スウ
黒「……お風呂に入ってる間もずっと何かに怯えてた。
本当に何が有ったの?」
勇者「色々と。今は彼女の為にも訊かないでくれ」
黒「……分かった」
勇者「寝よう」
黒「うん」
龍「変な事するなよ」
勇者「難しいかもしれない」
龍「おい」

163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:34:58.48 ID:IlQ7RlHe0
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ーーーー参の国・円形闘技場・特別席ーーーー
ガヤガヤガヤガヤ……
参王「通常を遥かに超える観客数ですな」
参大豪商「ええ。勇者参加の集客効果は素晴らしいです。
この調子ならば一日中満席になりそうだ」
参王「諸国に名を轟かせる猛者ですからな。その力を直に見たい者も多いでしょう」
参大豪商「ふはは、その通りです」
参王(その勇者は無抵抗のまま蹂躙されるがな)
ワアアァァァアアア!!
参王「おっと、入場のようですな」

164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:37:12.20 ID:IlQ7RlHe0
ーーーー参の国・円形闘技場・観客席ーーーー
黒「勇者はどうして闘うの?」
龍「知らん」
龍(それにしてもこの建造物。以前に来た時は国事犯の処刑に使われていたが、他にも用途があったのだな)
参少女「……」グスッ
黒「……どうしたの? 朝からずっと暗い顔してたけど」
参少女「勇者さまは……わたしのせいで……」ヒグッ
龍「何の話だ」
参少女「たすけてもらう時、勇者さまは約束していました……。
この闘いで一切手を出さないと……」
黒「……それって、勝ち目がないってこと?」
参少女「……勇者さまの身に、もしものことがあったりしたら……私、どうしたら……」ポロポロ
龍「おそらく大丈夫だろう」
黒「うん。勇者は強いから。だから落ち着いて」ギュッ
龍「……」ギュッ
参少女「……ありがとう」ポロポロ

165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:39:36.32 ID:IlQ7RlHe0
ーーーー参の国・円形闘技場・舞台上ーーーー
ガーーーン
参戦士「昨夜、王の使者がわざわざ伝えに来たぜ。
アンタは俺に攻撃ができねえんだってな。がはは!
まあ、殺しはしねえよ。半殺しにはするが」
勇者「口を動かしてないで殴ったら?
大して弁が立つわけでも無い男の、野蛮で不快な声なんて聞きたくもない」
参戦士「……粋がってんじゃねえぞ!」ダダッ
勇者「……」
参戦士「っらああぁぁああ!!」ブオッ
ゴキッ
参戦士「……あ?」プシャッ
勇者「指と手首の骨折と、指の肉が裂けたみたいだな」

166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:40:48.17 ID:IlQ7RlHe0
参戦士「……このやろおおぉぉぉおおお!!」ブオッ
ガキッ
参戦士「ぐっ……!」
勇者「次は足をやりたいのか」
参戦士「くそっ!」タッ
勇者「さっさと諦めたら?」
参戦士「調子にのんなあぁぁあああ!!」スラッ
勇者「抜刀か。たしか銃以外は使っても良い規定だったな」

167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:42:55.20 ID:IlQ7RlHe0
参戦士「うおおおぉぉぉおおおおおおおお!」ブオッ
勇者「振りかぶり過ぎだ。普通なら当たらない」
ゴキャッ
参戦士「あ……」ポロッ
勇者「それと、このような鈍の剣では掠り傷も負えない。
今みたいに折れて終わり」
参戦士「バケモノ……」ドサッ
勇者「それ以外の何だと思っていた?」
参戦士「……ひっ」ジリッ
シーーン
勇者「……面倒だ。吾人の負けで良い」クルッ
参戦士「…………は?」
スタスタ

168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:46:38.38 ID:IlQ7RlHe0
ーーーー参の国・円形闘技場・特別席ーーーー
参大豪商「……なるほど、あれが勇者か」
参王「……真のバケモノですな」
参王(……示威しながらも敗退するとはな。面白くない)
ブーブー!
参大豪商「……ブーイングが多い。このままではいかんな。おい、お前」
参大豪商使者「はっ、何でしょう」
参大豪商「余興へ参加するよう勇者を説得してこい。得意の色仕掛けでも使ってな。
承諾が得られたら、アレも此処まで連れて来い」
参大豪商使者「了解致しました」
参王「何をお考えで?」
参大豪商「ふはは、客を沸かせるサプライズですよ」

