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勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
Part8


149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:54:35.15 ID:WNVHldV5o
城下町
勇者「さぁー。いくぞぉ」
狼少女「おー」
門兵「……」
勇者「ええと……。問題の森は……農村の近くだから……この辺りか」
狼少女「おー?」
勇者「お前、地図読めるのか?」
狼少女「よめない」
勇者「なら、覗きこむな。邪魔だよ」
狼少女「あぅ」
勇者「農村を経由してもいいけど……あの幸せの二人をみると憎悪がわいてくるからやめておいて、直接行くかなぁ……」
狼少女「みーせーろー」ガブッ
勇者「噛み付くなよ」
狼少女「ガルルルー」
門兵「(うーん……。羨ましいやつ……。くそ……くそ……)」

150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:01:13.79 ID:WNVHldV5o
勇者「あー。早くかえりてぇー」
狼少女「なんで?」
勇者「フィアンセが待ってるんだよ」
狼少女「結婚、するのか」
勇者「……」
狼少女「誰とする?」
勇者「お前には関係ないだろ」
狼少女「そうだけど」
勇者「(フィアンセって言葉も結婚の意味も知ってるってことか……。普通に生活できそうだな……)」
勇者「なぁ」
狼少女「んぁ?」
勇者「お前の母親って誰なんだ」
狼少女「母親はいない。父親はいる」
勇者「誰だ?」
狼少女「お前、一度見てるだろ。私と一緒にお前と戦った」

151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:06:45.42 ID:WNVHldV5o
勇者「あぁ、あの狼がそうなのか」
狼少女「もう少しでお前を倒せたのに……」
勇者「お前置いて逃げちゃったもんな」
狼少女「逃げてない。あれはせんりゃくてきてったい」
勇者「難しい言葉知ってるんだな」
狼少女「教えてもらった」
勇者「父親にか?」
狼少女「父だけじゃない。お兄ちゃんにもお姉ちゃんにも教えてもらったことあるぞ」
勇者「ふぅーん」
狼少女「みんな物知りなんだ」
勇者「お前はさぁ……その……。人間なのか? 狼なのか?」
狼少女「狼人間だ」
勇者「なるほど。そうきたか」
狼少女「私は人間と狼の間にできた、最強の狼なんだ。こわいだろー?」
勇者「いや、全然」

152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:12:16.78 ID:WNVHldV5o
狼の森
勇者「ここだな。ーーおい、ついたぞ」
狼少女「……」プイッ
勇者「まだ怒ってるのか? わかったよ。お前は怖いよ。恐怖の対象だ。これでいいだろ?」
狼少女「ガルルル……!!」
勇者「(ダメだ。完全に拗ねちゃってるもんなぁー。これだからガキは嫌いなんだ)」
狼少女「お前、きらいだ」
勇者「ほら、もうここまで来たら帰ることができるだろ?」
狼少女「……」
勇者「元気でな」
狼少女「どこいく?」
勇者「大事な仕事があるんだよ。お前は父親のところに戻れよ」
狼少女「……あい」タタタッ
勇者「……」
勇者「行きますか」

153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/04/22(火) 22:23:43.83 ID:Y1+YDXrm0
先が気になるな

154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:27:21.83 ID:WNVHldV5o
農村
医者「ーー狼に人の子を育てるだけの能力があるかどうかは微妙でしょうね」
勇者「やっぱ、そうっすか」
医者「可能性としてなくはない。ただ、仮に狼が人の子を育てたとしても、その子が言葉を覚えることはできませんし、遠吠え等の狼に似た行動をとるはずです」
勇者「二足歩行もできませんよね?」
医者「無論です。加えて短命でしょうね。口にするものは人間のそれと全く異なりますから」
勇者「……」
医者「どう考えても勇者様のいうその子どもには、人間の親、或いは親代わりがいるはずです」
勇者「問題はその親がどうして狼と娘を一緒にさせていているのか。娘に狼の真似事をさせているのか」
医者「本当の娘ではないかもしれませんね。どこからか連れてきた子どもを使って実験ということも」
勇者「実験?」
医者「聞かない話ではありません。犬が猫を育てたり、豚が犬を育てたりするという事例はあります」
勇者「狼が人間の子どもの面倒をみてくれるかってことっすか? でも、あの子は自分の父親が狼だって信じてるんすよ?」
医者「そこです。面倒をみるかどうかの実験ならば、そのような思い込みをしていることが不自然です。狼が世話を始めれば実験終了ですからね」
勇者「逆かもしれないっすね。狼が人間の面倒を見るかどうかじゃなく、人間が狼を親だと思い込むかどうかの実験……とか」

