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勇者「幼女大好き」
Part13


296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:09:06.04 ID:SNnSLokV0
ーーーー伍の国・二番街・宿屋ーーーー
伍歩兵「おいおい、店主よお。それはぼり過ぎなんじゃねえの?
外国人だから金持ちってわけじゃねえぞ」
伍宿屋店主「お前さんは泊まらないんだろう? だったら黙ってろ。
此処は用心棒を雇って安全性には自信が有るんだ。金払って安全が買えるなら安いもんだろ」
伍歩兵「その用心棒がなよっちいいかもしれねえだろ」
伍宿屋店主「それは無えよ」
勇者「分かった。此処にしよう」
伍歩兵「良いんですかい?」
勇者「ああ」
伍宿屋店主「料金は前払いだ」
勇者「分かった」

297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:10:36.85 ID:SNnSLokV0



伍歩兵「それじゃ、明日も来ますんで。鍵はしっかりと掛けた方が良いですよ」
勇者「ああ。それじゃ」
黒「ばいばい」フリフリ
伍歩兵「おっと、これは嬉しい見送りだ。さいなら」
勇者「言い忘れていたが、明日以降は軍服以外の服装にしてくれ。
色々と不都合なことが有るかもしれない」
伍歩兵「了解しました。失礼します」

298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:12:59.99 ID:SNnSLokV0



黒「ねえ、勇者」
勇者「なんだ?」ペラッ
黒「悪い人たちをやっつけるの?」
勇者「穏やかに言えばそうだ」ペラッ
黒「……ころすの?」
勇者「そうだ」ペラッ
黒「それは正しいの?」
勇者「正しいか正しくないかは関係ない。
初王は現政府と国交を結ぶ方が得策と考えたようだ。
だから吾人は反政府集団を壊滅させる」ペラッ
黒「そう……」
勇者「今夜は保存食で我慢して。忙しいから」ペラッ
黒「わかった。ムリ言ってついてきたんだからガマンする」
勇者「良い娘だ」ペラッ

299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:15:13.56 ID:SNnSLokV0



勇者「……この資料、釈然としない箇所が多い。
指導者の元准将が亡くなったとされる時期から余計に。上層部の人間が組織の規模に比べて少ない。
それに襲われた村の数と徴発されたと考えられる子どもの数も不釣り合いだ。もっと多いはず。
麻薬の栽培場所も、輸出された奴隷の数までも少なく見積もられている。やっつけ仕事か?」ブツブツ
黒「どうしたの……?」コシコシ
勇者「滞在期間は一泊では済まなそう。……そろそろ寝ようか」フッ
黒「うん……。ねえ、同じベッドでねて良い?」
勇者「……褐色美幼女と密着。ふひひ」
黒「勇者はヘンタイなことを言うけど、ひどいことはしない」

300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:28:36.21 ID:SNnSLokV0
勇者「……腹を結構強く殴った事が有る」
黒「……? いつ?」
勇者「黒が記憶を無くす前」
黒「そうなんだ。その時のわたしはどんな性格だった?」
勇者「今とあまり変わらない。大して接して無いけれど」
黒「そうなんだ。……『わたし』って何なんだろう」
勇者「黒は黒じゃないか?」
黒「そうだけど、ルーツが知りたい。なんだか不安だから」
勇者「龍に訊けば手っ取り早かったけれど」

301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:30:20.24 ID:SNnSLokV0
黒「龍には色々と教えてもらった。魔姫って子とすごく仲良しだったみたい。
でも、その子を思い出そうとすると頭がイタくなる」
勇者「そうか。実際に会ったら何かを思い出すかもしれない」
黒「そうかも。でも、今はねむい……」
勇者「寝ようか。……本当に一緒に寝るつもり? 吾人は黒と違って風呂に入らないと汚れたままだけれど」
黒「気にしない」ボフッ
勇者「……分かった」

302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:32:33.47 ID:SNnSLokV0
黒「ん……」スリスリ
勇者「臭わないか?」
黒「うん」スリスリ
勇者「こそばゆいな」
黒「えへへ……」
勇者「それにしても、一体どうした?」
黒「さびしいから」ギュッ
勇者「そうか」ナデナデ
黒「ん……」
勇者「吾人がそばにいる」ナデナデ
黒「ずっと?」
勇者「……できる限り」

