Part4
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:13:38.51 ID:
stZ/hkK10
ーーーー参の国・高級ホテルーーーー
黒「午後は何をするの?」
勇者「参王に謁見してくるから、部屋で待っていて」
黒「どれくらい?」
勇者「できる限り早く戻る。参王は嫌いだ」
黒「どうして?」
勇者「傀儡であることに満足しているからだ」
龍(どういうことだ?)
黒「どういうこと?」
勇者「この国は商人が多い。それは国家自体が商業を促進させようとする法律を制定したり、そういう政策を行っていることも大きな要因。
入国料や土地代を格安にしたり、関税の税率を極めて低くしたり。
新規で商売を始めた人間にも有利になる制度も、古株を保護する制度も多い」
黒「それは悪いこと?」
勇者「いや。農民には重苦だけれど、そもそも殆どの農民はもう参の国に残っていない。
問題なのは法律や政策が正常に機能していないこと」
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:16:16.92 ID:
stZ/hkK10
黒「……?」
勇者「賄賂。現王は多くの不正な上納金を豪商たちから受け取って、彼らを優先的に保護している。非合法の商売を黙認したり。
それどころか、最近は豪商たちの言い成りと化しはじめている」
龍(……“水清ければ魚棲まず”とはいうが、あまりに濁っていては仕様がない)
黒「……」
勇者「尤も嫌っている一番の理由は別にある」
黒「一番の理由は?」
勇者「幼女」
黒「は……」
勇者「参王は小児性愛者との噂。しかも嗜虐癖が有るらしい。更に肥え太った豚のような体型だ」
龍(それはきついな)
勇者「到底好きになれる訳が無い」
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:18:04.89 ID:
stZ/hkK10
黒「……同類な気がする。あなたは太っていないけど」
勇者「心外だ。吾人の基本理念は『Yes,ロリータYes,タッチNo,ファック』」
黒「どうでも良い」
勇者「そうか」
勇者「じゃあ、行ってくる。くれぐれも外に出るなよ」
黒「うん」
龍「はい」
龍「……行ったか」フー
黒「うん。さあ、外に行こう」
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:19:22.75 ID:
stZ/hkK10
龍「部屋で大人しくしていろと言われただろう」
黒「言い付けを守るわたしじゃない」フンス
龍「良いから部屋で静かに過ごしてろ」
黒「むぅ……」プクー
龍「……自分の過去の話を知りたくないか?」
黒「……」
黒「聴かせてもらう」ポスッ
黒「さあ、隣に座りたまえ」ポンポン
龍「随分と偉そうだな」ハア
黒「気にしない、気にしない」
龍「……それもそうだな。失礼」ポフッ
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:21:33.33 ID:
stZ/hkK10
黒「なかなか良い座り心地」
龍「そうだな。素晴らしいベッドだ」
黒「それで。わたしの過去について教えて」
龍「うむ。何処から話そうか」
黒「どこからでも」
龍「……だいぶ前、終の国で未知の遺跡が発見された。
おそらくは現在の文明を遥かに卓越した技術で建造された建物だ」
黒「……私はそこに居たの?」
龍「そうだ。私たちが一つの巨大なカプセルの前に辿り着くと、カプセル内が発光してお前が生成された」
黒「……」
龍「私たちはお前を保護した。お前は最初こそ心を開いてくれなかったが、その内私たちに馴染んでいった。魔姫の存在が大きかったんだろうな」
黒「魔姫……」
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:22:50.17 ID:
stZ/hkK10
ーーーー……………う!
ズキッ!
