Part20
265 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/30(月) 23:08:47.82 ID:i3sS9JgT0
ー勇者の部屋ー
勇者「ただいま」
魔術師「…おかえり」ゴロゴロ
賢者「おかえりー」ナデナデ
勇者「なんで賢者さんがうちに?」
賢者「大事な話があってね」
勇者「胸なら貸しませんよ」
賢者「なんと先手を取られたか…くそぉ…」
賢者「って、それは置いておいて」
勇者「置かずにむしろ投げ捨ててください…」
賢者「とりあえずあんたには言っておく」
賢者「明日、私はここを去るわ」
勇者「!?」
勇者「元の世界に帰る…という事ですか?」
賢者「うん」
賢者「ここには長く居すぎてね」
賢者「別れは辛くないといえばウソになるけど」
賢者「向こうでしなければいけない事あるしね」
勇者「そうですか…魔王には?」
賢者「言うつもりないよ」
賢者「あの子とは最後に会わずに去るつもりさ」
勇者「そんな…」
勇者「一緒に住んでいたのにそれはあんまりじゃ…」
賢者「察しておくれよ」ニコ
勇者「ぁ…」
勇者(ずっと傍にいたからこそ…別れるのが辛いんだ)
勇者(だからこそ顔を合わせたくなかったんだ…)
勇者「うちは何も言いませんよ」
賢者「そうかい、悪いね」
266 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/30(月) 23:30:26.46 ID:i3sS9JgT0
賢者「で、あんたはどういう結論出したんだい?」
勇者「え?」
賢者「元の世界に帰るか、ここに残るか」
勇者「うち…何も言ってなかったと思うんですが…」
賢者「実はあそこにいたんだよ」
勇者「うそっ!?」
賢者「う・そ」
勇者「くっ…」
賢者「多分、まおたんがしゃべったと思ってたんだよ」
賢者「あんたを結構気に入ってるしね、あの子」
勇者「そういう事ですか…」
勇者「すべての結論は魔王に任せました」
賢者「じゃあ帰る道を選んだらどうするんだい?」
勇者「どんな事があっても魔王を守ります」
賢者「ゆうちゃん」
賢者「運命ってのはね、意外とあっさり変わるものなんだ」
賢者「下手したら死ぬはずのないあんたが死ぬかもしれない」
賢者「他の子達も同じ」
勇者「皆、承知の上です」
賢者「それだけまおたんが大切になったのかい」
勇者「そうです、おかしいですか?」
賢者「いいや、むしろ褒めたいぐらい」
勇者「撫でるのは頭にしてくださいよ」
賢者「…ちっ」ワキワキ
267 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/30(月) 23:50:56.39 ID:i3sS9JgT0
賢者「じゃああともうひとつ」
勇者「何です?」
賢者「残るのを選んだ場合の後始末とでも言うのかな」
賢者「向こうで待っているの僧侶に何か言いたい事あるかい?」
勇者「そうですね…」
勇者「一言、『幸せになって』と言いたいですね」
賢者「それだけでいいのかい?」
勇者「えぇ、そのためにこちらへ来させなかったんですから」
勇者「それより何です?届けてくれるのですか?」
賢者「ははっ、あっちにはさすがにいけないわお姉さん」
賢者「でも、できる限りその言葉はその子に届けてあげる」
勇者「やっぱりあなたはすごい人です」
賢者「無駄にできる事が多いだけよ」
勇者「あの…」
賢者「うん?」
勇者「今までお世話になりました」ギュ
賢者「…小さい手だね」グッ
賢者「もしかしたらもう会えないかもしれない」
賢者「元気にやってくんだよ」
勇者「はい」
268 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 00:14:28.88 ID:rVpnYOBD0
賢者「えっと、抱きしめていい?」
勇者「…」
賢者「あぁ、変な意味ではなくてね」
勇者「別にかまいませんけど…」
ギュッ
賢者「やっぱ勇者と呼ばれる子は何故かぬくもりが同じだね」
勇者「そっちにもいたんですか?」
賢者「いたよ」
賢者「私の一番好きな子さ」
賢者「…性的な意味で」
勇者「最後で台無しですよっ?!」
賢者「冗談だよ」
賢者「もうあんたの勇者の仕事は終わっているんだ」
賢者「自分の好きなように生きなさい」グッ
勇者「はい、本当にありがとうございました…」グッ
賢者「あんたもね、頑張んなさい」ナデナデ
魔術師「…うん」ギュッ
賢者「それじゃ、うちのお姫様が怒る前に戻るわ」
勇者「魔王なのにお姫様…」
賢者「あと明日、うちでパーティするから二人ともおいでよ」
勇者「分かりました」
魔術師「…」コクリ
賢者「じゃね〜」ガチャ
バタン
勇者「それが最後のお別れの挨拶なんて軽すぎでしょ…」
勇者「本当に今までありがとうございました」ペコリ
