Part10
127 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/14(土) 22:31:07.78 ID:oC3rjsDZ0
勇者「うちらは戻りますね」スクッ
魔術師「…もういいの?」シュゥン
勇者「もう大丈夫よ、ゆっくりさせてあげなさい」ポン
魔術師「…」コクリ
バタン
賢者「ふぅ〜」
賢者「あー恥ずかしい」
賢者「人前でちょっと泣いちゃったじゃないか…」ゴシゴシ
魔王「…わたしのために?」
賢者「まだ起きてたのかコラ」
魔王「ごめん」
賢者「なんてね」
賢者「私にとっていつの間にかあんたも大切な存在になってたようだね」ナデナデ
魔王「賢者…」
賢者「一緒に寝るかな」ボフッ
賢者「魔力全部使ったし眠い…」
魔王「ありがとう…」ギュ
賢者「…すぅすぅ」
魔王「変な事する前に寝るほど疲れてたんだね」
魔王「おやすみ」
128 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/14(土) 22:54:18.25 ID:oC3rjsDZ0
ー次の日 ???ー
賢者「…んー」ペラペラ カリカリカリ…
「いつの間にこちらへ戻っていたのですか?」
賢者「こっちじゃないと調べられない事あるからねぇ」
「いつもフラフラしてるくせに」
「そういう時だけ働くんですね」
賢者「これがずっと続けてきた私のスタイルだよ」
賢者「しっかし…転送関係は複雑で面倒だねぇ…」
「あぁ、例の子の…」
賢者「そうそう、迷子の子」
賢者「どうやっても人連れて空間移動は行えないか…」カリカリ
「そっち関係じゃないですけど頼まれたやつまとめておきましたよ」パサ
賢者「あぁ、わざわざありがとう」ペラペラ
賢者「うげ…これマジ?」
「えぇ、計算するとそうにしかならないんです」
賢者「これが本当に起こっているならあの子はもう…」
「たまにはこっちの子達も相手にしてあげてくださいね」ニコ
賢者「うちの妹達は放っておいても大丈夫だよ」ニッ
賢者「私よりもうしっかりしているしね」
「ならあなたもしっかりするべきです、本の虫で変態なお姉さま?」
賢者「会うたびそればっかりだなっ!!」
129 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/14(土) 23:17:40.68 ID:oC3rjsDZ0
ーホテル街ー
勇者「この辺にいれば多分会えるかな」
魔王「わたしを連れてきた意味を教えてほしい」
勇者「そりゃ一応魔王なわけだし…」
勇者「アレにはあまり会いたくはないけど報告を…ね」
サワッ
??「うほ、相変わらずいい尻」
勇者「きゃっ!?」
??「『きゃっ』だって可愛いところあるじゃないか」
勇者「…」グググ
??「バイク持ち上げてどうする気だ!?」
勇者「投げて…潰す…!!」グググググ
??「すいません、調子に乗りました」ペコペコ
勇者「ったく…あんたは相変わらずだね、騎士」ドスーン
騎士「どこにいても俺は俺さ」キラッ
魔王「相変わらずのようだね」
騎士「おぉ!!久しぶりだね魔王」スルッ
魔王「!?」
騎士「うーんまだ発展途上だね、カ・ラ・ダ」スリスリ
魔王「ひっ!?」
勇者「騎士!!」
130 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/14(土) 23:41:43.08 ID:oC3rjsDZ0
賢者「つっぶっそうぜっ♪ゴールデンボールっ!!」
ブチッ!!
騎士「きんたmklwfjslsjf」ゴロゴロゴロ
賢者「おうおう、うちのかわい子ちゃんに何許可なく触れてんだぁ?あぁん?」
勇者「うちより容赦がない…」
勇者(いつの間にいたんだろう…)
魔王「賢者…うぶっ!!」
賢者「あんたは私のものだ、ふひひ」ギュムー
勇者「台詞だけ聞いたらあなたも十分やばいですよ…」
騎士「これはこれは…とてもお美しいお姉さんではありませんか」ススス
勇者「復活早っ!?」
賢者「…」
騎士「どうです?これからボクとイイコトでも…」
賢者「追い討ちかっけろ♪ゴールデンボールっ♪」
グチュゥッ!!
騎士「もげrぃえkふぃえgfhhs」ゴロゴロゴロ
魔王「賢者には変態行為通用しないんだね」
勇者「変態なのにね」
賢者「ふひひ、変態だからこそ通用しないのさっ」
賢者「しっかし、足腐らないか心配だわ…」ゴシゴシ
騎士「俺、病気とか持ってませんからーっ!!」ガバッ
勇者「存在自体が病原菌だけどね」
魔王「…」コクリ
騎士「何この扱い!?ひどくねぇ!?」ビクンビクンッ
131 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 00:12:48.95 ID:6RjHtarN0
賢者「おい、変態」グイッ
騎士「おー、お姉さん」
騎士「俺の愛にこたえてくれるのかい?」
騎士「もちろんベッドの中でならこたえてあげるよ」
賢者「うちの子に手ぇ出したら全身粉砕させるぞ」
騎士「怒ってはダメだぜ…せっかくの美人さんに生まれたんだから」
賢者「これ、復活できないように消滅させて良い?」クルッ
勇者「気持ちは分かりますが、一応知り合いなので勘弁してもらえませんか…」
騎士「くんくん…はっ!!これは処女の香り!?」
賢者「こんな変態初めて見た…」
魔王「…自分はカウントされないんだ?」
騎士「良いところで会えてよかったねお姉さん」
騎士「俺の聖剣ではじめて──」ズブッ!!
