Part1
魔王「ここはどこだ?」
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1 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 21:46:50.33 ID:FuOb1JrC0
魔王「勇者からの最後の一撃から逃げるため」
魔王「空間転移魔法で逃げたはいいのだが…」
魔王「場所指定をしなかったために…」
魔王「こんな異世界に飛ばされるとはな…」
魔王「急いでいたからな仕方ない」
魔王「それにしても…」キョロキョロ
ブロロロォォォォ ザワザワ… ピッポーピッポー♪
魔王「ここは見たこともない世界だ…」
魔王「とりあえずこの世界を探索してみるか」
魔王「っと、ローブは脱いでおこう」ゴソゴソ
魔王「周りを見るからに人間しかいないようだしな」
魔王「自身が人間と見た目は変わらないのが救いか」テクテク
2 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 22:00:08.71 ID:FuOb1JrC0
………
魔王「ざっと見たところ…」
魔王「わたしがいた世界の人間界と基本変わっていないようだ」
魔王「食料、紙幣に硬貨、衣服、生活用品…」
魔王「形は違えど、ほぼ同じだな」
魔王「よく分からない変わった物体がいたるところにあるが…」
魔王「危険ではなさそうだがどれも用途が分からぬ…」
魔王「建物が石材?なのか…よく分からぬ」
魔王「乗り物類も鉱石を使って出来ているようだな」
魔王「あんな硬い乗り物をどう走らせているのだろうか…」
魔王「しかし便利そうではあるな、どういう造りか調べてみたいものだ」
魔王「見れば見るほど不思議な所だ…うーむ…」
魔王「ローブ脱いだせいか少し肌寒いな…」ブルル
魔王「もっと他へ行ってみるか」テクテク
3 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 22:16:04.23 ID:FuOb1JrC0
ソコノヒトヨッテイカナイ? イマナラヤスクシトクヨォ カワイイコイッパイダヨォ
魔王「さっきまでの所と空気が違うなここは…」テクテク
魔王「ここはどういう場所なのだろうか…」
男「お?」
魔王「…」テクテク
男1「そこの金髪のおねぇちゃん!!」ポン
魔王「?」クルッ
男2「そんな変わった服着てこんな所で何してるんだい?」
魔王「はじめて来た場所なので少々迷ってしまってな…」
魔王(やはり周りから見るとわたしは普通ではないのか)
男3「なら俺達が案内しようかぁ?」ニヤニヤ
魔王「いいのか?」
男1「あぁかまわねぇよ」ニヤニヤ
魔王「それはありがたい」
男2「じゃあこっちだぜ」グイッ
魔王「あ」ブンッ
4 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 22:34:46.43 ID:FuOb1JrC0
ズダーン!!
男2「ぐ…は…」
魔王「すまない、癖でつい反応してしまった」
男1「もしかして何か武道習ってたりした…?」
魔王「別にそういうわけではないが…」
男3「まぁそんなのいいじゃん、行こうぜ」
男2「いってぇ…」
男1「許してやれよ…これから…な?」
男2「そうだな…へへっ」
魔王「?」
男3「ここでいいか」
『HOTEL クラウン』
魔王(なんと読むのだろうか…)
魔王(なかなか大型の建物だな)
魔王(チカチカしていて目立つなここは)
魔王(わたしのいた世界のカジノというところに似ている気がする)
魔王(カジノと同じ遊技場か何かなのだろうか?)
男1「さぁ中に入ろうぜ」
魔王(まずは施設案内なのか?よく分からんな…)
??「…」
5 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 22:56:14.61 ID:FuOb1JrC0
魔王「ここは…」
魔王(宿屋…か?)
