姫「私が姫になった理由は勇者のことが好きだからだ!文句あるのか!?」
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Part12
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:02:57.47 ID:
kmiQV9Sao
姫の自室
兵士長「ーー以上だ。どうする?」
姫「私は姫になれないのか?」
兵士長「まぁ、王子様の言うことを承諾したらな」
姫「そうか」
兵士長「姫様が決めてくれ」
姫「難しい話だな」
兵士長「確かにな。だか、自分の気持ちに正直になってくれ。俺たちは姫様の答えを受け入れるつもりだ」
姫「……よし!」
姫「あいつに、勇者様に相談したいですわ」
兵士長「すぐに呼んで来ます」
姫「頼む」
兵士長「了解」
姫「……」
姫「なんていうかな……」
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:04:08.95 ID:
kmiQV9Sao
>>212
姫「私は姫になれないのか?」
↓
姫「私は女王になれないのか?」
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:09:43.43 ID:
kmiQV9Sao
中庭
兵士長「部屋にいねえし、どこに……。お?」
勇者「子どもは4人は欲しいんです」
騎士「養子じゃダメなんですか?」
勇者「心配しないで。俺が孕ましてあげます」
騎士「えぇ!? そんなこと……できるんですか……?」
勇者「はい」
騎士「す、すごい……。って!! どうしてそんな結婚後の話になっているんですかぁ!?」
勇者「だって、一度関係をもったら結婚するでしょう、フツー」
騎士「へぇぇ?」
兵士長「なに気持ちわりぃ会話してんだよ」
勇者「なんすかぁ!! 邪魔しないでくださいよぉ!!!」
兵士長「姫様が呼んでる。こい」
勇者「なんだよ、邪魔ばっかりしやがって。ーーそれでは今晩、同じ部屋をとって待っていますから」
騎士「は、はい! 必ず行きます!!」
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:14:38.50 ID:
kmiQV9Sao
姫の自室
姫「お前はどう思う!?」
勇者「そーだなぁ。王子様はいい人そうだし、いいんじゃないか?」
姫「そ、そうか」
勇者「お前もこんな窮屈な暮らししなくてよくなるしなぁ」
姫「……」
勇者「でも、まぁ、あれだ。別に嫌ならいいんじゃないか?」
姫「いいのか? それ我侭だろう?」
勇者「はぁー? 俺に散々我侭言っておいて、なにいってんだよ、今更すぎ」
姫「おぉ……!」
勇者「お前が居たいっていうなら面倒は見る。それだけ」
姫「そうかぁ」
勇者「じゃあな。俺は忙しいんだ」
姫「いつもありがとな」
勇者「ふんっ」
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:18:32.27 ID:
kmiQV9Sao
通路
兵士長「なんて言ったんだ?」
勇者「好きにしろって言っておきましたけど?」
兵士長「最高の言葉だな」
勇者「ま、どっちでもいいんすけどねぇ」
兵士長「姫はお前にそう言って欲しかったはずだぜ」
勇者「ふぅーん」
兵士長「んじゃ、また任務もあるが元気だしていけよ」
勇者「うっす!!! 今晩、嫁とイチャイチャして英気を養ってくるっす!!!」
兵士長「また約束したのか?」
勇者「はぁい。昨日は仕事でこれなかったと言っていたので」
戦士「勇者さまぁーん!!!」
勇者「きたぁー!!!」
戦士「あたしも抱いてよぉー!!!」
勇者「なんでそうなるんだ!!! いやっす!!! 絶対に嫌だぁー!!!」
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:24:21.76 ID:
kmiQV9Sao
夜 中庭
姫「聞いてくれ。私、別のところに行くことになるかもしれないんだ」
