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勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
Part7


129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:05:16.12 ID:WNVHldV5o
夜 教会
勇者「ほら。ここでは一言も喋るなよ。静かにしてないといけないなんだから」
狼少女「あい」
シスター「あ……」
勇者「約束通り、来ました。君へ懺悔するために」
神父「ほう。この方が……」
シスター「ええ……」
勇者「どうも、初めまして。ところでこの子のことこき使いすぎですよ。毎日毎日水汲みさせて。倒れたらどうするつもりですか?」
神父「はぁ……。シスターとしての仕事ですから」
勇者「それにしたって……!!」
シスター「あの、お話のほうを……」
勇者「聞いてくれますか?」キリリッ
シスター「是非、聞かせてください。どうぞ、こちらへ」
勇者「はぁーいっ! お前はここでお座りしとけ」
狼少女「あい」

130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:17:08.04 ID:WNVHldV5o
懺悔室
勇者「俺、この世に生を受けてから女性とお付き合いをしたことがないんです」
シスター「そうなのですか」
勇者「あなたは?」
シスター「私は修道女です。そういうことは……」
勇者「おっと。失礼しました。そうですよね。しかし、こんなにもお美しいのだから恋をしたほうがいい。より貴方は綺麗になれる。ご趣味は?」
シスター「続けてください」
勇者「ああ。申し訳ない。脱線しましたね。幾ら町で声をかけても相手にしてもらえません」
勇者「何がダメなのかと悩む日々でした。安定した収入さえあればモテると恋愛マニュアルにも書いていたのでがんばって兵士になったのに結果は変わらず」
勇者「勇者になればモテると言われ、血の滲む努力をしても女の子の柔らかさを知るだけに留まっている始末……」
シスター「……」
勇者「あ、でも結婚を約束した女性もいるんですよ。ちょっと辛いことがあったので俺はそっとしておこうと思ったんで、諦めたんです」
シスター「その女性、本当は期待していたのかもしれませんよ。貴方に手を引いてもらえることを」
勇者「……マジっすか?」
シスター「どれほど辛いことがあったのかは分かりませんが、女からすればそういうときほど心の支えになってくれる殿方を求めていますから」

131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:26:47.64 ID:WNVHldV5o
勇者「マジかー!!! あぁー!!! 強引に連れてかえっていればよかったぁー!!! うわぁぁー!!!!」
シスター「まだ待っているかもしれません。機会があれば顔を見に行ってみてはどうでしょう」
勇者「ぐぐ……!! い、いや!! もう過去の女!! 俺は忘れたんです!!」
シスター「付き合ってはないのでしょう?」
勇者「今はもう、君だけしか見えないんだ!!」
シスター「え……」
勇者「神の前で愛を語らないか?」
シスター「でも……私は……」
勇者「ああ、失礼。急に言われても困るだけですよね。はははは。俺としたことが。君を困らせるようなことをしてしまった」
シスター「いえ……。でも、あの……勇者様は私のことを……?」
勇者「(きたっ!! 食いついた!!! いける!! 恋愛マニュアルにもシスターは恋に奥手だから攻めあるのみって書いてたしなぁ!!!)」
勇者「ええ。恥ずかしいことですが……」
シスター「どうしてですか?」
勇者「どうして? 決まっているじゃないですか。貴女がこんなにも可憐だからですよ」
シスター「あ、ありがとうございます……」

132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:35:14.89 ID:WNVHldV5o
勇者「……」
シスター「……」モジモジ
勇者「(あぁー。神よ。俺にこんな可愛く清楚な女の子を紹介したくて、今まで試練を与えていたのですね。アーメン)」
シスター「あ、あの……」
勇者「な、なんですかぁ!?」
シスター「……明日の予定は?」
勇者「明日ぁ!? 明日は……その……仕事で……。いつ戻ってこれるかわからないんですよ」
シスター「そうですか……」
勇者「で、でも!! 絶対に帰ってきます!!! だから、そのとき改めて……!!! はい!!!」
シスター「はい。待っています」
勇者「(はぁー。祝福の鐘がなってるよぉー。これはもう……たまんねー!!! うっひょー!!!)」
勇者「この町で一番のホテルをとっておきます。無論、スウィートルームです。帰ってきたらそこで話しましょう。ゆっくりと。今後のことを」
シスター「そうですね。私も……その……ゆっくりとお話……したいですから……」
勇者「今日は貴女のような天使と話せてよかった。ありがとうございます」
シスター「私もです」

133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:51:05.83 ID:WNVHldV5o
教会
神父「……」
狼少女「……あう?」
神父「あなたのことどこかで見たことが……」
狼少女「私は知らない」
勇者「約束ですからね。あともう一度確認しときますけど、好きな人がいるとか婚約しているとかないですよね?」
シスター「ありませんよ」
勇者「ふぅー。なら、いいんだ」
狼少女「わぁぁー」タタタッ
勇者「元気か?」
狼少女「あい」
シスター「ところで、この子は……?」
勇者「一時的に保護しているだけです。勘違いしないでください。安心してください。もう俺は貴女のことしか考えてませんから」
シスター「保護ですか」
勇者「ああ、そうだ。この子のこと今晩だけ預かってもらえないでしょうか?」

