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魔王「死に逝くものこそ美しい」女勇者「その通りだ」
Part12


428 :>>1 :2014/05/25(日) 11:48:18.62 ID:sLqpJOqRo
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外に出れば忠実なる者達が揃っている。即ち、我の従者、そしてハナ。
いずれも何が起きたかを理解しているようであり、一様にうなだれている。
そしてヨミ、流石である、お前はこのような時でも変わらず我に擦り寄るのであるな。
魔王「大儀である」
従者「ハッ、いつでも出陣できます」
クゥーン……
魔王「…………ハナよ、貴様の主人は死んだ、今後は我に仕えるがよい」
ハッハッハッ ワンッ
魔王「従者よ、最後までよくぞ我を補佐した、我、自ら褒め置こう」
従者「勿体無きお言葉」

429 :>>1 :2014/05/25(日) 11:49:20.15 ID:sLqpJOqRo
魔王「この家とハナの守りを任せる」
従者「ハッ!」
魔王「何……我一人で充分である」
従者「魔王様、御自らとあっては神の業などいかほどもございますまい」
魔王「ヨミよ……」
にゃーん……
魔王「貴様は、我に侍ってくれるか?」
にゃーん、にゃーん
魔王「よかろう、では、これより」
魔王「魔王軍最後の進撃である」

430 :>>1 :2014/05/25(日) 11:51:03.65 ID:sLqpJOqRo
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転移の呪文にて魔界の頂上、即ち魔王城の天主より世界の果てを望む。
来おったか。
にゃーん……
魔王「心配するでない、ヨミよ」
滅びが迫り来る。
音もなく。
淡々と。
宵闇に染まるのとは違う、ただ闇が世界を埋め尽くす様。
森も、海も、川も、人も、魔も。
一つの悲鳴も上げず、一つの血も流さず。
ここ魔王城を目指し、その周囲を狭める。
そして世界は闇に閉ざされる。

431 :>>1 :2014/05/25(日) 11:53:00.10 ID:sLqpJOqRo
そうはさせぬ。
魔王「神よ、今ぞ知るが良い」
この星に粛々と滅びを迎え入れる軟弱者はおらぬ。
魔王「戦う者こそ、歩み寄るものこそ」
我は生き抜く。戦い続けてみせる。それこそが、その有様こそが。
魔王「死に逝くものこそ美しいのだ」

432 :>>1 :2014/05/25(日) 11:54:30.81 ID:sLqpJOqRo
指定は極大規模、『全て』である。
魔王「10100011010000100100110100100011110000100001010……」
闇の侵食が止まる。
森が、海が、川が、闇に触れる先、それを拒絶するかのように光を放ち侵食を押し返す。
魔王「11010000100100110100011010000100011110000001010……」
直ちに再構成、抵抗を反撃を繰り返す。
否、止まらぬ。
各地で術式が打ち砕かれる甲高い音が鳴り響く。
魔王「10001111000010001001101001000010011010010011010……」
だからなんだ。

433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/25(日) 11:54:44.86 ID:r/mPJi6S0
スレタイ胸熱

434 :>>1 :2014/05/25(日) 11:55:45.95 ID:sLqpJOqRo
その程度か神よ。
我の口はまだ動いているぞ、この星の者共は誰一人として諦めておらぬぞ。何一つとして悲嘆に暮れておらぬぞ。
知っているか、貴様が今消し飛ばした大地に、億の兆のな那由他の数を遥かに超える小さき虫共がいることを。
貴様等はそれ以下である。
このような大規模魔法を用いねば我等を滅ぼすことすらできぬようではな。
この虫共が共生を止めればその程度の滅びは直ちに訪れる。実に矮小な行為である。
魔王「11101010110000000101010101010010010011010110100……」