狼「クゥーン」
姫「でもな。あいつは好きにしていいって、言ってくれた。だから、好きにするんだ」
狼「グルルル……!!」
姫「なんだ、もう少しぐらい話させてくれてーー」
王子「今宵は生憎の空ですね。星が見えない」
姫「だ、誰ですの?」
王子「話は聞いているでしょう、姫君」
姫「隣の国の王子様、ですの?」
王子「その通り。夜はここにいると聞きまして」
姫「……なにか?」
王子「少し話しませんか?」
姫「何を話すんだ?」
王子「これからのをこと、色々」
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:26:41.83 ID:
kmiQV9Sao
夜 ホテル スウィートルーム
勇者「ふぅー……ふぅー……」
勇者「今夜こそ……今夜こそ……グフフフフ……ギヒヒヒヒヒ……」
騎士『ゆ、ゆ、ゆうしゃ……さまぁ……』
勇者「あいてますよぉー!!!」
騎士「……」
勇者「ささ、こちらへ」
騎士「お邪魔します……。わぁ、ステキな部屋ですねー」
勇者「でしょう。見てください、この夜景」
騎士「凄い……。綺麗ですね」
勇者「そうですか?」
騎士「綺麗ですよ」
勇者「でも、君の美しさを前にすれば、こんな夜景も霞む」
騎士「や、やめてください……恥ずかしい……」
勇者(妹のときに出来なかったことができたぞ! 今日の俺は完璧だなぁ!!!)
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:32:30.67 ID:
kmiQV9Sao
騎士「あの……」
勇者「お酒でも飲みましょうか」
騎士「いえ。まだ職務中ですから」
勇者「そんなこと仰らず。一杯だけでも」
騎士「……では、一杯だけ」
勇者「はい」
騎士「んっ……。ふぅ……。つよい、ですね」
勇者「でも、気分は良くなってきます」
騎士「そうですね……」
勇者(ふふふふ……。恋愛マニュアル通りだ……!! いける……!! 今夜はもう20割の確率でいけるぅぅ!!!)
騎士「はぁ……からだが熱くなってきましたぁ……」
勇者「そうですか。脱ぎますか?」
騎士「しかし……」
勇者「いいじゃないですか。俺と貴方しかいないんですから」
騎士「……そうですね。脱ぎます」スルッ
220 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:37:49.06 ID:
kmiQV9Sao
勇者「ほぉぉ……」
騎士「あまり見ないでください……照れます……」
勇者「流石は騎士団の団長。たくましい体つきだ」
騎士「あ、ありがとうございます」
勇者(胸がないけど、まぁ筋肉つけたらそっちはダメになるっていうしなぁ。仕方ないかぁ)
騎士「あの、なにか?」
勇者「いえ。なんでもありません」
騎士「……勇者様、私、覚悟を決めてきました」
勇者「え? なんの覚悟ですかー?」
騎士「勇者様! 私を本当に愛しているのですね!?」
勇者「勿論!!」
騎士「私、そういう気とか全然なかったんですけど、勇者様の熱烈な気持ちを受けて、少しだけ考えを改めました」
勇者「いいことです」
騎士「勇者様……優しくしてください……。はじめて、で……その……どうしたらいいのかわからなくて……」モジモジ
勇者「任せてください!!! めちゃくちゃ勉強してきましたから!!!!」ガバッ
221 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:45:21.72 ID:
kmiQV9Sao
城内 中庭
王子「あなたの母親はこの狼を使い、先代勇者を殺めたそうですね」
姫「知らない。記憶にない」
王子「そしてこの国を……」
姫「言うな!!!」
狼「グルルルル……!!!」
王子「姫よ。気が付いているのではありませんか?」
姫「な、なんのことだ?」
王子「貴方は世界に望まれていないことを」
姫「え……」
王子「魔女の血を引く貴方のために多くの人間が苦労している。ここの兵士は勿論、大臣も、そして……」
姫「あ……ぅ……」
王子「勇者様も」
姫「……」
