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勇者「幼女大好き」
Part5


103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:37:25.62 ID:mDcm3mxi0
勇者「……肆の国の唄か」
黒「……良い唄」
龍「うん」
龍(……所詮は音の羅列に過ぎないのに、どうして心揺さぶられるのだろう)
ーー♪
肆歌手「ーーーー。ーーーーーー」
黒「でも、歌詞はなんだか哀しい」
勇者「あの言語が分かるのか」
黒「分からないの?」

104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:40:52.47 ID:mDcm3mxi0
勇者「肆の国は周囲の国と唯一言語が違う。昔に存在していた帝国の領土外の土地だから」
龍(私も言葉を理解できるが、無知の振りをした方が良いな)
勇者「……どんな歌詞?」
ーー♪
肆歌手「ーーーー。ーー」
黒「『神は遠い。体燃える。心彷徨う。愛を抱いて安らかに眠れ。人。生命。安らかに微睡め』」
勇者「……」
勇者「この紙幣を彼の足下の缶に入れて来て」スッ
黒「うん」
龍(結構な大金だな)

105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:42:51.53 ID:mDcm3mxi0
肆歌手「……」ピタッ
スタスタ。
肆歌手「ーーーー。ーーーー」
勇者「……何だって?」
黒「『こんな大金は申し訳ない』だって」
勇者「……気にしないで良い。それだけの音楽だった」
黒「ーー。ーーーーーー」
肆歌手「……ーー。あり、がと……」
勇者「……」コクリ
勇者「もっと聴かせてくれ」
黒「ーーーー」
肆歌手「ーー」ニコッ
ーー♪
肆歌手「ーーーーーー。ーー」
ーー♪

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:36:52.36 ID:TKQT1YFU0
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ーーーー終の国・魔王城ーーーー
側近「来ましたか、人狼」
狼「親分が逝っちまったのなら集うに決まってんだろうよ。
……てめえ、片腕はどうしたんだ?」
側近「邪魔なので切り取りました。
しかし、本当に残念です。陛下が崩御なさるなんて」
狼「……あんまり落胆してるようには見えねえが」
側近「感情を表に出したくないんです」
狼「けっ、そうかい」
側近「……しかし、四天王も減ってしまいましたね」
狼「ああ。まあ、姉御も娘っ子も無事である事を信じるしかねえさ」
側近「そうですね。黒はともかく、龍には生還してもらわないと。
まったく、魔物でもない輩など放っておけば良いものを」

111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:41:40.97 ID:TKQT1YFU0
狼「姉御だからな。それに娘っ子も身内だろうが。
……ところで、骸の野郎は何処にいやがるんでい?」
側近「彼なら陸の国に遣わしました」
狼「……」ギロッ
側近「なにか?」
狼「骸の野郎が人間のいる場所で何をしてるは知らねえが、今は親分を悼む時じゃねえのか?」
側近「しょうがないでしょう。今は終の国の過渡期なのですから」
狼「けっ。……お嬢は何処だ?」
側近「自室に引きこもってますよ」」
狼「……親分が逝って、一番辛いのはお嬢だろうが。何で独りにしていやがる」
側近「私では慰撫できないからですよ」

112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:42:37.33 ID:TKQT1YFU0
狼「……けっ」スタスタ
側近「待ってください」
狼「あ?」ギロッ
側近「魔姫様を慰め終えたら、もう一度私を訪ねてください。渡したいものが有ります」
狼「嫌だね」スタスタ
側近「魔剣」
狼「っ!?」ピタッ