155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:36:59.81 ID:WNVHldV5o
医者「……どちらにしても非人道的です」
勇者「そうっすよねぇー」
村娘「どうぞ。コーヒーしかすぐに出せるものがなくて……」
勇者「ああ、お構いなく」
医者「各地で起こっている事件と関係があるのでしょうか」
勇者「そうかもしんねーっすね」
医者「だとしたら、私の薬も役に立つかもしれませんね」
勇者「俺も貰うつもりで来ましたから」
医者「好きなだけ持って行って下さい」
勇者「すんません。何度も手助けしてもらっちゃって」
医者「何を言っているんですか。貴方は村の恩人。そして、命の恩人でもあるのですから」
村娘「そうですよ。みんなが元気でいられるのは勇者様のおかげですもの。私、本当に幸せです。もし、あの子が処分されていたらきっと結婚なんてできなかったかもしれない……」
勇者「マジっすか。殺しとけばよかった」
医者「あはははは。勇者様、またまた。心にもないこと」
勇者「マジでいってんすけど」

156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:45:54.95 ID:WNVHldV5o
医者「こちらが薬です。飲んですぐに効果が現れるかはわかりません。もし、何かあればすぐに私のところへ来てください」
勇者「飲ませる前に診せたいっすけど、まぁ、状況に応じてっすね」
医者「ええ。まぁ、私は獣医ですので、できればちゃんとした病院にいってもらったほうが」
勇者「……くやしいっすけど、あんたが誰よりも頼りになる医者なんすよ」
医者「……」
勇者「また来ると思います。そのときはお願いします」
医者「はい! 勇者様のご期待に応えられるよう、がんばります!!」
勇者「あざす」
医者「こうなってくると薬は流通させたほうがいいですね。手は打っておきます」
勇者「何から何まであざす」
医者「いえ。貴方のお役に立てるなら光栄ですよ」
勇者「嫌味にしかきこえーっす」
医者「いつでも頼ってくださいね」
村娘「勇者様ー!! お気をつけてー!!」
勇者「うーっす!!」

157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:54:58.69 ID:WNVHldV5o
狼の森
勇者「(あいつが人体実験の被害者っつーなら、その親がなんか知ってる可能性があるなぁ……)」
勇者「さてさて……。泳がしたんだから、出てきてこいよー、母親か教育係さん」
「グルルル……」
勇者「……ん?」
勇者「……」
勇者「(俺を狙ってるわけじゃないか……。この唸り声はどこから……)」
狼「グルルルル……!!」
狼少女「ガルルルル……」
「まさか逃げるとはね。ダメじゃない」
勇者「(あれは……)」ペラッ
「ふふ、でも、こうして戻ってきてくれたんだから許してあげる。もう逃げちゃダメよ?」ナデナデ
狼少女「あい」
勇者「(魔女……!)」
魔女「さぁて、ご飯の時間にしようか。みんな、いらっしゃい」

159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:06:14.97 ID:WNVHldV5o
狼「オォォン!!」
魔女「ほーら。いっぱいあるから、慌てないでいいわよぉ」
狼少女「はむっ……はむっ……!!」
勇者「なんてこった……」
勇者「(魔女、ちょー美人じゃん。年上のお姉様じゃん。踏まれたいじゃん)」
勇者「(あの数だ。ここで出て行っても狼のエサになるだけだな……。いや、でも、エサくってるし、俺が食べられることはないか)」
勇者「……よしっ」
魔女「ほら、もっと綺麗に食べなさい。口元が汚れているわよ」フキフキ
狼少女「うぅ……」
勇者「ーーいいペットをお持ちですね、お姉様」
魔女「……」
狼「ガルルル……!!!」
勇者「よぉ。狼畜生。また、返り討ちにしちまうぜ?」
狼「クゥーン……」
狼少女「あ……ぅ……」

160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:12:29.07 ID:WNVHldV5o
「グルルル……!!!」
「ガルルル……!!!!」
勇者「(ざっと20匹か……。まともにやったら死ぬな)」
魔女「珍しいわね。この森に人間が迷い込むなんて。狼の縄張りだって知らないのかしら?」
勇者「貴女の色香に誘われてしまってね。のこのことやってきてしまいましたよ」キリッ
魔女「そう。篭絡されにきたということかしら?」
勇者「してくれるんですか? 是非ともお願いしたい」
魔女「うふっ。いいわよ」
勇者「ただし……」
魔女「なにかしら?」
勇者「俺の家まで来てもらいますけどね」シャキン
魔女「……国王の差し金ね。一人しかいないということは、勇者様かしら」
勇者「よくご存知で」
魔女「勇者って本当にバカしかいないのね。いつも一人でやってきては気障な台詞はいて、死んでいくだけなのに」
勇者「貴女のような美しい人を前にしたら男はみんな腑抜けにもなりますよ」

161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:14:17.44 ID:oSroAE4Eo
ああ…どうやらコイツは本当にバカなようです…

162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:20:34.19 ID:WNVHldV5o
魔女「似たような台詞、ずっと前にも聞いたわ。さてと……」
「グルルル……」
「ガルルル……」
勇者「……」
狼少女「うぁ……ぅ……」
魔女「ーーやれ」パチンッ
狼「ガァァァァァ!!!!」ダダダダッ
狼少女「やめて!!」
狼「……!」
魔女「なんの真似?」
狼少女「あ、あいつは……あの……敵じゃない……」
魔女「何を言ってるの?」
狼少女「仲間、傷つけたけど……わ、わるい人間じゃない……」
魔女「……もう少し強いお薬が必要のようね」
狼少女「うぁ……!?」ビクッ

