姫「私が姫になった理由は勇者のことが好きだからだ!文句あるのか!?」
|
Part13
229 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:48:54.77 ID:
1KdbAw8Do
城内 中庭
団員「ぐっ……あぁ……!!」
兵士長「はぁ……はぁ……。青二才が……」
「おぉぉぉ!!!!」
兵士長「ちぃ……」
戦士「はぁぁぁ!!!!」ザンッ!!!!
「ギィ……!?」
兵士長「助かった。今月の給料は期待しててくれ」
戦士「ありがと。欲しい口紅があったのよね」
姫「おぉ……!!」
王子「……」
兵士長「さてと、このまま引き下がるなら追いはしねえ。消えな」
王子「それはできないな。ここで退けば我が国が敗北したことになる」シャキン
姫「ひっ……」
戦士「切っ先を向けている相手をよーく見て。それはあんたを殺す相手じゃないでしょう?」
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:54:58.91 ID:
1KdbAw8Do
王子「まさか騎士団相手にここまでやる者がいるとはな。面白い」
兵士長「早く離せ。どっちにしろてめえは死ぬんだから、今わの際ぐらい善行したらどうだ?」
王子「私はこの国を憂いている。そしてこれは悠久の平和に必要なこと」
戦士「いいから姫様を離せっていってんでしょ」
王子「安心してくれ。私もこんなに美しい姫君を殺すつもりはない」
狼「グルルル……」
王子「ただし、醜い顔にすることはできる」
姫「あぅ……」
兵士長「……」
王子「姫よ。ここで誓いますか?」
姫「え……?」
王子「我が国に来ることを」
姫「……」
戦士「ダメよ……姫様……勇者様のことがあるでしょう……?」
姫「ーー分かった。ついていく。だから、みんなを助けてください」
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:00:38.25 ID:
1KdbAw8Do
兵士長「姫、本気かぁ? 俺たちはまだ戦えるんだぜ?」
姫「いいんだ。ありがとう。今まで優しくしてくれて、感謝しています」
戦士「勇者様のことを裏切るわけ……?」
姫「……」
王子「姫は国を救った。これで誰も魔女とは口が裂けても言えない筈だ。何が不満なんだ?」
兵士長「姫様、あいつは確かに馬鹿野郎で目に付く女全てに声をかけるようなクズだ。でも、姫様のことは真剣に考えて……」
姫「悪い。もう決めたことだ。私がこうすることで、お前たちに恩返しができるだろ」
戦士「ざけんじゃないわよぉ!!!」
姫「……」
戦士「行くなら……あたしが殺して……やるから……」
姫「ごめんなさい」
王子「では行きましょうか」
姫「はい」
兵士長「まて……!!」
王子「ーー誰に向かって口をきいている? 俺は未来の王だぞ?」
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:08:37.58 ID:
1KdbAw8Do
王子「ハーッハッハッハ!!! 姫様は俺の傍を選んだんだ!! 諦めろ!!!」ドガッ!!
兵士長「がっ……!?」
戦士「この……!!」
王子「フラフラだなぁ? オカマ野郎?」ドゴッ!!
戦士「づっ……!?」
王子「流石に騎士団を相手にしたあとではそうなるか。まだやるなら外にいる俺の兵隊を呼んでもいいんだが」
姫「手荒なことはやめてくれ!!! 私は従うと言った!!!」
王子「わかりました。姫君、何か持っていきたいものはありますか?」
姫「……一つだけいいか? ブーケを渡す約束してるんだ」
王子「ブーケ? それぐらいならいいですよ」
姫「助かる。取って来る」
王子「私も行きますよ」
兵士長「……姫に助けられたな。外に待機してる兵を呼ばれたら、俺たちは死んでた。あぁー、俺の部下たちは無事なのかぁ……?」
戦士「ふん……どうでもいいわよぉ……。初めて仕事失敗しちゃったじゃない……だれが責任とってくれるのぉ……これぇ……」
狼「グルル……」
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:13:34.92 ID:
1KdbAw8Do
城門
騎士(勇者様……。私の体に驚いていた……。筋肉がつきすぎていたから……?)
