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魔王「死に逝くものこそ美しい」女勇者「その通りだ」
Part9


317 :>>1 :2014/05/20(火) 00:55:35.21 ID:JDL4GBzuo
勇者「……ならさっさと攻撃すれば良かった」
魔王「貴様は自ら攻撃せぬと思っていたのだがな?」
勇者「脅威が目の前にいるのに攻撃を待っているのは間抜けのやること」
魔王「違いない」
勇者「貴方は……」
魔王「そして貴様は未だに我の射程圏内にいることも違いない」
勇者「ッ!?」
小規模の太陽とも形容できる火球を複数個同時に放つ。
人の唱える《核熱》の極大呪文、それを遥かに超える熱量である、避けねば回復呪文など間に合わず即座に蒸発する。

318 :>>1 :2014/05/20(火) 00:57:14.97 ID:JDL4GBzuo
勇者「フンッ!」
発現した魔法の着弾音とは違う甲高い破裂音が鳴り響く。
遠目にて初めて知覚できる勇者の動き。やはり拳での一撃。
技術は無い。振り上げた拳を、そのままに振りぬく、単純な暴力である。
しかし、どういうわけだ。
その一撃で火球はすべて消し飛び
勇者「……ふう」
勇者は全くの無傷である。
人の、否、この星の物質の道理を超えたものである。

319 :>>1 :2014/05/20(火) 00:59:17.48 ID:JDL4GBzuo
魔王「やるな、ではこれではど……」
次いで《暴風》にて部屋ごと吹き飛ばさんとするとした時、
魔王「…………な」
勇者「……遅い」
勇者は目の前で拳を振りかぶっていた。
魔王「チッ!」
僅かに首を傾けそれを回避、出来ない、何故、ニ連撃?この一瞬で?
打擲音と言うには苛烈すぎる強大な音と共に、再び我は壁に磔にされる。
不可解である、いかな勇者とて単純な体力でこうまで動けるものではない。
ましてや我の知るいかなる存在の身体能力であっても不可能だ。
そして何故、物理力のみで我に攻撃を加えられる。

320 :>>1 :2014/05/20(火) 01:00:28.18 ID:JDL4GBzuo
勇者「これで……っ!」
魔王「む……」
弾雨の如く拳撃と蹴撃が降り注ぐ、一発一発が殺意の塊であるかのような錯覚を覚え、直ちに転移で回避する。
勇者「…………」
転移した我に気付き、ゆっくりと振り返る女の眼は常ならぬもの、あの炎は僅かにその双眸で揺らめいている、だが今とあってはそれがむしろ他者を平然と殺戮する冷淡さを放っていた。
魔王「ここまでやるとは思っていなかった」
勇者の背後にある壁の打撃痕はおおよそ打撃でついたものとは言い難いもの。
殴られた場所が丸ごと抉り取られたかのような異様さ、あれは
魔王「浄化の雷をその拳に纏わせるか」

321 :>>1 :2014/05/20(火) 01:03:02.36 ID:JDL4GBzuo
その問いに呼応するように勇者の拳が放電する。
浄化の雷。神の怒りの形容。
その本質は自然現象としての放電や雷撃呪文のそれとはかけ離れている。
浄化とはよく言ったもの、問答無用で相対するものを『消滅させる』、勇者の特権にして、我に傷を負わせる数少ない手段。
担い手によってその発現結果は異なる。炎の柱、雷の槍、絶氷の剣。
この女の場合は『神の鉄槌』というわけだ。
魔王「恩恵の力で一息に殺そうとはしないのか?」
勇者「巡る生命でない貴方に通用するとは思えない」
魔王「で、あろうな。しかし解せぬ、その動き自体はこの世界の理より逸脱している、何故であるか?」
勇者「そう言われてベラベラと種明かしをする間抜けだとでも思っているの?」
魔王「否、少し面白い、それだけだ」

322 :>>1 :2014/05/20(火) 01:04:09.09 ID:JDL4GBzuo
『生命』の恩恵によって何らかの身体強化を行っているのは間違いない。呪文による強化の範囲を明らかに逸脱している。
無手に見せかけ、この女は利用できるものは全て利用し、まさに全霊を以って我を殺さんとしている。
しかし、何にしても、こうすれば良いだけのこと。
魔王「ふむ……」
雷召喚。
勇者「ウアッ!?」
掌より一瞬の雷光、そしてそれで充分すぎる。
魔王「まあ、これを躱すことはかなうまい」
いくら速かろうとも電光より速く動ける生物などこの世に、ましてや神の世界にも存在しない。
神器を身に纏わず、それを無効化する術を持たないのであればそうするまでである。

