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魔王「死に逝くものこそ美しい」女勇者「その通りだ」
Part7


229 :>>1 :2014/05/13(火) 23:46:28.86 ID:rGb98vWto
菌糸王(小)「「「ようやく理解できましたか、所詮は我等あってのこの世界ということに」」」
菌糸王(小)「「「ゴーレムの……先程から黙っていますが、言葉も出ませんか?まあ、無生物の貴方にはわかる話でもありますまい」」」
菌糸王(小)「「「我等こそが真の霊長であるということに!!」」」
機械王「…………ソレハ」
妖精王「…………」
獣王「…………」
機械王「単ニ貴様等ガ『食サレル側』、トイウコトデハナイノカ?」
妖精王「…………あ?」
獣王「…………うむん?」
菌糸王(小)「「「…………え?」」」

230 :>>1 :2014/05/13(火) 23:48:03.21 ID:rGb98vWto
妖精王「……くっだらね、おい犬ッコロ、テメーんトコロの豚にでも食わせとけよ」
獣王「ふ、冗談を申すな、あれ等とて食は選ぶ」
菌糸王(小)「「「」」」
妖精王「阿呆らし、帰るぞ」
獣王「まあよい、いずれ我等の優位を示してやろう」
妖精王「……オメーそれマジで言ってんの?」
獣王「なにがだ?我等が優秀なのは示すまでも無いことは確かだが」
妖精王「ちげーよ、こんな馬鹿馬鹿しい茶番がアタシ等魔族のやり方かってんだ?」
獣王「……言わんとすることはわかる、貴公と意見が一致するのは不快であるが」

231 :>>1 :2014/05/13(火) 23:49:02.33 ID:rGb98vWto
妖精王「なあ、犬ッコロ。魔王様はなんで人間を滅ぼさねえ?あの人間が来てから襲撃だって一度もしてねーだろ」
獣王「…………」
妖精王「食うにゃ困らねえさ、アタシ等は、人間共と違ってアホみてえに増えねえからな?だが恨みはあんだろ?住処追いやられたのはアタシ等だけじゃねー、テメー等もだ」
獣王「……そうだ」
妖精王「あの、ポンコツだってそうだ、酸の雨降らしてんのは人間共だ。その恨みがある上、尖兵の勇者どもはあの女以外、皆殺しにした」
獣王「最早、我等を止められるものは誰もおらぬであろうな」
妖精王「……ヌルくなってんじゃねえか?」

233 :>>1 :2014/05/13(火) 23:53:53.83 ID:rGb98vWto
獣王「自殺願望があるとは驚きだ、それを魔王様に奏上してみろ、貴公の願いは叶うであろう」
妖精王「言えねえよ、塵も残さず消滅させられる、だがオメーはそれでいいのか?」
獣王「我等、否、私は受けた恩を忘れぬ」
妖精王「…………」
獣王「住処を追いやられた我等に安息の地を与えてくれたのは魔王様だ。それは貴公とて同じことのはず」
妖精王「あの人は人間を殺すのが楽しかっただけだろーが、アタシ等助けるためじゃねーよ」
獣王「貴公等との戦で無用な血を流していたのを止めてくだすったのも魔王様だ」
妖精王「互いに服従してる時は良い子にしてねーとぶっ殺されるからだろーが」
獣王「どのような形にしろ、あの方の力のお陰で今の我等がある。我等はあの方に『寄生』しているのだ」
妖精王「…………」

234 :>>1 :2014/05/13(火) 23:54:54.29 ID:rGb98vWto
獣王「我等がどのような手立てを打ってもその度に勇者共に打破されてきたのを忘れたか?」
獣王「力及ばず森を失ったのを忘れたか妖精の、我等は魔王様に侍っておかねば皆滅びていたことを忘れたか?」
妖精王「…………チッ、あーあ、人間は今頃、ヌケヌケと平和を満喫してんだろーなぁ」
妖精王「ぶっ殺してえなぁ……」
菌糸王(小)「「「」」」
キノコ屍人「アウー」
機械王「トコロデ、菌糸類ヨ、先日、人間ヨリ『霧吹キ』ナル概念ヲ伝エ聴イタノダガ、貴様ニハ必要ナノデハナイカ?今ナラ領土割譲デ……」

