姫「私が姫になった理由は勇者のことが好きだからだ!文句あるのか!?」
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Part7
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 22:54:07.48 ID:
lSIrsjNpo
夜 城内 通路
姫「……」キョロキョロ
教師「ハーイ。プリンセス?」
姫「うわぁ!? な、なんだ、お前か……」
教師「今日もウルフとお話デスか?」
姫「うるさい。これは私の日課なんだ。邪魔しないでくれ」
教師「実はワタシなりに推理してみました。……プリンセスのママとパパは、まだ生きていますよね?」
姫「それがなんだ?」
教師「貴方がプリンセスということは、親のどちらかは王族のはず」
姫「……」
教師「前国王陛下と妃の間には子どもは出来なかったとされているから、貴方は妃の子どもではない」
姫「うるさい」
教師「では、誰が貴方を生んだのか。考えられるのは一つだけ。ーー魔女ですね?」
姫「違う!!! あいつは私の母親じゃない!!!」
教師(ウフフフ。どうやら間違いないわね。あとは証拠さえあれば……)
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 23:00:39.55 ID:
lSIrsjNpo
姫「お前、なんのつもりだ!!」
教師「ゴメンナサイ。ちょっとした好奇心デスよ。違うなら違うでイイデスから」
姫「……違うぞ」
教師「ワカリマシタ。それでは、オヤスミナサイ」
姫「くっ……!!」タタタッ
教師「ウフフフ。さてとーー」
戦士「何か嬉しいことでもあったのぉん?」
教師「……いえ、別に。何もありませんけど?」
戦士「あたし、これでも女が何を考えているかぐらいはわかるわよ?」
教師「どういうことでしょうか?」
戦士「しらばっくれちゃって。知ってるのよ。ずっと姫様のことを調べているのはね」
教師「教え子のことを知ろうとするのがいけないことデスか?」
戦士「あんまり調子に乗ってると、火傷するわよ」
教師「何故ですか?」
戦士「それがあたしの仕事だからよ。クソアマ」
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 23:09:05.75 ID:
lSIrsjNpo
教師「なら、クビにするように進言しなさい」
戦士「この状況でそんなことしたら、あんたの推理が正しいって認めちゃうことになるでしょ。そんなの嫌よ」
教師「へぇ。だったらこのまま私が探りを入れてもいいわけですね?」
戦士「あたしに監視されてるのがわかってもやるの? おもしろいじゃない」
教師「それぐらいの秘密がプリンセスにはあるのでしょう。調べ甲斐があるわ」
戦士「あんた何者? ただの先生じゃないんでしょ?」
教師「知りたいなら監視を続けなさい。いずれ分かるときが来るでしょうけど」
戦士「それはいつよ?」
教師「さぁ……。明日か明後日か……。もしかすると一生分からないかもしれないわね」
戦士「一つだけ言っとくわよ?」
教師「はい」
戦士「勇者様が命がけで守った姫様に指一本でも触れてみなさい。あたし、本気であんたのこと殺しにかかるから」
教師「アハハハ。そんなことしたらここで働けなくなりますよ?」
戦士「あんたが死ぬなら本望よ」
教師「……気をつけます。では、さようなら」
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/31(土) 23:10:33.76 ID:yijSCBR00
最期のセリフだけドスきいてそう...