323 :>>1 :2014/05/20(火) 01:06:27.77 ID:JDL4GBzuo
勇者「グウ……ッ」
魔王「終わりか?つまらない」
勇者「私は……まだ、やれる!」
魔王「そうであろうな?そうでなくては」
雷によって体組織の多くが蒸発したのであろう、蒸気を上げて蠢く様は死に体同然である、が。
勇者「今、止めを刺さなかった事を後悔しなさい……!」
その目に宿る炎が再び燃え盛る。
成程、予想はしていたが。
魔王「やはり傷を塞ぐか、貴様の得た恩恵を考えれば誰にでも予想の付くことであるが」
聞き慣れない異音をあげながら、勇者の傷が瞬く間に塞がる。
長時間の詠唱のもとに行使される高位の法術より遥かに短時間の内にである。

324 :>>1 :2014/05/20(火) 01:10:47.56 ID:JDL4GBzuo
魔王「しかれど徒労よな?」
再度の雷召喚。
しかし。
勇者「もう効かないッ!」
魔王「ッ!?」
直撃する雷撃、だが全く通じていない。
突進の勢いのまま放たれた蹴りが振りぬかれのを視界の端に捉え、同時、首をもがれるような衝撃が襲う。
耳慣れぬ炸裂音が響いたのはその後の事である。
放たれた雷は確かに直撃した、であれば先程と結末は同じであるはず。
魔王「なんと……いかなる術式であるか」
我に地を這わせたのはこの勇者が初めてである、成程、これが屈辱と言うものか。

325 :>>1 :2014/05/20(火) 01:12:52.20 ID:JDL4GBzuo
勇者「……余裕があるようだ」
魔王「初めから解り切ったことであろう、しかし少し面白い」
再び目が覚めた。
この勇者を殺す法などいくらでもある。
しかし、この屈辱、この湧き上がる衝動、ただ殺したのであっては収まりがつかぬ。
魔王「なれば我も貴様の流儀に付き合うとしよう」
絶対的な防御である衣を投げ捨て、拳を構える。
そうすることでこの屈辱は晴れる、我が身は充足する、相手の本領にて正面から駆逐する。
それが我の在り方なのだ。
勇者「その慢心が命取りになる」
魔王「その根拠の無い自信が命取りになる」
次の瞬間。
勇者の拳も、こちらの拳も、互いの顔面に突き刺さっていた。

326 :>>1 :2014/05/20(火) 01:16:08.72 ID:JDL4GBzuo
*************
おかしい、徒手での打撃により勇者やその仲間を骸に変えてやったことなどいくらでもある。
それこそ『拳聖』などと人より賞賛され、拳の一突き、蹴りの一振りで数多の魔を滅ぼしてきた徒手格闘の使い手をだ。
どれも我の前にとって造作も無い者達だった。自分の本領とする領域で散っていった。
勇者「まだ、まだ……どうしたの……?私は、生きてる」
顔面の半分を吹き飛ばされて尚、立ち上がる。
この勇者に技術は無い。あやつらより経験も明らかに不足している。
勇者「……ふう、なんと言えばいいのか、これは」
勇者の傷は瞬く間に塞がり、その闘志もまるで尽きる気配が無い。
しぶとい、それだけのはずである。
だというのに。

327 :>>1 :2014/05/20(火) 01:17:38.02 ID:JDL4GBzuo
勇者「……徒労?」
傷を増やしているのは、我のみである。
絶対防御を外し、生身のまま神の拳を受け続けたこの身は崩壊しつつある。
しかし引き返すことはならぬ、あってはならない。
魔王「何故か、何をした勇者?」
勇者「……生命を知って、歩み寄ることを覚えた貴方なら、何故私に打ち負けるかなんて簡単にわかるはず」
魔王「何だと……?」
勇者「そんなに知りたいなら教えてあげるわ、どうして貴方が私に勝てないか、どうせどうにも出来ないし」
魔王「…………」

328 :>>1 :2014/05/20(火) 01:19:37.31 ID:JDL4GBzuo
勇者「生命ある者はみんな、敗け続けるように出来ていない。みんな戦い方を覚える」
魔王「人間のような虫けらがどれほど強くなろうと同じことだ」
勇者「そうね」
魔王「ならば」
勇者「だから私のこの体は既に人ではない」
魔王「な……」
勇者「生命ある者はそうして生きてきた、強化ではない、これを 進化 というの」

329 :>>1 :2014/05/20(火) 01:25:17.55 ID:JDL4GBzuo
魔王「妄言も大概にしろ女……進化とは世代を重ねて行われるものだ」
勇者「それこそがこの恩恵によるもの、私の足元では幾千、幾万の生と死が繰り返されている……貴方は知らないだろうけど、私の中でも」
魔王「だとしてもやはり馬鹿げたことだ、生物である以上、限度がある」
勇者「そうね、でもこの進化は、それ以上に馬鹿げた貴方達、魔族と、勇者という存在があっての事」
魔王「そんなことがあって……」
勇者「この身は人間の形をしているだけ、でも私はもう人間じゃない、魔族でも無い、魔族の力を無効化して殺す、その一点に進化した体を持ったナニカ」
魔王「化け物め……」
勇者「この力を軽視して諦めた神様も、貴方も、みんな馬鹿だ、馬鹿ばっかりだ」

