姫「私が姫になった理由は勇者のことが好きだからだ!文句あるのか!?」
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Part16
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 05:49:58.26 ID:
1KdbAw8Do
姫「私は貴方の娘です。でも魔女じゃない」
魔女「……」
姫「私は大嫌いな貴方とは違う。私は幸せに生きる。誰も恨まない。愛する人と一緒になる」
魔女「ふ……ふふふ……」
姫「だから、安心して死んでください」
魔女「ふふふふ……あはははははは……」
姫「それだけです。さようなら」
魔女「あはははははははははは!!!!!!!! あはははははははははははは!!!!!!!」
姫「……」
魔女「私とは違うですって!!! 当たり前よぉぉ!!!! お前はあの悪魔の血が流れているもの!!!! 魔女じゃない!!! お前は悪魔よぉぉぉ!!!!」
勇者「行くぞ」
姫「はい」
魔女「お前なんかが幸せになれるものか!!! お前も私と同じように堕ちていくのよぉ!!!! そのときを楽しみにまっているわぁぁ!!!!」
魔女「あはははははははは!!!!!!! あはははははは!!!!! 裏切られ、血をながし、そして朽ちればいい!!! 絶望の中でお前は死ぬ!!! 死ぬのよ!!!!」
姫(バイバイ、おかあさん……)
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 05:58:13.26 ID:
1KdbAw8Do
地下牢
戦士「ほらぁ、原稿のほうはまだなわけぇ?」
教師「うるさいです……」
騎士「貴方の監視も楽じゃありませんね」
教師「集中できないです」
兵士長「どうだ?」
戦士「少しは書いてくれたけど、まだまだ完成には程遠いわね」
兵士長「早くしてくれよ。でないと隣国が攻めてくるかもしれねえからな」
騎士「暫くは問題ないでしょう。王子のことを知っている私がこちらに寝返ったのですから」
兵士長「それもそうか」
教師「……はぁ」
戦士「ほら、休まないの」
兵士長「そういや先生の著書ってどんなのがあるんだ? あんたの名前はみたことねえけどよ」
教師「姫様が一冊。持っていたわ。勇者様のものらしいけど。あれが始めて書いた本。徹底取材したけど、全部がデタラメであることをあとで知ったのよ」
兵士長「それって……恋愛マニュアルか?」
288 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:02:46.52 ID:
1KdbAw8Do
教師「そうです。先代勇者にモテるコツをきいたの。でも、嘘だった。それから私は取材するときは取材させてとは絶対に言わないって決めたの。嘘は書きたくないから」
戦士「先代って……!?」
兵士長「先生!! あのマニュアル書は先代の勇者が言ったことを書いてんのか!?」
教師「そうですよ? 全く、体まで使ったのにあの人はサイテーでしたね」
兵士長「あの糞野郎……」
教師「その息子も中々のものでしたけどね」
戦士「勇者様をバカにいたわね!!! ゆるさないわよ!!!」
騎士「そうです!! 撤回してください!!」
教師「檻の柵でそうされると、まるで珍獣を見せられているかのようですね」
戦士「なんですってぇ!!!!」
騎士「無礼な!!!」
兵士長(あいつ、いつになったら親父の呪縛から解放されるんだろうなぁ……)
教師「あ、これ。姫様に渡してください」
兵士長「なんだこれ?」
教師「流石にそれは記事にしても意味がないですから。姫様にあげます」
289 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:07:03.95 ID:
1KdbAw8Do
教会
シスター「無事でよかったぁ」
姫「心配かけたな」
シスター「いえ。でも、どうしてすぐに会いにきてくれなかったんですか?」
姫「まぁ……その……」
勇者「母親に会いたいって自分で言い出したのに、途中で怖くなったみたいで部屋から出てこなくなったんだよな?」
姫「まぁ、そういうことだ」
シスター「母親って……」
姫「あいつを倒さないと、私は強くなれないからな。いつまでも魔女に怯えなきゃならないだろ」
シスター「姫様……」
神父「ご立派ですな。もう女王様としての貫禄も出てきているかもしれませんな」
姫「まぁ、な」
勇者「まぁなじゃない。ほら、行くぞ」
姫「あいっ」
少女「あー!! いたぁー!!!」
290 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:10:21.54 ID:
1KdbAw8Do
勇者「誰?」
シスター「ここでよく遊んでいたお友達」
勇者「ほぉーん」
姫「お前……」
少女「心配してたんだよ!! 全然、こなくなっちゃったから……」
少年「どこ、いたんだ?」
姫「色々あったんだ。悪い」
少年「別に、いいけどさ……」
勇者「あぁーん? なんだ、クソガキぃ?」
少年「お、お前……勇者……だよな?」
少女「ホントだ。新聞でみたことあるー!!」
勇者「お嬢さん。あと5年したら迎えにいきますよ」
少女「ごめんなさい。私、好きな人がいるの」
勇者「……」
姫「お前、フラれるのはやいなー」
291 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:13:40.19 ID:
1KdbAw8Do
勇者「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
シスター「兄さん、教会では静かに!」
