Part3
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:03:14.07 ID:
K/NGkUyQ0
ーーーーーー
ーーーー
ーー
追手達「ーーーー」
勇者「組織側から接触してくれて助かった」ズブッ
勇者「……情報を告げたらしい昨夜の女は、殺されたかな」
勇者「……別に良いか。リビングデッドだし」
勇者「さっさと組織を潰そう。そして褐色美幼女とデート。ふひひ」
勇者「……げほっ」
ビチャッ
勇者「……」グイッ
勇者「最近、吐血の間隔が短くなってきた」
勇者「あと、どれだけ生きられるだろう」
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:04:23.09 ID:
K/NGkUyQ0
ーーーーーー
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ーー
弐王「……一日で巨大密売組織を壊滅なさったと?」
勇者「そうだ。証拠品も押さえておいた」
弐王「……流石は、勇者様といったところでしょうか」
勇者「そうだな。それじゃ」
弐王「……行ったか」
弐大臣「……我が国の警察軍たちは組織と癒着していたのでしょうか。勇者様が一日で発見して壊滅できるような組織がまったく見つからないと報告していましたし」
弐王「それは違うだろう。あの方が……アレが規格外なだけだ」
弐大臣「……聖剣の力ですか?」
弐王「そうであろうな。私自身もその威力を目の当たりにした事が有るが、人間の領域を遥かに超えていた。正直、あの剣を聖剣と呼んで良いのかも怪しい」
弐大臣「……」
弐王「やはり初の国には逆らえない。最低でも、アレが機能している間は」
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:06:33.62 ID:
K/NGkUyQ0
ーーーー弐の国と参の国の国境線付近ーーーー
勇者「ふんふーん」ガタガタッ
黒「すごい力。道もデコボコなのに」
勇者「乗り心地が悪いのは勘弁して」
黒「うん」
・
・
・
勇者「……今日はこの辺りで野宿」
黒「分かった。……それにしても速かった」
勇者「ふふん」
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:08:06.39 ID:
K/NGkUyQ0
・
・
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パチッパチッ
黒「……あまりおいしくない」
勇者「保存食だからしょうがない。明日は美味しいものをたくさん食べられる」
黒「楽しみ」
勇者「良かった」
黒「……ところで良いの? 焚き火をして」
勇者「なんで?」
黒「獣や獣型の魔物は寄り付きにくくなるけど、賊や人型の魔物には格好の目標だから」
勇者「追い払えば大丈夫。任せて」
黒「……分かった」
勇者「でも、やっぱり危ないからくっついて寝るべき。ふひひ」
黒「イヤ」
勇者「ぐすん」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:09:29.61 ID:
K/NGkUyQ0
ガサッガサッ
山賊頭「おっと暴れんなよ。囲まれてんだからな」
勇者「出た」
黒「数が多いね」
勇者「この辺りは、商隊が頻繁に通るから、それ目的の強盗も多い」
黒「……だったら、どうしてこの辺りで野宿しようとしたの?」
勇者「美幼女が夜更かししちゃいけないから」
山賊頭「呑気に駄弁ってんじゃねぇ! 荷物全部出せや!」
勇者「うるさい」ガシッ
山賊頭「な……」
勇者「ていっ」ブンッ
山賊A「なに!?」
ガシッガシッガシッ
勇者「ていっ」ブンッブンッブンッ
山賊D「ば、バケモノ!!」
山賊E「逃げるぞ!」
勇者「無理。全員、風になってこい」
山賊達「ひいっ……」
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:11:05.20 ID:
K/NGkUyQ0
・
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勇者「おしまい」
黒「あれだけ飛んだら、死んじゃう」
勇者「森に投げたし、運が良ければ生き延びる。多分串刺しかバラバラだろうだけれど」
黒「……ひどい」
勇者「どうせ人殺したちだ。安らかに死んで良いわけがない」
カサッ
黒「まだいたの?」
勇者「…………」
幼女「えぐっ……。こわいよぉ……」
勇者「……美幼女きた!!」
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:11:58.57 ID:
K/NGkUyQ0
幼女「ひうっ……!」ビクッ
勇者「ふひひ、可愛い。あの薄汚い男たちに捕まってたのか?」
幼女「え、う、うん」
勇者「可哀想に。お兄ちゃんが守ってあげるからね。ふひひ」
幼女「え、う、うん……」
勇者「びくびくしている美幼女可愛い」
黒「……ちっちゃければ誰でも良いんだ」