169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:49:14.25 ID:IlQ7RlHe0
ーーーー参の国・円形闘技場・観客席ーーーー
勇者「やっほー」
参少女「勇者さま!」ダキッ
勇者「おっと」ナデナデ
参少女「無事で良かったです……!」
勇者「まあね」
龍「負けたが良かったのか?」
勇者「勝って得することもない。それより二人もおいで」
龍「遠慮する」
黒「わたしも」
勇者「ちぇ」

170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:53:07.36 ID:IlQ7RlHe0
黒「この後はどうするの?」
勇者「帰るつもり。それとも見たい?」
黒「……」フルフル
龍「私もいい」
参少女「勇者さまにおまかせします」
勇者「そうか」
参大豪商使者「勇者様」
勇者「ん、何の用?」
参大豪商使者「見事な闘いぶりでした。私、思わず固唾を飲んで見入ってしまいました」
勇者「どうも」
参大豪商使者「しかし、観客の中には勇者様の実力を理解できていない者がいるようで……」

171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:54:46.89 ID:IlQ7RlHe0
勇者「面倒だ。要件は簡潔に言え」
参大豪商使者「……すいません。勇者様にもう一度舞台で闘っていただきたいのです」
勇者「人間と?」
参大豪商使者「いえ、魔物です。数多のの人間を喰らった凶獣です」
龍「……」ピクッ
勇者「そうか」チラッ
参大豪商使者「……参加していただけるならば、何でも致します。……何でも」クスッ
勇者「……分かった。じゃあ大豪商に麻薬の密売を止めろと伝えておいて。それと非道な奴隷貿易を止めろとも」
参大豪商使者「っ!?」
勇者「あ、やはり伝えなくて良い。伝える必要も無くなる」
参大豪商使者「……それでは半刻ほどしたら控え室にいらしてください」

172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:56:13.93 ID:IlQ7RlHe0
龍「……」
勇者「囚われた魔物について、龍はどのように考える」
龍「……祖国を捨てた者だ。何とも思わないさ。私には関係ない」
勇者「言い聞かせているようにしか見えない」
龍「……うるさい」
勇者「そうか」
黒「龍……」

173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 22:58:39.55 ID:IlQ7RlHe0
参少女(事情は分かりませんが、不穏な感じです……)
勇者「そういえば君の事だけど」
参少女「は、はい……」
勇者「身寄りが無いそうだし、吾人の知り合いーー師匠に預かってもらう予定」
参少女「え……」
勇者「偏屈な人だけど悪人では無いから安心して」
参少女「あの……わたしは勇者さまと別れるんですか……?」
勇者「そうだ。これからは危険が格段に増す。
ちっちゃい子を連れていくわけには行かない」
参少女「で、でも……この二人は……」

174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 23:00:53.50 ID:IlQ7RlHe0
勇者「黒と龍とはこの国で別離だ」
黒「……え?」
龍「……」
勇者「元々そのつもりだった」
黒「……『ついてくれば良い』って最初に言った」ムスッ
勇者「今は状況が違う。龍の言葉通り、帰りを待っていてくれる者がいるなら帰らなければいけない」
黒「……“わたし”はそんな人たちを知らない。知らなければ他人」
勇者「吾人とだって他人だ」
黒「そんなこと……!」
勇者「吾人の何を知っているというんだ?」
黒「ヘンタイなところ」
勇者「あ、確かに」

175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 23:02:07.91 ID:IlQ7RlHe0
龍「……勇者は私の敵だ。魔王を狙っているんだからな」
勇者「その通りだ」
龍「……だが、お前が悪者では無いことは知っている」
勇者「……そうでもない」
龍「……戦うのは次に会う時まで延ばしておこう」
勇者「分かった。……吾人は違うところで時間を待つ。
戻ってくるまでの間、彼女の面倒を見ておいてくれ」
龍「それぐらいなら構わない」
勇者「どうも。それじゃ」

176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/09(日) 23:05:21.43 ID:IlQ7RlHe0
龍「……黒はどうする? 私について来るか?」
黒「……どうすれば良いか分からない。唐突過ぎて」
龍「……まあ、一緒に帰還することも考えていてくれ」
参少女「……二人は、魔物なんですか?」
龍「私はそうだが、黒は違う」
黒「わたしは人間でもないけど」
参少女「……人を食べたりするんですか?」
龍「大飢饉の時代には有ったな。私の口には合わなかったから、それ以降は食べて無いが」
参少女「……」