黒「っ……!」
龍「大丈夫か? ……思い出したのか?」
黒「分からない……。分からないけど、大切なことを忘れてる気がする……」ポロポロ
黒「苦しい……。胸が苦しい……」ポロポロ
龍「……」ギュッ
黒「もっと、知りたい……。思い出したい……」
龍「……ああ、幾らでも話すさ」
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:24:21.63 ID:
stZ/hkK10
ーーーー参の国・王城ーーーー
参王「勇者殿か」
勇者「如何にも」
参王「わざわざご苦労」
勇者「いえ」
参王「ふむ。初の国と結んだ盟約の確認に来たのであろう?」
勇者「そうですね」
参王「心配は無い。肆の国への傭兵の派遣は禁じた。また、弾薬などの銃火器類の輸出先は初の国を最優先にするよう話を通してある」
勇者「……」
参王「ふふ、姫を余の物にする為なら、どんな労力も厭わん。あれ程美しい娘、世界中を探しても居ないだろうからな」
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:25:45.38 ID:
stZ/hkK10
勇者「…………」
参王「幼い娘というのは素晴らしいと思わぬか?」
勇者「その通りです」
参王「ほう、即答とは話が分かる。勇者殿も嗜む口か」
勇者「ええ。誇らしいことに」
参王「幼児には神聖な美しさが有ると思わぬか?」
勇者「よく分かります」
参王「それを穢し、壊すことに恍惚を覚えないか?」
勇者「分かりかねます」
参王「そうか。残念だ」
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:27:02.67 ID:
stZ/hkK10
参王「……ところで、勇者殿に頼みがある」
勇者「なんですか?」
参王「三日後に大武闘会が開催される。勇者殿には是非参加してもらいたい」
勇者「……」
参王「主催者である大豪商殿に懇願されてな、世界の希望と評される勇者殿の威力を見れば、多くの者が勇気付られ、また明日を生きていく糧になる。多くの民の為にも是非お願いしたい」
勇者「……」
勇者「承諾しました」
参王「ふん。勇者も存外阿呆だな。あの程度の煽てでその気になっている」
参大臣「ええ、まったく」
参王「実際は集客効果を狙ったに過ぎないだろうに」
参大臣「聞けば農村の出だとか。所詮、低俗な血が流れる者。幼稚なのもいた仕方有りませぬ」
参王「ふふ、まったくだ」
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 23:27:56.29 ID:
stZ/hkK10
今日はお終いです。
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/28(火) 01:12:31.66 ID:cNG1g6dc0
今更だが乙
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/29(水) 00:33:39.15 ID:
ChHTzgBh0
ーーーー参の国、高級ホテルーーーー
勇者「ただいま」
龍「あ、おかえりなさい」
黒「すう……」
勇者「美幼女が美幼女を膝枕する構図。……ワンダフル」ウンウン
龍「は、はあ」
勇者「ところで。君は今夜にもう一度風呂に入る?」
龍「いえ」
勇者「そうか。一緒に入ろうと思っていたのに残念だ」
龍「そうですか……。あの、ごはんは?」
勇者「適当な店で買って食べた」
龍「そうですか」
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/29(水) 00:37:39.56 ID:
ChHTzgBh0
勇者「明日は一緒に露店巡りもしよう」
龍「あ、はい」
勇者「中心街は活気があって、見ているだけでも楽しい。きっと新しい発見もたくさんあると思う」
龍「そうですね」
勇者「……疲れただろうし、黒を移動させる」スッ
龍「あ、はい」
龍(別に黒なら重みも感じないが)
龍(……しかし、この男の所作からは黒に対する労りや慈しみを感じさせる)
龍(言動や変化の無い表情からは読み取り辛いが、優しい性質のようだ)
勇者「どうかした?」
龍「あ、何でもないです」
勇者「そうか」トサッ
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/29(水) 00:39:17.82 ID:
ChHTzgBh0
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黒「夕ごはんもおいしかった」
龍「うん」
勇者「それは良かった」
黒「勇者も食べれば良いのに」
勇者「質素な食事で充分。色々求め過ぎると、肝心なものが手に入らなくなる」
黒「そんな事ないと思うけど」
勇者「ジンクス。それに、美幼女と戯れるだけで幸福でお腹がいっぱい」
龍(本音にも冗談にも聞こえる)
勇者「風呂に入ってくる。黒も入る?」
黒「イヤ」
勇者「そうか」スタスタ
黒「……あれ?」