303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:37:11.63 ID:SNnSLokV0
黒「……勇者は体が悪いの? 血をいっぱい吐いてたし」
勇者「あまり良くない。喀血の間隔が短くなってきた。
この調子だと半年も生きられないかもしれない」
黒「……うそ」
勇者「嘘なら吾人も嬉しい」
黒「……そんなのヤダ」
勇者「吾人も望んではいない」
黒「勇者がいなくなったら、わたしはどうすれば良いの?」
勇者「龍がいる。師匠もいる。おそらく大丈夫だ。
それに、吾人は存命だ。それを考えるのはまだ先で充分だ」
黒「……うん。……一つ約束して」
勇者「何を?」
黒「かってにいなくなったりしないで」
勇者「……善処する。おやすみ」
黒「おやすみ」

304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 09:38:06.62 ID:LN+cQNeeo
きゃわわわわわわ

305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 11:54:46.13 ID:SNnSLokV0
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勇者「すまない」
伍青年「ん? ……なんだよ」
勇者「麻薬が格安で買いたくてこの国まで来た。何処で手に入るか分かる?」
伍青年「……ふうん。知ってるけど、タダじゃ教えられねえな」
勇者「これで良いか? あまり持ち合わせていない」スッ
伍青年「……ちょっと少ねえな」
勇者「これ以上は払えそうに無い」
伍青年「……しょうがねえ。ついて来な」
勇者「ありがとう」

306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 11:57:19.84 ID:SNnSLokV0
伍男「これで有り金全部みたいだな」
勇者「そうだ」
伍男「おら、クスリだ。感謝しろよ」
勇者「少ないな」
伍男「あん? 鉛玉もおまけして欲しいか?」チャキ
伍青年「ちょ、ちょっとアニキ。逸りすぎッスよ」
伍男「歯向かうのか?」ギロッ
伍青年「そ、そういうワケじゃないッスけど……」
勇者「分かった。ありがとう」
伍男「はっ、さっさと帰れ」
勇者「ああ」

307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 12:04:19.81 ID:SNnSLokV0
伍青年「悪りいな。アニキはせっかちだから」
勇者「別に構わない。もしかして彼は革命軍の一員か?」
伍青年「……なんで知ってんだ?」
勇者「彼から勇ましさを感じた。あのような熱い男なら、世界に名を知らしめている革命軍の一員なのかもしれないと考えた」スラスラ
伍青年「ああ、なるほどな! 言う通りアニキは革命軍の一員だ!
なんと俺もだぜ! スゲえだろ!」
勇者「驚いた」
伍青年「だろお?」
勇者「戦いに参加した事は有るのか?」
伍青年「……いや。下っぱだからクスリを参の国まで運んだり、栽培の手伝いとかで端金もらってる。
銃も未だ持たせてもらってねえ」
勇者「そうか」
伍青年「でもいつの日かのし上がってよ! 国盗りで大活躍して金持ちになってやるんだ!」

308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 12:18:17.82 ID:SNnSLokV0
勇者「理由は有るのか?」
伍青年「そりゃよ、金持ちになったらデカい家に暮らせるだろ。
そうすりゃ妹が路上で寒さとか怖さに震えながら眠る事が無くなる。
旨いメシだって食わしてやれる。キレイな服だって着せてやれるんだ」
勇者「……妹がいるのか」
伍青年「ああ。俺と妹以外の家族は一年前の内戦に巻き込まれて死んじまったからな。
今は二人でなんとか毎日を生きてる」
勇者「妹は革命軍に参加してるのか?」
伍青年「まさか。異国の奴にだからこそ言ってるけど、いつもは妹のことを隠してる。
雑用だけならまだしも、妹を性処理の道具になんかにさせてたまるか。
みんな、妹と年の変わらねえガキをさんざんに犯すからな。どんなに命張ってても、それはダメな事なのによ」
勇者「そうだな」
伍青年「……俺はクスリを捌かなきゃいけねえんだ。じゃあな」
勇者「ああ。……妹が大事なら麻薬には手を出すな」
伍青年「はあ、何でだ? まあ、俺は自分で使うくらいなら売り捌いて金にすっけど」
勇者「そうか。それじゃ」