435 :>>1 :2014/05/25(日) 11:56:33.64 ID:sLqpJOqRo
貴様等にはできまい、自己が生き残らんが為に、自己を滅ぼしかねぬ相手に歩み寄ることが。
貴様等にはできまい、全く別種の者と共に生き、その垣根を超えて絆を造ることが。
貴様等にはわかるまい、自己が生かされていることを自覚し、食卓に料理が並ぶことの尊さが。
貴様等にはわかるまい、傷つき、血を吐き、のたうち、それでも毒を吐き、牙を剥き、武器を持つ戦士たちの貴さが。

436 :>>1 :2014/05/25(日) 11:57:52.63 ID:sLqpJOqRo
魔王「1010100001001001……ヨミ……10100010010001110101000001010001……」
にゃーん……
我には、我等にはそれが出来るのだ。
見たか、この懐にもぐり、震えながらも全身全霊で我に縋る者を、それでも「我がしくじるはずが無い」と、全身全霊で我を信じる我が下僕を。
これこそがその証である。
見るが良い、我はそのように創られなかったのというのに絆を得たのだ。
この絆があれば全ての者は滅びから免れる。そして絆は死なない。故に我は死なぬのだ。
羨むが良い、嫉むがよい、これこそが貴様等の求めたものであろう。恋焦がれたものであろう。

437 :>>1 :2014/05/25(日) 11:59:19.55 ID:sLqpJOqRo
魔王「10100011010、000100、10011010010001、111000010000、1010……ッ」
貴様等の魔法は実に驚嘆するべきものである。我をして侵攻を緩やかにするが精々である、闇に奪われた生命の再構成が間に合わぬ。
だが見るが良い、知っているか、生命とは巡るものなのだ。
????「※※※※※※※※※※※※※※※※※※ーッ!!!!」
『0』と『1』の羅列に成り果てようとも戦うものはいるということだ、そしてそれがもたらす恩恵を見よ。
貴様等の奪った生命が直ちに蘇る。貴様等の力はその程度なのだ。

438 :>>1 :2014/05/25(日) 12:00:29.44 ID:sLqpJOqRo
貴様等は知るまい、今咲き誇ったその草花の一つ一つに重要な名があり、『魔王』であることなど霞む程に重要な『役割』があるということを。
貴様等は知るまい、それら全てに、生きることを決意した炎が宿っているということを。
なんと儚い、なんと脆い、なんと尊い、なんと雄々しい。
魔王「110100……なんと……0010010011010……美しい……010001101000010……」
見よ、鬼神はおろか、魔王たる我をして涙を流させる。
これが世界である。我等である。

439 :>>1 :2014/05/25(日) 12:02:01.28 ID:sLqpJOqRo
今ならば、貴様等が我等の何を見て、何が満たされるのかが解る。
それならば、我が思うとおりであるのなら、感謝してもよい、祈ってやっても良い。
魔王「10001、1110、00010、01001100110100、00100100001、000、01000……ッ」
食卓を前に……11010110……した時、『いただきます』をする時、貴様……11010101000……等を思ってや……10101000101……らぬ事も無い。
魔王たる……10110……この我が……01101……祈るのである……
少し、面白い。

440 :>>1 :2014/05/25(日) 12:02:35.43 ID:sLqpJOqRo
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おきのどくですが ぼうけんのしょ 1ばんは きえてしまいました。
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441 :>>1 :2014/05/25(日) 12:03:01.17 ID:sLqpJOqRo
キリ、夜には戻ると思います。

442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/25(日) 12:08:11.37 ID:vBzhSWJuo


443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/25(日) 12:17:30.34 ID:wRn6GtzAO


444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/25(日) 13:45:18.36 ID:cSfQE48So
乙!