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 23:14:48.29 ID:
lSIrsjNpo
中庭
狼「クゥーン」
姫「うぅっ……くっ……」
兵士長「姫様」
姫「うっ……。な、なんだ? 今、部屋に戻るつもりだったんだ」
兵士長「そうしてください」
姫「いつもすまん。おやすみ」
兵士長「姫」
姫「なんだ?」
兵士長「何も心配はいらねえよ。お前のことは俺たちが守ってやるから」
姫「……ありがとう」
兵士長「それが仕事だからな」
姫「助かる」
兵士長「なーに、いいってことよ。早く寝な」
姫「あいっ」
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 23:15:31.52 ID:Z4u89LLTo
戦士の「それがあたしの…」と「あんたが死ぬなら…」はマジで格好良いと思った
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 23:27:08.84 ID:
lSIrsjNpo
狼「……」
兵士長「んだよ? やるかぁ?」
狼「……」タタタッ
兵士長「いい加減、愛想よくしてくれねえかなぁ、あいつ。俺ぁエサだってやってんだぜぇ?」
戦士「おっつー」
兵士長「おう。どうだった?」
戦士「あの女、結構気が強いわね。あたしの言葉も冷めた顔で受け流してたもの」
兵士長「やっぱり只者じゃねえか」
戦士「いいの? 追い出したほうが早いわよ。それに貴方が殺せっていうなら、あたしが殺してもいいし」
兵士長「馬鹿野郎が穏便にって言ってるからな。それはできねえよ」
戦士「んもう! 勇者様ってば、あんな女狐のどこがいいのかしら!! ぷんぷん!!」
兵士長「それにだ、お前さんに言われてもやるってことは先生も命かけてるってことだろ?」
戦士「まぁ、そうなるわね」
兵士長「命をかけるにはそれなりの理由がある。殺すならその理由を吐かせてからだ」
戦士「あらあら。男ってホントバカばっかりね。嫌になっちゃうわ。勇者様は別だけどぉ。うふっ」
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 23:43:25.68 ID:
lSIrsjNpo
姫の自室
姫「……」
姫(あいつ、今も誰かと戦ってるんだよな……)
姫(いつも文句ばっかり言ってるけど、戦ってるんだよな)
姫(私も戦わないとな)
姫「よし!!」
姫「私は強い!! 並の兵士ぐらいだったらボッコボコにできる!!」
姫「友達だってできた!! 守ってくれるやつもちゃんと傍にいる!!」
姫「そして勇者様だっているんだ!! 私は弱くないぞ!! めちゃくちゃ強いぞ!!」
姫「どんな奴にだって負けない!!」
姫「たとえ相手が……相手が……」
姫「……」
姫「寝るか」
姫「負けないんだ……」
姫「私には……あいつが……いるから……」
123 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 23:52:12.54 ID:
lSIrsjNpo
国境の砦
勇者「ぶぁっくしゅん!!! うぅー。なんか寒いなぁ」
警備兵「勇者殿。あのお訊ねしたいことが」
勇者「なんすかぁ? 俺の武勇伝なら昨日いっぱい話したでしょう?」
警備兵「え、ええ。女性との接し方についてはとても参考になりました」
勇者「まぁ、恋愛マスターの俺に落とせない女はいないっすけど。ハーッハッハッハッハ」
警備兵「噂程度なのですが、その姫様がいるとか……」
勇者「あん?」
警備兵「あぁ、あの、一般市民の間で以前から話題になっているのですが、知りませんでしたか?」
勇者「まぁ、知ってるっすよ。どっかの田舎でも話してる人いましたし」
警備兵「実のところはどうなのですか?」
勇者「息がくせーんだよ。顔近づけてくるな」
警備兵「えぇ……。歯は毎日3回磨いてます」
勇者「じゃあ、存在が臭い」
憲兵「勇者様!! 騎士団の団長が到着しました!!」
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 00:01:05.66 ID:
jsYv3LANo
勇者「結構早かったですね」
憲兵「団長も貴方に会ってみたかったと言っています」
勇者「なんで?」
憲兵「魔女の一件での活躍、隣国にまで届いていますから」
勇者「え? そうなのですか?」
憲兵「はい。無論、民が話す程度のことしか知りませんが」
勇者「もしかして、俺って世界的な有名人だったりする?」
憲兵「或いはそうかもしれませんね」
勇者「参ったなぁ。俺の子猫ちゃんは世界中にいるのかよ。ハーレムじゃん」
憲兵「お! 団長殿!! こちらです!!」
勇者(来たかぁ。さぁて、俺の出番を奪った団長様に一言文句を言ってやーー)
騎士「貴方が勇者様ですか?」
勇者「お……おま……、いえ、あの、貴方が……騎士団の団長さん?」
騎士「はい。その通りです。私、勇者様にお会いできてとても感激しています」
勇者(こんな美人が騎士団の団長!? マジぃ!? うっひょー!!! 実際にいるのかよぉ!!! 女の騎士ってぇー!!!)
