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勇者「コミュ障すぎて満足に村人と話すことすらできない」
Part16


674 :はい◆N80NZAMxZY :2014/11/12(水)00:04:43 ID:frQBdV6eX

ゴブリン「まさかボウズ、お前がこの街に帰ってきてるとはな」
勇者「……もう、ボウズって年齢でもないよ」
ゴブリン「ワシから見りゃ、まだまだガキだ」
魔法使い「この街に住んでたなら、教えてくれればよかったのに」
ゴブリン「無口なのは、どうやら今も変わらんみたいだな」
勇者「……」
ゴブリン「しかしボウズ、今はなにやってんだ?」
ゴブリン「この街にわざわざ戻ってきたのも、里帰りなんかじゃないだろ?」
勇者「えっと……」
勇者(夕食を食べ終わって、俺たちは談話室でおしゃべりをしていた)
戦士「ボクと魔法使いは学生でね。遺跡発掘調査のために今回、こちらに足を運んだんだ」
戦士「彼にはボクらの護衛として、ついてきてもらってる」

675 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:06:05 ID:frQBdV6eX
魔法使い「そうなんです」
勇者(さすが戦士。嘘がお上手)
ゴブリン「そういや、昔から口は立たなかったが、腕は立ったもんな」
ゴブリン「ってことはアレか? 今は傭兵でもやってんのか?」
勇者「そんな感じ」
ゴブリン「まっ、理由はなんだっていいさ」
ゴブリン「こういう再開ほど嬉しいもんはないからな」
勇者「……うん」
勇者「あっ、そういえば姉(あね)さんは?」
ゴブリン「今は夕食の片づけをやってる。あとで呼んでやるよ」
ゴブリン「じゃっ、ワシはやることがあるんで失礼するが、ゆっくりしていってくれ」

676 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:07:16 ID:frQBdV6eX
魔法使い「私、普通にゴブリンさんとお話してたよね? 今、ちょっと変な気分」
戦士「なにを興奮してるの?」
魔法使い「ゴブリンさん、魔物だよ? なのに普通にお話してたんだよ?」
魔法使い「はじめての経験だもん、ドキドキしちゃった。戦士はしないの?」
戦士「特には」
魔法使い「つまんないのー」
戦士「ただ、この宿はすばらしいと思うよ。料理もうまかったし」
勇者「いい宿っていうのは、トイレが綺麗だ」
魔法使い「……勇者?」

677 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:08:49 ID:frQBdV6eX
勇者「宿を選ぶさいにトイレが綺麗かどうか、俺は必ずチェックする」
勇者「ここが綺麗じゃない時点で宿としては失格だ」
勇者「ほかに見るとしたら玄関だな。言ってみりゃ、宿の顔だからな」
勇者「短い期間とは言え、寝泊りする場所だ。清潔かどうかは重要だ」
魔法使い「おーい、勇者さーん」
勇者「……あっ。す、すみません」
魔法使い「ビックリしちゃった。急にしゃべりだすんだもん」
戦士「コミュニケーションが苦手な人には、種類がある」
戦士「意外と勇者は、一方的に話すのが原因で意思疎通ができないタイプかもね」
勇者「……」

678 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:10:15 ID:frQBdV6eX
魔法使い「でも、わかるなあ。私もこだわってることなら、しゃべりたいって思うし」
魔法使い「勇者は宿にこだわりがあるんだよね?」
勇者「こだわりって、ほどでは……」
戦士「そう言うわりに、魔法使いは魔術に関しては秘密主義だよね」
魔法使い「魔術師にとっては、魔術は命と同じぐらい大切だもん」
戦士「ふーん。それにしても、僧侶ちゃんは大丈夫なの?」
勇者(体調がすぐれないってことで、僧侶は部屋で寝てる。食事もとってない)
戦士「あと、魔物使いくんは?」
魔法使い「騎士さんと合流するって出て行ってから、二時間ぐらいたってるね」
勇者(俺としては、魔物使いと女騎士には帰ってきてほしくない)

679 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:11:05 ID:frQBdV6eX
魔物使い『もうほんとに勘弁してくださいよ、女騎士さん!』
女騎士『賭けバトルに参加しただけだろうが』
魔物使い『オレ、治癒術の使いすぎて疲れったすよー!』
勇者「……」
魔法使い「……女騎士さん、スタジアムにいたんだね」
戦士「女傑って言葉がピッタリな彼女だ。すばらしい闘いをしたにちがいない」
女騎士「なにか言ったか?」
勇者(うおっ!? いつのまに!?)
戦士「賭けバトルに参加したんだって? 会話が聞こえてきたよ」
魔物使い「そうなんすよ! この人、魔物も人間も関係なくボコボコにしたんすよ!」
戦士「穏やかじゃないね」

