姫「私が姫になった理由は勇者のことが好きだからだ!文句あるのか!?」
|
Part9
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 01:00:04.88 ID:
Ijp4CUYyo
教師「……」
教師(なんだか向こうが騒がしいわね。監視するなら静かにしてほしいわ)
教師(ま、資料室に何かがあるのはあのオカマ野郎のおかげで分かったし、多少の騒がしさは気にしないけどね)
教師(あとは忍び込む方法よね。あの馬鹿勇者を懐柔したら、いけそうだけど……)
姫「おい」
教師「アーラ、プリンセス。遅かったデスね」
姫「なんか客人が来ているらしいから、裏門からこっそり入ってきた」
教師「そうデスか。教会でのお遊戯会は楽しかったデスか?」
姫「……まぁな」
教師「そーデスか。よかったデスねー」
姫「触るな!! お前の仕事はもう終わっているだろう!! 部屋に戻れ!!」
教師「アーン、そんなに怒らないでクダサーイ。この前のは謝ったじゃないデスかー」
姫「それ以上近づいたら、姫パンチ食らわすからな! シュッ! シュッ!」
教師「ハイハイ。プリンセスは怖いですねー」
騎士(あれは……)
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 01:04:57.63 ID:
Ijp4CUYyo
戦士「いけない。いけない。あたしったら、仕事があるのに。でも、仕事より姫様、姫様より勇者様だから仕方ないけどぉ」
勇者「はぁ……はぁ……あぶなかった……」
騎士「……」
戦士「ちょっと、あんたぁ?」
騎士「は、はい」
戦士「先生はどっちに行ったの?」
騎士「向こうへ歩いていきましたが」
戦士「ありがとっ。うふ。ーー勇者様は渡さないわよ」
騎士「は、はぁ……」
戦士「よろしい。それじゃあね。らんららーん」
騎士「……」
勇者「あ、勘違いしないでくださいね。彼とは何もありませんから」
騎士「いえ。あの勇者様、私はやはりこのまま国へ戻ろうと思います」
勇者「なんで!? ホテル、いい部屋取りますから!!!」
騎士「そ、それは次の機会にしましょう。あの、すぐに戻ってきますし」
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 01:19:22.37 ID:
Ijp4CUYyo
城門前
騎士「手厚いもてなしに感謝します」
兵士長「飲み物も出してねえのに、そういうなよ。嫌味にしかきこえねえぞ」
騎士「す、すみません。ところで魔女の引渡しのほうですが……」
兵士長「分かってる。国際条例に従って手続きをするからよ。必要書類なんかも作っておく」
騎士「大恩痛み入ります。貴方がわが国へ送った書簡も間もなく返事があるでしょう。そこに詳しいことも書かれているはずです」
兵士長「了解。団長さん」
勇者「あの。早く戻ってきてくださいよ、ホテル予約しておきますから」
騎士「は、はい……。わかりました……そのときは、私も覚悟を決めます……」モジモジ
勇者(かわいいー!!! こんな可愛い子と俺は結ばれるのかぁー!!!! 神様ー!!! ありがとー!!!!)
兵士長「お前、とうとうそっちの道にいっちまったのか……」
勇者「なにいってんすか。俺は常にこの道を歩き続けていたんすよ」
兵士長「だから女ができなかったのか。納得だ」
騎士「それは失礼します!! ありがとうございました!!」
勇者「さよーならー!!! まってますからねー!!! にょほほほほほ!!!」
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 01:35:36.08 ID:
Ijp4CUYyo
兵士長「すっ……ぱぁー……。それにしても先生が魔女だったとはな……」
勇者「とりあえず、拘束して牢屋にぶちこんじゃいましょうか」
兵士長「おめぇ、穏便にって言ってたじゃねえか」
勇者「もういいっすよ、あんな女。こっちから願い下げっす。俺の嫁さんは、あの可憐で清楚な騎士団団長しかいない!!!」
兵士長「……魔女なら姫様の傍に置いておくこともできねえしな」
勇者「それもあるっすね」
兵士長「自由にさせる理由はなくなったな」
勇者「さっさとやっちまえばいいんすよ」
兵士長「だがよぉ、きにならねえか?」
勇者「何がっすか?」
兵士長「国家転覆を目論んだ魔女。しかも世界中で暗躍していた可能性まであるときてる。この国を支配しようとしたあいつとは違うわけだ」
勇者「魔女っていう点では同じっすよ」
