魔王「死に逝くものこそ美しい」女勇者「その通りだ」
|
Part14
500 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:43:28.95 ID:b0/aJeEao
………………
ゆうしゃ の はなしに まおう は むちゅうに なりました。
「みんな たたかっているんだ」
「わたし が いちばん つよい」
「でも きみ も ぼく も、 その きみ より よわいものたち が いないと、いきていけないんだよ」
「そんなこと が あるものか」
「きみ が たべた ぷりん は むし や どうぶつ が いないと、つくれないんだ」
「すこし おもしろい つづけろ」
まおう は すこしずつ この せかい が すきになりました。
………………
魔王「…………」
勇者「赤ちゃんが抱きたい」
魔王「……貴様のその妙な雄々しさはなんなのだ?」
勇者「失礼な、私は貞淑な妻となる」
魔王「貞淑な女は自国の王や神を拳で殴らぬ」
501 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:45:13.06 ID:b0/aJeEao
………………
ゆうしゃ の はなしに まおう は むちゅうに なりました。
「みんな きずな を つくるんだ」
「それは よわいからだ わたし は つよいから ひとりでもいきていける」
「でも きみ だって ひとり では うまれてこなかったんだよ」
「すこし おもしろい では わたし も おまえ と それができるのか」
「できるさ きっと できる」
まおう は すこしずつ ゆうしゃ に こい を しました。
………………
魔王「何をするか、止めよ」
勇者「貴方はすこし意地が悪くなった」
魔王「魔王ゆえな」
勇者「でも、そのほうが良い……」
502 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:46:33.47 ID:b0/aJeEao
魔王「……我も、貴様に願いがあった」
勇者「貴方が?」
魔王「左様である……これを欠かすことまかりならぬ」
………………
ゆうしゃ と せかい に まおう は むちゅうに なりました。
「わたし は おまえ の ことばかりかんがえてしまう いえ どんな まほう を つかった」
「きみ は ぼく の ことが すきなの?」
「わからない けど いっしょにいて たのしい、 あたたかい」
「ぼく は きみ が すきだよ」
「そうか ところで ぷりん は まだか」
………………
503 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:47:15.59 ID:b0/aJeEao
魔王「プリンが食べたい」
勇者「…………」
魔王「笑うでない」
勇者「ミルク粥が食べたい」
魔王「…………」
勇者「笑わないで」
504 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:48:44.61 ID:b0/aJeEao
従者「……二人とも素直なのかそうでないのか」
にゃーん……
従者「いずれにせよ、童子のような王夫婦だ……好ましいがな」
ハッハッハッハッハ……
従者「ところで、あの絵本、伝承を基に書かれたもの、とのことだが……」
従者「人の入れぬこの魔界の話が、誰の手を渡って伝わったというのか」
従者「ましてや、始原の時の話を……」
従者「……まったく、物好きな傍観者もいたものだ」
にゃーん……
ハッハッハッ ワンッ
505 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:50:10.06 ID:b0/aJeEao
これは むかし、むかし の はなし。
せかい が まだおわりをくりかえしていたころの はなし。
魔王「それが良いなら、いつでも、いくらでも作ってやる、しかし」
ひとり の まおう と、
勇者「それでよければ、いつでも、いくらでも作ろう、けど」
ひとり の ゆうしゃ が、
魔王「我と共に生きてくれ」
勇者「私と共に生きて欲しい」
せかい を あいした はなし。
506 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:51:42.32 ID:b0/aJeEao
魔王「死に逝くものこそ美しい」 女勇者「その通りだ」
END
507 :
>>1 :2014/05/26(月) 23:54:15.59 ID:b0/aJeEao
くぅ〜疲れました!駄文失礼しました。
後日談も出来れば少しだけ書こうと思いますが、この話は一旦ここで終わりです。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
展開に納得がいかなかったり、ゾーマ様のセリフを丸々持ってきたことに憤慨することも多々あったかと思います。
それに関しては誠に申し訳ない。
たくさんのレスありがとうございました。少しでもお楽しみいただけましたようでしたら幸いです。
508 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/26(月) 23:55:10.92 ID:3rODa8Bco
乙!面白かった!
子供に振り回される魔王の後日談も見たいところ
509 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/26(月) 23:56:17.07 ID:D0DDRggeo
乙
くそおろしろかった
510 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/26(月) 23:58:19.58 ID:LCbYeOxMo
えんだあああああああ!
乙、久しぶりに続きが気になってしょうがないSSだった
後日談も期待
511 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 00:03:31.14 ID:mdHHVKR6o
おつ
面白かった
後日談も期待
512 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 00:05:13.83 ID:0lRIZUeAO
乙!
