Part11
140 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/16(月) 22:48:07.60 ID:yR63lBos0
ー翌日 教室ー
女「まおたん、おっはよぉ」
魔王「うん、おはよう」
女「あれ、元気ない?」
魔王「え、いつも通り元気だけど?」
女「うーん、元気じゃないと今日は困るんだけどなぁ」
魔王「え、何かあるの?」
女「今日はクリスマスイブだし」
女「クラスでパーティするんだって」
女「だからまおたんいなくなるとみんなやる気半減すると思われ」
魔王「そっか…」
魔王「じゃあ元気にしなきゃね」
女「悩みとかあったの?」
魔王「大した事じゃないよ」ニッコリ
女「そっかー」
魔王(今日ぐらいは…いや…せめて明日までは元気にいこう!!)
141 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/16(月) 23:06:26.60 ID:yR63lBos0
ー放課後 教室内にてパーティ中ー
生徒「ひゃっほー!!」
生徒「はっはっは、お前バカだろう!!」
魔王「あははっ」
女「…まおたん」ツンツン
魔王「どうしたの?」
女「あれ…勇者さんじゃない?」
魔王「ぶっ」
勇者(…)ガタガタ
カラカラ
魔王「なんで窓の外にいるの?」
勇者「ににに逃げてきたんだよ…」ガタガタガタ
女「そんなところにいたら寒くて死んじゃうからどうぞ」
勇者「すすすすまないね…」ガタガタガタ
生徒男「おぉ、噂の勇者先輩だ」
生徒女「こっち暖かいので来てくださーい」
勇者「どうも…あ〜生きかえるぅ」ヌクヌク
魔王「何であんな所にいたの?」
勇者「例のファンクラブ?ってのから逃げてきた」
勇者「気持ち悪い生き物ばかりだから怖くて怖くて」
女「番長のくせに何を言ってるのやら」
勇者「あんた…一回殴るわ」ゴゴゴ
魔王「ダメだよ、また番長にされちゃうよ」
勇者「…」ストッ ヌクヌク
女「ちぇー」
142 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/16(月) 23:31:08.40 ID:yR63lBos0
生徒男「勇者さん真近で見たの初めてだぜ…」ゴクリ
生徒男「すごくエロい…でも手を出すのは怖い…」
勇者「あんたら大丈夫か…?」
女「男は変態多いから適当でいいですよっと」
勇者「まぁ変態は慣れてるからいいけど」
魔王(さすが騎士相手にしてたら慣れるか…)
生徒女「やっぱりかっこいい!!」
生徒女「女の子ってやっぱ憧れるよねぇ」
勇者「何の話?」
生徒女「勇者さん…いえ、勇者様///」
勇者「は?」
生徒女「長身で出るところ出てるし、強くて凛々しい」
生徒女「まるで王子様みたいっ」
勇者「…」ジー
女「困ったからってこっち見ないでくださいよー」ニヤニヤ
魔王「すっかり人気者だね、色んな意味で…」
勇者「王子様ってうちは女なんだけど…」
生徒女「私はそれでもオッケーです///」
生徒女「理想の女性像っていうのかな」
生徒女「つまり…最高です!!」
勇者「どういうことなのっ!?」
魔王「まぁまぁ」
生徒女「私は魔王ちゃんラブだけどー」ギュ
生徒女「私もー」ギュ
魔王「あぅ」
勇者「あんたにいたっては愛玩生物のようだけど」
勇者「マジでうちらの周りはこんなのばっかりか…」
女「さぁ盛り上がってまいりましたっ」
143 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/16(月) 23:54:53.65 ID:yR63lBos0
ー帰り道ー
魔王「つ、疲れた…」グデー
勇者「うちも…」グダー
女「あっはっは、二人とも愛されてたねぇ」
勇者「あんたはずっと助けもせず傍観者だったわね…」
女「だって面白かったからですから!!」ヘラヘラ
勇者「殺す…剣よ、わが右手に…」ズズズ
魔王「!?」バッ
勇者「いっ!?」ズキッ!!
