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勇者「幼女大好き」
Part19


432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/13(土) 23:43:54.82 ID:Uc+4/xnX0
ーーーー三ヶ月後・初の国・王城ーーーー
勇者「久し振り」
初大臣「……勇者。生きていたのか」
勇者「ああ。……城内は混乱しているらしいな」
初大臣「その通りだ。陛下が唐突に崩御なさったからな。
……お前も王座を狙いに来たのか?」
勇者「全く興味ない。魔王を倒した報酬として姫を貰いに来ただけ」
初大臣「……ほう。承諾すると?」
勇者「お前は若い皇太子を王位につけてその右腕として権力を握るつもりだろう。姫の存在は目障りなはずだ。そして吾人の事も」
初大臣「……」
勇者「ここで取引だ。姫を寄越せば吾人は今後二度と初の国に干渉しない。
お前にとってはかなり好条件のはずだ」
初大臣「……分かった。好きにしろ。どうせ有用性は低いからな」
勇者「利口な判断だ」
スタスタ

433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/13(土) 23:45:43.59 ID:Uc+4/xnX0
姫「……」
勇者「初めまして」
姫「……」コク
勇者「君は、勇者と呼ばれる男を知っている? 吾人の事なんだけれど」
姫「……」コク
勇者「その勇者が君を引き取りに来た」
姫「…………」コク
勇者「……喋れないのか?」
姫「……」コク
勇者「……初王は秘匿にしていたのか。おそらく参王にも」
姫「……」
勇者「……瞳を見れば分かる。君は聡明な娘だ」
姫「……」

434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/13(土) 23:50:09.84 ID:Uc+4/xnX0
勇者「暗殺、良くて幽閉、最良で政略結婚が君の未来に敷かれた道だ。
おそらく漠然と予見しているだろう?」
姫「…………」コク
勇者「吾人ならば新たな可能性を掲示できるかもしれない」
姫「……」
勇者「……君は、吾人が喪った大切な人に似ている。見初めた時から君が欲しかった。
感情が希薄になってからも僅かに残っていた仄暗い感情だった」
姫「……」
勇者「ーーでも今は違う。区切りがついた。彼女はもうこの世にはいない。
そして、誰一人として代わりにならない。その事を納得するのに時間がかかった」
姫「……」
勇者「吾人は、他の誰でもない君を救うと決めた。信じてくれ。
もしも吾人を信じてくれるならば、この手を取ってくれないか?」
スッ

435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/13(土) 23:51:25.02 ID:Uc+4/xnX0
姫「…………」
勇者「……」
姫「…………」スッ
ピトッ
勇者「……有り難う」ギュッ
姫「……」コク
勇者「これは、信頼してくれた礼だ」
姫「……?」
勇者「声を出してみてくれ」
姫「……?」
勇者「あー、って」
姫「…………ぁ-」

436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/13(土) 23:53:52.14 ID:Uc+4/xnX0
姫「……!?」
姫「……ぁ-、ぁ-」
姫「……」ケホッ
勇者「焦る必要はない。ゆっくりで良いんだ。
……知り合いに唄の上手い娘がいるから彼女に色々と教えてもらうと良い」
姫「……」コクコク
勇者「さあ、行こう」
姫「……」コク

437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/13(土) 23:57:52.85 ID:Uc+4/xnX0
ーーーー終の国・魔王城ーーーー
龍「目的の少女を連れて来たのか」
勇者「ああ。それで、新憲法発布に対する民の反応はどうだった?」
龍「うむ……。やはり戸惑いの声が多いな。施行予定日の一年後までに理解されていると良いが」
勇者「浸透させる為にも色々と試行錯誤しなければいけないな。
だが、亡命していた魔物を引き戻す事に成功した龍ならば大丈夫だ」
龍「……そうだな。私はあいつらの想いを引き継ぐと決めたんだ。
音を上げたりなんてできない」
勇者「その意気だ」
龍「……それでだな」
勇者「どうした?」
龍「人間との友好……はまだ早過ぎるとしてもなるべく人間に対する抵抗を緩和していかなければいけない」
勇者「そうだな」

438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:02:49.66 ID:Hx87k7go0
龍「そ、それでな。やはり上層部の者が先例となるべきだと思ってな。そ、その、人間との間に子を為す、とかな?」
勇者「……ああ」
龍「魔姫はまだ幼いし、黒は厳密には魔物でないからな。し、仕方が無いから」
勇者「城の女中か」
龍「上層部と言っただろ!」
勇者「じゃあ龍しかいないな」
龍「そ、そうだ。あ、えっと……」
勇者「…………」
龍「……そんな険しい顔をしているという事は、お前は私と交わるのが嫌なのか?」
勇者「……そういうわけでは無い。しかし、今はそれよりもする事が有るだろう」
龍「……そうやってごまかしてるだけだろう。どうせ私のこの姿は仮初に過ぎないしな。お前の嗜好からは外れるんだろ」プイッ

439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:05:22.84 ID:Hx87k7go0
勇者「……龍」
ギュッ
龍「……離せ! おいーーんむっ!?」
龍「ん……んむ……んくっ…………ぷあっ」
勇者「もっとする?」
龍「あ、え、ええと……その……」カァァ
龍「しょ、職務をおこなってくる!!」
ダダダッ
勇者「……すまない」

440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:07:26.44 ID:Hx87k7go0
魔姫「ねえねえ! これなに!?」キラキラ
師匠「こらクソガキ! 危ねえからウロつくな!」
伍少女「これ、なんだろ?」ツンツン
師匠「そこのチビガキも勝手にさわんな!」
参少女「あはは……にぎやかだね……」
初少年「ホントにね」
ガチャ
勇者「……随分と楽しそうな様子だな」
師匠「おい阿呆! 話がちげえぞ! ワシは技術者として終の国に呼ばれたのに、これじゃ本当に孤児院じゃ!」
勇者「師匠なら大丈夫」グッ
師匠「大丈夫じゃねえよ! この阿呆! 過労死するわ!」