最高だった 本当に最高だった
>>1 ありがとう ずっとずっと、何度でも読みたくなる素晴らしい作品でした
513 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 00:18:04.08 ID:dqVxY5Bt0
一瞬勇者を高次の存在するのかと思ったそんなことはなかったぜ
後日談はよ
514 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 00:23:50.45 ID:YW00mqJ80
色んな事を考えたり思い出した
良い話を読めた
520 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 01:40:06.04 ID:w04fdYn6o
久しぶりにSS読んで電気走った
泣いた
522 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 06:08:08.15 ID:2GA+nP7ho
よかったぁあああああ乙!!!
童話も実態もプリンこだわりすぎで魔王様かわいいよ魔王様ww
あとヨミ様を讃える新宗教が興るべき
後日談も楽しみだ
523 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 08:23:30.75 ID:E3S9/nwz0
乙!
本当に好きな作品だった
後日談楽しみにしてる
524 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/27(火) 09:30:49.55 ID:aADVHtd30
乙
素晴らしく面白かった
528 :
>>1 :2014/05/27(火) 22:03:24.30 ID:pLR5Ra9Ko
想像よりはるかに多い感想のレスに震えが止まらない >>1でございます。
本当にたくさんのレスと感想ありがとうございます。
不肖、私、歓喜に耐えません。
後日談に関しましては、書き溜めてから投下いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
魔王・勇者SSは初めてでしたが、書いてよかったなと思ってます。
今週末には投下できればと思いますので、お付き合いいただけるは良しなにお願いいたします。
ありがとうございました。
529 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/27(火) 22:10:33.66 ID:j9TmkGc00
死に逝くものこそ美しい、良い言葉です
533 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/28(水) 16:10:19.38 ID:bP8ln6rHo
ハッピーでよかった・・・いろいろ考えさせられる作品だった。乙!
534 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/29(木) 01:27:07.45 ID:lsfXxFWy0
素晴らしかった
食い入るように読んで終わってハッピーエンドでよかった
535 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/29(木) 13:19:22.23 ID:oYoYuH6b0
素晴らしかった
536 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/29(木) 15:12:47.82 ID:aZnus6uN0
乙!
みんな可愛くて格好よかったよ!
537 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/30(金) 13:41:27.72 ID:0ZDB269Wo
めちゃくちゃ面白かった!
後日談にも期待!
540 :
>>1 :2014/05/31(土) 20:57:00.82 ID:FFIHiVFwo
これより後日談投下です、が、蛇足とならなければ良いのですが。
よろしくお願いいたします。
541 :
>>1 :2014/05/31(土) 20:57:53.45 ID:FFIHiVFwo
*************
ニア エピローグ
*************
542 :
>>1 :2014/05/31(土) 20:59:18.94 ID:FFIHiVFwo
《 魔王城 魔王・勇者 結婚式 》
機械王「王ヨ、ソシテ王妃ヨ」
勇者「機械の人!ひさし……いいえ、初めまして、そう、私がこの人の妻」
魔王「機械王よ、良くぞ招きに応じた、この我自ら褒め置こう」
勇者「もう、素直にありがとうと言うべき」
魔王「む……」
機械王「構イマセン、ムシロ私ナドガ来テヨカッタノカ」
魔王「何を言う、貴様、我の婚姻を祝えぬと申すか」
勇者「機械の人、今のは『そんなことは無い、大いに楽しんでくれ』と言っている」
魔王「む……」
543 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:00:20.89 ID:FFIHiVFwo
機械王「ナント、王妃ハ翻訳デバイスヲ搭載シテオラレルノカ」
勇者「機械の人、その言葉の意味はよく解らないけれど、卑下しなくて良い、私も貴方に祝ってもらえて嬉しいわ」
機械王「ソレハナニヨリ、ダガ私ハアナタ方トハ違イ、交合スルコトデ子ヲナスコトヲ知ラナイ」
勇者「こ……ッ!?」
魔王「言葉を選べ貴様」
機械王「申シ訳アリマセン、シカシ、ソレガ不適切トワカラヌ程ニ、コノ婚姻ノ意味ガ見出セナイノデス」
勇者「機械の人……」
機械王「ソンナ私ガアナタ方ヲ祝ッテモ良イモノカト……」
魔王「……王として貴様を導こう、ゴーレムの長よ」