235 :>>1 :2014/05/13(火) 23:55:45.96 ID:rGb98vWto
今日はここまで。

236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/13(火) 23:57:00.64 ID:sd3pzUdAO
乙ー

240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/14(水) 13:13:47.66 ID:Hxb1BKZr0
この空気好きだわー

241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/14(水) 23:21:28.02 ID:OqyTwFnDO
おつ
少し…もといすごく面白い
ちょっと小説版クレヨン王国思い出した

242 :>>1 :2014/05/15(木) 00:06:53.91 ID:pVtn8WRto
*************
魔王「ヨミよ、戻ったぞ」
ニャーン……
寝床から微動だにせず、声のみで我を出迎える豪胆さを持つのは世界広しと言えどこの下僕以外他にあるまい。されどどういうわけか殺意は湧かぬ上、むしろ少し面白くある。
魔王「ヨミよ、今宵は『祭り』なるものを見聞した、中々に盛況であった、皆も思いのほか楽しんでいたようである」

243 :>>1 :2014/05/15(木) 00:09:19.07 ID:pVtn8WRto
魔王「……人間の『歌』を聴いた。驚くべきことに、魔族である我等が人間に心を奪われていた」
見慣れぬ装束を纏い、高らかに唄うあの女が思い浮かぶ。
下手を打てば直ちに、否、適当に理由をつけて痛苦の海に沈めるつもりであったというのに、結局、我には手も足も出なかった。
魔王「何故であろうか、あれ等は皆、人間に恨みを持つものばかりであるというに、何故、事もあろうに勇者と同調したのであろう?」
魔王「誰もが生を祝い、死を称える歌を唄った」
魔王「体裁を気にするだけであのような催しを出来るものであるのか?精霊すらそのようにあった。輪の外にいたのは……我のみである」
次いで思い浮かぶのはそれぞれの王を筆頭とした他の魔族。
あの歌は我に対する余興という名目であった。しかしその範囲を逸脱し、明らかに各々の想いを唄い叫んでいた。
誰もが皆、あの歌に、生と死に思うものがあるというのか。

244 :>>1 :2014/05/15(木) 00:10:50.58 ID:pVtn8WRto
ニャーン……
魔王「おそらく今宵のうちにも眷属共は再び人間への憎悪に燃えるのであろう、しかし我は……」
魔王「愉悦の為のみ殺す。なれば我は魔王にあって魔族にあらず、否、やもすればこの星の者ですら……」
魔王「この世界の中で我のみ輪の外にいたのだ……我は……我とは」
この身は『役割』を逸脱することは許されぬ。他者の滅びを望み、意のままに殺し、そうすることで初めてこの身は充足を得る。
そして、今宵の祭りを経て、あの歌を聴き、愛しあう者達を目にし、我は理解した。

245 :>>1 :2014/05/15(木) 00:11:55.14 ID:pVtn8WRto
我は何故、『食』に固執したか。
我は何故、和合する魔族に不快を覚えたか。
我は何故、勇者の眼に灯るあの炎を忌み嫌ったか。
今宵、理解できた。出来てしまった。
我は、あの女を、あの女に、あの女が……
ニャーン……
魔王「ヨミよ……我を許せ……」
.

246 :>>1 :2014/05/15(木) 00:13:36.58 ID:pVtn8WRto
*************
《 勇者の住まい 》
降りしきる雪がすべてを覆い尽くす。それは魔界にあっても変わらない。
流石にこの天候であってはあの女も田畑を耕したりはしていない。家畜どもも小屋の中だ。
あの虫けらはどうしたのであろうか。
ふ、と懐の中を見やる。
魔王「動くでない、貴様は我が忠実なる下僕であろう」
しかし光栄に思うが良い、この衣の内はいかなる勇者であっても入り込めなかった領域、貴様が最初で最後の者と知るが良い。等としていれば。