兵士長「全然違うだろうが。先生は一国を完全に敵に回してる。なら、どうして手配書の一枚も出回ってないんだ。それに先生が前の職場を離れたのは任期満了のためだ」
兵士長「凶悪犯の正体をどうして国全体で隠すようなことをしているのか。気にならねえか?」
勇者「先生が調べていた王子の秘密ってやつに関係してんじゃないっすか? 先生が万が一秘密を握っていたなら、大変ですからね」
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 01:43:56.17 ID:
Ijp4CUYyo
兵士長「団長さんは知られていないって言ってたんだろ?」
勇者「証拠は掴まれていないだけとか?」
兵士長「推論は可能なぐらいの材料はあったなら、それを報じないのは不自然だろ」
勇者「そんなこと言われても……。ともかく悪い魔女なんすから、捕まえましょうよ。で、縄とか無駄にムフフな縛り方とかしてぇ」
兵士長「お前、明日から遠征な」
勇者「先輩の言うとおり、少しおかしいっすね」
兵士長「そうだろう。こっちだって姫のことを調べていた女を簡単に引き渡したくはねえよ」
勇者「引き渡してください。でないと、俺あの子と付き合えなくなりますから」
兵士長「勝手にしろ。ま、今夜あたりにでも話は聞いてみるがな」
勇者「で、せんぱぁい……」
兵士長「へいへい。一週間ほど休暇をやるよ」
勇者「マジっすかぁ!? いいんすかぁ!? イヤッホォォォイ!!!!」
兵士長「ただし、何かあったら動いてもらうからな」
勇者「よぉし!! この間にしっかり復習しておくぜ!! 初めてでも戸惑わないようにな!!!」
兵士長「やれやれ……」
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 01:49:16.40 ID:
Ijp4CUYyo
姫の自室
姫「はぁ……」
勇者『おーい。いるかー?』
姫「あい。いるぞー」
勇者「よう」
姫「随分長かったな。忙しかったのか?」
勇者「まぁな。それより、聞いてくれ」
姫「どうした? いいことでもあったのか?」
勇者「一週間も休暇をもらえた」
姫「おぉ!! いいな!!」
勇者「だろう? でだ、この休暇を利用して色々としなきゃいけないこともあるんだ。だから、恋愛マニュアル返せ」
姫「いいぞ。はい」
勇者「お、素直だな。感心だ」
姫「私はいつでも素直だぞ。それより聞いてくれ、私のことを好きになってしまった男がいるんだ」
勇者「マジかよ。物好きにもほどがあるな。どんな奴よ?」
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 14:59:23.13 ID:ToD5WcZDO
追い付いた。まさか続編が来てたとは!!
期待
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/03(火) 17:54:50.73 ID:EWoAWTNzO
あれか、団長はアレで、あれが、アレで…。
戦士はあれだから…。
詰んだ?
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 21:48:37.42 ID:
DOoMBH4Go
会議室
教師「なんでしょうか?」
兵士長「率直に問う。先生は魔女か?」
教師「……」
兵士長「隣国の騎士団を指揮している団長がこっちに来てくれてな。あんたが向こうで何をしていたのか語ってくれた」
教師「なるほど。それを貴方は信じたと?」
兵士長「嘘なのか?」
教師「私がここで本当のことを話す保証はないですけどね」
兵士長「それもそうだな」
教師「まぁ、疑うなら営倉なり牢屋なりに入れてくれても構わないですけど?」
兵士長「いや、隣国からは身柄の引渡しをお願いされちゃってよ」
教師「お好きにどうぞ。それぐらいの覚悟は常に持ってますから」
兵士長「そうかい。なら、そうさせてもらうか」
教師「話は終わりですか? それでは」
兵士長「……先生。正直言うと今現在、あんたを他国に引き渡したくはねえんだよ」
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 22:01:04.60 ID:
DOoMBH4Go
教師「プリンセスのことを探っているから、ですか」
兵士長「姫様のことはまだ隠す必要がある。先生が間諜として潜入してきているなら、尚更だ」
教師「間諜だなんて。虫唾が走ります」
兵士長「だが、国の現状を考えれば隣国には恩を売っておきたいのも事実。俺は頭を悩ましているわけよ」