勇者「いだだだだっ!!」ゴロゴロゴロ‐
女「え、何があったの??」
魔王「何でもないよ」ニコッ
女「でも勇者さん転げまわって苦しんでるんだけど?」
魔王「そ、そのうち治るよ」ダラダラ
女「まぁいっか」
女「それじゃね、ばいば〜い」ブンブン
魔王「また明日」フリフリ
勇者「いつまでこれっ続けるの!?いたいいたいっ!?」ゴロゴロゴロ
144 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 00:26:56.06 ID:lJMQ4ckA0
魔王「剣出そうとしたからおしおき」
勇者「賢者さんじゃあるまいし!!いだいっでぇぇぇ!!」ゴロゴロゴロ
魔王「はいおしまい」ピッ
勇者「っ!!はぁはぁ…」
勇者「毒魔法とかありえない…」
魔王「君が悪いんだよ」
勇者「くっ…合ってるから言い返せない…」
勇者「で、あんた何考えている?」
魔王「え?」
勇者「ずっと笑顔の裏に何を隠してた?」
魔王「…」
勇者「とんでもない事隠してるんじゃないでしょうね?」
魔王「へへ…言ったら解決してくれるかな?」
勇者「できたらね、言ってみなさいよ」
魔王「え」
勇者「何よ?」
魔王「そんな事言われるとは思わなかったから…」
勇者「うちを何だと思ってるのよ」
勇者「この世界ではあんたと共生するって言ったじゃない」
勇者「悩みぐらいなら聞くわ」
魔王「…ありがとう」
勇者「それでどういう話?」
魔王「驚かないでね」
勇者「…」
魔王「帰る方法見つかったんだって」
勇者「っ!?ホント?」
魔王「うん」
勇者「やっと帰れるかぁ…」
魔王「…」
勇者「で?あんたが嬉しそうじゃない理由は?」
魔王「えっとね…」
145 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 01:07:55.23 ID:lJMQ4ckA0
………
勇者「は?今なんて?」
魔王「わたしの魔力なくなっちゃうんだって」
魔王「帰ったら人間より弱くなっちゃうんだ」
勇者「…」
魔王「きっと戻ったらわたしは死ぬだろうね」
勇者「あんた…」
魔王「勇者に倒されるのかな?」
勇者「…いや、多分無理」
魔王「え?」
勇者「もうあんたはうちにとって…」
勇者「…」
魔王「倒せなくなっちゃったんだね?」
勇者「…文句ある?」
魔王「ううん、ないよ」ニッコリ
魔王「でも勇者じゃなくても他の人間に殺されちゃう」
魔王「魔力なくても魔王だし仕方ないかな」
勇者「そんなの止めたらいいじゃない…なんならうちが…」
魔王「そしたら勇者だって狙われるかもよ?」
魔王「そんなのダメ」
勇者「だから優しすぎるんだってあんたは…」
146 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 01:31:17.17 ID:lJMQ4ckA0
勇者「ならずっとここに住めばいいんじゃない?」
魔王「でも勇者は帰りたくないの?」
勇者「うちは…」
魔王「問題はわたしだけじゃなかったみたいだね」
魔王「時間はあるみたいだからちゃんと決めてからにしようね」
勇者「分かった…」
魔王「あと、賢者さんの事聞いてる?」
勇者「聞いてるよ、明後日自分の所に帰るんでしょ」
魔王「なんか寂しくなるね…」
勇者「あんたは一緒に住んでたから余計にか」
魔王「うん…」
勇者「だったら笑顔で送り返したらいいじゃない」
勇者「もう会えないわけじゃない」
勇者「きっとまた会いに来てくれる」
魔王「ここに残ってたらだけどね…」
勇者「そうだったわね…」
魔王「…」
勇者「…」
魔王「今まで悪い事してきた罰なのかな…」
勇者「あんたにとっては正義だったんでしょ」
勇者「逆に言えばうちらだって同じだよ」
勇者「あんたら魔族を倒し続けてきた」
魔王「そうだった…」
勇者「もう考えても深みにはまるだけよ…」
魔王「もう考えないよ…」
勇者「近いうち結論は出す」
勇者「あんたも覚悟はしておきなさいよ」
魔王「うん…」
147 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 22:07:15.14 ID:lJMQ4ckA0
ー夜 部屋ー
賢者「ふんふんふーん♪」
魔王「嬉しそうだね」
賢者「そりゃ明日はパーティだよパーティっ」
賢者「人集めてのパーティなんて今までやった事なかったし」
賢者「気合も入るってもんさっ」ゴソゴソ
魔王「そっか」
魔王(別れが近くても動じないのだな)
魔王(むしろ最後まで楽しもうとしている)
賢者「あと飾りつけはどうするかなぁ…」
魔王(帰れば会う事はほとんどないだろう)
魔王(会う事は…)
魔王「…」ポロ…
賢者「まおたん?」
魔王「あれ…おっかしいなぁ」グシグシ
魔王「何で勝手に出てくるんだろう…」グシグシ
賢者「…」
魔王「なんで…」ポロポロ
賢者「どうせまた変な事でも考えてたんでしょ?」グイッ