勇者「嫉妬?」
黒「本当に見損なっただけ」
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:12:52.38 ID:
K/NGkUyQ0
・
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パチッパチッ
幼女「……おいひいです」
勇者「よほどお腹が空いてたんだね。明日は美味しいものをいっぱい食べさせてあげるから」
幼女「あ、ありがとうございます……」
黒「わたしも」
勇者「勿論」
幼女「あの……」
勇者「ん?」
幼女「勇者さんは、魔王を倒しに行くんですよね……?」
勇者「そうだ」
幼女「だ、大丈夫なんですか……?」
勇者「強いから大丈夫」
幼女「そ、そうですか」
勇者「むしろ倒すまでの雑用の方が面倒」
幼女「……そうですか」
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:16:24.68 ID:
K/NGkUyQ0
パチッパチッ
勇者「ぐう……」
黒「…………」
幼女「起きてるか?」
黒「……一応」パチ
幼女「勇者に捕まるとは。同じ四天王として恥ずかしい限りだ」
黒「……四天王?」
幼女「龍だ。ほら、鱗」ス-
黒「……」
龍「助けに来たんだが、いつでも逃げ出せる状況じゃないか。王はこの男を危険視していたが、それ程の者でも無いようだ」
黒「……」
龍「さっさと帰るぞ。魔姫もお前の帰りを心待ちにしてる」
黒「……ごめんなさい」
龍「……なに?」
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:18:49.22 ID:
K/NGkUyQ0
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・
・
龍「つまり、過去の記憶を失って行くあてが無いから、この男と共に行動してると」
黒「うん」
龍「そうだとしても一緒に帰るぞ。記憶を無くしても、終の国はお前の居場所だ。記憶を喪失しても最初からやり直せば良いさ」
黒「……あなたの言葉を信じる根拠が無い。悪者では無いみたいだけど」
龍「……ならば、信頼されるまで暫くは同行させてもらおう。
この男は無表情で何を考えているか分からず、幼い娘に発情する変態だが、あまり乱暴を働く事も無いようだしな。この姿は良い隠れ蓑だ」
黒「そう」
龍「問題は幼い娘を演じ切れるかだな」
黒「頑張って」
龍「……まったく。終の国は不穏な状況に有るから暢気にもしていられないというのに」
黒「……?」
龍「王の乱心だ。数年前から様子がおかしくなっていたが、近頃はそれに拍車がかかった」
黒「……」
龍「王が狂い始めたのは、天から降り落ちた剣を手にしてからだ。
だから私は、正気に戻ってもらう為にもそれを王から奪い返そうと思う」
黒「わたしに言われても……」
龍「……それもそうか。お前の助力が必要なのだが、記憶を無くしていてはな」
黒「……ごめんなさい?」
龍「謝る事では無いだろう。とにかく、今は色々と様子見だな」
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/26(日) 17:20:35.09 ID:
K/NGkUyQ0
今日はお終いです。
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2012/08/26(日) 20:34:25.78 ID:RKPGVd+Ho
乙
やったね、幼女が増えたよ
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/26(日) 21:11:19.68 ID:N7AdLcxIO
おつ
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:26:34.41 ID:
stZ/hkK10
ーーーー参の国ーーーー
勇者「到着」
龍(……信じられない速さだった。勇者とは人間から逸脱した存在なのか?)
黒「大きい……」
勇者「平地で土地が肥沃だから、昔から住人が多かった。それに多くの国と隣接していて交通の便が良かったから商業大国として発展した」
黒「そうなんだ」
龍(……前回訪れた時とは建物の様式も、人の数もだいぶ違うな)
勇者「取り敢えず宿泊場所を決めよう」
黒「うん」
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:28:16.57 ID:
stZ/hkK10
ーーーー参の国・高級ホテルーーーー
黒「……すごい立派」
勇者「弐の国の城よりは確実に豪華」
龍(魔王城よりも絢爛だな。尤も、ここまで壮麗にする必要性も感じられないが)
勇者「部屋に備え付けの浴槽が有るから、入って来ると良い。
着替えは今すぐ買ってくる」
龍「え? う、うん……。ありがとう……」
龍(人間はあまり風呂に入らず、臭い香りを身に付ける不潔な生物だと思っていたが、時の流れで変わったのか?)