魔王(何か違う気もするが…)
男1「いい部屋だろう?」
男2「あれぇ?もしかして何するところか分からないのかな?」
男3「まぁついてきちゃったからには…」
男1「逃がさねぇけどなっ」グイ
魔王「!?」ドサッ
魔王「おい…何をする!?」ボヨンボヨン
男2「男口調がまたそそるんですけど」ゴソゴソ
男3「しかも洋物だぜ、洋物」
男1「どんな声で鳴くのかなぁ?」ゴソゴソ
魔王「何が起こるんだ…」
男3「そりゃもちろん…」
??「はーいそこまでー」ガチャリ パンパンッ
男達「!?」
6 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 23:13:54.07 ID:FuOb1JrC0
男1「誰だ?カギをかけていたはずなのに…」
??「こちらにとっちゃカギなんて飾りよ、ほっほ」
??「何も知らない無垢なお嬢さんをその薄汚い体で汚そうなどと…」
??「この変態姐さんが許さないよっ!!」スッ ポワァァァ
男3「なんだて…め…」ゴトリ
男2「え…なに…」ゴトリ
魔王(あれは…睡眠魔法か?)
男1「おい、なんだ??何が起こったんだ!?」
??「はい、動くなー」ピッ
男1「お…動けねぇ…」グググ
??「まずはお前さんからだぁ…ひっひっひ…」ズイッ
??「あんたは部屋から出ててくんない?」クルッ
魔王「え、あぁ…」トコトコ
7 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 23:33:55.79 ID:FuOb1JrC0
パタン
男1『くそ…なんで動けねぇんだ…』
??『あんたらみたいな悪い子はちょっとばかしおしおきだっ』♂ブインブインブイン
男1『え…何その生々しく動いてる機械…』
??『説明はいらない、おとなしく挿入されとけばいいんだっ』
男1『ちょ…やめ…そんなの入らな…』
ズブッ
アッーーーーーーーーー!!
魔王「なにやら悲鳴が聞こえた…」
魔王(その後も立て続けに奇悲鳴が聞こえてきた)
魔王(男3人、何かをされたようだ)
魔王(結局最後まで奴等が部屋から出てくることはなかった)
8 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/02(月) 23:52:36.13 ID:FuOb1JrC0
??「おまたせぇ」ガチャ
??「いやぁ、久しぶりに薄汚い男共ヒィヒィイワせたわぁ」テカテカ
魔王「何か分からないが怖い…」
??「だめだよ、魔王」
??「あんな悪い奴らについて行っちゃ」
魔王「悪い奴らだったのか…」
??「こんなにプリチーだから仕方ないだろうけど」
魔王(プリチー?)
??「この近辺には来るべきじゃないよ」
魔王「分かった、気をつけよう」
??「しっかし、なんでこんな所にいたのやら…」
魔王「いや、探索を…ん?」
魔王「貴様…さっきわたしを魔王と言わなかったか?」
??「言ったよ、魔王」
魔王「えっ?」
??「えっ?」
9 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 00:15:40.51 ID:mk3gdYZX0
魔王「ここにわたしを知る者はいないはずでは…」
??「知ってはないけど分かるさ」
??「その容姿だけで魔王だってね」
魔王「…何者だ貴様」ギロ
??「そんな怖い顔しないでよ、あんたの敵になるつもりないしさぁ」
魔王「なら貴様はどういう者だというのだ?」
??「時には悪事を許さない変態姐さん!!」バッ!!
??「時にはバリバリ働くフリーターお姉ちゃん!!」ババッ!!
??「その正体は…じゃじゃんっ!!」ジャジャン!!
魔王(早く名乗ってほしいのだが…)
??「優しくて強い賢者さんだっ!!」ドーン!!