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 00:09:19.62 ID:
jsYv3LANo
騎士「あの、なにか私の顔についていますか?」
勇者「あ、ああ。失礼しました。貴方の美貌に時を奪われてしまったようです」
騎士「は、はぁ。どうも」
勇者「こんなにお美しい人が騎士団を束ねているなんて、驚きましたよ」
騎士「いえ、私なんてまだまだです。団長を任されたのも運がよかったからですし」
勇者「何を謙遜することがありますか。明眸皓歯な貴方は万人を虜にすること間違いなしです」
騎士「え、えーと」
勇者「その証拠に、ほら、俺は君の虜さ」ギュッ
騎士「か、顔が近いです……」
勇者「素敵だ。今度、一緒に食事でもどうです?」
騎士「え、でも、私は……あの……」
勇者「異国交流もこのご時世必要でしょう。あぁ、そうだ、これから俺は城へ戻るのですが、よければご招待しますよ」
騎士「あ、その……」
勇者(押しが弱い子と見た!! 恋愛マニュアル70ページに書いていたことを実行するまで!! 押しが弱い子には遠慮するな!!!)
騎士「ゆ、勇者様……息が……かかってます……」
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/02(月) 19:03:03.01 ID:
kkz1tQy4o
>>125
勇者(押しが弱い子と見た!! 恋愛マニュアル70ページに書いていたことを実行するまで!! 押しが弱い子には遠慮するな!!!)
↓
勇者(押しに弱い子と見た!! 恋愛マニュアル70ページに書いていたことを実行するまで!! 押しに弱い子は遠慮するな!!!)
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 00:19:50.88 ID:
jsYv3LANo
憲兵「勇者様!! 団長殿が困惑されています!! 離れてください!!」
勇者「これは失礼。貴方の魅力に体ごと惹かれてしまったようです。申し訳ない」
騎士「いえ、こちらこそすみません」
勇者「こんなところで立ち話もあれですし、近くの町でゆっくりディナーでもどうでしょうか」
騎士「い、いえ、そこまですることは……」
勇者「うん、そうだ! そうしよう! さぁ、行きましょう!!」グイッ
騎士「ちょ……」
憲兵「勇者様!! やめてください!!」
勇者「うるせぇ!! 人の恋路を邪魔する奴は剣の錆にするぞ!!」
勇者「っと、大丈夫ですから。俺は貴方と一夜をともにしたいだけですので」
騎士「えぇぇ?」
勇者「絶対に損はさせませんよ」
勇者(よっしゃー!! 俺のファンだし、絶対にいける!! 先生はキープにしておいて、俺の本命はこの娘だぁー!!!)
騎士「は……離してください!!!」ブンッ!!!
勇者「えーー」
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 00:26:03.44 ID:
jsYv3LANo
医務室
勇者「……は!?」
騎士「あ、勇者様。あの、ご気分は……?」
勇者「ここは……? それに俺は確か……」
騎士「医務室です。私が勇者様を剣の鞘で殴りつけてしまって……」
勇者「いやぁ。なるほど。俺もそう思っていたところなんですよ。気が合いますね」
騎士「そ、そうですか?」
勇者「そうですよ。ああ、看病してくれたお礼に食事でもどうですか? 奢りますよ」
騎士「あの、大変ありがたいお話なんですけど、それには応じられません」
勇者「何故!? 何故!? 何故ですかぁ!? こんなにも俺は君に惹かれているのに!?」
騎士「他国の兵が理由もなく国境を越えることはできません」
勇者「貴方は我が国を助けるために越境してきた。問題はない」
騎士「それは仕方なくです。やむを得ない事情があったからで……」
勇者「俺と食事をするのはやむを得ない事情ではないというのですか!?」
騎士「あ、当たり前です!!」
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 00:35:58.67 ID:
jsYv3LANo
勇者「よし。こうしましょう。貴方は亡命した。これで解決だ」
騎士「意味がわかりません!! 私は自国の騎士であることに誇りを持っています!! 国を、陛下を裏切るようなことはできません!!」
勇者「あぁ!! なんて悲しいことだぁ!!! 二人はこんなにも愛し合っているのに!!」
騎士「な、なんであの、そんな話に……」オロオロ
勇者「いいじゃないか!! 一緒に暮らそう!! 子どもは4人産んでね!!」
騎士「一緒にも暮らせませんし、産めもしませんからぁ!!」
勇者「大丈夫。仕事も夜も俺に任せて。ね?」
騎士「いえ……あの……その……だから……あの……」
勇者「不安に思うこともあるでしょう。俺に全てを委ねてくれたらそれでーー」
騎士「うぅ……ぐすっ……」
勇者(やべ……泣く……?)