330 :>>1 :2014/05/20(火) 01:27:01.91 ID:JDL4GBzuo
勇者「この星で『私達』程、殺し合いをしてきた存在はいないというのに」
魔王「調子に乗るな下等生物が……」
勇者「……やはり今日の貴方は少し変、戦闘が始まったころから違和感を感じていた」
魔王「何……?」
勇者「私の知る貴方はそんなに小物ではない」
魔王「愚弄するか人間」
勇者「……『役割』がそうさせているの?」
魔王「『何をわけのわからぬことを』」
勇者「…………」

331 :>>1 :2014/05/20(火) 01:27:49.88 ID:JDL4GBzuo
魔王「戯れはここまでだ……」
勇者「そうして頂戴、そして……」
魔王「では、死ぬがいい……ッ!!」
勇者「あの人を返せ……ッ!!」

332 :>>1 :2014/05/20(火) 01:30:33.72 ID:JDL4GBzuo
訂正 >>303 
→× 勇者「嘘、貴方だって良く知っているはずだ」
→○ 勇者「嘘、貴方だって良く知っているはずだ、死に逝くものが何故美しいかを、そしてそれは滅びでは無いということを」
良しなにお願いします。
本当にたくさんのレスありがとう。まだ続きますよ?
今日はここまで。

333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/20(火) 01:41:26.15 ID:jlNSGLIAO
乙!
まだ続きが読めるんだね 嬉しい

335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/20(火) 09:55:01.05 ID:5j7zfBDb0

ヒロインは魔王様だったか

336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/20(火) 10:01:56.26 ID:QfzgImS6o

二人には幸せになってほしい……

337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/20(火) 11:24:18.39 ID:Ey4468Fm0
完結が楽しみなのに終わって欲しく無い……

343 :>>1 :2014/05/21(水) 23:21:11.55 ID:DUn+F9BLo
生命の恩恵を受ける勇者よ。よくぞここまで我を追い詰めた。
しかし、それすら我にとって余興に過ぎぬ。
己の無力を骨の髄まで味わうが良い。
その眼に宿る忌々しい炎を今ぞ吹き消してやろう。
絶望の末、貴様はここで骸をさらすのだ。
勇者「お前がみんなを殺した!キノコの人も!獣の人も!」
突進。最早、姿を捉えることは叶わない。爆ぜる石床、舞い上がる花弁により、その軌跡が辛うじて解る。
《凍結》
腕の一振りで広大な部屋を白銀の世界に変え、勇者を氷柱に埋める。
絶対零度の前では全ての物質が凍結する。貴様等生命はいつの世も、冬によって死に絶えるのだ。
徒労なり。

344 :>>1 :2014/05/21(水) 23:22:41.89 ID:DUn+F9BLo
勇者「グッ!?ウウウウ……ッ!」
魔王「そうだ、我が滅ぼした、どれも貴様に擦り寄った惰弱な存在ぞ、惨たらしく屍を晒しておった、少し面白い」
勇者「ウ、アアアアアアアァァッ!!」
勇者を捕らえていた氷柱が爆ぜ、周囲の氷雪も氷の結晶となり解け切る。
ここまで早く適応するか、最早この女を縛る呪いや鎖が存在するのか。
しかし徒労なり。
《魔剣召喚》
蒼鈍色の光を放つ魔剣が数百本。
意のままに動くそれを正確無比に勇者を目がけ弾雨の如く射出する。

345 :>>1 :2014/05/21(水) 23:24:18.66 ID:DUn+F9BLo
勇者「お、お前が殺したんだっ、機械の人もっ!妖精の人もっ!」
尚も飛来する魔剣を叩き落し続けるが、目に見えてその動きは緩慢。もはや女の体は針山の如く剣が突き刺さっている。
勇者「クッ……ガッ……!」
魔王「殺したとは妙ぞ?あれらは無機物に曖昧な存在ゆえな。実に味気ないものであった」
勇者「お前は……ッ!あの人じゃない……ッ!」
魔王「動けぬか?ならばそのまま死ぬがいい」
大呪文を避け、あるいは詠唱を妨害し、適応すらしてきたがここまでである。全身が爆ぜればどうにもなるまい。
《空間ばくさ……》
勇者「あの人を……」
何故、目の前に