魔王「賢者…」
賢者「多分、魔王と似たような世界から来たからかな」
賢者「あんたのその格好、私にとっては違和感ないんだわ」
賢者「今着てる服も違和感ないほどここに慣れちゃったけどね」クルリン
10 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 00:30:15.76 ID:mk3gdYZX0
魔王「では、貴様はこの世界でずっと住んでいるのか」
賢者「ずっとではないけど結構長くいるよ」
賢者「少なくとも一年以上はいるかな」
賢者「慣れたら向こうより住み心地いいんだわぁ」
魔王「わたしはできれば元の世界に帰りたい…」
賢者「どうやって来たのさ?」
魔王「空間転移魔法で飛んできたのだ」
賢者「なんだい、逃げてきたとかそういうの?」
魔王「悔しいが…そうだ」
賢者「ふむ」
賢者「とりあえずうちに来るといい」
賢者「ずっと彷徨ってるよりはいいでしょ」
魔王「家があるのか?」
賢者「正確には借りてるんだけどね」
魔王「?」
賢者「帰ってから話詳しく聞くから」トコトコ
賢者「おいでおいで」フリフリ
魔王「すまない」トコトコ
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/12/03(火) 18:47:14.72 ID:1DJAa+wR0
まおけんとは新しいな
12 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 21:34:51.44 ID:mk3gdYZX0
ーアパートの一室 賢者の部屋ー
賢者「で、勇者から逃れるために適当に逃げ飛んで今に至る…と」ズズー
魔王「そういうことだ」
賢者「空間転移かぁ」コトン
賢者「私にも使えなくはないけど」
魔王「なにっ!?」ガタッ
賢者「でも異世界に飛ぶほどの方法を知らない」
魔王「そうか…」ガックリ
賢者「まぁどうにか方法見つかればいいけどねぇ」
魔王「貴様はどうやってここに?」
賢者「ん?合成魔法かな」
魔王「合成魔法?」
賢者「空間転送魔法をベースに色々混ぜてたらできたんだけど」バチバチ コォォォ
賢者「異空間を飛べたのは初めてだったわ」パキーン
賢者「要するに私も偶然来れたわけ」
魔王「魔法を組み合わせるとは…相当な高等技術のはずだろう」
13 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 21:51:46.53 ID:mk3gdYZX0
魔王「なぁ、それでわたしを元の世界に帰してはくれないだろうか?」
賢者「結論から言うと無理」
魔王「なぜだっ!?」
賢者「これ、自分しか転送できないんだわ」
賢者「あとある程度の場所の情報が分かってないとダメ」
賢者「私の場合、ほとんどこの世界を想像だけで来れたわけだから」
賢者「さっき来れたのは偶然だって言ったんだ」
魔王「そ、そうか…」ショボーン
賢者「さっきからまおたんの反応かわいいっ!!」キュンキュン
魔王「まおたんってなんだ?」
賢者「魔王の愛称」
魔王「変な名で呼ぶな」
賢者「魔王といえばこの名前だよーん♪かーわいいっ」
魔王「この腑抜けた顔に怒りを覚えるのは何故だろうか…」
14 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 22:13:10.53 ID:mk3gdYZX0
賢者「そういえばまおたん」
魔王「だからその名で呼ぶなと…何だ?」
賢者「魔法使える?」
魔王「当たり前だ、このように…」ポヒュッ
魔王「む?」ポンッ ポンッ
賢者「あちゃーやっぱりかぁ」
魔王「何かおかしい…」ニギニギ
賢者「おそらく、異世界に魔法そのものが適用されてないんだ」
魔王「どういうことだ?」
賢者「まずこの世界には魔法の概念がない」
賢者「イレギュラーなものは入ってくる時に弾かれるか、消滅する」
魔王「でもわたしの場合は完全になくなっていないぞ?」ポンッ ポンッ
賢者「それだけ強大な魔力だったって事かもね」
賢者「ほとんど消滅させられたけど」
賢者「ちょっとだけ残せて世界に入り込めた」