少女「もしかして、好きな人って……」
姫「う、うん」
少女「すごーい!! 勇者様とどこで知り合ったの!?」
少年「そうだ。普通、知り合えないだろ」
姫「私、普通じゃないんだ」
少年「え?」
シスター「ちょっと……!!」
勇者「まぁまぁ」
シスター「で、でも……」
少女「どういうこと?」
姫「私、この国の姫なんだ。次期女王なんだぞ」
少女「そ、それじゃあ……あの……魔女の……?」
姫「うん。私、魔女の娘だ」
292 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:19:59.67 ID:
1KdbAw8Do
少女「え……!!」
少年「お前が……」
姫「ごめんな。隠していて」
少女「ずっと黙ってたんだ……」
姫「ごめん」
少女「知ってるよ。魔女の所為でいっぱい人が死んだこと」
姫「……」
少年「おい」
少女「バイバイ!!」
少年「待てよ!!」
姫「今度!! 約束通り家に招待してやるからぁ!!! 私の一番の友達も見せてやる!! おっきな狼だ!!! すごいぞ!!! かっこいいぞ!!!」
少年「……」
姫「来てくれー!!! 絶対にきてくれー!!!! 私、まってるからなぁー!!!! だから、今は追いかけてやってくれー!!!」
少年「……ありがとう!! またな!!! 俺はお前のこと応援してる!! きっとあいつも応援してくれるはずだ!! がんばれよ!!」
姫「あいっ!!! がんばる!! がんばるぞー!!! バイバーイ!!!」
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:23:41.78 ID:
1KdbAw8Do
勇者「向こうから来てくれるとは手間が省けたな」
姫「そうだな」
シスター「もしかして家を訪ねるつもりだったの?」
勇者「どうしてもこいつが話したいっていってさ」
シスター「そう……」
姫「よし! 秘密にしてたこと謝ったし、もういいな! 帰るぞ!!」
勇者「はいよ」
シスター「あ、姫様! ブーケ、ブーケ!!」
姫「おぉ!! 忘れてたぁ!!」
シスター「はい、どうぞ」
姫「よしよし! これでまた結婚に一歩近づいたぞ!!」
勇者「どーだかなぁ」
姫「近づいたんだ!!」
シスター「姫様……。私も応援してます。がんばってください」
姫「ありがとう。また来る」
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:29:46.82 ID:
1KdbAw8Do
中庭
狼「ガウッ」
姫「お前のこといつか紹介してやるからな。楽しみにしとけよ」
狼「クゥーン」
勇者「ふわぁぁ……」
姫「とぉー!!」ギュッ
勇者「なんだよ?」
姫「なんでもない」
勇者「そうか……」
姫「……」ギュゥ
勇者「俺が守ってやるって言ったろ」
姫「うぅぅ……!!」
勇者「お前を魔女だのなんだのいうやつは俺がぶっとばしてやるよ」
姫「うわぁぁぁぁん……」
勇者「そんなこというやつは俺の敵だからな」
295 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:35:31.04 ID:
1KdbAw8Do
兵士長「……寝てるのか?」
勇者「さっきまでワンワン泣いてたんすよ」
姫「すぅ……すぅ……」
兵士長「そうか。溜まってたんだろうな。色々と」
勇者「本のほうはどうなんすか?」
兵士長「ちょっと見てみるか?」
勇者「どれどれ?」
兵士長「この国を支配しようとした魔女の過去だ」
勇者「これは直接話を聞いたっていう」
兵士長「両親に捨てられた魔女は先々代の国王に拾われ、城の中で小さなときから女中をしていた。これは俺も知っていた」
勇者「ふぅーん。俺は知らなかったっす」
兵士長「だが、この頃から先代国王とデキてたのは知らなかったな」
勇者「マジっすか?」
兵士長「幼馴染みたいなもんだし、まぁ、互いに惹かれるものがあったんだろう」
勇者「結構、純愛っすねぇ」
296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:40:49.78 ID:
1KdbAw8Do
兵士長「だが、先代国王は名家の女を嫁にしたわけだ。それでも関係はずっと続いていた」
勇者「で、子どもをよこせーって言われてキレたと」
兵士長「途中からは側室になっていたし、その覚悟はあったはずだがな」
勇者「子どもが出来れば結婚できるなんて考えたんじゃないっすか?」
兵士長「こわいねぇ。お前も気をつけろよ」
勇者「うぃーっす」
兵士長「おう、そうだ。これは姫様に渡してくれ」
勇者「なんすか、これ?」
兵士長「本にはできないことが書いてるんだよ」
勇者「見てもいいっすか?」
兵士長「ダメだ。姫様だけに見せろ」
勇者「えー? なんでっすかぁ?」
兵士長「見たら、お前は後悔するぞ」
勇者「どれぐらいの後悔っすか?」
兵士長「再起不能になるぐらいだよ」
297 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:44:59.43 ID:
1KdbAw8Do
姫「うぅ……ねちゃってたか……」
勇者「よく眠れたか?」
姫「あいっ。ずっと傍にいてくれたのか? ありがとう」
勇者「気にするな。はいこれ」
姫「なんだ? 見てもいいのか?」
勇者「おう。俺も見たいんだが、後悔するって言われて結局みれなかったんだよな。なんか触りだけでも教えてくれないか?」
姫「……」
勇者「おーい」
姫「ふん……ふん……」
勇者「おい、なんだよ。何が書いてあるんだ?」
姫「……おい」
勇者「なんだよ。誰に向かって言ってんだぁ?」
姫「私に近づくな」
勇者「え……?」
姫「お前なんか、大嫌いだ。じゃあな」