騎士「あ……。王子……」
王子「おぉ。戻ってきたか。今から迎えにいこうとしていたのだぞ」
騎士「そ、そうですか。でも、何故? まだ帰国するには……」
王子「姫君が承諾してくれた。我が国に来ることをな」
騎士「な……!?」
姫「……よろしくな」
騎士「王子。皆さんは納得されたのですか?」
王子「問題ない。気にするな。用事を済ませたらすぐに出立する。お前は馬車の準備をしろ」
騎士「はっ!!」
王子「姫、教会へ向かいましょう。誰か護衛を頼む」
憲兵「了解!!」
姫「……」
騎士「他の団員の姿がないな……」
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:15:34.49 ID:
1KdbAw8Do
教会
神父「勇者様のご様子は?」
シスター「お墓にしがみ付いて泣き崩れています」
神父「なんという悲劇……」
『開けてください』
神父「この声は……」
シスター「姫様ですか?」
『はい』
シスター「こんな夜更けにどうしたのですか?」ギィィ
姫「これ。渡しておく」
シスター「ブーケ? 何故ですか、これは姫様が結婚するときに……」
姫「勇者様のことよろしくな」
シスター「え……!? 姫様!!」
憲兵「行きましょう」
姫「はい」
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:19:50.29 ID:RrFITc5AO
何で騎士は姫の情報をリークしてしまったんだろうな
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:20:28.48 ID:
1KdbAw8Do
城内 通路
団員「つっ……」
騎士「お前たち!! 何があったんだ!?」
団員「団長。いえ、ここの兵士が王子に切りかかってきたんで応戦したまでです」
騎士「何故そんなことに?」
団員「分かりません。ああ、魔女の護送は自分たちでやりますから、団長は先に行ってください」
騎士「しかし……」
団員「これは命令です」
騎士「……わかった。頼む」
団員「了解!」
騎士「……」
「早く歩け」グイッ
教師「分かっていますからそんなに引っ張らないでください。くいこんじゃうぅ。エッチ」
「な、何をいっている!?」
騎士(私は……騎士……。国を疑ってはいけない……。王子が何をしていようとも……私は……)
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:23:15.88 ID:
1KdbAw8Do
>>236
団員「これは命令です」
↓
団員「これは王子の命令です」
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:26:59.29 ID:
1KdbAw8Do
城下町
王子「戻ったぞ。出発の準備は終わったか」
「はい!!」
王子「乗ってください。姫様」
姫「はい」
騎士「あの、王子」
王子「どうした?」
騎士「……いえ。行きましょう」
王子「ああ。頼むぞ」
騎士「姫様?」
姫「なんですか?」
騎士「勇者様にご挨拶は……?」
姫「大丈夫。必要ありませんから」
騎士「え……?」
姫「勇者様に挨拶する必要なんて……ありませんから……」
239 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:31:27.95 ID:
1KdbAw8Do
墓地
勇者「おやじぃぃ……!!! 俺、男に手をだそうとしちゃったよぉぉぉ!!!! キスしようとしちゃったよぉぉ……!!! でも、あいつ、めちゃくちゃかわいかったんだよぉぉ……!!!」
勇者「ーーあ、今何かに目覚めた気がする」
シスター「にいさーん!!!」
勇者「よう。どうした?」
シスター「あ、あれ? もう元気になったの?」
勇者「ああ。もう一つ、新しい道を見つけたんだ」
シスター「よかった。いつもの兄さんに戻ってくれて」
勇者「心配かけたな。ん? お前、何持ってるんだ?」
シスター「あ、こ、これ!! さっき、姫様がきて、これを私にくれて……!!」
勇者「ブーケ……」
シスター「なんだか、いつもと様子が違っていたし……あの……私……」
勇者「それ、大事に持っていてくれ」
シスター「兄さん!?」
勇者「それ、あいつが大切にしてたやつだから壊したら、怒るぞ?」
240 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:36:16.36 ID:
1KdbAw8Do
城内 中庭
勇者「先輩!!!」
兵士長「おせーよ……。ばぁーか」
勇者「姫様は?」
兵士長「王子様が連れて行ったよ」
勇者「そうすっか」
戦士「勇者様。待って……」
勇者「先、行くっす」
兵士長「魔女のときはワケじゃ違う。もう少し待て」
勇者「待てるわけないでしょう」
戦士「でもぉ。私たち暫く動けないし」
勇者「こっちは今、怒りに燃えてる。止めたって無駄っす」
兵士長「ほぅ……?」
勇者「あのやろう、俺を騙しやがって……。騎士団ごと、ぶっ潰す」
兵士長「無茶だけはするなよ。俺たちもすぐにあとを追うからよ」
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:44:31.51 ID:
1KdbAw8Do
馬車内
王子「ハハハハ。見れば見るほど美しい」
姫「近づくな」