勇者「魔術師、あんたはもう聞いてたの?」
勇者「全然話に入ってこなかったし」
魔術師「…うん」
魔術師「…妹達と同じで可愛くて好きだったって」
勇者「そう言われたんだね」
魔術師「…」コクリ
勇者「あんたもあっさり懐いた人だったもんね」ナデナデ
魔術師「…面白かった」ギュッ ポロポロ
勇者「そうだね、本物のお姉さんみたいだった…」ギュ
269 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 00:35:48.45 ID:rVpnYOBD0
ーエピローグ 勇気ある者⇔可愛い女の子ー
勇者「年末って忙しいって聞いたけど暇なもんねー」ボー
魔術師「…」ムキムキ スッ
勇者「あむっ、みかんおいしいわぁ…」
魔術師「…」スッ
勇者「あむっ、あとは自分で食べな」
魔術師「…」コクリ ムキムキ
勇者「何かする事ないかしらね…」
魔術師「…行きたい」
勇者「え?」
魔術師「…ゲーセン」
勇者「どこで覚えたのよ…と、いうかそれどんな所?」
魔術師「…パーティの時、騎士が言ってた」
魔術師「…遊ぶ所だって」
勇者「意外とまともな事教えてるのね、あいつ…」
勇者「暇だし、行ってみようか」ムクッ
魔術師「…!!」コクコク
270 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 00:56:02.88 ID:rVpnYOBD0
ーゲーセンー
勇者「ふむ、色々あるわね」
勇者「でも遊び方なんてさっぱりだわ…」
魔術師「…♪」ウロウロ
勇者「あまりウロウロしてどこか行かないでよ」
ドンッ
魔術師「!?」ドサッ
勇者「あー、すいません…」
男「いや、別に平気だ…って」
勇者「あんただったか」
勇者「じゃあどうでもいいわ」プイッ
男「おいっ!?」
勇者「あんた、ここでうちらができるものない?」
男「はぁ?」
勇者「おすすめのゲーム」
男「クレーンゲームでもしてろ」コンコン
勇者「あぁ、それ?」
魔術師「…?」ジー
男「何だ知らんのか」
勇者「そりゃうちら、この世界の人間じゃないし」
魔術師「…勇者」
勇者「いいの、大丈夫だから」ナデナデ
男「この世界の人間じゃないって何だよ?」
勇者「言葉通りの意味よ」
勇者「後でいくらでも証拠は見せてあげるからやり方教えてよ」
男「あ、あぁ…」
271 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 01:15:57.98 ID:rVpnYOBD0
ー公園ー
魔術師「…」ギュッ
勇者「ぬいぐるみ取れてよかったわね」ポン
男「これ喜んでるのか?まったくの無表情なんだが…」
勇者「3段階でいうと中」
勇者「慣れたら動きだけで分かるようになるわ」
男「中って事は結構喜んでるんだな…」
魔術師「…♪」
男「で、さっきの話だが」
勇者「あぁ」
勇者「うち、あっちでは勇者と呼ばれてたのよ」
男「はぁ?」
勇者「魔法だって使える」ポォォォ
男「げっ!?」
魔術師「…」ジー
勇者「あんたも見せてやんな」
魔術師「…」コクリ メラメラ
男「マジかよ…」
勇者「あとは剣も出せる…『剣よ我が右手に』」ズズズ
勇者「ね?」シャキッ
男「…ちょっと持たせてくれ」
勇者「はい」スッ
男「ん…ぐ…おぉぉぉぉぉ」ズシ
勇者「やっぱり他の人には無理だね」ヒョイ ヒュンヒュンッ
272 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 01:38:09.25 ID:rVpnYOBD0
男「そりゃこんなの振り回せるんだから不良程度なら楽にふっ飛ばせるわな…」
勇者「うん、そうなんだよ…」ズーン
男「しっかり落ちこんどる」
魔術師「…」ナデナデ
勇者「力なんて要らない…魔王みたいな可愛さがほしい…」
男「もう持ってるじゃねぇか」
勇者「へ?」
男「可愛さ」
勇者「慰めなんていらないわ…」
男「いや、マジで」
勇者「な?ななななな…」
男「いや、前にも言っただろ、私服が可愛いって」
勇者「うぅ〜///」
男「なぁ、こいつっていつもこんな可愛いキャラなの?」
魔術師「…いつもムスッてしてる」
魔術師「…でも、笑うと可愛い」
男「ふーん」
勇者「こ、こら魔術師!!」
男「じゃあここで宣言しようか」
男「お前が俺を好きになるまで可愛いって言い続ける!!」
勇者「はぁ!?」
勇者「あんた頭おかしいんじゃないの?!」
男「おかしいかも知れんな」ニッ
勇者「〜〜〜〜〜」
273 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 02:00:30.01 ID:rVpnYOBD0
ー魔王の部屋ー
勇者「と、いうわけでいきなり告白まがいの事言われたわけよっ」ドンッ
魔王「へ、へぇ…」