163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:27:24.48 ID:WNVHldV5o
勇者「ーーそこまでにしてもらおうか。貴女を斬りたくはない」
魔女「……意外とすばやいのね」
勇者「伊達に勇者って呼ばれてませんからね」
狼少女「あ……ぁ……」
勇者「一つ聞きましょうか。農村で家畜が凶暴化したのは貴女の仕業ですか?」
魔女「農村……。ああ、あれね。ええ。試作品を使ってみたの。人間を見ると暴走してくれるかどうかをね」
勇者「何のために?」
魔女「貴方にいう必要があるの?」
勇者「なんて馥郁たる香り……。香水な何をお使いになっているのですか?」クンクン
魔女「変なやつ」
「ガァァァア!!!!」
勇者「おっと!! その牙で噛まれたくはないな!!」バッ
魔女「食い殺せ」
狼「オオォォォォォオ!!!!」
勇者「やべぇ。逃げろぉ」

164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:33:48.50 ID:WNVHldV5o
魔女「逃がすな!!」
「ガァァァァ!!!」
勇者「ひえぇー!!!」
狼少女「あ……」
勇者「一緒にこい!!」
狼少女「え……」
勇者「どうした!? こい!!」
狼少女「ーーあいっ!!」ギュッ
魔女「な……!! どこに行くの!!!」
狼少女「ご、ごめんなさい……」
魔女「そんなの許さないわよ……!! 許さない……!!!」
勇者「(すげー怒ってるな……)」
勇者「お姉様、この子は預からせてもらいますよ。母親が泣いているかもしれないので」
魔女「な、なんですって……!?」
勇者「また会える日を楽しみにしてますよ。お姉様。今度会うときにはもう嫁がいるだろうけど、愛人にはしてあげますから心配いりませんよ。ではでは」ダダダッ

165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:39:12.96 ID:WNVHldV5o
「ガァァアアウ!!!!」
勇者「あぶねぇ!?」
狼少女「なんで、斬らない?」
勇者「仲間傷つけたら、お前怒るだろ。だから」
狼少女「……」
「ガァァアアア!!!!」
勇者「やめてぇ!!!」バッ!!!
狼少女「がんばれ! がんばれ!」ペシペシ
勇者「おめえを抱いてるから動きが鈍くなるんだよ!!」
狼少女「すまん」
「ガァアアアアウ!!!!」
勇者「ひぇぇ!!」
狼少女「おぉー」
勇者「くそぉぉぉ!! 早く帰って結婚してぇぇぇぇ!!!」
狼少女「あい」ギュッ

166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:48:20.22 ID:WNVHldV5o
狼「クゥーン……」
魔女「逃がしたのね?」
狼「……」
魔女「何をしているの!!!」ゲシッ!!!
狼「クゥーン……」
魔女「早く探して来なさい!!! はやく!!!」
狼「……」タタタッ
魔女「……っ」
魔女「もっと投与量を多くしておくべきだったわね」
魔女「数日の間外界に行っただけであんな男に誑かされて……」
魔女「許せないわ」
魔女「しっかりとお仕置きしてあげないとね」
魔女「そしてあの勇者も……」
「グルルルル……」
魔女「そうね。勇者を追うより、待ち伏せしたほうがいいわね。ふふふふ……」

167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:54:24.08 ID:WNVHldV5o
農村
医者「では、採血を……」キラッ
狼少女「わぁぁー!!」ギュッ
勇者「なんだよ?」
狼少女「ちゅうしゃぁ……やだぁ……」
勇者「やれよ」
狼少女「ガルルル……!!!」
勇者「おねがいします」
医者「はい」
狼少女「たすけろー!!! あ……あぃー!!!!」
勇者「ハッハッハッハ。ざまーみろ」
村娘「しかし、勇者様。よく狼の群れから逃げてこれましたね」
勇者「こいつが狼のことをよく知ってたんで、なんとかなりました」
村娘「それでも普通の人では助かったとしても大怪我していますよ。勇者様、流石ですね」
勇者「今からでも遅くありません。惚れてくれてもいいんですよ?」キリリッ

168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:02:34.28 ID:36thv87Do
狼少女「ぐすっ……」
勇者「なんだ、元気ないな。別に痛くなかっただろ?」
狼少女「……私、仲間裏切った。悪いのは私。きっとみんな恨んでる」
勇者「じゃあ、俺についてくることなかったのに」
狼少女「お前がついてこいっていったから!!!」
勇者「俺の所為か!?」
狼少女「ガルルルー!!」ガブッ
勇者「いてぇよ!!」
医者「……結果が出ました」
勇者「どうでした?」
医者「やはり同種の薬を投与されているようですね」
勇者「つまり……」
医者「動物の凶暴化、町で起こった連続殺人、そして狼に育てられた女の子。これらは勇者様が見た魔女の仕業で間違いないかと」
勇者「あぁ……。残念っすね。こんな事件を起こしてさえいなければ俺の正妻になれるチャンスもあったのに」
医者「これからどうされるおつもりですか?」