247 :>>1 :2014/05/15(木) 00:14:44.40 ID:pVtn8WRto
勇者「…………誰?」
魔王「む?」
ニャーン……
勇者「…………ッ!」
魔王「待て、何故閉めるか?」
勇者「な、なんでもない、つい、そう、理由は無い」
魔王「そうか」
勇者「そうよ」
魔王「…………」
勇者「…………」

248 :>>1 :2014/05/15(木) 00:15:43.22 ID:pVtn8WRto
ニャーン
勇者「 ! ……猫?」
魔王「む、ヨミよ、出てきてはいかん、この雪は貴様には堪えるぞ」
勇者「 ッ!! 入って!」
魔王「よかろう、もてなすが良い」
勇者「……相変わらず素直じゃない」

249 :>>1 :2014/05/15(木) 00:17:12.94 ID:pVtn8WRto
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愉悦の笑みが止まらぬ。
忌々しい畜生めが、我が下僕の力を覚えたか、貴様などでは手も足も出まい。我の不快を買った己の不肖を今ぞ悔いるが良い。
クゥーン……ウォンッ……
魔王「ククク……そうだ、それで良い」
そうして床に這い蹲り、強者の機嫌をとるが良い、それが貴様等、畜生の在り方というもの。
しかしそれは徒労と知れ、このヨミの相手は、魔王である我ですら容易にはいかぬ。
無詠唱で《武装解除》を連発し、いかな呪文を唱えようとこやつの前では《散漫》させられる。我が軍最強の存在である。

250 :>>1 :2014/05/15(木) 00:19:44.99 ID:pVtn8WRto
魔王「ヨミよ、聴かせてやるがいい」
ニャーン
そして、音に聞くが良い、この破滅の調べを、この声の前では例え勇者であろうと
勇者「鳴いたっ、ネコっ、こっち、こっちに来てっ」
勇者であろうと……
勇者「こっち、こっちよっ、にゃー、にゃにゃ、にゃ……にゃ」
魔王「…………」
勇者「…………」
何故、我が苦しくなるのであろうか。

258 :>>1 :2014/05/17(土) 00:25:12.70 ID:Q6DT82TQo
勇者「…………ふう」
魔王「待て、貴様、今の言語はなんだ?貴様、精霊言語はおろか、知性を持たぬ獣の言葉まで用いるか?」
勇者「なんのことかわからないわ」
魔王「馬鹿な、今、確かに『にゃー』と……」
勇者「言ってない」
魔王「神の恩恵により会話を」
勇者「そんなものは無い!」
魔王「しかし我はしかと」
勇者「言って無いっ!大体、貴方こそ、その変わらない表情で恥ずかしいことを言い過ぎる!」

259 :>>1 :2014/05/17(土) 00:26:16.87 ID:Q6DT82TQo
魔王「馬鹿な、我は己に恥ずることなど何も無い」
勇者「い、今『にゃー』と言っていたっ」
魔王「貴様を模倣しての事だ」
勇者「だから私は別にっ」
魔王「ははあ、成程」
勇者「っ!?」
魔王「察するに今の『にゃー』、とは貴様等、人間の世界では恥ずべきことなのであろう?」
勇者「そ、それは」
魔王「成程、少し面白い。平時、冷静を装う貴様もこのように我を忘れ、己が恥ずべき行いを犯してしまうことがあるのか」
勇者「くぅ……だからそれは貴方も同じことっ」

260 :>>1 :2014/05/17(土) 00:28:09.18 ID:Q6DT82TQo
魔王「何度でも聴くが良い、我は己を恥じることなど無い」
勇者「あ、あの時だってっ」
魔王「あの時?」
勇者「祭りの時、泉で……」
魔王「何か言ったか?」
勇者「……あ、ぁぃ、し、て……る、と」
魔王「ハッキリ物を言え」
勇者「あ、貴方と違ってそんなことは言えない……」
魔王「今日の貴様は表情がよく変わり、少し面白い、が、いつもの方が我も好ましく思うぞ」
勇者「こ、好まし……そ、そう」

