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勇者「コミュ障すぎて満足に村人と話すことすらできない」
Part9


347 :hai :2014/10/03(金)23:35:54 ID:4tafPKq5W
姫「そういう基準って、結局人それぞれでしょう?」
サキュ「まあね。世の中にはいろんな好みがあるからねえ」
サキュ「ちっちゃい足がステキとか、ウエストが細いのが最高とか」
サキュ「体重が200キロ越えないと愛せないとか」
姫「そ、そんな人がいるの?」
サキュ「あたしのことだけど」
姫「え」
サキュ「アレはいいよお。200キロを超えた抱き心地のよさとか、もうね」
サキュ「抱きしめた瞬間、肉汁が毛穴から出そうになるスリルとか」
姫「う、ウソでしょう?」
サキュ「うん、ウソ」
姫「……」

348 :はい◆N80NZAMxZY :2014/10/03(金)23:36:48 ID:4tafPKq5W
サキュ「でもさあ、美人にも一般的な基準はあるじゃない?」
サキュ「ムダに肥えてる人は、美人って言われないでしょ?」
姫「世の中にはふくよかな人を美人と扱う国もあるわ」
サキュ「そのとおり。ねえ、不思議じゃない?」
サキュ「同じ人間でも、国がちがうってだけで美人が変わるのよ」
姫「文化や風習は国ごとにちがうんだから、当然のことです」
サキュ「じゃあさ、どうやって美人の基準はできるの?」
姫「それは……」
サキュ「答えは簡単。国の統一者が一言、こう言ったから」
サキュ「『オレは腰が細い女が好きだ』ってね」

350 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)00:07:35 ID:enDVJV3fH
姫「……どういうこと?」
サキュ「王様がそう言ったら、当然女たちは取り入ろうとするでしょ?」
サキュ「で、そういうおエライさんの好みは時代の流れといっしょに廃れてく」
サキュ「でもその名残が、風習や文化として人々に根づいてく」
姫「そんなことで……?」
サキュ「突き詰めれば文化や風習、人の価値観なんてみんなそうよ」
サキュ「勝手に植えつけられたものを、人は自分の意志と勘違いしてるだけ」
サキュ「あなたが魔物を敵と認識してるのも、あるいはね」
姫「……なにが言いたいの?」
サキュ「あなたの意思、それってホントにあなたの意思?」
姫「……!」

351 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)00:13:01 ID:9lXUFnoZm
グッとくる

352 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)00:17:06 ID:enDVJV3fH
サキュ「んじゃ、あたしもそろそろ行くわー」
姫「待って」
サキュ「なあに?」
姫「あなたは……これから勇者たちと戦うの?」
サキュ「ええーーあたしの意思でね」
姫「……」
姫(『あなたの意思、それってホントにあなたの意思?』)
姫(私は……私は……)

355 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)00:37:47 ID:enDVJV3fH

魔法使い「はぁはぁ……あのさ、ひとつ言ってもいい?」
戦士「なんだい?」
魔法使い「さっきから逃げすぎじゃない!?」
僧侶「体力や魔力の温存のためですし。しょうがないかと」
魔法使い「でも魔物から逃げるために、結局走るんだよ?」
戦士「走らなきゃ逃げれないからね」
魔法使い「山道で走るぐらいなら、やっつけたほうが絶対にラクだよ!」
戦士「ずっと走ってたわけじゃないでしょ?」
戦士「それに、魔物と交戦したら魔力の消費はさけられない」
僧侶「人体の回復において、魔力はもっとも優先順位が低いものですからね」
戦士「魔力なしでも人間は生きていけるからね」
勇者(まあそのおかげで、予定よりもすこし早く到着したけどな)
勇者(『夜の街』に)