680 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:11:43 ID:frQBdV6eX
女騎士「道を歩いていたら、絡んできた馬鹿な魔物がいたんでな」
女騎士「しかも賭けバトルをもちかけてきた。だから受けてやった」
戦士「それで、ついでにスタジアムで暴れてきたわけだ」
魔物使い「一回一回、勝負が終わるたびに回復させないでほしいっすよ」
女騎士「礼として、賭けで手に入れた金はやるって言ってるだろ」
戦士「最初のオッズは高かっただろうし、けっこう儲かったんじゃない?」
女騎士「金なんてどうでもいい。それより、勇者」
女騎士「貴様も過去に、あのスタジアムに出入りしていたらしいな」
勇者「……」
女騎士「……ふんっ、まあいい。シャワーを浴びてくる」

681 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:13:39 ID:frQBdV6eX
魔法使い「本当なの、今の話?」
勇者「……いちおう」
魔物使い「それで騎士さんは対抗心燃やして、ハッスルしたわけっすね」
戦士「理由はどうであれ、勝ち続けたんでしょ? たいしたもんだ」
魔物使い「そりゃあ魔物相手に関しては、オレのアドバイスがありましたからね」
戦士「忘れかけてたけど、キミは意外と優秀なんだったね」
魔物使い「そうっす! オレは意外と優秀なんすよ!」
戦士「……ふーん、なるほど。ちょっと二人だけで話がしたいな」
魔物使い「アレっすか? 熱い男子トークっすか?」
戦士「そんなところかな。とりあえず外に行こう」
勇者(戦士は魔物使いの肩に手を回すと、外へと行ってしまった)

682 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:14:11 ID:CmaBoQG5j
ほう

683 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:14:33 ID:frQBdV6eX
魔法使い「なんだったんだろうね、今の」
勇者(もちろん、俺にわかるわけがない)
魔法使い「でも、意外だなあ。勇者が賭けバトルをしてたなんて」
魔法使い「しかも女騎士さんが知ってたってことは、戦績もよかったんでしょ?」
勇者「それは、その……」
女性「おくつろぎのところ、申しわけございません。談話スペースは……」
勇者「姉(あね)さん……?」
女性「え?」
勇者「えっと、俺、なんだけど」
女性「もしかして……え? うそ? え?」

684 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:14:47 ID:CmaBoQG5j
熱い男子トークとな?

685 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:15:21 ID:frQBdV6eX
勇者「……ひさしぶり」
女性「うそおっ! いつの間に戻ってきたの!?」
勇者(ゴブリンの奴、俺が来たことを伝えてなかったのか)
女性=姉「何年ぶりかしら? 前は私と背丈、変わんなかったのに」
勇者「……背はけっこう伸びた、と思う」
姉「っと、まだ仕事が片づいてないの。だから、すこし待っててくれる?」
勇者「……うん」
姉「あっ、その前に」
勇者「?」
姉「おかえりなさい」

686 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:16:51 ID:frQBdV6eX

魔法使い「じゃあ、ここの宿はゴブリンさんとお姉さんで?」
姉「ええ、私とあの人の二人で切り盛りしてるの」
魔法使い「へえ……」
姉「えらく驚いてるけど、やっぱり変わってると思う?」
魔法使い「正直。魔物と人が経営してる宿なんて、聞いたことなかったから」
姉「実は私も。あの人と働くまでは、想像もしてなかった」
姉「ところで。黙々と食べてるけど、おいしい?」
勇者「うまい」
姉「そう、よかった。魔法使いさんの口にはあったかしら?」
魔法使い「はいっ。本当においしいです、このチーズスープ」

687 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:18:11 ID:frQBdV6eX
魔法使い「勇者って、ずっとここの宿に泊まってたんですか?」
姉「ええ。一年と半年ぐらいだったかしら?」
姉「宿代は賭けバトルの賞金でまかなってたのよね?」
魔法使い「それで、勇者は賭けバトルに参加してたんだ」
勇者「まあ、そんなとこです」
魔法使い「二人は宿の主と宿泊客って関係なんですよね?」
姉「そうよ? ああ、妙に親しそうだって?」
魔法使い「はい。なんだか本当の姉弟みたいにみたいです」
勇者「……」
姉「子どもだったこの子が、ずっと一人で宿泊してたからね」
姉「だから、気になっちゃって。思いきって声をかけたの」
魔法使い「それで二人は仲良くなったんですね」

688 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:19:08 ID:dZvIXLqFh
お姉ちゃんキャラ登場か!!

689 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:19:53 ID:frQBdV6eX
姉「でも、帰ってはこないし、手紙のひとつも寄こさないし」
勇者「……ごめん。色々あったんだ」
姉「いいよ、こうやってまた会えたんだし」
勇者「……」

690 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:23:52 ID:GlYDIDvDj
勇者がカワイイぞ!

