Part18
235 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 00:28:39.51 ID:IjgmINf/0
ー次の日 中庭ー
勇者「…何してるの?」
男「いちゃ悪いか?」モグモグ
勇者「悪い、ご飯がまずくなる、どっか行って」
男「俺は元々ここで食ってたんだよ」
勇者「ふぅん…」スッ
勇者「あぁ、白いご飯が食べたいな…」モグモグ
男「今のところいつもパンだな」
男「女なら料理ぐらいしろよ」
勇者「まだそこまでする余裕がないのよ」
男「と、いうことはできるのか?」
勇者「何?バカにしてるの?」
男「バカにはしてねぇよ」
勇者「ずっと1人だったし、料理ぐらいは普通にできるわ」
男「ほー」
男「殴り倒すだけの手じゃなかったのか」
勇者「…あんた、わざと怒らせようとしてるでしょ?」
勇者「昨日もそうだったし」
男「決め付け乙」
勇者「一回握手してみない?」
男「アイドルじゃあるまいししねぇよ」
勇者「握り潰してやろうと思ったのに…」
男「そうきたか、ゴリラ女…」
勇者「あら、哺乳類ならいいじゃない」
勇者「あんたなんか爬虫類だから気持ち悪いだけ」
男「おま…」
男(マジ、コイツ強くなった…)
男(たった一日、二日で何があったんだ?)
236 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 00:47:56.49 ID:IjgmINf/0
勇者「ひとつだけ聞きたいんだけど」
男「却下だ」
男「どうせろくな事じゃないんだろ?」
勇者「真面目な話」ジッ
男「…んだよ?」
男「勝手に言えばいいじゃねぇか…」
勇者「じゃあ勝手に言うわ」ニコ
勇者「うちって普通の女の子に見える?」
男「はぁ?」
男「何言ってやがりますか、番長さん?」
勇者「…」グッ
ズブズブ…メキメキメキ!!
男「っ!?!??」
男(大木が地面から根っこごと抜けている…)
男「別に特別変ではない…と思う」
男(その腕力以外は…な)
勇者「そう」ズブ…
勇者「でも、やっぱりダメかなぁ…」
男「何が?」
勇者「教えない」
男「とことんムカツク奴だな…」
勇者「あんた嫌いだし」
男「俺だって嫌いだよ」
勇者「あーそうそう」
勇者「昨日言ってたけどもう近づかないんじゃなかったの?」
男「だから、俺はいつもここで飯食ってるんだっての」
男「話しかけたのもここに居座ったのもお前だろ」
勇者「そうだっけ?」
男「くっ…」
勇者「一人で食事って、寂しい人だったのね」
男「こいつ…」
男「じゃあな」テクテク
勇者「はいはい、これで本当に最後でありたいわ」
男「くそ…」テクテク
勇者「いじめすぎたかな?」クスクス
237 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 01:15:50.65 ID:IjgmINf/0
ー勇者の部屋ー
勇者「バイト?」
賢者「そう、仕事の事ね」
賢者「さすがにここで暮らすなら自分で稼がないとと思ってね」
勇者「確かに…ずっと人に頼りきりっていうのもダメですよね」
賢者「さすが常識人なあんたならすぐ分かってくれると信じていたよ」
賢者「でも支援はしてあげよう」
賢者「バイト先探すかい?」
勇者「どうやってです?」
賢者「ここじゃ情報誌ってのがあるんだ」
賢者「それ見て自分でいいものを選んで面接を受けるというのが基本だよ」
勇者「面接?」
賢者「おぅ、そこから説明しないといけないかぁ…」
238 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 01:29:09.43 ID:IjgmINf/0
勇者「はい…はい…え、即オッケー?」
勇者「あ、ありがとうございます…はい」
勇者「明日ですね…分かりました…そちらへ行きます」
勇者「それではよろしくお願いします…」ピッ
勇者「これ、ありがとうございました」スッ
賢者「はいよっと」
勇者「この世界はホント便利な者があるんだなぁ…」
賢者「携帯はどこにいても相手と話せるから便利よねー」
賢者「バイトの方、どうやらオッケーもらえたようだね」
勇者「面接なしでよかったみたいで」
賢者「ほー珍しいね、よかったじゃん」
勇者「はい」
賢者「ここでの初仕事だ、頑張んな」
勇者「はいっ」
239 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 01:52:35.63 ID:IjgmINf/0
ーピザ屋ー
勇者「配達…ですか」
店長「うん、指定された場所へ届けてくれたらいいから」
勇者「分かりました」
店長「あ、バイクって乗れる?」
勇者「…いえ」
勇者(確か馬みたいに跨って乗る乗り物の事よね?)