441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:10:27.15 ID:Hx87k7go0
勇者「ところで進捗状況はどう?」
師匠「流しやがって。……まあ、ぼちぼちじゃな。この国には鉱床も有るし、油田も見つかった。何よりリンが大量に有るのは強みじゃな。
いくらでも伸びる可能性を秘める。冬を越えたら先ずは農業改革じゃな。
最初に数を増やして労働力を増して行く必要がある」
勇者「なるほど」
師匠「次に重工業。魔物には鉄鋼業を営んできた歴史がないらしい。
これは旧体制がなく、効率重視の新体制を立てやすいという肯定的な面もある」
勇者「……そういう見方も有るのか」
師匠「色々な側面から物事を見ろといつも言ってるじゃろうが阿呆」
勇者「しっかり憶えている」
魔姫「わあ! この水くさぁい!」
師匠「ばっ……! ごるぁ! 危ねえからやめろっつってんじゃろ!」

442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:12:51.25 ID:Hx87k7go0
参少女「ひぅ……」
初少年「君に怒ったわけじゃないから大丈夫だよ」
参少女「う、うん……」
魔姫「きゃー、逃げよっ!」
伍少女「うん」
タタタッ
ガチャ
師匠「……ったく」
勇者「ーー師匠」
師匠「あん? 何じゃ改まって」

443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:16:31.08 ID:Hx87k7go0
勇者「身寄りの無い自分を拾ってくださり有り難うございました。
住む場所を着る服を食事を与えてくださり有り難うございました。
たくさんの事を教えてくださり有り難うございました」
師匠「……」
勇者「貴方に出会えて良かった。恩返しは何も出来ていなくて済みません」
師匠「……阿呆が。ガキはいいから黙って面倒見られてやがれ。
……見返りなんざ腐るほど貰ってるんじゃ。阿呆が」プイッ
勇者「……」ペコッ
初少年「……お兄ちゃん」
勇者「……お前は、ここにいる幼女たちを守れるくらい強い人間になってくれ。最後には世界を救えるくらい強くなってくれ。お前なら出来る」
初少年「……もちろん!」
勇者「……本当に大きくなった」ニコ
スタスタ
ガチャ

444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:19:44.67 ID:Hx87k7go0
ハラハラ…
勇者「……雪か」
?黒「……勇者」
勇者「黒。姫は?」
黒「魔姫たちと遊んでる」
勇者「そうか。あの娘は誰とでもすぐに仲良くなるな」
黒「……ねえ、わたしがあげたアシュビンの力を使ったでしょ?」
勇者「……ああ。吾人が彼女の為に出来る事はそれくらいしかなかった」
フラ
勇者「おっと……」ボスッ
黒「……勇者はもうアシュビンの力無しでは生きていけないんだよ?」
勇者「そうらしいな」
黒「それを自覚してるなら無闇に使わないでね。今もう一度渡す」

445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:21:59.92 ID:Hx87k7go0
勇者「……黒」
黒「なに?」
勇者「その力は世界中に放つことが出来るだろう? 吾人も一度は手にしたから知っている」
黒「うん」
勇者「他者を癒す事だって出来る。つまりは肉体に影響を与える事が出来る」
黒「……何をすれば良いの?」
勇者「幸せの種を蒔いて欲しい」
黒「……幸せの種?」
勇者「誰もが心から幸せを願った時に発現する優しさの回路を組み込んで欲しい。出来るか?」
黒「……やってみる」

446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:26:51.44 ID:Hx87k7go0



黒「……できたけど」
勇者「また子どもに戻ったか。黒はそっちの姿のが可愛い」
黒「……どうしよう。勇者の分の力が残ってない」
勇者「それで、良いんだ……」
トサッ
勇者「やるべき事は終えた……。龍には悪い事をしてしまったけれど」
黒「勇者……」
勇者「もう、顔が、よく見えない……。喋るのも、億劫だ……」
黒「…………」ポロポロ
勇者「おやすみ……」ニコ
黒「……勇者?」ポロポロ
勇者「ーーーー」
黒「……」
ピトッ
黒「……まだ、あったかいね」
ギュッ
黒「ーーおやすみなさい」ニコ

447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:28:32.89 ID:Hx87k7go0
ーーーーーー
ーーーー
ーー
「……」ペラッ
「なあ、何読んでんの?」
「昔話。まだ人間と魔物が敵同士だった時代の」
「物凄い昔じゃん。物好きだなぁ」
「まあね」
「面白いのか?」
「結構ね」
「どんな話?」
「うーんとね、ざっくり言うと」
「うん」
「幼女が大好きな、変態でちょっとかっこいい勇者の話」

448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/14(日) 00:29:41.62 ID:Hx87k7go0
おしまいです。
おやすみなさい。
html依頼は明日起きたら出します。

449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/10/14(日) 00:35:58.27 ID:Zb4lq4tHo
>>448
お疲れ様
ありがとう

454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2012/10/14(日) 08:27:16.60 ID:+jK04mGoo

幼女に釣られたら、かなりしっかりしたものでびびったわ

455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) :2012/10/14(日) 12:40:20.66 ID:mWQuANYIo
スレタイからは想像できない内容だった
乙 また何か書いてくれな!

457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/10/14(日) 14:21:02.45 ID:h1Cvq0wf0
お疲れ様。
良かった!