王子「貴方が国の象徴にさえなっていれば起こり得なかったことも多いはずです。たとえば多発している野盗の悪事などはいい例でしょう」
222 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 23:58:33.26 ID:
kmiQV9Sao
姫「それは関係ないって……」
王子「国王不在の国は荒れる。それは歴史が証明している。500年代に起こったことは勉強しましたか?」
姫「……し、したけど」
王子「何がありましたか?」
姫「多くの内乱があって、人がたくさん死んだ……」
王子「近いうち、その歴史は繰り返されることになる。戦争が起これば甚大な被害は出ましょう」
姫「うっ……でも……」
王子「ですが、貴方が私の国へ来て、静かに暮らすだけでそんなことは起こりません。約束します」
姫「わた、私は……」
王子「いいのですか? 傷だらけになる勇者様を見たいのですか? これ以上の迷惑をあなたはかけることになる」
姫「でも、あいつはぁ……」
王子「教会で知り合えた友人も死ぬことになる。それでもいいというのですか?」
姫「ぐっ……うぅ……!!」
王子「そうなれば今度はあなたが魔女と呼ばれることにもなるでしょう」
姫「そ、それは嫌だぁ!!! 私は!! 私は魔女じゃない!!! 魔女じゃ……」
223 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:05:37.49 ID:
1KdbAw8Do
王子「ならば、貴方自身でそれを証明するしかない。姫よ。私と共に行きましょう」
姫「そ、相談させて……」
王子「彼らに相談している間にもまた命が消えている。早急な決断が必要なのです」
姫「うぁあぁ……」
王子「この国の平和を望むなら、今すぐにでも行きましょう。既成事実さえ作ってしまえば誰も文句は言いませんよ」
姫「だけど……」
王子「魔女になりたいのですか?」
姫「なり、たくない……!!」
王子「貴方のことは庶民の間でも噂されている。魔女の娘ではないかと。その噂を払拭するためにも、私について来るべきです」
姫「ぐっ……」
王子「さぁ」
狼「グルルルル!!!!」
王子「唸るな。獣ごときに姫君の命運は決められないぞ」シャキン
姫「や、やめろぉ!! そいつにだけは手をだすなぁ!!!」
王子「私も一国の王子ですから、ここで私が傷を負えば貴方の責任問題にもなるでしょう。姫君が決心しない限り事態は悪化していくだけです」
224 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:12:04.85 ID:
1KdbAw8Do
姫「あぁぁ……!!」
狼「ガルルルル……!!!」
王子「姫よ。さぁ……」
兵士長「ーー待ちな。それが王子様のやることか?」
王子「何か?」
戦士「何かじゃないわよ。姫様を泣かせてんじゃないわよ」
王子「私は本当のことを言っているだけです。この国に平和をもたらすなら、そうするしかない。違いますか?」
兵士長「だろうな。国も安泰だし、誰もが幸せになる」
王子「でしょう?」
兵士長「ふぃー……。だがなぁ、姫が嫌がってるなら話は別だ」
王子「なんだと?」
兵士長「悪いけど、国民には不幸せのままでいてもらう」
王子「ハハハハ。おかしなことを。貴様は全ての国民よりも少女の想いをとるというのか?」
兵士長「ああ、そうだよ。糞野郎」
戦士「なんか文句でもあるわけ?」
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:19:53.30 ID:
1KdbAw8Do
王子「……この国に未来はないな。愚民が権力を握ると腐敗する。これも歴史が証明している」
狼「グルルル……!!!」
兵士長「余計なお世話だ。姫様、そろそろ寝る時間ですよ。部屋に戻ってください」
姫「でも……」
戦士「安心して。こんな奴、ぶっころすから」
王子「戦争になるぞ?」
兵士長「気にすんな。もう戦争は始まってる。てめぇが姫様を泣かせた瞬間からなぁ」
王子「そうか。では、致し方ない」
狼「ガゥ……!?」