王子「そんなこと言わないでください。これからは仲良くしましょう」
姫「……っ」
騎士「王子!」
王子「なんだ? お前は騎手に専念しろ」
騎士「魔女の娘は争いの種になるため、噂通り存在するのなら隣国の者たちを説得して保護をする。そういう話だったはずです」
王子「だから、保護してやってた。同盟も結ぶ。様々な支援もする。何がいけない?」
騎士「……」
王子「俺はこれまでにもそうした活動を行ってきた。身寄りのない子どもに手を差し伸べ、城で飼ってきた」
王子「今回も同じことだ。魔女の娘が女王になれば、必ず混乱が起こる。戦渦は隣国にも影響を及ぼす。故に先手を打った。それだけのこと」
騎士「しかし……」
王子「こちらのことは気にするな。黙っていろ。ただの兵隊が俺に意見するな」
騎士「……申し訳ありません」
242 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:51:48.45 ID:
1KdbAw8Do
国境の砦
勇者「おらぁぁ!!! どけどけぇ!!!」
警備兵「な!? 勇者殿!!! 止まってください!!!」
勇者「なんすかぁ?」
警備兵「ここは隣国の許可がなければ通れません」
勇者「知るか。俺は勇者だぞ。通せ」
警備兵「なりません!! 外交問題にーー」
勇者「わかった。わかりました。ここはそういう面倒なところですもんね」
警備兵「そうです。先ほど通った隣国の騎士団も同じこと。一度は通れても二度目は通れませんから」
勇者「そうっすね。お仕事がんばってください」
警備兵「ありがとうございます。勇者殿もーー」
勇者「じゃ、俺は今から隣国を侵略しまーす」
警備兵「はぁ!?」
勇者「止めたきゃ、命がけで止めろよ? 生半可な覚悟じゃ最強の侵略者は倒せないぞ? あぁん?」
警備兵「何があったのですか!? 勇者殿ぉぉぉ!!!!」
243 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:55:07.91 ID:
1KdbAw8Do
憲兵「向こう側が騒がしいな」
「何かあったのか……。見てこよう」
憲兵「気をつけろよ」
「おう。そうだ、あとで一杯やろうぜ」
憲兵「いいな。やろうやろう」
「ごぼっ!?」
憲兵「どうした?」
勇者「どうも」
憲兵「ゆ、勇者様!? な!?」
「ぐ……あぁ……」
勇者「お疲れさまでしたぁ」
憲兵「止まれ!!! これは立派な侵略行為なるぞ!!!」
勇者「分かってるよ。で、お前、恋人とかいるの?」
憲兵「い、いる。それがどうしーー」
勇者「死ね!!」
244 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 01:59:36.27 ID:
1KdbAw8Do
隣国の城
騎士「着きました」
王子「ご苦労だったな。姫君、足元に気をつけてください」
姫「ありがとうございます」
王子「早速、姫君の部屋を用意しないと。でも、今すぐには用意できないので、私の部屋に行きましょうか」
姫「くっ……」
騎士「王子。何をされるおつもりーー」
王子「また意見か。あの城を出て以来、お前はどうもおかしいぞ。もっと従順だったはずだ」
騎士「いえ……」
王子「それでいい。尻尾を振っていれば好きなだけエサを与えてやる」
騎士「……」
「歩け!!」
教師「もー、いたーい」
騎士「魔女……」
教師「なんデスかー?」
245 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 02:05:50.49 ID:
1KdbAw8Do
王子の部屋
王子「ここが私の部屋です。少々手狭ですけど」
姫「……」
王子「元気がありませんね。最初は不自由を感じることもあるでしょうが、直に慣れます。さぁ、こちらへ」
姫「嫌だ」
王子「……はい?」
姫「嫌だと言った」
王子「ここまで来て何を仰っているのやら……」
姫「私はお前の玩具じゃない」
王子「ハハハハ。どうしました、姫君? 何を突然言い出すのですか?」
姫「近寄るな。それ以上、近づけば殺す」
王子「殺す? その小さな手と細い腕で何ができるんですか?」
姫「あそこで私がお前を殴ったら、きっとみんな死んでた。だから、私はお前についてきたんだ」
王子「なるほど……。そんなことを考えて私の寝屋に飛び込んできたと? バカだなぁ」
姫「何を……!!」
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 02:12:21.63 ID:
1KdbAw8Do
王子「俺を怒らせれば、あの不安定な国など一発で終わるぞ? いいのか?」
姫「……」
王子「最も、今のままなら勝手に終わるがな。各地で問題も起こっているし、数年もしたら向こうから隷属にしてほしいと懇願してくるはずだ」
姫「そんなことにはならない。あいつら、みんな強いからな。お前を殺せば……それで……」
王子「……」
姫「ガァァァウ!!!!」
王子「駄目ですね」ドガッ!!!
姫「ぎゃぁ……!?」
王子「ほーら、唇を切った。美しい顔が台無しですよ。まぁ、俺は首から下があればいいんだけど」グイッ
姫「ぐっ……あぁ……」
王子「か弱い姫君ではこれが関の山ーー」
姫「ガウッ!!!」ガブッ!!!
王子「痛っ!? このぉ!!!!」バキッ!!!
姫「がっ!?」
王子「思い切り噛み付きやがって……。手から血が出ただろうがよ……クソガキ……」