教師「何がいいたいのですか?」
兵士長「取引しねえか?」
教師「ウフフフ。魔女と呼ばれた私とですか?」
兵士長「先生にとって引き渡されたほうが得だってんなら、今日中にでもあんたを殺す。でも、そうじゃねえなら取引に応じてくれよ」
教師「脅しじゃないですか」
兵士長「そう聞こえたか? わりぃな。育ちはいいほうじゃなくてよ」
教師「おじさまの望みはなんですか? 私を引き渡さなければ、国家間の関係も悪くなると思いますけど?」
兵士長「俺の望みは姫様の安寧。それだけだ」
教師「そのためなら隣国を敵に回す覚悟もがあるということですか」
兵士長「この城に、この国に仕えてうん十年。それだけが俺の誇りだ」
教師「なるほど……。流石は過去に『勇者』も務めた人ですね。分かりやすくて助かります」
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 22:10:08.56 ID:
DOoMBH4Go
兵士長「俺のことも調べたのか?」
教師「はい。勿論です。あの傭兵のお姉さんのこともバッチリですよ」
兵士長「ふぅん。で、どうする?」
教師「私に何をしろと?」
兵士長「なーに。簡単なことだ。ーー隣国で得たことを渡してくれ」
教師「な……」
兵士長「あんたを引き渡して姫様の秘密が国外へ出て行ったときの保険だ。隣の国が先生を指名手配しないぐらいの秘密はもってんだろ?」
教師「ウフフフフ。おじさま、本当に『勇者』だったのですか? 悪い顔になっていますよ?」
兵士長「言っただろう。育ちは良くねえんだよ」
教師「……と言っても決定的な証拠はありません。まぁ、私に対して強く出ていないところを見るに9割は黒なんでしょうけど」
兵士長「だろうな。だからこそ、知っておきたい。敵国になった場合、一発で地盤を崩せるぐらいの情報をな」
教師「うーん……。では、私からもお願いをしていいですか?」
兵士長「この期に及んでか。いい根性してんな」
教師「簡単なことですし、私の身柄は自由にしていいですから。おじさま」
兵士長「言ってみろよ」
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 22:16:38.97 ID:
DOoMBH4Go
中庭
勇者「それで俺は華麗に警備の兵士をなぎ倒し、門をくぐったわけよ」
姫「おぉー、かっこいいな」
勇者「だろ? あのときの勇姿は全世界の美女に見てほしかったな」
姫「私が聞いてやったから安心だな」ギュッ
勇者「お前に聞かれてもなぁ」
姫「……なぁ?」
勇者「どうした?」
姫「結婚のことなんだけど……」
勇者「あぁ、先生とは別れることにした」
姫「そうなのか? なんだ、お前はやっぱり私のことが好きなんだな」
勇者「新しい婚約者が現れたからな」
姫「え!? だ、誰のことだ!?」
勇者「お前も見ただろ? あの騎士団の団長さんの美しさを」
姫「あ、あいつが……!? ゆ、油断した……」
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 22:25:42.40 ID:
DOoMBH4Go
勇者「いやぁ、彼女はいいぞぉ。清楚で可憐でおしとやかだからな。どっかのガサツな野生児とはわけが違う」
姫「これでも色々と勉強しているんだぞ」
勇者「そうなのか? 全然そうは見えないぞ?」
姫「ごほんっ。勇者様、わたくしも言葉遣いは上手くなっておりますわよ」
勇者「だったら常にその喋り方でいろよな」
姫「それは疲れるのですわ」
勇者「ダメじゃねーか」
姫「あぅ……」
狼「クゥーン」
姫「ありがとな、慰めてくれ。勇者様は厳しいな」
狼「ガルルル……」
勇者「やめろよ。謝るから。ほら、今日は特別に肉をだな……」
狼「ガァァァウ!!!」
勇者「ぎゃぁー!! きたぁー!!!」
姫「あはははは。まぬけー」
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 22:30:17.20 ID:
DOoMBH4Go
兵士長「相変わらず楽しそうだな、お二人さん。お似合いだぜ」
狼「グルルル……!!」
勇者「ふおぉぉ……!! 牙をだすなぁ……!!」ググッ
姫「そろそろ寝る時間だな」
兵士長「ゆっくりお休みになってください」
姫「そうする。……おい」
勇者「んだよ?」
姫「また、明日な!」
勇者「おう。歯みがけよ」
姫「あいっ」
兵士長「……先生とは話がついたぜ」
勇者「この……!! あっちいけ!!」
狼「ガウッ」タタタッ
勇者「何を話したんすか?」