113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:45:10.91 ID:TKQT1YFU0
側近「ふふ。……陛下を狂気に誘ったと考えられる恐ろしき剣。それを貴方に渡したい」
狼「……」
側近「陛下は大変素晴らしいお方でした。貴方も勿論そう思うでしょう?」
狼「今更口に出す必要もねえよ。あれ程の漢を超える奴は一人として存在しねえ」
側近「人狼、貴方が陛下に厚い忠義を尽くしていたのはよく存じています」
狼「それも、言うまでもねえことだ」
側近「しかし同時に、貴方は一人の漢として陛下を超えたがっているように見えていましたが?」
狼「……否定はしねえ」
側近「貴方にその機会を送りたい。陛下の御心さえも狂気に染めた魔剣。
これを御することができれば陛下を超えたも同然でしょう」

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:49:53.55 ID:TKQT1YFU0
狼「……けっ。実際のところは、てめえ自身があの力を所有してえのに、てめえ自身が壊れる危険性にビビってんだろう?
もしや腕がねえのも魔剣のせいか?」
側近「さあ、どうでしょうね」
狼「そして、俺を魔剣の使い手にして間接的にその威力を用いようって魂胆なわけだ」
側近「どうでしょうね」
狼「……ふん、良いさ。乗ってやるよ。
……だが、てめえの飼い犬にはならねえ。よく覚えていやがれ」
スタスタ
側近「……私の意図に気付きながらも承諾しますか。
勘は良くても阿呆な男です。助かりますが」

115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:51:34.71 ID:TKQT1YFU0
ーーーー終の国・魔姫の部屋ーーーー
狼「勝手ながら失礼いたしやす」
魔姫「……」ポー
狼「熱心に窓を覗いて、何か面白ェもんでも見えるんですかい?」スタスタ
魔姫「……」ポー
狼「なんでい。面白ェもんなんか、ありゃしない」
魔姫「……狼だ。久し振り」ポケー
狼「お久しゅうござんす。随分と遅いお気づきで」
魔姫「ん、何だかボーッとしちゃって」

116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:53:17.23 ID:TKQT1YFU0
狼「……ひでえ窶れようだ。ちゃんと飯食ってますか。それにクマもひでえ。可愛らしいお顔が勿体ねえですぜ」
魔姫「お腹が空かないの。食事を見るだけで気持ち悪くなっちゃう」
狼「お嬢……」
魔姫「それに眠れないの。すごく眠いのに、何だか頭の芯はハッキリした感じがして」
狼「無理はしないでくだせえ」
魔姫「うん……」

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:55:31.77 ID:TKQT1YFU0
狼「ところで、あっしの尻尾を見てくだせえ!」クルッ
魔姫「……お花の飾り。自分で作ったの?」
狼「そうですとも! 前にお嬢と娘っ子に教わったのを思い出して作ってみたんでさあ。ひでえ不格好な形になっちまいましたが」
魔姫「……ぷっ」
狼「一番大変だったのは尾に巻きつける時でさあ。あんなに集中したのは久方振りでした」フリフリ
魔姫「あははっ」ギュッ
狼「おふっ。尻尾を掴むのは堪忍してくだせえ」ビクッ
魔姫「やっぱり狼はおもしろいね。あはは」ニコ
狼「ははは」

118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/01(土) 23:58:07.52 ID:TKQT1YFU0
ツー
魔姫「……あれ?」ポロポロ
狼「……お嬢。溜め込まねえでください。あっしが幾らでも受け止めますから」
ギュッ
魔姫「……どうしてっ! どうしてお父さん、死んじゃったの……!
優しかったのに、おかしくもなって……。どうしてなのっ……!」
狼「……誰だっていつかは去っていくもんです。順番なんぞありゃしません」
魔姫「それに……! 黒ちゃんも、龍さんも、いなくなっちゃうし……!」ポロポロ
狼「きっと何処かで小石にでも躓いちまったんでしょう。
直に帰ってきますよ」ニカッ
魔姫「……本当?」グスッ