グチョォ!!
騎士「──」ドサリ
賢者「ごめーん、我慢の限界だったぁ♪」ビクッビクッ
勇者「ひっ?!」
魔王「その手にあるのって心ぞ…」
賢者「一瞬で黙らせる方法これしかなくてね」ビクッビクッ
賢者「どこかで捨てて復活させてくるわぁ」ズルズル
勇者「あれ…疾風魔法使ったか何か…?」
勇者「早すぎて見えなかったんだけど…」
魔王「わわ分からないよぉ…」
魔王「一瞬で抜き取ってたのしか見えなかった…」
勇者「うち…賢者さん絶対怒らせないわ…」ガクガク
魔王「わたしもだよ…抜き取られたくない…」ブルブル
勇者「騎士連れてかれたしどうしよう…」
魔王「一応会えたし、帰る?」
勇者「そうしようか…あんたの事は今度話しておくわ」
魔王「うん…」
132 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 00:32:34.98 ID:6RjHtarN0
ーアパート前ー
魔王「あの前にいるのって…」
魔術師「…!!」
勇者「ただいま」
魔術師「…おかえり」ジー
魔王「えっと…わたしいたらまずいかも…」
勇者「魔術師、あのね…」
魔術師「…怪我大丈夫?」
魔王「え?」
勇者「あれ…」
魔術師「…頭」
魔王「う、うん…もう平気だよ」
魔術師「…」ジー
勇者「あんた、どうしたのさ?魔王だから襲い掛かるとばかり…」
魔術師「…幼女」
魔王「もしかしてわたしの事話してた?」
魔術師「…」コクリ
魔術師「…面白いお姉ちゃんだって」
魔王「そっか」
魔王「でも別に仲良くする必要はないよ」
魔王「わたしは魔王だし」
魔術師「…」
魔王「話し方変わったけどこんなのじゃダメだよ…ね?」
133 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 01:02:09.29 ID:6RjHtarN0
魔術師「…」ギュ
魔王「わ」
魔術師「…もう怖くない」
勇者「なんとまぁ単純な理由で…」
勇者「よかったじゃない、懐いてくれて」
魔王「う、うん」
魔王「でもそろそろ部屋に戻らないといけないから…」トコトコ
魔術師「…」ズルズル
魔王「離してくれないんだけど…」
勇者「うちにはどうしようもないわ」
勇者「しばらく相手してやって、それじゃ」ガチャ バタン
魔王「ちょ…丸投げとかひどい…」
魔術師「…一番好き」ギュ
魔王「え?」
魔術師「…抱き心地がいい」
魔王「それだけの理由でこれ!?」
魔術師「…」ギュウ
魔王「あ、ちょっと抱く力強くなった…」
魔王「もしかして引き離すって思った?」
魔術師「…」コクリ
魔王「じゃあしばらくそのままでいいよ」ニコ
魔術師「…」パァッ
魔王「部屋に入るよ」
魔術師「…」コクコク
134 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 01:25:01.08 ID:6RjHtarN0
ー10分後ー
ガチャ
賢者「ふぅ…やっと帰ってこれた」
魔王「あ、おかえりー」
魔術師「…おかえり」ギュ
賢者「おや、少女に寄生されてますよ魔王さん?」
魔王「あはは…ちょっとあってね」
賢者「よく懐いてくれたね、魔王なのにさ」
魔王「怪我した時、わたしの事色々知っちゃったみたいで」
賢者「まぁ心配事減っていいじゃない」ニッ
魔王「賢者は大丈夫だった?」
賢者「あの変態野郎かい?」
賢者「この私が遅れをとるわけないでしょ」
賢者「私を止められるのは知ってる限り、1人だけよ」
魔王「1人いるんだ…」
賢者「マジあの人鬼畜だし…」ガクガク
魔術師「?」
135 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 22:28:04.66 ID:6RjHtarN0
ー深夜ー
賢者「魔王、ちょっと寝る前に聞いて」
魔王「え、なに?」
魔王(魔王って呼ばれたの最初以来だよね…)
賢者「とっても大事な事さ」
賢者「あんた、今でも元の世界に帰りたいって思ってる?」
魔王「え…う、うん…」
賢者「ちょっと長くいすぎちゃったかー」
賢者「まぁ迷ってる段階なら尚更聞いて?」
魔王「うん…」
賢者「帰れる方法分かったわ」
魔王「えっ!?」
賢者「ただし、その代償に決まった未来が待っている」
賢者「あんた限定でね」
魔王「どういうこと…?」
賢者「自分の今の魔力知ってるよね?」
魔王「うん…かなり少ないよ」
賢者「少ない事に疑問を持たなかったのかい?」
魔王「ここで適応されない分なくなったんじゃ?」
賢者「そりゃ魔法の種類だけだ」