445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/25(日) 14:54:13.56 ID:VlhapCFv0
ふっかつのじゅもんはどこだ

446 :>>1 :2014/05/25(日) 22:05:27.53 ID:sLqpJOqRo
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   はじめから
   つづきから
ニア つよくてニューゲーム
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447 :>>1 :2014/05/25(日) 22:06:30.53 ID:sLqpJOqRo
むかし、むかし せかいがまだおわりをくりかえしていたころ。
ひとのはいれない ふかいもり に わるい まおう が すんでいました。
おんなの まおう でした。
まおう は とてもちからがつよく たくさんの まほう を つかえ
とてもつよい めしつかい たちをしたがえていました。
まおう は いつも わるいことをしていました。

448 :>>1 :2014/05/25(日) 22:07:26.48 ID:sLqpJOqRo
たくさんの ひと を ころし。
たくさんの くに を ほろぼし。
たくさんの いのち を おもちゃにしました。
おおくの ゆうしゃ たちが、 まおう に たたかい を いどみました。
けれど まおう は とてもつよかったので おおくの ゆうしゃ たちをころしてしまいました。
そして、さいごの ゆうしゃ もまた、 まおう のまえにたったのでした。

449 :>>1 :2014/05/25(日) 22:08:39.53 ID:sLqpJOqRo
「ぼくは たたかう き はないよ」
さいごの ゆうしゃ は そう、いいました。
「おくびょうものめ わたし が こわいのだろう」
まおう は おどかしました。
「きみなんかこわくない でも ぼく は、 きみ と ごはん が たべたいだけなんだ」
そんなことを いう ゆうしゃ は はじめてで、 まおう は びっくりしました。

450 :>>1 :2014/05/25(日) 22:09:30.41 ID:sLqpJOqRo
「これ を たべてごらん、あまくておいしいよ」
それは まおう が みたこともないたべものでした。
きいろいきじ に、
おうごんのみつ が かかった、
とても やわらかくて あまい たべもの でした。
「おいしい おいしい」
まおう は かんげきして あっというまにそれをたいらげました。

451 :>>1 :2014/05/25(日) 22:10:24.01 ID:sLqpJOqRo
「もうないのか だせ でないと おまえをころしてしまうぞ」
まおう は ゆうしゃ を おどしました。
「こら たべるまえには『いただきます』 たべたあとは『ごちそうさま』をいわないとだめだ」
ゆうしゃ は はっきり いいました。
びっくりした のは まおう です。
いままで おこられたことなんてありません。
けど まおう は また あの きいろいおかし が たべたかったので いうこと を ききました。

452 :>>1 :2014/05/25(日) 22:11:32.43 ID:sLqpJOqRo
「そうだよ たべたものたちに かんしゃ するんだ」
「なぜだ」
「ぼくたちは そのおかげでいきていられるんだ」
ゆうしゃ の はなしに まおう は むちゅうに なりました。
そしてしりました。
この せかい で どれだけ じぶん が ちいさいか。
この せかい は どれだけ うつくしいか。
そして じぶん だけが その なかま ではないということを。
まおう は かなしくて なみだ を ながしました。うまれてはじめてないたのです。

453 :>>1 :2014/05/25(日) 22:12:43.84 ID:sLqpJOqRo
>>452 訂正 差し替え
「そうだよ たべたものたちに かんしゃ するんだ」
「なぜだ」
「ぼくたちは そのおかげでいきていられるんだ」
「すこし おもしろい つづけろ」
ゆうしゃ の はなしに まおう は むちゅうに なりました。
そしてしりました。
この せかい で どれだけ じぶん が ちいさいか。
この せかい は どれだけ うつくしいか。
そして じぶん だけが その なかま ではないということを。
まおう は かなしくて なみだ を ながしました。うまれてはじめてないたのです。

454 :>>1 :2014/05/25(日) 22:13:28.03 ID:sLqpJOqRo
「なかなくていいよ」
「でも わたし は なかま はずれだ それに たくさん の いのち を ころした」
「いのち は よみがえる」
「そんなこと が あるものか」
「せかい が おわらないかぎり いのち は よみがえるんだ」

455 :>>1 :2014/05/25(日) 22:14:35.08 ID:sLqpJOqRo
やがて まおう は ゆうしゃ に こい を しました。
やがて まおう は せかい に こい を しました。
やがて ゆうしゃ との あいだに こども を うみました。
こども は そだち かみさま と なりました。
そして おわり を くりかえす せかい が おわり、
せかい の きせつ は めぐるようになり、
えいえん に つづく せかい が できたのです。