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/02(日) 00:01:47.58 ID:KB+oEAcY0
狼「あっしがお嬢に嘘を吐いたことが有りやしたか?」
魔姫「……ない」
狼「なら、信じてくだせえ」ニカッ
魔姫「……うん!」
狼「それじゃあ、飯を食べて、風呂に入って、糞して眠ってくだせえ」
魔姫「……もうっ! 汚いこと言わないの!」プクッ
狼「こいつあ、失敬しやした」
魔姫「……ねえ」
狼「何でござんしょう?」
魔姫「狼は、わたしを置いていかないよね?」
狼「その契りは……」
魔姫「……」ジワ
狼「……勿論でさあ! 男一匹、しかと心に誓いやした!」
魔姫「うん!」ニコ

120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/02(日) 00:04:03.85 ID:KB+oEAcY0



狼「げほっ……!」
ビチャビチャ
側近「吐血だけで済みますか。流石ですね」
狼「……親分は血さえ吐いて無かったろうが」
側近「そうでも有りませんよ。陰で大量の血反吐をはいていました」
狼「……そうだったのかよ」
側近「それで。魔剣の具合はどうですか?」
狼「……」
ビキビキ
側近「……なるほど。陛下と同様に肉体と同化していますね。
狼「……気を抜けば、こいつに喰われちまいそうだ。
親分が狂っちまったのもよく分かる」
側近「気をしっかり持ってくださいね」
狼「けっ、言われるまでもねえ。……誓いは破れねえからな」

123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/07(金) 23:36:39.54 ID:QaZ3OqBj0
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ーーーー参の国ーーーー
情報屋「暁の時分からご苦労なこった」
勇者「昨日と同じ用件。金額は同じで良いな」スッ
情報屋「昨日より減ってるが?」
勇者「昨日は、初国の貨幣の価値が上がった。正確にいうと、ようやく相場に反映された」
情報屋「……耳聡いな」
勇者「本当に知らなかったのか、巻き上げようとしたのかは知らないが、どちらにしろ信用問題に関わる。
情報屋は信頼が最重要のはずだ」
情報屋「……そうだな」
勇者「それで。肆の国の情報」
情報屋「ああ。初の国への侵攻はまだのようだな。だが確実に差し迫ってはいる。一週間も経たない内に交戦状態を迎えるだろうな」
勇者「そうか。それじゃ」
情報屋「毎度有り」
バタンッ
情報屋「……あれが噂の勇者か。おっかねえな」

124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/07(金) 23:38:15.66 ID:QaZ3OqBj0
ーーーー参の国・高級ホテルーーーー
龍「……明け方なのに、どうして勇者が居ないんだ?」
黒「わたしが起きた時には、もういなかった」
龍「私なんて抱き締められてたのに、気付かなかったぞ」
黒「龍はいつも幸せそうに寝てる」
龍「……私が?」
黒「うん」
龍「……そんなことは無いはず」
勇者「ただいま。起きてたのか」
黒「おかえり。どこに行ってたの?」
勇者「美幼女の探索」
黒「気持ち悪い」
勇者「ぐすん」

125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/07(金) 23:40:40.83 ID:QaZ3OqBj0
ーーーーーー
ーーーー
ーー
黒「上がり」ポンッ
勇者「負けた。これで上がり」ポンッ
龍「うう……」
黒「……大富豪も飽きた」
勇者「もうお昼の時間だ。今日は何が食べたい?」
龍「も、もう一回! 次こそ……!」
黒「正直、弱すぎて話にならない」
龍「うう……」
勇者「……もう一回だけ」
龍「……!」パアッ
黒「それは喜びすぎ」
龍「次こそ……!」
勇者「……」チラッ
黒「……」チラッ
コク

126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/07(金) 23:41:53.57 ID:QaZ3OqBj0



龍「勝った……!」
勇者「わー、つよーい」
黒「かなわない」
龍「ふふ……そうだろう、そうだろう」
黒「……素が出てる」ボソッ
龍「あっ、う、嬉しいです! わあい!」アタフタ
勇者「そうか」
龍(……不審には思われなかったようだな。良かった)
黒「お腹すいた」キュー
勇者「昼餉にしよう」