魔王「それで何でわたしの所に来たの?」
勇者「どうしようかと思って…」
魔王「いや、わたしそういう経験まったくないから…」
勇者「聞いてくれるだけでもいいわ」
勇者「初めての事ですごく混乱してる…」
魔王「その人の事嫌いなんだよね?」
勇者「正確には嫌いだった…かな」
勇者「もう今じゃ全然分からない」
魔王「うーん…」
魔王「しばらく一緒にいてみたらどうかな?」
魔王「そうしてたら変わるかもしれないし」
勇者「変わるってどのように!?」
魔王「勇者も好きになるかも?」
勇者「『も』って!?『も』って何!?」
魔王「あはは」
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/12/31(火) 04:18:20.97 ID:Y8a51f+uo
おつ
275 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 05:03:17.96 ID:rVpnYOBD0
魔王「ゆっくりやっていけばいいんじゃないかな」
勇者「そうだね…時間はあるんだ」
勇者「…」
魔王「…勇者?」
勇者「ありがと〜まおた〜ん」ガバッ
魔王「うわっ!!」ギュムッ
勇者「ふむ…なかなか育ってるじゃない」ムニムニ
魔王「ちょ…勇者、どうしたの…んっ」
勇者「誰かさんの真似してみた」
魔王「やっと変態さんいなくなったのにぃ」
勇者「とか言っちゃって本当はまだ寂しいくせに」
魔王「そ、そんな事ないよ…」
勇者「大丈夫、うちはいなくならないよ」ギュッ
勇者「あの人にはなれないけどね」
魔王「ずっと見守っててくれる?」
勇者「もちろん」
魔王「嬉しい」ギュ
勇者「やっぱり寂しかったのね?」ニヤニヤ
魔王「うっ…」
276 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 05:04:16.87 ID:rVpnYOBD0
うちは勇者。
生まれた世界では勇気ある者…『勇者』だった。
今住んでいる世界では普通の女の子だ。
未だに分からない事ばかり。
でも、それでいいと思う。
それだけ楽しい事があるのだから。
さぁ楽しもう、新しい世界をっ!!
END
277 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/31(火) 05:18:09.05 ID:rVpnYOBD0
ちょっとだけなのに最後だけ更新時間がずれて申し訳ないけどこれで終わりです
最後まで読んでくれた人ありがとう、今年中に終わらせて良かったわーw
自分のSSは話が違ってもある特徴がひとつだけあるのでまたどこかで見かけたら読んでみて下さい
ではでは
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/12/31(火) 06:25:12.70 ID:owG6UX+v0
乙
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/12/31(火) 08:59:44.88 ID:qlLOyfDFo
乙
280 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 00:38:29.74 ID:CtFyynZQ0
乙
次は騎士視点
その次は魔術師視点ね
281 :
◆e5RobaASduyx :2014/01/01(水) 01:54:56.67 ID:52jV8Z/h0
これで完全に終わりにしようと思って依頼出す前に覗いてみたらまさかの別視点希望だと…
今までの速度の更新はできないけど書いてみるかもしれない
希望者が本当にいたらにしますわw
282 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 15:13:21.85 ID:V6cVOeR8o
じゃあクラスメイトの女視点で
283 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 19:22:22.76 ID:2wrxeye8o
一番大事な賢者視点は
285 :
◆e5RobaASduyx :2014/01/02(木) 11:35:52.62 ID:9J7Y6P8F0
返答ありがとう
他のサイドストーリーはなしでこれで終わらせてもらいます
ちなみに賢者だけは次回考えているSSに絡む可能性があります
ただし内容は全然別物になりますが…
今度こそ本当に終わりです、では〜
286 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/02(木) 17:36:44.82 ID:K/oqkrPeo
面白くて一気に読んでしまった
乙