346 :>>1 :2014/05/21(水) 23:25:23.98 ID:DUn+F9BLo
魔王「な……」
勇者「返せえええぇぇぇっ!!」
反応も許されず、無防備に拳を受け、吹き飛ばされる。
魔剣は物理力で破損するようなやわなものではない。何故、虜の身から脱したか。
勇者「お前なんか、あの人じゃない……ッ!」
魔剣はそのままである。
ただし手に足に、重石の如くぶら下がる石床の破片ごとである。
突き刺さる石床ごと引き抜いてここまで来たと言うか。
魔王「囀るな人間」
どんな呪文も攻撃も適応するのであれば初見の法で即死させるのみ。
広範囲であればかわせまい。
《閃熱》にて蒸発せよ。

347 :>>1 :2014/05/21(水) 23:26:51.76 ID:DUn+F9BLo
勇者「フンッ!!」
突破される。閃熱を潜り抜け、拳をまともに叩き込まれる。
何ゆえか、既に耐性を持つと言うか。
魔王「……妖精王を降した折にか、あれは魔法に長けていた。ならば貴様に属性魔法は効かぬとみた」
単純な殴り合いで打ち負けるも獣王を制覇した為か。ならば通常の法ではこやつは死ぬまい。
いかなる毒も効くまい、菌糸を叩き伏せたのだから。
いかなる防壁も突破するであろう、ゴーレム共を粉砕したのであるから。
魔王「役に立たぬ下等存在共よ、魔の者にあって勇者の血肉となるとはな、早々に殺しておくべきであったわ」
勇者「あの人の口で喋るな!」
魔王「あの人、あの人と、何を先程から世迷いごとを……我は『こういうもの』だ」

348 :>>1 :2014/05/21(水) 23:28:19.00 ID:DUn+F9BLo
勇者「そういう風に創られたのは知ってる、けどあの人はそんなことは言わない、もう歩み寄ることを覚えたもの!」
魔王「生憎覚えが無い、誰のことを申しておるのか」
勇者「だからお前はあの人じゃ無い!あの人は愉悦の為に世界を滅ぼそうとする自分を変えようとしていたもの!簡単に他の人たちを殺したりするものか!」
魔王「ほう?少し面白い、続けてみよ」
勇者「どうやっても抗えない運命がある、あの人にとって『役割』はそうだった、けどあの人自身の感情はそうじゃない」
勇者「最初は定められた役割の元、自分はそういうものだって諦めてた。けど、少しずつ変わっていった、自分は本当は生きたいんだって気付いた」

349 :>>1 :2014/05/21(水) 23:29:35.91 ID:DUn+F9BLo
勇者「春に穏やかな陽光を浴びて、夏に溢れる生命を感じ、秋に散っていった命を忍び、冬の後にまた命が来ることを、巡ることを理解した」
勇者「あの人は、そんな世界が好きだった。散っていった戦士達に対する礼儀を知っていた!それが出来ないお前があの人であるものか!!」
魔王「…………ク」
勇者「…………」
魔王「クハッ、クッハハハハハハッ!!何を言うかと思えばっ!我が!?あのような有象無象共を!?」
勇者「お前……」
魔王「面白い女よ……教えてやろう、この魔王はな」
……貴様等が虫唾が走るほど嫌いであった。
勇者「…………」

350 :>>1 :2014/05/21(水) 23:32:11.26 ID:DUn+F9BLo
魔王「憎悪していた、妬んでいた、羨んでいた」
魔王「人と和合する魔を、魔と共に生きる人を、巡る生命を、輪をつくり生きる者共を」
魔王「力も無く、叡智も無く、限りあるくせに、不完全なくせに、何一つ創るに血反吐を吐き、何一つ滅ぼすのにのた打ち回る」
魔王「それでいて自由を得、楽を知り、満ち足りているのが我には許せん」
魔王「我より弱いくせに、我より脆いくせに、我より矮小なくせに」
魔王「我は……貴様ら生命在る者共が大嫌いだ」
魔王「だから滅ぼす。嫌悪する存在がのた打ち回る様は我が心を満たす。故に死に逝くものこそ美しいのだ……」

351 :>>1 :2014/05/21(水) 23:32:53.66 ID:DUn+F9BLo
勇者「……違う」
魔王「……何だと?」
勇者「あの人は……貴方は、『貴方達』は大好きだった」
魔王「…………」

352 :>>1 :2014/05/21(水) 23:34:34.64 ID:DUn+F9BLo
勇者「愛していた、抱きしめたかった、恋焦がれていた」
勇者「人と歩み寄る自然を、共に生きる世界を、巡る命を、輪をつくり愛し合う人達を」
勇者「力も無く、知恵も無く、限りがあって、不安定で、作物一つ作るのに汗を流して、死が訪れる度に涙を流して」
勇者「不自由で、苦しくて、満たされないけど」
勇者「それでも強くて、逞しくて、どこまでも広大で」
勇者「だからこそ愛せるの」
勇者「だからこそ尊いの、限り在るものこそ、死に逝くこそ美しいから」