309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 12:21:47.24 ID:SNnSLokV0
ーーーー伍の国・二番街・宿屋ーーーー
伍歩兵「酒は楽しい気持ちになれるんだよな。そんで鬱憤が晴れるんだ。そういう意味では薬だよな」
黒「へえ」
伍歩兵「まあ、お嬢ちゃんには未だ早いな。大人になったらだ」
黒「む。……あ、おかえり」
勇者「ただいま」
伍歩兵「お疲れ様です。次にどっか行く時は絶対に付き添いますから。わざわざ私服で来たんですし。
じゃないと職務怠慢と言われて、文字通り首を切られちまう」
勇者「人手不足だからそれは有り得ないはず」
伍歩兵「俺の場合はワケありなんですって」
勇者「どのような?」
伍歩兵「それは秘密です。男は謎が有ったほうが魅力的ですしね」
黒「ナゾすぎると不気味」
伍歩兵「ああ、確かに。……まあ、ちょっと色々有って高い地位から降格されたんですわ。
そんで、有用性を発揮しなきゃ消される身の上になっちまったんです」
勇者「……」
伍歩兵「今日はもう薄暗いし、外出はしない方が良いですよ。それでは」
勇者「ああ」

310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 12:24:37.75 ID:SNnSLokV0
黒「水で体を洗うのは寒くない?」
勇者「寒暖に堪えるほどの繊細な感覚は喪失した」
黒「そう。今日は一日中何をしてたの?」
勇者「反政府集団の調査だ。受け取った情報があまりにずさんだったから。調べた結果、虚偽が有ることが分かった」
黒「そうなんだ」
勇者「長居になりそうだから食料品や衣料品を買い足さないと」
黒「その時はわたしもついてく」
勇者「分かった。そろそろ寝ようか」
黒「うん」ボフッ
勇者「今日も一緒に寝るつもりなのか?」
黒「ダメ?」チラッ
勇者「……何も問題は無い」グッ

311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 12:43:05.29 ID:SNnSLokV0
勇者「寝辛くないか?」
黒「大丈夫」
勇者「それなら良い」
黒「……ねえ、勇者」
勇者「何だ」
黒「わたしは、オトナになれない」
勇者「どういうことだ?」
黒「そのままの意味。わたしは、成長しないの」
勇者「……そうか。人間では無かったな。あまりに人間らしくて失念していた」
黒「わたしも、オトナになりたい」

312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 12:47:02.20 ID:SNnSLokV0
勇者「大人になるのは難しい。体が大きくなれば大人というわけじゃ無い。
色々な物や事柄に妥協するのが大人だ。不条理を呑み込むのが大人だ」
黒「……でも、わたしがコドモだから今日はついてきちゃダメだったんでしょ?」
勇者「誰だって連れて行きたくない。危険だから。
大人とか子どもとかそういう問題じゃない」
黒「でも……」
勇者「黒、吾人は幼女が大好きだ」
黒「……ヘンなの」
勇者「その通りだ。しかし、変だからこそ黒にはそのままでいて欲しいと思っている。
黒には知って欲しいことがたくさん有る。それと同じくらい知らないでいて欲しい事がたくさん有る。
無知は最大の罪で、最大の免罪符だから」
黒「……そう」
勇者「分かってくれたか?」
黒「うん。……勇者、腕を伸ばして」
勇者「こうか?」スッ
黒「うん」
ポフッ
黒「枕にしちゃう。コドモだから」
勇者「……」ナデナデ
黒「……」ニコ
勇者「……」ナデナデ

313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 12:49:36.08 ID:SNnSLokV0
忙しく、この一週間は更新できそうにないです。
ハッピーエンドについて考えていたら何がハッピーなのか分からなくなりました。

314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/22(土) 16:47:46.16 ID:LN+cQNeeo
絶望的じゃなければハッピーエンドでいんじゃね

315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/22(土) 18:20:33.31 ID:IPlSIioDO
出来れば勇者達は幸せにして欲しい

316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/22(土) 23:26:26.46 ID:cpjsHIxIO