龍(人間の変遷の速度は凄まじいからな)
勇者「褐色美幼女も一緒に入って来ると良い。美幼女二人の入浴。ふひひ」
黒「わたしはお風呂に入る必要が無いから良い」
勇者「そうか。残念」
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:29:23.20 ID:
stZ/hkK10
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・
黒「この国にも用事が有るの?」
勇者「無い。むしろ面倒事を起こすなと書いてあった」
黒「じゃあ、すぐに出て行くの?」
勇者「分からない。今は待機する期間だから」
黒「待機?」
勇者「そうだ。……服屋に行ってくる。褐色美幼女とは明日ね」
黒「今更だけど、その呼び方はイヤ」
勇者「……黒とは明日行こう」
黒「うん」
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:31:43.93 ID:
stZ/hkK10
・
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・
龍(……なんだこの服は? ヒラヒラした布が数多く施されている。しかも生地が薄い)ホカホカ
龍(このような華美な衣服を好んで着るとは、やはり人間は面妖な生物だな)ホカホカ
龍(まあ、王の生命を狙う者のとはいえ、せっかくの厚意を無碍にするのも憚られるな)
龍「……」スルスル
・
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・
勇者「美しい。もはや一つの芸術品だ」
黒「きれい……」
龍「あ、ありがとう……」
龍(所詮は仮初めの姿に過ぎないのだがな)
勇者「早く黒にも煌びやかな衣装を来せて、華やかな美幼女を両手に抱きたい。ふひひ」
黒「気持ち悪い」
勇者「ぐすん」
龍(この男、ずっと無表情だな)
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:32:38.17 ID:
stZ/hkK10
勇者「昼食にしよう。要望は有る?」
黒「おいしいもの」
勇者「そうか。君は?」
龍「え……。え、えっと、まかせます」
勇者「そうか」
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:34:46.14 ID:
stZ/hkK10
ーーーー参の国・最高級レストランーーーー
黒「おいしい」モキュモキュ
龍「おいひいです」モグモグ
龍(人間は中々上等なものを食しているのだな)
黒「勇者は食べないの?」
勇者「ここではパンと水がメニューに存在しない。だから後で食べることにした」
龍(随分と克己的な食生活を送っているのだな。最初の印象ほど不貞な人間では無いようだ)
勇者「おいしそうに料理を頬張る美幼女たち可愛い」ポカポカ
黒「……」モキュモキュ
勇者「……ところで。君の住所は何処? 参の国としか聞いてない」
龍「えっ……」ドキッ
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:36:33.42 ID:
stZ/hkK10
龍(……失敗したな。すぐに黒を取り返して去るつもりだったから近くの国を答えたが、予定を大幅に変更したからな)
龍(どうしたものか……。この辺りの近況なんて知らないし、黒に援護を頼むか)チラッ
黒「これもおいしい」カリッ
龍(……無理だな。食事に夢中だ)
勇者「どうかした?」
龍「あ、えっと、えっと……。南西の街……です」
勇者「伍の国に近い場所か。治安が悪そうだね。麻薬流入を取り締まる警備兵も多いんじゃない?」
龍「え、えっとぉ、私、まだ子どもだから分かんない。てへっ」
黒「…………」プッ
勇者「…………」
龍(……色々とやらかしてしまった)カアー
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/27(月) 12:37:53.08 ID:
stZ/hkK10
勇者「……マーベラス」ツー
黒「泣いてる……」
龍(ど、どういうことだ……?)
勇者「君は幼女の鑑だ。惜しみない賛辞を送る」
龍「え、あ、はい……」
勇者「数日後にはちゃんと送り届けるから安心して」
龍「ありがとうございます……」
勇者「あと『お兄ちゃん』と呼んで」
龍「……お兄ちゃん」
勇者「アメイジング」グッ
龍(……奇天烈な男だな)
黒「……」モキュモキュ