357 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:03:44 ID:enDVJV3fH
魔法使い「その魔力回復について、私から提案!」
僧侶「なんですか、そのビンは?」
戦士「なんかブクブク泡立ってるんだけど」
魔法使い「それは強炭酸。あやしいものじゃないよ」
勇者(飲み物の色じゃないぞ、これ)
魔法使い「魔力の回復を促す、私が独自に開発した薬!」
魔法使い「これを飲めば、魔力は一日で全回復まちがいなし!」
戦士「ボクは遠慮しておくよ。あとがコワイからね」
魔法使い「どうせそう言うと思った。じゃあ勇者は?」
勇者「げっ! ボク、ですか?」
魔法使い「『げっ!』ってなによ。信用ないなあ」

358 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:15:51 ID:enDVJV3fH
勇者(なんで俺にふるんだよ!)
魔法使い「効き目があることは、たぶんまちがいないから大丈夫!」
勇者「そういうの作るなら、からだを成長させる薬品でも作ればいいのに」
魔法使い「今、なんて……?」
勇者(あ、こころの声が出てしまった)
戦士「勇者は口数少ないくせに、一言多いんだよねえ」
猫「ムダにタチが悪いヤツだにゃん」
勇者「い、いや! 今のは誤解です! ほ、本当は……!」
魔法使い「本当は?」
勇者「えっと……」
勇者(適切な言い訳が出てこねえ!)

359 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:23:42 ID:enDVJV3fH
魔法使い「飲んで」
勇者「え?」
魔法使い「申し訳ないって思うなら、このクスリ、飲んでよ」
勇者(ええー、それはちょっとちがうんじゃあ……)
魔法使い「露骨に不満そうな顔しない!」
僧侶「勇者様は言葉に出さないのに、顔にはすぐ出ますよね」
戦士「一番損する性格だよ」
勇者(結局俺は魔法使いの得たいの知れないクスリを飲んだ)
勇者(自分に味覚があること。そのことを後悔したくなるような味だった)

360 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:34:58 ID:7sxZjF1vv
勇者・・・損なやつwww

361 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:35:36 ID:enDVJV3fH
魔法使い「あんまり人がいないね」
戦士「国の管理が行き届いてない関係で、魔物に荒らされたりしてるからかな」
僧侶「それでも夜になると、この街は表情を変えるって言われてます」
勇者(今は半分以上閉まってる店たちも、夜には……)
僧侶「勇者様、ほっぺがゆるんでますよ」
勇者「そ、そんなこと……な、ないですよ?」
戦士「ボクら男にとっては、興味深い街だ。仕方ないね」
僧侶「ふーん」
魔法使い「いやらしい」
勇者(なんで俺だけ!?)

362 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:36:19 ID:7sxZjF1vv
わっふるわっふる

363 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:48:18 ID:enDVJV3fH
魔法使い「とりあえず、宿を探さないとね」
僧侶「お世辞にも治安がいいとは言えない街です。慎重に選びましょう」
戦士「勇者、ちょっと」
勇者「なんですか?」
戦士「今夜は女子とは別行動をとろう」
勇者「……どうして?」
戦士「言わせないでよ。ここは『夜の街』、そしてボクらは野郎だ」
戦士「旅に潤いと刺激は必要でしょ? この街にはそれがある」
勇者「でも、俺、見知らぬ女性と話すのはちょっと……」
戦士「問題ない、ボクにまかせな」
勇者「うっす」
勇者(なぜか戦士が異様に頼もしく見えたのであった)

364 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)01:54:53 ID:7sxZjF1vv
はよ

365 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)02:07:57 ID:enDVJV3fH
今日はここまで

366 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)02:09:47 ID:7sxZjF1vv
乙!