団員「王子を守護しろ!!」
「「おぉ!!」」
戦士「騎士団……!?」
王子「護衛をつけずにこんなことをすると思うか? 他の兵を呼んでもいいぞ。何人くるかは知らんがな」
兵士長「……ハハッ。悪いな。でけえ仕事になっちまって」
戦士「今度のお給料はちゃんと色つけよぉ」
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:24:43.46 ID:
1KdbAw8Do
教会
シスター「姫様、今日もお遊戯会には来ませんでしたね」
神父「恐らく、あの噂の影響かもしれませんね」
シスター「でも、どこからあんな噂が……」
神父「憶測を結びつけるのは国民の性でしょう。ただでさえ今の情勢は不安定ですからね」
シスター(兄さん……。少しぐらい説明にきてくれてもいいのに)
『だれかぁぁぁ……あけてくれぇぇぇ……』
神父「こんな夜更けに誰しょうか」
シスター「私が見てきます」
神父「気をつけてください」
シスター「はい」
『あけてぇぇぇ……あけてぇぇぇぇぇ……!!!』
シスター「い、今あけます」ギィィ
勇者「ぐすっ……えぐっ……おぉぉ……」
シスター「に、兄さん!? どうしたの!?」
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:33:05.00 ID:
1KdbAw8Do
勇者「神よぉぉ!!! 何故、俺にこんな仕打ちをぉぉぉ!!! 俺が何をしたっていうんですかぁぁぁ!!!!」
勇者「真面目に生きてきたつもりです!! 母さんが死んでから家事は全部自分でやってきたし!!! 仕事だって真面目にやってきましたぁ!!!」
勇者「勇者になればモテるといわれ、他人の10倍は訓練したんです!!! 吐くほど苦しい訓練を2年もしたんです!!! しかも2年間、一度もナンパしなかった!!!」
勇者「なのに……なのに……うえぇぇぇぇん!!!!! あんまりだぁぁぁ!!!!!」
神父「勇者様……あのぉ……」
シスター「神父様。今はそっとしてあげてください」
神父「何があったのですか?」
シスター「将来を誓った相手が……男性だったそうで……。その……あの……ホテルで……あの……色々しようとしたときに初めて気が付いたって……」
神父「おぉ……アーメン……」
シスター「その人、隣国の騎士団団長らしいんですが、神父様はご存知ですか?」
神父「ああ。実際に見た事はありませんが書物の写真では見たことがあります。確かに美形でした。一見しただけでは女性と見紛うほどに」
勇者「うわぁぁぁぁぁ!!!! ああああぁぁぁぁ!!!!! おぇぇぇ……あぁぁぁぁぁ……!!!!」
シスター「兄さん……痛々しい……」
神父「しかし、隣国の騎士団は厳しい入団テスト故に女性では入団できないことで有名でしたが……」
勇者「そんなのしらねーっす!!! 先にいってくださいよぉぉぉ!!!! わぁぁぁぁぁ!!!!!」
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/07(土) 00:43:37.29 ID:
1KdbAw8Do
勇者「……さてと」
シスター「兄さん?」
勇者「神父様。俺を雇ってください」
神父「はい?」
勇者「もうこの世に未練はありません。俺、神の道に生きます。全ての煩悩を捨てるです」
神父「そんな爽やかに言われても哀愁しか漂ってきません」
勇者「お願いします。このままじゃ俺、どうにかなりそう」
シスター「兄さん、落ち着いて」
勇者「うるせぇ!!! じゃあ、もう、お前が俺の嫁になればいいじゃない!!!! 結婚してよぉぉ!!!!」ギュゥゥゥ!!!
シスター「きゃっ!? 兄さん!! 兄妹だからできないの!!」
勇者「うるせぇ!! こんなに可愛い妹と結婚できないだぁ!? 世の中は間違ってる!!!!」
シスター「兄さん……くるしい……」
神父「勇者様、ここは一度ご両親の墓前に立ってゆっくりと考えてみるのはどうでしょうか? ご両親も心配しているはずです」
勇者「……そうっすね。ちょっと行ってくるっす」
神父「はい。ごゆっくり」