兵士長「先生は魔女と話がしたいんだってよ」
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 22:41:25.91 ID:
DOoMBH4Go
勇者「それ許可したんすか?」
兵士長「まぁ、な」
勇者「先輩が決めたなら、いいっすけど」
兵士長「危険だと思うか?」
勇者「さぁ、どうなんすかね。俺にはよくわかんねーっす」
兵士長「先生が何故、ここまでして国の内部に入り込もうとするのかまでは分からんが、はっきりしたこともある」
勇者「なんすか?」
兵士長「隣国の王子は相当のクズってことだ」
勇者「なにしてたんすか?」
兵士長「知りたいか?」
勇者「勿論じゃないっすかぁ。他人の弱味ほど握りたくなるものはないっす」
兵士長「女を誘拐しては暴行を繰り返していたらしい。その事実は勿論もみ消されているがな。無実の男が犯人にされたこともあったてよ」
勇者「そ、それって……権力を使って無理やりってことっすか……!! とんだ屑っすね!!」
兵士長「てめぇだって勇者っていう身分を利用してナンパしてんじゃねえかよ」
勇者「俺は無理やりとかはしないっすから!! 無理やりお茶に誘うことはあっても、ホテルに連れ込んだりとかはできないっすから!! マジで!!」
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 22:48:29.62 ID:
DOoMBH4Go
兵士長「ハハッ、お前には襲うだけの度胸がねえもんな」
勇者「うすっ」
兵士長「とはいえ、魔女と呼ばれた女の口から出てきた話だ。妄言である可能性も十分にある。証拠もねえしな」
勇者「でも、流言しちゃえば問題なくないっすか?」
兵士長「他国の王族を貶めるようなことを俺らが言っちゃダメだろうよ。庶民の井戸端会議とはわけが違うぜ」
勇者「まぁ、その辺りの事実確認は俺に任せてくださいっす」
兵士長「なんかアテでもあるのか?」
勇者「団長さんっすよぉ。ぬふふふ」
兵士長「……どうする気だ?」
勇者「どうするってホテルでゆっくり話をきくんすよ。俺の腕を枕にして滔々と語ってくれるはず」
兵士長「想像したくねえな」
勇者「嫉妬っすかぁ? 嫉妬っすかぁ?」
兵士長「なんで嫉妬しなきゃいけねえんだよ、きもちわりぃ」
勇者「先輩の奥さんは美人っすけど、俺の妻には敵わないっすからね。妬くのもわかるっす」
兵士長「お前って美形なら誰でもよかったんだな……」
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 23:00:01.84 ID:
DOoMBH4Go
隣国 王城
王子「ーーあの女が?」
騎士「はい。間違いありません、この目で確認しました」
王子「そうか。ご苦労だったな」
騎士「いえ。それともう一つお耳に入れておきたいことが」
王子「なんだ?」
騎士「あの城には噂通り、姫君なる存在がいるようです」
王子「ほう……?」
騎士「まだ幼い為、女王としての教育を受けているようです」
王子「そうか。やはりあの国王が悪魔の女に産ませたという話は本当のことだったのか」
騎士「まだはっきりとは……」
王子「面白いな。すぐに出発するのか?」
騎士「はっ。陛下の許可も出ています。我が国に仇名す魔女の身柄を引き渡してもらうつもりです。そのための書状も既に用意しています」
王子「……私も共に行くことも伝えておいてくれ。魔女の顔を見てみたいからな」
騎士「仰せのままに」
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/04(水) 23:10:36.87 ID:
DOoMBH4Go
城内 通路
姫「ふんふふーん」
教師「最近、ご機嫌デスね、プリンセス?」
姫「……」
教師「ワタシに話しかけられただけでそんなに嫌そうな顔をしないでクダサイ。ショックデス。やはりここ数日勇者サマがいるのが嬉しいのデスか?」
姫「……まぁ、そうかもな」
教師「本当に好きなんデスね。でも、それは本当の恋愛感情なのかどうか……」
姫「なに?」
教師「プリンセスは恋に恋をしているだけのお姫様ではないかということデス」
姫「よくわからん」
教師「ウフフフ。プリンセスにはまだ分からないかもしれないデスね」
姫「お前、私を馬鹿にしてるな?」
教師「してませんデスよ。プリンセスが抱いている恋心が本物かどうかはまだ分からないと言っているだけデスから」
姫「本物に決まってるだろ。何いってんだ。それより、勉強だろ。いくぞ」
教師「ハーイ、イキマショー」