勇者「コミュ障すぎて満足に村人と話すことすらできない」
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Part2
41 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/04(木)00:40:25 ID:
pdk2DUuBO
一方、魔王城では
姫「どうして私を誘拐したの?」
魔王「……」
姫「……」
魔王「……」
姫「質問を変えるわ。どうして私を殺さないの?」
魔王「……」
姫「ていうか」
姫「遠くない!? 遠すぎてあなたが全然見えないんだけど!」
姫「なんで私とあなたの距離、こんなにあるの!?」
42 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/04(木)00:44:52 ID:
pdk2DUuBO
側近「魔王さまは大変シャイな方で、誰かと目をあわせるのが苦手なのだ」
側近「たとえそれが、貴様のような有象無象でもな」
魔王「うむ」
姫「なによそれ。うちの勇者と同じだなんて」
側近「あんなものと魔王さまを一緒にするな!」
姫(そういえば、勇者と魔王って……)
43 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/04(木)00:45:15 ID:bgu5fCBTF
まさかの魔王も!!っっっw
44 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/04(木)00:48:50 ID:
pdk2DUuBO
勇者『!』
魔王『!!』
勇者『!?』
魔王『……!』
姫(お互いに一言も口をきかなかったけど、そういうことだったのね)
側近「そういうことだ! 理解したのならもう質問するな!」
魔王「うむ」
姫(どうでもいいけどあの側近、声ガラガラね)
45 :
はい◆N80NZAMxZY :2014/09/04(木)00:52:03 ID:
pdk2DUuBO
とりあえずだいたいのストーリーは決まってんでだらだら続けてくわ
46 :
はい◆N80NZAMxZY :2014/09/04(木)00:52:41 ID:
pdk2DUuBO
今日はここまで
また明日夜に更新する
47 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/04(木)00:54:43 ID:y8sEqGSFJ
久々に期待できそうなのが勇者ss来たな
乙
48 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/04(木)00:55:32 ID:bgu5fCBTF
乙です
51 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/04(木)13:24:36 ID:lxYRoAu58
面白いな
55 :
はい◆N80NZAMxZY :2014/09/05(金)15:08:24 ID:
vKhxeytlD
姫(誘拐されてからもう二週間以上がたつ)
姫(さらわれた当初は、ショックと恐怖でパニックになってたけど)
姫(城で生活していたときと大差ない待遇と)
姫(時間の経過のせいで、この状況にも慣れてしまった)
姫(でもこのままじゃダメ)
姫(なんとかこの状況を打開しないと!)
56 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)15:10:05 ID:
vKhxeytlD
姫「あなたたちは、なにが目的でこんなことをするの?」
姫「城を襲撃して私を誘拐したと思ったら、一転して今度は要塞に閉じこもる」
姫「狙いはなに?」
側近「口を慎めと言ってるのがわからんのか!?」
側近「魔王様は極度の人見知りなのだぞ!」
魔王「うむ」
姫「魔王が人見知りしてどうするのよ」
57 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)15:13:34 ID:
vKhxeytlD
側近「人間ごときがそもそも、魔王様と対面することが……」
魔王「おい」
側近「はい?」
魔王「二度とさように失敬なことを申すな」
側近「も、申しわけございません」
魔王「卿は退室しろ。あとは余ひとりで十分だ」
側近「し、しかし」
魔王「余はひとりでいいと申したはずだが。なにか不服なことでも?」
側近「……いいえ。かしこまりました」
姫(自分の部下とは普通に話せるのね)
58 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)15:15:58 ID:
vKhxeytlD
姫(側近がいなくなって、私と魔王だけになった)
姫「……」
魔王「……」
姫「……」
魔王「……」
姫(かれこれ沈黙が五分以上続いてるのだけど)
姫(遠すぎて魔王の表情はうかがえない)
姫(交流が苦手な人ってこういうとき、なにを考えてるのかしら)
59 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)15:38:06 ID:
vKhxeytlD
◆
勇者(よく会話はキャッチボールにたとえられるけど)
勇者(個人的にはジェンガのほうがしっくり来る)
勇者(普通の人間は、ジェンガのように会話の土台があるわけだ)
勇者(会話の土台、つまり言葉だな)
勇者(その土台から言葉を引っぱってきて、どんどん重ねてくわけだ)
勇者(それで会話が成立する)
勇者(でも俺のような人間は、他人と対面した瞬間にその土台を失うわけだ)
勇者(もし奇跡的に会話が続いても、とちゅうで土台がなくなって崩壊する)
勇者(失言でタワーを崩すパターンもあるな)
勇者(そう考えるとやっぱりすばらしいな、ひとりって)
60 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)15:44:43 ID:F1FYAlmTz
何この的確なたとえ
61 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)16:13:40 ID:
vKhxeytlD
勇者(ひとりでいりゃ、傷つくことも気疲れもしない)
魔法使い「すごい気の抜けた顔してるね」
勇者(あと牢屋の壁ってひんやりしててキモチイイ)
魔法使い「おーい」
勇者(あれ? なんで魔法使いがいるんだ?)
