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魔王「なぜ私がこんな人間じみた容姿をしてると思う?」
Part3


100 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)01:49:20 ID:6AEuIWvlx
勇者(同時に本能で理解した)
勇者(目の前にいるのは、人間じゃないと)
勇者(目の前にいるのはまぎれもない、魔王であると)
魔王「ほんのわずかな期間とはいえ、騙していてごめんなさい」
魔王「私が魔王よ」
勇者(たしかに肌に突き刺さる魔力は、魔王のそれだった)
勇者(だけど、なぜかその魔王は魔物のすがたをしていなかった)
勇者(かぎりなく人に近いすがたをしていた)

101 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)01:52:26 ID:FGLk5OhsF
そろそろ最初につながるのか

102 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)01:55:38 ID:DHAsoPOAw
回想から最初のシーンくるのか!?

103 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)02:01:41 ID:6AEuIWvlx

魔王「さて、ここまで簡単に振りかえってきたけど」
勇者「これでなにがわかるっていうんだ」
魔王「だから。これから私が説明してあげるって言ってるの」
勇者「……」
魔王「人間が、勇者と魔王の争いを仕組んだわけをね」

104 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)02:02:12 ID:6AEuIWvlx
つづく

105 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)02:02:22 ID:FGLk5OhsF
待とう

106 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)02:13:12 ID:5HJrINv4O
今までの回想の中にヒントがあったのか
全然解らん

107 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)02:18:03 ID:0d1Fk7kl8
さては仕組んだな

108 :名無しさん@おーぷん :2014/07/10(木)02:46:51 ID:fRBkpuFZz
ゲームじゃ勇者ボス倒した後はプレイできないのばかりだからな

115 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:08:56 ID:EpeWZU9ND
魔王「そもそもあなたは、腑に落ちないと思ったことはない?」
魔王「勇者と魔王の争いは、なぜ繰り返されているのかって」
勇者「決まってる、お前たちが存在するからだろうが」
魔王「そのとおり」
勇者「……認めるのか」
魔王「そう、あなたの言うとおり。だから、おかしいのよ」
魔王「どうして魔王が復活してしまうのを、人間は止めないの?」
勇者「それは……」

116 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:08:56 ID:EpeWZU9ND
魔王「そもそもあなたは、腑に落ちないと思ったことはない?」
魔王「勇者と魔王の争いは、なぜ繰り返されているのかって」
勇者「決まってる、お前たちが存在するからだろうが」
魔王「そのとおり」
勇者「……認めるのか」
魔王「そう、あなたの言うとおり。だから、おかしいのよ」
魔王「どうして魔王が復活してしまうのを、人間は止めないの?」
勇者「それは……」

117 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:12:34 ID:EpeWZU9ND
魔王「この香水のように魔物をひきつけるもの」
魔王「一方で、魔物を寄せつけない聖水なる薬品もあるわね」
魔王「こんなものを作れるのは、人間が研究を重ね、
   魔物についての知識を深めてきたからでしょう?」
魔王「それなのに、魔王復活に関してはなんの手も打たないの?」
勇者「そんなわけがない」
勇者「なんらかの対策は講じられているはずだ!」
魔王「たとえば?」
勇者「それは……」
魔王「私が国王の立場だったら、そうね」
魔王「魔王を殺したあとで、その土地に聖水をバラまいてみるわね」
勇者「そんなことをしたら……」

118 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:13:36 ID:EpeWZU9ND
魔王「もちろん。聖水は強力な薬」
魔王「その土地に悪影響を及ぼすことは、目に見えてる」
魔王「でもだからって、放置する理由にはならないわ」
勇者「放置してるんじゃない……!」
勇者「魔王城には魔王だけじゃない、凶悪な魔物たちが大量にいる」
魔王「だから?」
勇者「迂闊に手は出せない」

119 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:15:23 ID:EpeWZU9ND
魔王「そうかしら?」
魔王「魔王討伐の部隊をきちんと編成して、しかるべき対処をすれば、
   決して不可能ではないと思うけど?」
勇者「お前が言うほど簡単な話じゃない」
勇者「それ相応の犠牲は避けられない」
魔王「けれども。そうすることで、人類は自分たちの脅威を取り除くことができる」
魔王「魔物たちの縄張りを手中におさめることもね」
勇者「……」
魔王「あなたって、思ってることがすぐに顔に出るタチなのね」
勇者「なに?」
魔王「あなたも奇妙だとは、思ってたんでしょ?」
勇者「……だまれ」