456 :>>1 :2014/05/25(日) 22:18:12.56 ID:sLqpJOqRo
*************
まずい……
どういうことだ、何故誰も戦わない……
それに、強すぎる……今回の魔王……
破壊神の創った勇者ですら魔王についてしまった……
神が創りだせる勇者は一柱につき一人……
後、残っているのは……
生命の……豊穣の……
ダメだな……
ああ、ダメだ……アイツはまるで戦えない……
この世界は終わり……
我々は巡る命を……
ああ、見捨てざるをえない……
見ろ、ただの少女だ……
*************

457 :>>1 :2014/05/25(日) 22:35:56.46 ID:sLqpJOqRo
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《 魔王城 》
???「此度の勇者も無事にこちらについたか」
????「魔王様御自らの誘いとあっては……」
???「神共や人間の王がああまで嫌われているとは」
????「銅の剣と薬草のみを持たされ、大義すらない遠征を強制されれば当然でありましょうや」
???「そんなことより……」
????「は……」
???「つまらない」
????「は、それではなにか余興を……」

458 :>>1 :2014/05/25(日) 22:46:07.42 ID:sLqpJOqRo
???「そうではない、これを見よ、勇者共が持ち込んだこの絵本だ」
????「…………ッ」
???「……我が」
????「……ッ……ッ」
魔王「何故、女となっておるのか」
従者「……ッ!……ッ!……ッ!」
魔王「……貴様、よもや我を嗤っておるのか?」
従者「申し……ワケッ、ありま……せんッ!意味が……わかりッかね……ブフッ!」

459 :>>1 :2014/05/25(日) 22:51:05.99 ID:sLqpJOqRo
魔王「……貴様、この数十億年で随分と変わったな」
従者「魔王様こそ……ッ!随分とッ……グッ!まさかッ……女王様に……ッ!」
魔王「殺すぞ」
従者「は、失礼いたしました」
魔王「まあ、良い」
従者「お望みと在らば、作者を探し出し、息の根を……」
魔王「止めよ、この伝承のお陰で勇者共を懐柔できたのだ」
従者「訪れた男の勇者共は求婚するつもりであったようですが」
魔王「殺すぞ」
従者「は、失礼いたしました」

460 :>>1 :2014/05/25(日) 23:11:51.31 ID:sLqpJOqRo
魔王「維持の勇者はどうしておる?」
従者「魔界に張り巡らせた結界の維持の任に当たっています。付近の魔族との軋轢もないようです」
魔王「僻地勤務は『おきのどくですが』というやつだな」
従者「本人は充実しているようです」
魔王「だが人の心とは弱き者、定期的に人里への一時帰還を奨めよ、必要なら我が直接言おう。創造の神はどうであった?」
従者「凄まじい勢いで開墾を進めております。しかし農作業自体は難しくあるらしく行き詰まっているようです」
魔王「他の領域を害することなかれと厳に伝えよ、農耕は他の生物あってのことなれば、自身の埒外を創造することは叶わぬか、特に『虫』には苦労させられるであろう」
従者「他の勇者の補佐もあります。きっと叶いましょう」

461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/25(日) 23:18:25.81 ID:VlhapCFv0
>>460
神様が開墾してる姿想像してほっこりした

462 :>>1 :2014/05/25(日) 23:23:39.12 ID:sLqpJOqRo
魔王「……貴様、この数十億年で随分と変わったな」
従者「……恐れながら魔王様もお変わりになられあそばしました」
魔王「……後は、どの神が造った勇者いる」
従者「……他は末端の神々でありますならば……されど、全てが我等の下へ集っています」
魔王「……そうか」
従者「は……『あの者』以外」
魔王「……そうか」
ワンッ ワンッ ワンッ ワンッ
従者「ハナ、どうした?」
魔王「…………来たか」