賢者「空間転送魔法で失ってるものがあったんだ」
賢者「あんたの魔力本体だよ」
136 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 22:50:21.42 ID:6RjHtarN0
魔王「えっと、よく分からない…」
賢者「つまり自分の持ってる魔力の器自体を削って使っているわけよ」
賢者「普通、魔力消費だけで済むけど、あんたは異次元飛んだわけだ」
賢者「普段減らないものが減ってもおかしくはない」
賢者「つまりあんたは器ごと消費してここに来てたんだ」
魔王「え、待って…」
魔王「それ元の世界戻ったら戻るんだよね?」
賢者「いいや、戻らない」
賢者「体内の魔力の寿命みたいなものを使ってるわけだ」
賢者「詳しい事言うと…」
賢者「魔力の器を使ってここへ来る道(ゲート)を開いた」
賢者「場所指定しなければここに来れるというのは最初から決まってたようだね」
賢者「で、あんたは飛んでここに導かれた」
賢者「その後もあんたの魔力の器はここに通じる道として残っていた」
賢者「おそらくだけど勇者達はそれを使って来たんだ」
賢者「しばらくはその道は残ってたんだろうね」
賢者「でもおそらくその道は勇者達を転送した時点で消えた」
賢者「だからもう一回生成する必要がある」
賢者「だが、それやっちまうとあんたの魔力はゼロだ」
賢者「つまりあんたの中の魔力は完全に死ぬ」
賢者「二度と蘇らない」
魔王「じゃあわたしは…」
賢者「魔力の器が消失した状態で向こうに帰ることになる」
賢者「あんたは魔力ゼロの魔王となる」
賢者「あとは分かるね?」
魔王「…」
137 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 23:15:38.14 ID:6RjHtarN0
賢者「ほぼ事実だよこれは」
賢者「あんたの体内の魔力をこっそり調べさせてもらったよ」
賢者「で、調べてるとそういう結果になったわけだ」
賢者「ついでにもうひとつ報告しておくわ」
賢者「私はクリスマスが終わったら自分の世界へ帰る」
魔王「!?」
賢者「あっちでやる事あるし、元々ここの人間じゃないしね」
賢者「元よりここには魔法の研究のために来ていたのが本音なんだよ」
魔王「そっか…」
賢者「だからね、魔王」
賢者「その日までに考えておきなさい」
賢者「ここで生きるか、向こうで……死ぬか」
賢者「実は少々帰るための魔力が不足してるみたいだけど」
賢者「その時になったらどっち選ぶにしても不足分は渡しておいてあげるから」
魔王「…」
賢者「それじゃおやすみ」
138 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/15(日) 23:41:08.78 ID:6RjHtarN0
魔王(魔力の器がなくなってる…か…)ギュ
魔王(いや、本当は分かっていたのかもしれない)
魔王(あれ…)
魔王「ごめん、最後にひとつ聞きたいんだけど」
賢者「うん、いいよ」
魔王「勇者達は大丈夫なの?」
賢者「あくまで道作ったのはあんたの魔力だからね」
賢者「あの子達は帰ったら魔法は元に戻るよ」
賢者「本来、ここでは魔法が使えないだけだしね」
魔王「そっか、じゃあ安心」
賢者「ずっと思っていたが魔王向いてないよ、あんた」
賢者「優しすぎる」
魔王「でもあっちでは本気で勇者たちを倒そうとしてたよ」
魔王「世界だってどれだけ傷付けたか数え切れないほど…」
賢者「実は心の内では倒されてもいいと思ってたんじゃないのかい?」
魔王「分からない…」
139 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/16(月) 00:02:03.89 ID:yR63lBos0
賢者「まぁ逃げたわけだからそうとも限らないけどね」
賢者「でも私は優しい方があんたらしくて好きだけどね」ニッ
賢者「じゃあ今度こそおやすみ」
魔王「あ、おやすみ」
魔王(これで気になることはなくなった)
魔王(あとはわたしの問題か…)
魔王(このまま帰ったらきっとわたしは死ぬだろう)
魔王(勇者達に手をかけられなくてもどちらにせよ死ぬ)
魔王(わたしの事を聞きつけた他の人間共に殺される)
魔王(魔力のない魔王なんて人間にとって何の恐怖もないのだから…)
魔王(特にわたしの場合は魔法ないと本当に弱いからな)
魔王(死か…)
魔王(怖くないといえばウソになる)
魔王(でもそうにしかならないのだから仕方ない)
魔王(どうすればいいんだ…)