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/29(水) 00:41:42.39 ID:
ChHTzgBh0
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勇者「一緒に寝よう」ホカホカ
黒「イヤ」
勇者「そうか。君は?」
龍「えっと……」
龍(黒に便乗した方が良いか)
勇者「よし、一緒に寝よう。ふひひ」ガシッ
龍「え、う、うん」
黒「え……」
龍(……勢いに押されて承諾してしまった。まあ、添い寝程度なら良いか)
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/29(水) 00:45:05.28 ID:
ChHTzgBh0
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黒「……」スヤスヤ
勇者「良い匂いがする」スンスン
龍「ありがとうございます……」
龍(……こうして密着すると勇者の力量がよく分かる。
……私でもこの男に勝てないかもしれない)
龍(……しかし、随分と固く抱き締めるんだな)
勇者「あったかい」
龍「私もです……」
勇者「おやすみ」
龍「おやすみなさい」
龍(……たまには抱き締められるのも悪くないな。
王の生命を狙ってる者だが、あまり嫌いでは無いし)
勇者「ぐう……」
龍「…………すう」
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:25:42.54 ID:
mDcm3mxi0
ーーーー参の国・服屋ーーーー
黒「……高そうな服がいっぱい。それに広い……」
勇者「世界でも最大規模の高級店だから」
龍(衣服に拘泥する人間の性は理解できそうにないな)
勇者「どんどん試着していこう」
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98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:28:05.59 ID:
mDcm3mxi0
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黒「……お姫様みたい」
龍「そっちも」
勇者「良い。とても良い」
参服屋店員「真にお似合いでございます」
黒「……キレイな格好だけど、動き辛い」
勇者「華やかさを追求した服で、機能性は意識してないみたい」
参服屋店員「しかし、こちらは一級品の絹を原材料に作られていまして、滑らかな手触りな上、通気性にも優れております」
勇者「そうか。欲しい?」
黒「お洗濯が大変だから良い」
龍「私も……」
勇者「そうか。可愛いのに残念」
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:29:26.25 ID:
mDcm3mxi0
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黒「……これ、服じゃない」
龍「うん……」
勇者「黒い柔肌と白い玉肌。主張の激しくない水着。マーベラス」
参服屋店員(マジでマーベラス)
勇者「次はこれとこれとこれとこれと……」
黒「まだそんなに……?」
勇者「勿論。あ、これも……」
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:32:05.01 ID:
mDcm3mxi0
ーーーー参の国・大通りーーーー
黒「疲れた……。結局、大して買ってない」
勇者「美幼女は何を着ても素晴らしい」ツヤツヤ
龍(色々な店があるな。人熱れも凄まじい)キョロキョロ
黒「お腹すいた」グー
勇者「何か要望はある?」
黒「おいしいもの」
勇者「分かった」
龍(む、香辛料に砂糖。以前は相当貴重なものだったらしいが、現在では庶民でも普通に買えるのか)
勇者「君は食べたいもの有る?」
龍「え? えっと、勇者さんに任せます」
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:32:56.72 ID:
mDcm3mxi0
勇者「お兄ちゃんだ」
龍「……お兄ちゃんに任せます」
勇者「うむ」ナデナデ
龍「ん……」
黒「……」
勇者「物欲しそうな黒にも」ナデナデ
黒「別にそんなことない」
勇者「実は個人的に撫でたいだけ」ナデナデ
黒「……そう」
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/31(金) 02:35:55.91 ID:
mDcm3mxi0
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黒「……食べ過ぎた」ゲプッ
勇者「よしよし」サスサス
ーー♪
龍「……?」
ーー♪
黒「……キレイな音」
勇者「手風琴の音か。あそこに立っている男の演奏だ」
黒「もっと近くに行きたい」
勇者「分かった」
ーー♪
肆歌手「ーー。ーー」