261 :>>1 :2014/05/17(土) 00:29:38.92 ID:Q6DT82TQo
勇者「ではない。結局何をしに来たの?」
魔王「それも聴かずヨミにまとわり付いたのは貴様の方なのだが」
勇者「猫は可愛いもの、仕方の無いこと、貴方も知っているはずよ」
魔王「む……確かに、ヨミならば仕方があるまい」
勇者「仕方が無い」
魔王「仕方が無い」
勇者「……コーヒーでも煎れよう」
魔王「苦しくない」
席を立つ女をそのままに、我が膝で丸くなった下僕の背を撫でつつ『コーヒー』とやらを待つ。
コーヒーとやらが何かはわからぬが、それの準備は滞りなく進められているのであろうことがわかる。
相も変わらず女の動きは淀みがなく、熟練されたものであった。

262 :>>1 :2014/05/17(土) 00:30:54.12 ID:Q6DT82TQo
魔王「……貴様は、各界の王を伏せ、恩恵の力を自由に御せるようになった、相違ないな?」
その背に向けて問う。
女の肩が僅かに反応するが、何事もなかったように元の動きを続ける。
それは肯定と捉らえてよかろう。
魔王「今ならば、疎んじられることは無いのではないか?」
勇者「……どういうこと?」
魔王「今ならば、貴様は人間の領域に戻ることが出来るのでは無いかと言っておる」
勇者「…………」
再びの沈黙。察するにコーヒーとは、飲み物の類か、それようの容器が二つ並べられる。
魔王「御することができなんだ故、人に疎んじられた貴様のその力も、今であれば重宝されるものなのであろう、それは我にもわかる」

263 :>>1 :2014/05/17(土) 00:34:12.90 ID:Q6DT82TQo
魔王「ならば人里に戻るが貴様にとって安楽な道では無いのか?」
ろうとのような形をした珍妙な容器にお湯を注いただ先、香ばしい香りが部屋に充満した。
安堵をもたらす芳香である。
魔王「それとも……」
そうして黒色の液体が目の前に供される。
立ち行く湯気は、その芳香を具現化しているかのように怪しげな魅力を撒き散らし、やもすれば蠱惑的ですらあるように思える。
勇者「貴方はこれを入れた方が良い」
次いで出されたのは小さな容器に注がれた乳と、砂糖である。
甘くして飲むものなのか。
砂糖を入れ、乳を流し込めば黒色の液体は泥のような色へと変わる。
香りはともかくあまり食指のすすむ色合いではない。しかし、我は知っている、これはあの『オーバンヤキ』と同系の色合いであると。

264 :>>1 :2014/05/17(土) 00:38:28.00 ID:Q6DT82TQo
魔王「……勇者としての『役割』を果たすか?」
そうしてコーヒーを一口。
程よい甘さとまろやかさは後に混ぜた乳と砂糖であるか、それがまたこの香りと見事に調和している。
鼻腔に抜ける芳香は、それまで漂っていたものとは比べ物になるぬ程に濃密で、かといって鼻に触らぬ穏やかなものであり、それが大いに安堵をもたらした。
勇者「それは、貴方と殺し合いをする、と言うこと?」
剣呑な顔をする女。
もう一口、の前に、息の限り芳香を吸い込む。
なんと安息をもたらす香りか。
魔王「それでこの世界の決着が付く」
勇者「そうなの」

265 :>>1 :2014/05/17(土) 00:40:00.87 ID:Q6DT82TQo
魔王「……それだけか?」
勇者「……神様に好きに生きろ、と言われたとを話したことがあるわ」
魔王「貴様が初めて我が城に訪れた時だ」
勇者「そうね、実はその話には前がある」
魔王「前だと?」
勇者「……初めて力が現れて、村のみんながおかしくなって、私が触るものは全て朽ちていって、裸のまま泣いていたら神様が現れて服を着せてくれたわ」
勇者「そして、自分が神であることを名乗ると、私は誰からも期待されていない、そう神様は言ったわ」
魔王「神どもは諦めの境地に達しておったか」
勇者「そう、神様は何かを諦めていたの、そして本当は私がそれをなんとかしなくちゃいけないんだってことは、なんとなくわかったわ」