賢者「もう考えるな」ギュッ
魔王「けんじゃぁ…」ポロポロポロ
賢者「私の事でも考えてたんだろう?」
賢者「あんたは冷静で物事きちんと考える子だけど」
賢者「深くまで考える悪い癖がある」
賢者「もっと柔軟で良いんだよ」
148 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 22:30:28.66 ID:lJMQ4ckA0
魔王「うぇぇぇぇ…」ギュウ
賢者「泣いた事ないんじゃないか、あんた」
賢者「泣くのすら慣れてないね」ナデナデ
賢者「まぁ大体泣いた理由は分かるけどね」
魔王「ひぐっうぇっ…」
賢者「出会いがあれば別れだってあるんだ」
賢者「悲しくたって受け入れないといけない」
賢者「そうしてこそまた別の出会いが生まれるんだ」
賢者「頭の良いあんたなら分かるだろう?」
賢者「もう最初のひとりぼっちのあんたじゃないんだ」
魔王「!?」
魔王(ひとりぼっち…)
魔王(そう…わたしはあちらではひとりぼっちだったのだ…)
魔王(友達なんているはずもなく)
魔王(ただ1人で魔王を演じ続ける事しか出来なかった)
魔王(誰かに手を差し伸べてほしかったのかもしれない)
魔王(『もうそんな事しなくても良いんだよ』と)
魔王(賢者はすべて知っていたのかもしれない)
149 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 22:57:34.95 ID:lJMQ4ckA0
魔王「うぇっ…ふぁっ…」
賢者「あんたは魔王をまだやりたいのかい?」
魔王「うぐっ…わ…わたしはっ…」
賢者「私はあんたが出す答え、なんとなく分かるよ」ニコ
魔王「賢者ぁ…」
賢者「どういう答え出しても私に言う事はないよ」
賢者「あんたの信じた道を進みな」
魔王「うん…うんっ…!!」
賢者「さーて、飾り付けの続きやろっと」
魔王「手伝うよ」グシグシ
賢者「じゃあこれあの上につけて」ヒョイ
魔王「届かないんだけど…」ピョーンピョーン
賢者「後ろから抱えてあげるから付けてよ」グイッ
魔王「服だけ持ち上げないでよ!!」
賢者「おっと間違えた」
賢者「可愛い下着が見えちった、げへへ」
魔王「変態…」
賢者「冗談抜きでつけておくれ」グイッ
魔王「自分でやったんでしょ、もぅ…」ペトペト
150 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 23:27:15.51 ID:lJMQ4ckA0
ー翌日 部屋ー
みんな「メリークリスマース!!」
バババンッ!!
賢者「さぁ、飲めや騒げや!!」
大家「あまり騒がしくしすぎると近所迷惑ですよ」
賢者「じゃあ…適度に騒げーっ!!」
魔王「適当すぎる…」
勇者「あの人はいつもそんなノリでしょ」グビグビ
魔王「それお酒なんだけど…」
勇者「ぶふー!!誰だこれを渡したのは!!」
騎士「俺だ」ドーン
勇者「あーん?」
騎士「酒飲ませて寝た相手をそのまま…っていうのはよくある話」
勇者「これを入室許可したの誰よ…」
賢者「手を出さないの条件に許可したけど?」
勇者「すでに危ないんですけど…」
賢者「肌に触れた時点で首がすっ飛ぶ魔法かけてるから大丈夫」
騎士「え、聞いてないっスよ、姐さん…」
賢者(そんな魔法最初からないけどね)
賢者「じゃあ約束破ろうとしてたでFA?」
騎士「くっ…この美少女天国から離れるのはイヤだ…」
騎士「ならばせめて一度だけでもペロペロを〜」ガバッ
魔王「どうしてわたし!?」オロオロ
151 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/17(火) 23:54:09.89 ID:lJMQ4ckA0
魔術師「…」スッ
騎士「む、魔術師か」
騎士「俺はロリっ子には興味ないんだ、どけ」
魔術師「…」クイッ
騎士「ん?後ろ?」クルッ
幼女「どーん」ピト
ドーン!!
騎士「ぐひょ!?」ガクリ
魔術師「…最年少魔法使い誕生」パンッ
幼女「まほうつかえたーいえーい!!」パンッ
勇者「ちょ…何してるの…うちらの正体が…」
大家「とっくにバレてるから気にしないで」ニッコリ
賢者「魔法渡せる技術まであるのか、あの子」
魔王「ここじゃ意味ないけどね」
女「えっと…あたし何も知らなかったんだけど…」
女「さっきの…何?」
魔王「ごめんね、ずっと隠してて」
魔王「わたしは魔王なんだ」
女「魔王ってファンタジーとかのあの?」
魔王「うん、それだよ」
勇者「ちなみにうちは勇者」
女「それはなんとなく納得」
勇者「何でだよ!?」
魔王「その子は魔術師」
魔術師「…?」
勇者「で、あの変態が騎士」
女「全然そう見えなかった…」
女「お姉さんも?」
賢者「私も似たようなもんだけど」
賢者「この子達と違う世界から来たから厳密には違うよ」
大家「私とこの子だけこの世界の人間ね」ポン
幼女「うにゅ?」