120 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:18:07 ID:HTmohhZ5v
しえん

121 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:18:56 ID:EpeWZU9ND
魔王「この勇者と魔王の戦いというのは、どうにも奇妙な点が多い」
魔王「魔物、そして魔王は人類の脅威だなんて言われているけど」
魔王「あなたは、それを実感したことはある?」
勇者「あるに決まってるだろ。現に僕は旅で……」
魔王「ごめんなさい、言いかたが悪かったわね」
魔王「魔王討滅の旅に出る前。
   あなたの街は、魔物の襲撃を受けたことはある」
勇者「……おそらく、ない」
魔王「ないんだあ?」
勇者「なんだその顔は?」
魔王「べつに」

122 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:20:53 ID:EpeWZU9ND
勇者「……街には警備兵がいるし、魔物対策はきちんとされてる」
勇者「魔物たちだって、そうやすやすと手を出すことはできない」
魔王「ふふふ」
勇者「なにがおかしい?」
魔王「魔物は人類の脅威、だったかしら?」
魔王「人類の脅威なんて言うわりには、
   ずいぶん人間にとって都合のいい生物じゃない、魔物って」
勇者「魔王。お前にはわからないかもしれないが、魔物は……」
魔王「襲われれば危険、そう言いたいんでしょ?」
勇者「……」

123 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:23:19 ID:EpeWZU9ND
魔王「整備が行き届いていない場所だと、魔物もかなりいるわね」
魔王「でもね、そんな場所ばかりだったら人類はやっていけないわ」
勇者「そんなことはわかってる」
魔王「わかってるのかしらね」
魔王「じゃあこの地図を見てくれる?」
勇者「これは、国から支給されるものじゃないか」
勇者「なんでお前がこれを?」
魔王「私もいちおうは国の遣いなんだから、もってて当然でしょ?」
勇者「……今さらこんなものを見る必要はない」
魔王「いいから見て」
勇者「なんのために?」
魔王「生真面目なあなたなら、見れば気づくはず」

124 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:27:20 ID:EpeWZU9ND
勇者「こんなものを見たところで」
勇者「いや、これって……」
魔王「気づいた?」
勇者「僕がもらったものと、中身が……」
魔王「そう、あなたと私の地図は内容がところどころちがうのよ」
魔王「あなたのほうの地図は、魔物が出るルートばかりを、
   わざと通るように仕向けられていた」
勇者「な、なんで……」
魔王「過酷な環境や死と常に身近にある極限状態に晒されるだけで、
   人間はわずかな時間で成長できる」
魔王「まして、勇者ならその成果は常人のそれとは比較にならないわ」

125 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:28:58 ID:EpeWZU9ND
魔王「あなたたちを過酷な環境に置いておくために、
   その地図は支給されたのよ」
魔王「さらに、もうひとつ」
魔王「『勇者の剣』についても同じ」
勇者「『勇者の剣』?」
魔王「あの言い伝えも嘘、欺瞞よ」
魔王「魔王をたおすためのキーアイテムなら、当然手元に残しておくべきでしょ」
魔王「あなたたちを危険に晒すために、嘘をでっちあげたのよ」
勇者「……おかしい。おかしいじゃないかっ」

126 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:31:00 ID:j1F1jFUgi
しえん

127 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:31:04 ID:EpeWZU9ND
勇者「勇者は魔王をたおさなければいけない」
勇者「それなのにこれじゃあ……」
魔王「もう答えはわかってるでしょ、あなたも」
勇者「まさか……」
魔王「そう。勇者と魔王の争いを仕組んだ理由、それは」
魔王「勇者という最強の人間兵器を作ることよ」

128 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:32:21 ID:7hrVcSYzt
なにいいいいぃ!!