544 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:01:22.19 ID:FFIHiVFwo
機械王「魔王様……」
魔王「歩み寄るのだ、我は知っているぞ、巡らぬ生命にあらずとも、我等は理解し合い、歩み寄れることを」
機械王「魔王様、シカシ我等ハ、アマリニモ他ト在リ方ガ違イマス、ソモソモ、コノカラダノ分子構造カラ……」
勇者「体が機械や石なら、いくらでも体を取り替えられるということ」
機械王「王妃ヨ……」
勇者「体の構造が違うなら、私達の体を模して機械で造ればいいじゃないか、そうすれば少しでも歩み寄れる」
機械王「…………ッ!!」
魔王「お前は何を言っておる、出来るはずがあるまい」
勇者「機械の人なら出来る」
機械王「タッタ今、私ニ電流ガ走リマシタ、ア、セン絡シタワケデナク」
この後、ゴーレムの技術を転用し、魔力を原動力とした人造臓器や、人型駆動ゴーレムが魔王軍に編成されたり、
機械王が女性型外殻に仕様変更し、女王になったりしたのはまた別の話。
545 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:02:48.78 ID:FFIHiVFwo
*************
菌糸王(小)「「「見なさい、ああして我等の眷属が下等種族共を支配する様を」」」
キノコ屍人「アウー」
「酒だぁっ!!酒こっちにまわせぇ、うひゃひゃひゃひゃ!」
「おい!こっち向くな!吐くなよ!?吐くなよ!?」
「うぼろろろろろろ……」
「馬鹿共がぁっ!今日は控えろって言っただろうが!消し炭にされてーか!?」
菌糸王(小)「「「愉快極まりない、やはり我等こそ至高の種族であると言えましょう」」」
キノコ屍人「アウー、アウー」
546 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:03:59.39 ID:FFIHiVFwo
魔王「菌糸王……貴様、そのナリはどうした?」
菌糸王「「「これは魔王様、この度のご成婚、お慶び申し上げます」」」
魔王「良い。貴様もよくぞ招きに応じた」
勇者「キノコの人……本当に原木に身を移したの?」
菌糸王「「「これは王妃様、初めまして。私が菌糸を統べるものにして魔王様一の下僕、菌糸王でございます」」」
勇者「相変わら……いえ、丁寧な人ね、今日はわざわざありがとう」
菌糸王「「「いえ……」」」
魔王「この者の功労はまことに優れたものである」
勇者「そうなの?」
菌糸王「「「魔王様……!」」」
547 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:05:35.06 ID:FFIHiVFwo
魔王「その通りだ、酒精に限らず、人の領域にある万能薬、発酵による食料の長期保存、コヤツの力がなければ為しえなかったことは多い」
勇者「流石はキノコの人ね、貴方の眷属にはいつもお世話になっている」
菌糸王「「「……遂に、遂に証明された、軽視され続けた我が一族が、遂に至高の種族であると!魔王様!王妃様!」」」
魔王「特に 『食卓に並ぶこやつらの多彩さ』 は他の追随を許さぬ」
菌糸王「「「……え?」」」
勇者「成程、でも貴方は知らないだろう、納豆、醤油、味噌、これらはこのキノコの人の眷属がもたらす最高の業と言ってよい」
魔王「む……なんだそれは、察するに発酵させたものか?」
勇者「そう、特に醤油は万能の調味料と言ってよい、あれなくしては料理は語れないほどに」
魔王「なんということだ、我は知らなかった」
548 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:06:59.94 ID:FFIHiVFwo
魔王「なんということだ、我は知らなかった」
勇者「な、嘆くことは無い……こ、これからは、その、毎日でも作ってあげる……」
魔王「む……そうか」
菌糸王「「「……あの」」」
勇者「いつもありがとう、キノコの人」
菌糸王「「「え、ああ、どうも」」」
勇者「貴方がもたらす豊かさはこの人の言うとおり、他の追随を許さないかもしれない」
菌糸王「「「…………」」」
勇者「 こ れ か ら も よ ろ し く 」
菌糸王「「「……でございましたか?」」」
魔王「……何?」
菌糸王「「「美味でございましたかっ!?」」」
549 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:08:58.04 ID:gVQJyKqr0
来てた嬉しい
550 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:08:59.54 ID:FFIHiVFwo
*************
獣王「ハナ様……今日は一段とお美しい毛並みだ、私などの眼には毒でございます」
ハッハッハッ ワンッ
獣王「そ、その、ハナ様は巡る生命にお戻りになられたと聴き及びました……」
ワンッ
獣王「どなたか……つがいになると決められた者がいるのであろうか……」
ハッハッハッ……
獣王「不肖ながら、私は一族の王として最も優れた力を持ちます、知恵も、数多在る獣に属する魔の中で、私を越える者はいません!」
ハッハッハッ……
獣王「わ、私は、あ、貴方様と……っ!」
551 :
>>1 :2014/05/31(土) 21:10:18.79 ID:FFIHiVFwo
にゃーん……
獣王「ッ!?ヨ、ヨミ様!?」
ハッハッハッ
にゃーん、にゃーん
獣王「な、なりませぬ、またそのようにお戯れを!ああ、恐れ多いのですが、私の肩に昇らないで頂きたい!」
にゃーん……
獣王「ああ……ヨミ様、なんと、なんとそのような……」
ワンッ! ワンッ!
獣王「ああ!?ハナ様、お待ちください!ハナ様!ハナ様ッ!!」
勇者「…………」
魔王「…………」