367 :名無しさん@おーぷん :2014/10/04(土)02:43:50 ID:ZdkDZLmBQ
いいね〜

371 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)01:49:02 ID:KDAKxZAv4
「うっす」ってwww
男ときたらwしょうがないなぁ。もうっ。

372 :はい◆N80NZAMxZY :2014/10/07(火)22:25:54 ID:TGWTVdBTx

勇者(やるべきことを済ましたころ、街は夜の顔を見せ始めていた)
勇者(で、さっそく『夜の街』へ繰り出した)
戦士「どうしたんだい勇者? 顔がこわばってるよ」
勇者「あのふたりが気になって」
勇者(僧侶と魔法使いの目、なんかコワかったなあ)
戦士「あのふたりでは、色に目がくらんだボクは止められないよ」
勇者「さいですか」
戦士「それに、見てごらんよ」
戦士「昼間はあんなに閑散としていた街も、なんてにぎやか!」
勇者(人が多いとことか、騒がしいとこって好きじゃないんだよな)

373 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:26:38 ID:TGWTVdBTx
「お兄さんたち、目がもうアレになってるよ!」
「どうです? お客さんの好み、うちなら絶対いるよ」
「とりあえず寄ってけよ! 損は絶対にしないって!」
戦士「いかつい人多いね。このマスラオたちは、癒しを求めて港町から来たのかな?」
勇者「……帝都みたいだ」
戦士「帝都と言えば、姫様のことが気になるね」
勇者「……」
戦士「すごいね。一瞬で顔が青くなった」
勇者(姫様がさらわれて、お偉方にボコボコにされたのを思い出した……)

374 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:27:18 ID:TGWTVdBTx
戦士「キミは姫様と懇意の仲だって聞いたけど、実際どうなの?」
勇者「いや、まったく」
勇者(謁見こそ何度もしてるけど、まともにしゃべれたことがない)
勇者(……姫様、本当に大丈夫かな)
戦士「ボクも一度でいいから、実際にこの目で見てみたいね」
戦士「とんでもない美人なんだろ?」
勇者「まあ……」
勇者(美人だからよけいに話しづらいんだよなあ)

375 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:28:06 ID:TGWTVdBTx
姫『ーーということが、あったんですよ』
勇者『……』
姫『勇者、私の話聞いてくれていますか?』
勇者『お、おっふ……』
勇者(こんなやりとりを何度したことか)
戦士「姫様についてはまた今度聞こうかな」
戦士「すでにボクらは、ステキな女性に目をつけられてるからね」
勇者「は?」
女「お兄さんたち、ぜひウチに来てきてくださいよー」
戦士「この街に来たのは初めてでさ、観光中なんだよね」
女「だいじょーぶ。常連さんじゃなくても、たっぷりサービスしますよん」
勇者(会話が噛みあってないぞ)

376 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:29:58 ID:TGWTVdBTx
戦士「この街についても詳しく聞きたいな」
女「個室もありますし指名もできますよー。あっ、ママは無理だけど」
戦士「だってさ」
勇者「ま、まだ心の準備が!」
女「どうしちゃったの、お兄さん?」
戦士「彼、極度の人見知りなんだ」
女「じゃあ、あたしを指名してくれたらオッケーだよ!」
勇者(なにがオッケーなんだ!?)
女「かわいいなあもうっ! 顔まっかっかだし!」
勇者(『まっかっか』ってなに!?)
女「じゃ、お店まで案内するからついてきてー」

377 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:31:55 ID:TGWTVdBTx
勇者「せ、戦士……」
戦士「今さら帰ろうとか言わないでよ」
戦士「キミは勇者だ。色の一人や二人、こさえていたほうがハクがつくさ」
勇者「いや、でも俺は……」
戦士「これは情報収集のためでもあるんだ」
勇者(適当なことを。絶対についでだろ)
女「お兄さんたち、なあにをコソコソ話してんの?」
戦士「彼、こういう店は初体験でね。気後れしてるんだよ」
女「めずらしいねえ。でもだいじょーぶ、あたしにまかせて」
勇者(女が俺の腕に自分のそれをからめた。逃げられねえ)
勇者(ていうか胸が! 胸がっ!)