騎士「わたし……のいう……ことをきいてくだぁぁい……」
勇者「あ、すみません。全部、冗談。冗談ですから。はい」
騎士「うぅ……ぅぅ……」
勇者「あの、ホント、すみません。真面目に生きます。すみません。本当にすみません」
129 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 00:42:48.45 ID:
jsYv3LANo
騎士「ぐすっ……うぅ……」
勇者「もう君を食事やベッドに誘ったりしませんからー。ほらー。俺は紳士ですからー」
騎士「……」
勇者「アハハハハ。ほーら、段々楽しくなってきたー」
騎士「……はい」
勇者「よかった。ええと。で、何の話ですか?」
騎士「あの……。勇者様が我が国へ送った手紙……というよりは依頼状ですが……」
勇者「見たのですか?」
騎士「はい。申し訳ありません」
勇者「いえいえ、構わないですよ」
騎士「教育係のことですが……。あの女は危険です。即刻、国外退去を命じたほうが賢明かと」
勇者「何故ですか?」
騎士「あの女は、魔女ですから」
勇者「魔女……」
騎士「はい。我々の国を潰そうとしたのです。内部から」
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 00:50:54.02 ID:
jsYv3LANo
勇者「……本当ですか?」
騎士「嘘をつく理由がありません」
勇者「……」
騎士「我が騎士団はあの女の行方を追っていました。身柄を引き渡してくれるとありがたいのですが」
勇者「うーん……それはちょっと……」
騎士「何故ですか。国を滅ぼそうとした魔女ですよ。その恐ろしさは勇者様も分かっているはずです」
勇者「あぁ、まぁ、戦いましたけども」
騎士「お願いします」
勇者「でも、その、俺、先生……貴方たちのいう魔女と……その……色々ありまして……」
騎士「勇者様!! しっかりしてください!! 貴方は騙されているだけです!!!」
勇者「……」
騎士「奴は魔女なのです!!」
勇者「なら、君が俺の花嫁になってくれるかい?」
騎士「な、何故そんなことになるのですか!?」
勇者「こっちは必死なんだよぉ!!! いくら命かけても全然モテないんだ!!! あぁー!!」
131 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 01:07:36.39 ID:
jsYv3LANo
騎士「そ、そんなことを私に言われても……」
勇者「いーやぁ!! 俺の婚約者を奪うっていうなら、君が代わりに俺の婚約者になってください!!」
騎士「無理です!!」
勇者「無理じゃない!!」
騎士「ひぃ……」
勇者「それはそうと先生……魔女はどうやって貴方たちの国を潰そうとしたのですか? 俺のところみたく幻覚剤とか使って?」
騎士「いえ。国王陛下の嫡男、つまり王子の教育係であったことは知っていますか?」
勇者「それは聞いてますけど。まさか、王子を篭絡させて将来国を裏から操ろうって企みですか」
騎士「違います。あの女は王子の秘密を探り、世界中に公開しようとしたのです」
勇者「な……」
勇者(まさか、姫のことを探っていたのも……)
勇者「それは何が目的なんですか?」
騎士「分かりません。ですが恐らくは金でしょう」
勇者「強請りですか」
騎士「王子のことを知られることはなかったのですが、逃げられてしまいました。あの女はきっと世界中で同じことをしていたはず。だから、危険な魔女なのです」
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/01(日) 01:14:50.64 ID:
jsYv3LANo
勇者「しかし、その秘密は国が終わってしまうぐらいのものなのですか?」
騎士「勇者様。それは訊かないでください。貴方の国にも知られてはいけないことはあるでしょう」
勇者「まぁ、そうですけど」
騎士「勇者様。魔女の身柄を引き渡してください」
勇者「……わかりました」
騎士「おぉ!」
勇者「その代わり、条件がある」
騎士「え? しかし、勇者様の国にもメリットしかないはず」
勇者「俺の国はね。でも、俺にはデメリットしかない」
騎士「は、はぁ!? どういうことですか!?」
勇者「だって、俺の嫁候補が消えるんですよ?」
騎士「国のためならそれぐらいの犠牲は……!!」
勇者「貴方が嫁候補になってくれるなら、引き渡します」
騎士「そんなぁ……」
勇者「これが外交交渉。政治ってやつですよ」キリッ