魔法使い「急に渋い顔になったわね」
勇者(当たり前だろうが。人がうとうとして気分よくなってるときに)
勇者(ストレスの原因が来て、気分が悪くならないわけがない)
魔法使い「ていうかしゃべりなさいよっ!」
勇者「ぬわぁっ!?」
62 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)17:17:52 ID:
vKhxeytlD
勇者「な、なななぜ魔法使いが……!?」
魔法使い「追いかけてきたに決まってるでしょ」
魔法使い「なのに。道具屋に入ったら勇者がいないんだもん」
勇者「はあ」
魔法使い「それで道具屋のおじさんを問いつめたわけ」
勇者(まさか、俺が盗みをしたと吹きこまれてないよな)
魔法使い「安心して。勇者がハメられたことはわかってる」
勇者「?」
魔法使い「ですよね、おじさん?」
道具屋「……」
63 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)17:19:16 ID:
vKhxeytlD
勇者(なんでオッサンは俺に無実の罪を着せようとしたんだ?)
道具屋「こうするしかほかに方法がなかったんだ……!」
勇者(それでわかるわけねえだろ! 事情を説明しろ! 事情を!)
勇者(ていうかまず謝れ! 地面にひたいをこすりつけて! 全力で!)
魔法使い「なにか事情があるんですよね?」
道具屋「……されたんだ」
魔法使い「え?」
道具屋「誘拐されたんだ……俺の娘が」
魔法使い「誘拐?」
道具屋「……ああ」
64 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)17:54:47 ID:F1FYAlmTz
ほう
65 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)20:03:02 ID:r9X9oHQbT
続きどした?
66 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)20:42:19 ID:kfXtc7FZu
はよ
67 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)21:32:50 ID:
qK95PMmVa
勇者(オッサンの話をまとめるとこんな感じ)
勇者(数日前のこと)
勇者(オッサンは道具の調達のために隣の街に行ってたらしい)
勇者(その帰りにばったり魔物と遭遇した)
勇者(で、そいつは言った)
勇者(『おまえの娘はあずかった。返してほしければこちらの要求をきけ』と)
勇者(家に戻って確認したところ、娘さんは実際に誘拐されていた)
勇者(そしてオッサンは、魔物に従わざるをえない状況になった)
68 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)21:44:55 ID:
qK95PMmVa
魔法使い「その魔物の要求が、勇者をとらえることだったんですね」
道具屋「ああ。それでこれが人相書きだ」
勇者「……」
勇者(これ描いたヤツやるな。俺だって一発でわかる)
魔法使い「どう思う?」
勇者「えっとまあ……そういうことですかね。あはは」
魔法使い「もうっ。それじゃわかんないよ」
勇者(うるせえ。聞くまでもないだろうが)
勇者(そいつの狙いは明らかに俺だ)
69 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)22:08:05 ID:
qK95PMmVa
道具屋「たのむ! 俺の娘をすくってくれっ!」
道具屋「牢屋にぶちこむなんて仕打ちしておいて、都合よすぎるかもしれんが……」
勇者「ぁ、はい……わかりました」
道具屋「ほ、本当か!? 娘を助けてくれるのか!?」
勇者「はい」
道具屋「ありがとう! この礼は必ず!」
少年「なにやってんだよ、父ちゃん……」
道具屋「なんでおまえが村にいるんだ!?」
勇者(ガキんちょ……このオッサンの息子か)
70 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)22:11:14 ID:
qK95PMmVa
道具屋「今は村には帰ってくるなって、あれほど言っただろうが!」
少年「そんなことどうでもいいだろ」
少年「あいつを赤の他人に助けてもらおうとするなんて……見損なったよ」
魔法使い「お、落ち着いてください!
今は言い争いしてる場合じゃないです!」
道具屋「……」
少年「……」
魔法使い「とにかく今は娘さんを助ける。それだけを考えましょ? ね?」
少年「……っ! くそっ!」
道具屋「おい!? どこへ行くんだ!?」
72 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)22:38:24 ID:
qK95PMmVa
勇者(店を飛び出したガキんちょを追って、オッサンまでいなくなってしまった)
魔法使い「娘さんを助ける話、えらくあっさりと引き受けたね」
勇者「はい」
魔法使い「さすが勇者。見直したよ!」
勇者「はい」
魔法使い「……ねえ。てきとうに聞き流してない、私の話」
勇者「いいえ」
73 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)22:40:42 ID:
qK95PMmVa
魔法使い「勇者って『はい』と『いいえ』だけは妙に流暢だね」
魔法使い「普通にしゃべると絶対にどもるのに」
勇者(それ実は俺も思ってた)
魔法使い「……私ね、冒険譚を読むのが好きなの。『冒険の書』とかね」
勇者(なんだ急に?)