賢者「他に原因があるのは確かだろうけどね」
15 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 22:31:35.63 ID:mk3gdYZX0
魔王「そうか…魔法使えないのは不便だな…」ポンッ
賢者「ここでは使えなくてもちゃんと生きていけるさ」
賢者「敵と言える存在はいない」
賢者「まぁ、さっきみたいに悪い事考えてる奴はいるけどね」
賢者「知恵を持つとそういう人間できるから仕方ないかな」
魔王「でも貴様、さっき睡眠魔法とか使ってただろう?」
魔王「あれはどういう事だ?」
賢者「おーさすがに分かっちゃったか」
賢者「あれは来る前にちゃんと適応させてから来たんだよ」
魔王「よく分からぬな…」
賢者「魔法の書き換えが関係してるから簡単に説明できないわぁ」
賢者「面倒だから私だってある程度の魔法しか持って来てないのさ」
魔王「面倒なら詳しくは聞くまい」
賢者「そりゃありがたい」
16 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 22:50:48.23 ID:mk3gdYZX0
賢者「あと、ここでは科学が発達している」
魔王「科学?」
賢者「科学は色んな事を可能にできる」
賢者「電力などをエネルギーにして色々動かすことが出来るんだ」
魔王「ほぅ」
賢者「水は蛇口から簡単に出せるし、ガスだってエネルギーになる」
賢者「だから魔法がいらないとも言えるね」
魔王「よく分からないのだが…」
賢者「あっちの世界に水車なかったかい?」
魔王「水の流れで手を加えず動力を作るやつだろう?」
賢者「そうそう、ああいう自然のものをエネルギーに代えるのがここでは発達してると思えばいいよ」
魔王「なるほどな…」
賢者「で、まおたんさえよければしばらくここで住むかい?」
賢者「どうせ行く所もない」
魔王「こんな所に飛ばされて何も分からない」
魔王「それにこの違う世界でわたしの存在は普通の者と同じようだし」
魔王「今、頼れるのはお前だけだ」
魔王「よろしく頼む」ペコリ
賢者「さすが魔王だけあって賢いね」
賢者「おっけーおっけー」
賢者「これからこの世界の事を色々教えてあげるよ」
賢者「まずそこからかな」
魔王「分かった、頑張ろう」グッ
賢者「まおたんのガッツポーズ萌えすぎるだろ」キュンキュン
17 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 23:25:24.65 ID:mk3gdYZX0
ー夜ー
魔王「覚える事が多すぎて頭が痛いな…」
魔王(どうやらこの世界は地球と呼ばれているらしい)
魔王(そして今いる大陸は日本といい…)
魔王(数億年前に地球ができ…)
魔王「うあぁぁぁ頭がぁ…」ブルンブルン
賢者「何でもかんでも覚えようとするからだよ」ジュージュー
魔王「うーむ異世界は大変だな…」
賢者「とりあえず文化とか歴史は生活してる内に覚えるから」ホッ ジュアァァァ
賢者「字を読めるようになったほうがいい」モリモリ
賢者「ついでにその口調も直すか」ドンッ
魔王「わたしの口調…まずいのか?」
賢者「個人的にはマニアックで素敵だけど」カチャカチャ
賢者「普通のしゃべり方できたほうがよさそうよ」パカッ モリモリ
魔王「よく分からぬな…」
賢者「まぁゆっくりやっていこう」ゴトッ
18 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/03(火) 23:45:20.59 ID:mk3gdYZX0
賢者「それじゃ晩御飯できたからいただきますか」
魔王「やっぱりさっきからやっておったのは料理だったのか」
賢者「そうだよ、1人暮らしだと自然と身についちゃうんだよ」
魔王「ほぅ」
賢者「昔は殺人料理しか出来なかった私がこうなるとは思わなかったけど」
魔王「殺人料理…」
賢者「ほらほら食べるよっ!!冷えちゃうっ」
魔王「あ、あぁ」カチャ
魔王「これはうまい…」
賢者「あらよかった、あまり上手ではないから口に合うか分からなかったんだよ」
魔王「私は好きだなこの味」
賢者「そうかい?へへぇ」