691 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)00:25:19 ID:CmaBoQG5j
ゴブリンと姉さんの共同経営の宿か、ちょっと泊まってみたいな

692 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)01:03:54 ID:frQBdV6eX

魔物使い「うーん。リザードマン対策は、だいたいこんなところっすね」
戦士「なるほどね。つまり、ほとんど人間と同じってわけだ」
魔物使い「でも筋力が根本的にちがうっす。それにそいつ、魔術も使えるんすよね?」
戦士「直接この目で見たわけじゃないけどね」
女騎士「宿の前で、なにをしてるんだ?」
戦士「……そっちこそ」
女騎士「落ち着かなくてな。この街、魔物が我が物顔で闊歩している」
魔物使い「そんなにカリカリしなくてもいいじゃないっすか」
女騎士「魔物は私たち人類にとって、敵でしかない」
女騎士「いずれは必ず、この星から抹消しなければならない存在だ」

693 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)01:05:40 ID:frQBdV6eX
女騎士「戦士。貴様もそう考えているから、こいつに魔物について聞いているのだろう?」
戦士「ちがう。ボクはただ、あの野郎に仕返しをしてやりたいだけさ」
女騎士「あの野郎? 私怨、か」
戦士「それもちがうね。ボクにとって、どんな魔物も例外なく理解できない存在だ」
戦士「そんな存在に苛立ちを覚えたり、個人的な恨みを抱いたりはしない」
魔物使い「魔物について聞いてきたときの戦士さんの顔、怖かったすよ?」
戦士「それはね、ジャマされたからさ」
魔物使い「ジャマ? なにかされたんすか?」
戦士「夜の街で、ボクとかわいいお姉さんの熱い夜を、ぶち壊しやがった」
戦士「ボクがムカついてるのはそのこと。ヤツ自体はどうでもいい」
女騎士「お前……」

694 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)01:13:05 ID:frQBdV6eX
戦士「それから。未確認魔物の出処の探索。これはどうするの?」
女騎士「私の隊の者たちがすでに調べはついてる」
戦士「あら、優秀なことで。場所は?」
女騎士「街の目と鼻の先にある研究所だ。
    早ければ明日の昼にでも、攻めこむ予定だ」
戦士「なるほど。もう大まかな準備はできてるってことね」
女騎士「しかし、不安要素がいくつかある」
魔物使い「なに言ってんすか? オレたちには勇者さんがついてるんすよ!」 
女騎士「その勇者こそが最大の不安要素だ」
魔物使い「え!?」
女騎士「ヤツに協調性は期待できないからな。というより、会話が成り立たないんだ」
魔物使い「……それって女騎士さんにも、問題があるんじゃないっすか?」
女騎士「……」
戦士(うわあ。ボクでも言いづらいことを……)

695 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)01:22:55 ID:frQBdV6eX
魔物使い「女騎士さんって話し方からして、取っつきにくいし」
魔物使い「勇者さん、オレのときは普通に話してくれるっすよ?」
戦士(これ、本気で言ってんのかなあ)
女騎士「な、なんだと? それは本当なのか、戦士?」
戦士「まあ、勇者は意外としゃべるよ。ついでに愛嬌もある、と思う」
女騎士「……」
魔物使い「どうっすか? この際思い切って、しゃべり方を変えてみるとか?」
女騎士「……いいだろう、やってみよう」
女騎士「あたい、マジちょ〜勇者と仲良くしたいんだけどぉ」
女騎士「てゆーかぁ、これでダメならぁもうマジ無理」
戦士「……」
魔物使い「いやあ、これはドンマイっすわ」

696 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)01:32:40 ID:frQBdV6eX
女騎士「いちおう、軽い感じの女性になりきってみたんだが」
魔物使い「オレ、こんなしゃべり方する女はイヤっす」
戦士「ボクも。これだと勇者も裸足で逃げ出すよ、きっと」
魔物使い「ていうか、そのしゃべり方はどこで覚えたんすか?」
女騎士「できるかぎり、自分の想像力を働かせてみたんだが」
魔物使い「……女騎士さん、彼氏とかいるんすか?」
女騎士「恋愛か? そんな浮ついたことに、現を抜かしていたことなどはない」
魔物使い「……了解っす」
戦士「キミは恋愛とか以前の問題だよ」
女騎士「……?」

697 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)01:35:23 ID:frQBdV6eX

魔法使い(スープを飲み干した勇者は、すこし頬をゆるめて部屋に戻っていった)
魔法使い(ちなみに今この談話室には、私、お姉さん)
魔法使い(そして、ようやくお目覚めの僧侶ちゃんの三人でいる)
姉「そっか。あの子はホントに全然変わってないのね」
姉「チーズスープを飲んでる様子を見て、だいたいわかってたけど」
僧侶「……成長してないってことですか?」
姉「ううん、顔つきや体格はすっかり変わってたわ」
姉「でも、スープを飲んだあとの反応が昔と同じだったから」
姉「ほら、あの子って口よりも顔に出ちゃうタイプじゃない?」
魔法使い「そうですね。まさにそんな感じです」
姉「あの子、スープを飲んだあと、うまいとは絶対に言わなかったのね」
姉「でも、表情は変わるから。不思議と悪い気はしなかったわね」

698 :はい◆N80NZAMxZY :2014/11/12(水)01:35:33 ID:frQBdV6eX
つづく

699 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)01:46:39 ID:vEwvy007T
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701 :名無しさん@おーぷん :2014/11/12(水)09:38:08 ID:D9TFGDPvI
女騎士ワロタwww