129 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:33:39 ID:WP0rkghLG
まさかの
人類共通の敵を作って戦争をしないとかじゃないのな

130 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:38:37 ID:EpeWZU9ND
勇者「勇者を、兵器に……?」
魔王「自分の国がどうやって発展してきたのかは、わかってるでしょ」
魔王「この国は、あらゆる戦争で勝利を重ねてきた」
魔王「戦争の勝利の裏には、勇者がいたのよ」
勇者「……お前は、勇者が戦争に駆り出されていたっていうのか」
魔王「そうよ。そしてもちろん、そのことが表に出ることはない」
魔王「ときの流れの中で、勇者はひっそりと消える」
勇者「だけど……これだけだったら、仕組んだなんて言えない」
勇者「強くなるために魔物と戦う必要があるなら、それも仕方のないことだ」
魔王「まったく。真面目なあなたは、その事実すら受け入れるのね」
魔王「……でもまあ、これだけだったら仕組んだとは言えないわ」

131 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:39:28 ID:HyeUSNA79
けっこう予想外で面白い

132 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:44:36 ID:EpeWZU9ND
魔王「ええ。さっきの魔物の話とすこし似てるけど」
魔王「あなたはどうして魔王をたおす旅に出たの?」
勇者「それが、使命だったからだ」
魔王「はぁ、使命か。よくそこまで一貫してるわね」
勇者「なんだその目は」
魔王「べつに。それより次はこれを見て」
勇者「……なんだこれは」
魔王「勇者と魔王の争いの記録の一部よ」

133 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:49:34 ID:EpeWZU9ND
『XXX、魔王と勇者激しく争う。
 XXX、新たな魔王と勇者、たたかう。両者の戦いにより集落が滅ぶ。
 XXX、魔王と勇者この世に生を受け闘う。死者数百人。
 XXX、魔王と勇者復活、街での戦いにより死者数千人。
 XXX、何度目の復活か不明、勇者と魔王因縁の争いにより山を消滅させる。
  
    すべての戦いにおいて勇者が、勝利をおさめている』
魔王「この記録を見てのとおり、勇者が常勝だったのは歴史が証明してる」
魔王「魔王も普通だったら、勝てないって気づくと思うのだけど」
勇者「だけど現に、こうして戦いを繰り返してるだろ」

134 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)21:59:11 ID:EpeWZU9ND
魔王「ていうか、私ってなにか人に恨まれるようなことした?」
魔王「私じゃなくてもいい」
魔王「歴代の魔王がいったいなにをしたっていうの?」
勇者「……歴代の魔王には、魔王城付近の小さな町を破壊したものもいた」
勇者「比較的新しいのであれば、国の要人を誘拐したことだってある」
魔王「ああ、そういえばあったかもね」
魔王「でもそれならそれで、どうして魔王はしなかったのかしら?」
勇者「なにを?」
魔王「人類の脅威なんだし。虐殺ぐらいしていけばよかったのに」
魔王「どうにも中途半端じゃない?」

135 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)22:02:40 ID:7AhlxbB5p
自分のホームグラウンドで闘いたいんだろ

136 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)22:27:43 ID:q3Mfp1zOT
勇者戦争で使ったら強いよなとは思うが魔王の理屈はちょい強引だな
続きまだ

137 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)23:05:54 ID:EpeWZU9ND
魔王「私には、勇者が魔王を攻めるための、
   理由作りを魔王にさせているように思えるの」
勇者「勝手な解釈、いや。もはやこじつけだな」
勇者「お前の言いかたでは、魔王は人間の言いなりだったってことになる」
魔王「そう言ってるのよ」
勇者「!」
魔王「魔王が勇者との争いを繰り返したのは、逃げられなかったから」
勇者「逃げられないって、どういうことだ」
魔王「魔王には監視がいたのよ、人間のね」
勇者「だからそんなこじつけ……」
魔王「こじつけじゃない」
魔王「証拠なら、きちんとあるわよ」

138 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)23:08:45 ID:EpeWZU9ND
魔王「言ったでしょう?」
魔王「私がすべてを証明する答えだって」
勇者「……」
魔王「魔物の長でありながら、人間のすがたをした私が、ね」
勇者「どういうことだ?」
魔王「あなたは不思議に思ってたわよね? 私の人間じみたすがたについて」
勇者「それが今の話となんの関係がある?」
魔王「私の父は、その前魔王だった。
   私の母はそんな前魔王の監視役だった」
勇者「……なに」
魔王「私はねーー魔王である父と人間である母から生まれたのよ」

139 :名無しさん@おーぷん :2014/07/11(金)23:11:20 ID:JxIPj4dGt
ここに来て一気に予想外展開来たな