378 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:34:29 ID:TGWTVdBTx
勇者(店に入って俺と戦士はわかれた。個室に女と入る俺)
勇者(ていうか、ここってどういう店?)
女「緊張してるでしょ、お兄さん」
勇者「ま、まあ……」
女「こんなにウブな人、この街じゃめずらしいよ」
勇者「あ、いや、はい」
勇者(なぜ話すだけなのに、こんなに密着してるんだ!?)
女「お兄さん、お酒はー?」
勇者「お酒……?」
女「うん。あんまり飲めないっていうなら、水割りでもいいよん」
勇者「えっと……じゃあ、それで……」

379 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:35:29 ID:TGWTVdBTx
女「ねえ、お兄さんはなにしてる人なのー?」
勇者「そ、それは……」
女「あ、もしかして言えない感じ? だったらいいよ、無理に答えなくて」
勇者「……すんません」
勇者(ダメだ。なにを話せばいいのか、見当もつかない!)
勇者(『なんでこんなお店で働いてるんですか?』とか?)
勇者(……もし返ってきた答えが重かったら困る、これは却下)
勇者(『キミかわうぃーねえ!』……絶対ちがうな、これ)
勇者(こんちくしょうめ! なぜ俺の舌と頭はこんなにも回らないんだ!?)
女「はい、あたしの特別カクテル。めしあがれー」
勇者(とりあえずアルコールの効果に期待しよう)

380 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)22:39:53 ID:TGWTVdBTx
勇者「……」
女「どう? お酒つくるの下手っぴなんだよね、あたし」
勇者(緊張のせいか、全然味がわからない)
勇者(ていうか、なぜかキモチわるくなってきた……)
女「顔色がすごいことになってるけど。そんなにまずかった?」
勇者「いや……ちょっとお手洗い……借りて、い、いいですか……?」
女「お手洗いなら個室を出て、右手にずっと進めばありますよー」
勇者「すんません……」
女「……毒が回るまで30秒ぐらいかなあ?」
女「最後の30秒。せいぜい堪能してね、勇者」

381 :名無しさん@おーぷん :2014/10/07(火)23:24:17 ID:NSGJlgE3K
やはりか…

382 :名無しさん@おーぷん :2014/10/08(水)00:13:44 ID:I7Ebqe0Qi

「テメエ! 今明らかにイカサマしただろ!?」
「あぁっ!? おまえの目は節穴か!? いやケツの穴か!?」
「はあっ!? うちの犬にカマ掘らせんぞ!」
「うわっ、お前もあの店体験しちまったのかよ」
「これで俺とお前は穴兄弟ってわけだ」
「これ以上穴兄弟が増えるのは勘弁だぜ」
「そのうち穴イトコまで登場するかもな」
猫「ったく、騒がしい連中が多い店だにゃん」
僧侶「料理の質そのものはいいんですけどね、この店」
魔法使い「……」

383 :名無しさん@おーぷん :2014/10/08(水)00:21:58 ID:I7Ebqe0Qi
魔法使い「絶対いかがわしい店に行ったよね、あの二人」
僧侶「戦士様の様子を見るかぎり、そうなのでしょうね」
魔法使い「もうっ、魔王退治の旅の最中だっていうのに」
猫「あの二人は情報収集に行ったんじゃないのかにゃん?」
魔法使い「それは建前。あの二人は今ごろお楽しみだよ」
僧侶「それにしても。この街だと情報収集が難しいかもしれませんね、私たちでは」
魔法使い「うかつに話しかけると、水商売の人と勘違いされちゃうもんね」
猫「オッサンに連れてかれそうになってたな、魔法使い」
魔法使い「……ほんと、ビックリしちゃった」

384 :名無しさん@おーぷん :2014/10/08(水)00:26:46 ID:IRL7mA7Yl
勇者ヤバイか

385 :名無しさん@おーぷん :2014/10/08(水)00:28:20 ID:IRL7mA7Yl
魔法使いは外見ロリだったよな

386 :名無しさん@おーぷん :2014/10/08(水)00:31:46 ID:t8weg0yRC
勇者死ぬのか
この世界って教会で復活できるのか?