勇者(免許とやらがないと乗るのは無理らしい)
店長「じゃあこの近辺の配達をお願いしようか」
バイト「てんちょー、早速配達の注文来ましたよー」
店長「この近く?」
バイト「ここから2、3分ぐらいのところですー」
店長「オッケー…早速初の仕事だよ、まかせていいかな?」
勇者「はい!!」
バイト「…」
バイト(あの新人さん歩いて持っていくんだよね…)
バイト(と、いうことはあのおっきいものがユラユラ…うわ、見てみたい!!)
店長「おーい、早く注文の品を厨房のヤツに言ってきてくれないと困るんだが?」
バイト「あひ!?すみません!!すぐ言ってきまーす!!」ドタドタ
勇者「…?」
店長「あ、これ配達先だけどそこの地図見て場所覚えておいてな」
勇者「分かりました…ん?」
店長「どうしたんだい?」
勇者「あぁ、いえ…」
勇者(注文先…うちが今住んでる所なんだけど…)
勇者(203号室って…賢者さんがいる所じゃないか)
勇者(いきなり知り合いの場所に配達とは思わなかった…)
店長「場所分かったかい?」
勇者「はい、知ってる場所でしたので」
店長「そうか、もうすぐ品物ができると思うからそれ受け取って行ってきてな」
勇者「はい」
240 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 22:37:56.76 ID:IjgmINf/0
ー次の日 勇者の部屋ー
勇者「昨日はえらい事だったわ…」
勇者「バイトもそうだけど、まさか魔王に会うとは…」
勇者「しかも賢者さんの部屋に居るなんて盲点すぎるでしょ!?」
勇者「しかもなんか可愛かった…」
勇者「あの魔王にすら負けてるのかうちは…」ズーン
勇者「やっぱり魔王は敵だ」ゴゴゴゴ
勇者「…そうか」
勇者「学校、魔王と行けばいいんじゃない?」
勇者「あの部屋で明らかに同じ制服あったし」
勇者「お昼もあの男に会わずにすむ…よし」
241 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 22:49:22.12 ID:IjgmINf/0
ーさらに次の日 教室ー
勇者「…」
勇者(魔王たちとご飯食べたの楽しかった…)
勇者(本当はとっくにあんな感じで友達できてたんだろうな…)
勇者(ダメだ…弱気になっちゃ…)
勇者(何かうちのためにやろうとしてたけど放っておいて大丈夫なのかな)
勇者「ちらっと見てこようかしら…」
勇者(だってこのうちのイメージ変えるとか言うんだもんな)
勇者(気になるじゃない…)
242 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 23:13:27.99 ID:IjgmINf/0
ー放課後 校門前ー
勇者「げ」
男「いきなり『げ』とは失礼だな」
勇者「会いたくない奴がいたら言いたくもなるわよ」
男「…」
勇者「あれ?泣く?」
男「泣くかっ!!」
男「そういえば昼来なかったじゃないか」
勇者「知り合いと一緒にいたから」
男「ぼっちじゃなかったのかよ」
男「そいつだって好きで一緒にいたわけじゃないんだろうな」
勇者「だろうね」
勇者(うちが勝手に押しかけただけだし…しかもあの魔王だ)
男「それかそいつも同じレベルって事か?」
男「力で解決するようなヤツだったりしてな」
勇者「…いい加減にしときな」グッ
男「また暴力か?」
勇者「うちの事はもう何言ってもいい」
勇者「他の人の事を憶測だけで決めるな」
勇者「彼女はうちと敵同士でも優しさだけは持ってるんだ」
勇者「これ以上の貶す発言すると黙っちゃいないよ」
男「…」
勇者「こんな事してるから番長って呼ばれっぱなしなのか…」ガックリ
男「そんなに嫌なのか、呼ばれるの」
勇者「吊りたくなるぐらい嫌だよ…」
勇者「うちは普通の…なんでもない」
勇者「帰る」テクテク
男「その程度であんな泣きそうな顔するとか…」
243 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/27(金) 23:39:03.05 ID:IjgmINf/0
ー翌日 昼休み 廊下ー
勇者「今日はどこでお昼食べよう」
勇者「もう中庭行きたくないしなぁ…」
女「あ、見つけたよまおたん」
魔王「勇者」
勇者「どうしたのよ?こんなところまで来て」
魔王「ちょっと来てほしいんだ」
勇者「え?」
女「うまくいけば勇者さん一躍有名になれるんだって」
勇者「いや…どういう事?」
魔王「とにかく来てよ」グイ
勇者「まぁいいけど…」
勇者(別に有名になりたいわけじゃ…)