魔法使い「そういうのでときどきあるんだけど」
魔法使い「ひねくれ者の勇者が、依頼を最初に突っぱねるって展開がよくあるんだよね」
勇者(あー、ちょうど今の俺みたいな状況で起こるヤツね)
魔法使い「まあ結局最後は、文句を言いながらも引き受けるんだけどね」
74 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)22:47:11 ID:
qK95PMmVa
魔法使い「てっきり勇者もそういうタイプかと思ってた」
勇者「……あはは」
勇者(時間と金をムダにするのはキライだ。それが茶番でなら、なおさら)
勇者(どうせやるならさっさとやる)
勇者(それが俺のモットー)
魔法使い「とりあえず二人が戻ってくるまで待つしかないね」
勇者「はい」
魔法使い「『はい』以外も言ってよね、たまには」
勇者「いいえ」
魔法使い「……はあ」
76 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)22:53:56 ID:QYyi2VvpB
主人公がどんどん無口に
77 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:14:16 ID:
qK95PMmVa
数時間後
魔法使い「じゃあ最後に。もう一度確認します」
魔法使い「例の魔物の指示通り、勇者に指定された洞窟に行ってもらう」
魔法使い「行くのは勇者ひとりだけ」
魔法使い「……ここまであってますか?」
道具屋「ああ。そして娘はその洞窟にいるはずなんだ」
道具屋「魔物が真実を語っていれば、だが」
魔法使い「大丈夫ですよっ。娘さんは絶対に助け出します!」
魔法使い「それに勇者は口のかわりに腕がたつので。ねっ?」
勇者(とりあえずうなずいておこう)
78 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:19:46 ID:
qK95PMmVa
勇者「えっとじゃあ、そろそろ行きます……」
魔法使い「『ほかの二人』はすでに行動してるはずだから」
勇者「あ、はい。
その、お互いに……が、がんばりましょう」
魔法使い「うん!」
道具屋「どうか娘をたのむ!」
勇者(正直これからの戦いより、今してる会話のほうがつらい気がする)
80 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:28:59 ID:
qK95PMmVa
勇者(そんなわけで現在向かっているわけである、洞窟に)
勇者(しっかし、ずいぶんずさんな計画だよなあ)
勇者(もっと有利になる展開、いくらでも作れそうなのに)
勇者「ところで。さっきからついてきてんの、バレバレだから」
少年「……」
勇者「家にいろって、父ちゃんに言われてただろ」
少年「だって……」
勇者(『あれ? 勇者さんメチャクチャ饒舌じゃないですか』とか思った人いる?)
勇者(実はガキんちょ相手だと、なぜか普通に話せるんだよなあ)
勇者(まあどんな物事にも例外はつきものってことよ)
81 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:30:16 ID:8ucF8KZIJ
勇者…何だこいつ…
82 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:34:31 ID:L2LljYFUA
年下にだけ強気キャラかよww
83 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:48:59 ID:
qK95PMmVa
少年「お前なんかに妹のことをまかせてたまるか……!」
少年「アイツを助けるのは、お、オレだ! オレが妹を……!」
勇者「悪いこと言わないから帰りなよ。父ちゃんにも言われてたでしょ?」
少年「うるさいうるさいうるさいっ!」
少年「赤の他人のお前なんて信用できるわけないよ!」
少年「まして大人なんて!」
勇者(子ども相手なら普通に話せるけど、それだけなんだよなあ)
勇者(上手いこと話して丸めこむとかできねえ)
84 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:52:09 ID:kfXtc7FZu
そうだよなぁ
85 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/05(金)23:53:37 ID:
qK95PMmVa
少年「大人はいつも平気でウソを言うっ!」
少年「母ちゃんはオレとの約束を守らずに……先に……!」
勇者「……」
少年「父ちゃんだってそうだ!」
少年「いつもはオレにデッカイ口叩いてるくせに!」
少年「魔物の言うことすぐ聞いちゃうし!」
少年「アイツを助けるのを他人に頼むし!」
少年「なにが『夢をもて』だ! クソくらえだそんなもんっ!」
勇者「……ヤダなあ」
少年「は?」
86 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/06(土)00:15:09 ID:
fmwarQREP
勇者「夢なんてクソくらえ、って悲しいなあ」
少年「大人のせいだ。大人がこんなことを言わせるんだ」
勇者「まっ、ガキのころの夢はたいていウソで終わっちゃうもんな」
少年「そうだよ。夢なんて見るだけムダだ」
勇者「じゃあお前は夢を叶えようとか、思わないわけだ」
少年「……夢を叶えるって、なんだよ」
勇者「ウソを本当に変えること」
少年「!」
87 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/06(土)00:17:21 ID:ps2GUDjKB
少年「……夢を叶えるって、なんだよ」
勇者「ウソを本当に変えること」
かっけー
88 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/06(土)00:19:45 ID:SLk8bFfAq
急にどしたおい勇者
89 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/06(土)00:20:41 ID:ijAuDMX6x
勇者△
90 :
名無しさん@おーぷん :2014/09/06(土)00:25:29 ID:ldM2on4rd
子供とモンスターには強い