266 :>>1 :2014/05/17(土) 00:41:29.14 ID:Q6DT82TQo
勇者「でも、その期待されないといけない何かがわからないまま、神様は力の説明だけして、好きに生きろって私に言った。そして消えた」
魔王「ほう、少し面白い」
勇者「そう?私は無責任さに腹が立ったわ。諦めているなら最初からこんな力を授けなければいいのに」
魔王「その通りであるな。中途半端に『役割』を担いながら、その実、その完了を諦めていたわけだ、やはり、少し面白い」
勇者「残された私は異端の扱いを受けた。どの法術や魔法にも無い力だもの」
魔王「知らざるを恐れるは誰もがそうである。しかし貴様等人間のそれは異常であるな」
勇者「そうね、追放ですんだのが奇跡に思えるわ」

267 :>>1 :2014/05/17(土) 00:43:46.63 ID:Q6DT82TQo
勇者「そして流れに流れて、ここに来た」
魔王「……貴様は諦めないのか?」
勇者「……どうして?」
魔王「生まれ育った里を、人の領域すら追放され、安息の地を求めてさ迷い歩くは貴様等のような矮小な存在にあって楽な道では無いであろう」
勇者「そうね、決して……楽ではなかった」
魔王「では何故諦めない?定められた『役割』すら外されて、それでも生きようとする貴様の存在意義は一体なんだというのだ」
魔王「人は幸福を求め生きると聴いた。しかし貴様は見も知らぬ神より落胆され、人からは化け物扱いされ、それとは程遠い位置にいたのであろう」
魔王「何故それでも貴様は生きる?そして、何故貴様の眼には」
あの忌々しい炎が……そう言葉に紡ごうとしていた、その炎が、今ぞ女の眼で輝いていた。

268 :>>1 :2014/05/17(土) 00:46:17.74 ID:Q6DT82TQo
女の足元からは不自然になまで草花が咲いては枯れ、否、枯れる速度を追い越し、次々と初々しい蕾を作った。
勇者「神様も人間も世界も諦めたければ諦めれば良い。でもそんなの弱虫のやることだ、粛々と滅びを迎えいれる等、虫でもしない」
その言葉に同調するように花々は一斉に咲きほこり、コーヒーの芳香をかき消し、存在を主張するかのような、真夏の森にも似た瑞々しくも力強い香りに満ちた。
勇者「この世界のほとんどは誰も諦めなどしない、最後まで抵抗して、血の一滴まで絞りつくし、文字通り命の限り戦い続けている」
いつかのように撒き散らされる花粉が金箔のように煌き、質素な小屋を荘厳な神殿に造りかえる、
そしてそれは目の前に立つ女が誰であるかを、眼前の我に、彼の者を見捨てた神に、人に、世界に知らせた。

269 :>>1 :2014/05/17(土) 00:47:14.51 ID:Q6DT82TQo
勇者「誰にも愛されなくても、誰にも期待されなくても、生まれたからには私は生き抜いて、戦い抜いて見せる」
間違いなく、
勇者「私達は皆、勇者だ」
この女は、『勇者』だ。

277 :>>1 :2014/05/18(日) 15:01:36.33 ID:D7H/ACUmo
魔王「……そうか」
勇者「……そうね」
魔王「では、戦るか」
勇者「いいえ、そんなことはしない」
魔王「なんと、貴様は生き抜き、戦い抜くのではないのか?」
勇者「そうね、だから、私は私のまま生きる」
魔王「わからんな、貴様は勇者なのではないのか?」
勇者「その通り、けれど、貴方の言う『役割』が、この世界にとっての『勇者』ならそんなもの私は御免だ」

278 :>>1 :2014/05/18(日) 15:02:33.98 ID:D7H/ACUmo
魔王「何故だ。結局それは運命から逃げているのではないのか?」
勇者「いいえ、全然違う、私から、私達から見れば、それは諦めて運命に従っていることと何も変わらない」
魔王「なんだと?」
勇者「いつか、貴方が言った。この世界には神がいて、自分達の中の何かを満たしたくて殺し合いをさせていると」
魔王「そうだ、貴様等勇者を創り出した神より更に上位の神だ」
勇者「そんなものの思い通りになってたまるものか、それが全て」
魔王「そう思えるのも奴等の手の上の事かも知れぬ」
勇者「本当にそう思えるの?」
魔王「なに?」