勇者(ただ普通の学校生活をしたかっただけ…)
244 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/28(土) 00:05:03.85 ID:ID/LtRc/0
ーミスコン会場?ー
男「何じゃこりゃ」
男「ミスコンって、またアホな事やってるな…」
男「まぁ俺には関係ないか…」トコトコ
司会「おっとーっ!!なんと次の参加者は番長と呼ばれたあの人…」
司会「勇者さんだぁぁぁぁぁ!!」
ザワザワ…
男「はっ?」クルッ
男「何やってんのあの女?」
男「こんなわけ分からないイベントに参加するようなヤツだったか?」
勇者『…』
勇者『うちは…』
勇者『みんなの知っての通り腕力しかない子です』
勇者『でも、本当はそういうものよりなりたいものがありました』
勇者『それは…普通の女の子のような可愛いものに』
男「…普通の女の子?」
男「まさか、前言ってた別のものになりたいって…」
男「…」
男「それにしても…なんてものに着替えてんだ…」
男「ついに体でアピールしだしたか?」
245 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/28(土) 00:23:02.58 ID:ID/LtRc/0
勇者『…これがうちのいつもの姿です』
勇者『似合わないのは分かっています…でも…』
勇者『ただの可愛いもの好きな女の子なんです』
勇者『こんなうちだけどよろしくお願いします』
男「…」
男「やばい…」
男「あの女がすごく可愛く見えてしまった…」
男「俺、なにやってんだろう…」トコトコ
生徒「あの…」
男「ん?何だ?」
生徒「勇者さんの事でお話が…」
男「あいつの…?」
男「えっとお前は誰なんだ?」
生徒「僕はあの勇者さんに…」
246 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/28(土) 00:49:27.81 ID:ID/LtRc/0
ー夜 勇者の部屋ー
勇者「…」モグモグ
勇者「今日はすごい事やったなぁ」
勇者「変な着替え見せただけな気もするけど…」
コンコン
勇者「?」
勇者(誰だろう?)
コンコココンコン、コンコン♪
勇者「リズミカルだな、おい」
ガチャ
賢者「お姉さんだよっ!!」バッ
勇者「えっと、どうしました?」
賢者「お腹ペコちゃんなの…」ジー
勇者「はい?」
勇者「いや、晩御飯食べてないんですか?」
賢者「おかず抜きにされた上おかわり制限されて…」
勇者「はぁ」
賢者「シャツ一枚はやりすぎだったと怒られまして」
勇者「それならうちも怒ってますわ」
賢者「うぅ…邪魔したね…」トボトボ
勇者「入ってください」
勇者「その件は怒ってますけど、今日の事は感謝してますので」
勇者「少ないけど今食べてるやつでいいならどうぞ」
賢者「ゆうじゃぁぁぁぁぁぁん」ガバッ
勇者「泣くまでの事じゃないでしょ…」
モニモニ
勇者「って、胸!?またか変態!!」
賢者「すいません、つい本能のヤツが黙ってくれなくて…」
勇者「本能だけで生きてるくせに何を言ってますか…」
247 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/28(土) 01:12:17.40 ID:ID/LtRc/0
ー数日後 教室ー
勇者「お、おはよう…」
生徒「あ、おはよー」
生徒「あれ見てたよ、可愛かったねっ」
勇者「え、いや…そう?」
生徒「今までごめん…」
勇者「かまわないよ」
勇者(本当にうちのイメージ変わっちゃったんだ…)
勇者(嬉しいな…)
………
魔王「様子見に来たけど…」
女「大丈夫そうだね」
魔王「ホントにあれで変われたんだね?」
女「何のためにイベントこさえたと思ってるんだよー?」
女「じゃあもどろっか」
魔王「うん」
魔王(よかったね、勇者)
248 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/28(土) 21:41:06.54 ID:ID/LtRc/0
ー休み時間ー
生徒「なぁ、あの子供まだいた?」
生徒「おー、朝からずっと校門からこっち見てるわ」
勇者「…」
勇者(子供?何の話だろう?)
生徒「誰か待ってるのかねぇ?」
生徒「でも、あの年でこの時間に待ってるっておかしくないか?」
生徒「普通学校行ってるだろ」
生徒「それもそうだな…」
勇者(嫌な予感がする…)
ガタ
生徒「勇者ちゃん、どうしたの?授業もうすぐ始まるよ」
勇者「ちょっと外行ってくるって言っておいて」タタタッ
生徒「え?え?」