298 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:49:55.53 ID:
1KdbAw8Do
勇者「な、なんだよ!? おい!! 待て!!」
姫「うるさい。黙れ」
勇者「急にどうしたんだ!? まさか、それに何か変なことでも……!?」
姫「ふんっ」
勇者「まてよぉ!! きっと嘘だ!!! 絶対に嘘だって!!! なぁー!!」
姫「しらん」
勇者「ふざけんなぁ!! 内容を教えろぉ!!!」
姫「ふーんだっ」
勇者「おいって!!!」
狼「クゥーン……」
兵士長「ーーハハッ。効果覿面だな」
狼「ガウッ!!」
兵士長「おう、エサの時間か。ほらよ」
狼「ガウッ」
兵士長「あれ、お前、何時の間に懐いてくれたんだよ?」
299 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:53:45.62 ID:
1KdbAw8Do
通路
勇者「こらっ!! 見せろ!!」
姫「ベーっ」
勇者「てめぇ!!」
姫「やぁー!!」ギュッ
勇者「なっ……」
姫「嘘だぞ。私はお前のこと、だーいすきっ、だからなっ」
勇者「は、はぁぁ? なんだよ、もう面倒な奴だなぁ」
姫「ふふふ。ビビってなぁ、お前?」
勇者「ビビるかよ」
姫「これからも守られてやるから、心配すんな!」
勇者「うっぜぇ……」
姫「えへへー」スリスリ
勇者「……隙アリ!!」バッ
姫「あ!? やめろー!!」
302 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 07:11:03.12 ID:
1KdbAw8Do
>>299
姫「ふふふ。ビビってなぁ、お前?」
↓
姫「ふふふ。ビビってたなぁ、お前?」
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 06:59:35.30 ID:
1KdbAw8Do
勇者「なんだぁ? 姫様専用恋愛マニュアル……勇者サマを落とす100の方法……?」
姫「あぁー!!! よまれたぁー!!!」
勇者「ふぅん……」
姫「おぉぉ……!!」
勇者「お前、俺のことそんなに好きなのかぁ?」
姫「あ、う、べ、べつに好きじゃないんだからな!! 勘違いするな!!」
勇者「それ、ここに書いてるなぁ。勇者サマは童貞だからギャップによわいってやかましい!!!」
姫「かえせー!! 私のマニュアルー!!」
勇者「なんだよこれ!! 誰が書いたんだ!!! 俺はこんなに単純じゃねえ!!! 先輩に著者を聞きだして文句いってやるんだ!!」
姫「わぁぁぁー!! まてぇぇー!!」
戦士「みたい……みたいわぁ……!!」
騎士「はい、みたいです」
兵士長「お前ら、アレを奪っても無駄だよ。魔女の書いた本にはもっとすげーこと書いてたからな」
戦士「何よ、もっとすごいことって!!」
兵士長「ほれ、このページだ」
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 07:10:35.65 ID:
1KdbAw8Do
姫「それがないと大変なんだー!!」
『この国の姫様はとても可愛く健気である。魔女の娘とは信じられないほどに』
『ただ国のためというよりは勇者様のためにお姫様をしているため、万が一国民か勇者かを選ぶことがあればーー』
『確実に勇者を選ぶ。これは断言してもいい』
勇者「なら自力で取り戻してみろ!!」
『この国の勇者様は剣術に秀でており、剣の技術で勝てる者は国内にはいない』
『ただ国のためというよりも女性にモテたいから勇者をやっている。そのため男性諸君は万が一のとき覚悟を決めたほうがいい』
『だからといって絶対に女性を守ってくれるわけでもない。何故なら勇者様はーー』
姫「わぁぁー」ギュッ
勇者「そんなに大事かよ、これぇ? お前、俺をからかいたいだけだろ!?」
姫「いいから返せー!! ガァァウ!!」ガブッ
『既に姫様の旦那であるからだ。何よりも優先して姫様を救うので女性も万が一のときは覚悟されたし』
END
303 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 07:16:58.56 ID:/PphRmsgO
実に良かった、最後の最後まで楽しんで読めた
304 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 07:17:15.40 ID:GdXNq7stO
これで終わりかぁ…乙です。とても面白かった…
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 07:26:36.07 ID:1vzP03mZ0
いやぁシリアスと勇者のギャップに笑わせて貰った
まじ乙
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 08:06:17.40 ID:vzyhe/x3O
面白かった!
乙
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 10:07:03.26 ID:g+Wq5Glxo
乙! 今回もよかった
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 10:11:38.56 ID:G1kwX5lpo
乙
いい終わり方だったわ
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 10:12:46.17 ID:3TZcFFako
凄い良かった。
まさか続編あるとは思わなかったからうれしい