134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:02:00.42 ID:WNVHldV5o
神父「それは構わないですが……」
勇者「よかった。見ての通り野生児なんで風呂はともかく、トイレには気をつけてください」
神父「分かりました。お任せください。責任をもって預かりましょう」
勇者「助かります」
神父「勇者様、この子はどこで?」
勇者「任務中に襲ってきたんですよ。狼と一緒に」
神父「……そうですか」
勇者「なんか知ってるんですか?」
神父「もしかしたら、という程度なのですが」
シスター「まさか、この町に……?」
神父「いたかもしれません。ただそのときは赤子だったので確信はないのですがね」
勇者「ここに捨てられてたってことですか?」
神父「いえ、母親と一緒でした」
勇者「母親が……」
狼少女「あう?」

135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:15:13.25 ID:Kmjlxt3Jo
面白い

136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:30:51.74 ID:WNVHldV5o
神父「ここで子どもを手放すと神に告げていたのかもしれませんね」
シスター「なんてこと……」
勇者「そのことは俺が預かります。他言はしないでください」
神父「承知しております」
勇者「……」
狼少女「なんだ?」
勇者「(調べなきゃいけないか……?)」
狼少女「こっちみんな」
勇者「それじゃ。明日の朝、来ますので」
神父「はい。お待ちしております。おやすみなさい」
シスター「おやすみなさい」
勇者「よし。帰ろう」
狼少女「あい」
勇者「お前はこなくていい。ここにいろ」
狼少女「あぇ? やだ」

137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:39:51.81 ID:GHV+gv7Fo
キャワワッ ぺろぺろしたい

138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:43:58.50 ID:WNVHldV5o
勇者「やだじゃないんだよ」
狼少女「やー」
勇者「あのなぁ」
狼少女「お前、逃げる気だ!! そんなことさせない!!!」
勇者「迎えにくるっていってんだろ」
狼少女「信じてやるもんか。お前、仲間傷つけたし」
勇者「今日はここにいろ!」
狼少女「い、や、だ!」
勇者「ええい!! 今まで普通に待ってたじゃないか!!」
狼少女「見えるところはいい。見えないところにいくな」
勇者「何様だこんにゃろぉ」
シスター「あのぉ」
勇者「なんでしょうか?」キリリッ
シスター「勇者様も教会に泊まられてはどうすですか?」
勇者「そうしたいのは山々ですが、明日の準備もあるので……」

139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:44:42.26 ID:WNVHldV5o
>>138
シスター「勇者様も教会に泊まられてはどうすですか?」

シスター「勇者様も教会に泊まられてはどうですか?」

140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:53:14.40 ID:WNVHldV5o
狼少女「ガルルルー!!」ガブッ
勇者「いってぇんだよ!!」
神父「困りましたね。勇者様から片時も離れたくないということですか」
シスター「どうしましょうか」
勇者「こら。お姉さんが困ってるだろ。いいから、お前はここにいろ」
狼少女「いやだ」
勇者「おい」
狼少女「う……なんだ……?」
勇者「必ずに迎えにくるから」
狼少女「……」
勇者「俺は逃げない」
狼少女「……ぜったい?」
勇者「おう。これでも約束は守るほうだ。だから、ここにいろ」
狼少女「……ぁぃ」
勇者「納得してないような返事だな。まぁ、いいや。一晩だけなんだからお姉さんに迷惑だけはかけるなよ」

141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:59:27.43 ID:WNVHldV5o
神父「では、改めまして。おやすみなさい、勇者様」
勇者「よろしくお願いします」
シスター「は、はい」
勇者「じゃあな」
狼少女「……」
シスター「おやすみなさいって言ってあげて」
狼少女「ふんっ」
勇者「なんでぇ、その態度。むかつくなぁ」
神父「拗ねているのではないですか?」
勇者「かわいくねえやつぅ」
シスター「そんなことないですよ」
勇者「そうですね。これも愛嬌というやつですかね。それでは、おやすみなさい」
シスター「はい。おやすみなさい」
狼少女「うぅ……。む、むかえにこいよー!!! こなかったら探しにいくからなぁー!!!」
勇者「うるせえなぁ。わかってるっつーの」

142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:00:54.26 ID:jo5+z3dE0
ヤバイ
本格的に狼少女が可愛くなってきた

143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:10:10.03 ID:WNVHldV5o
城内 通路
勇者「(出生名簿ってどこで見れるんだろう……。ああ、いや、捨てたってことはそういう記録も残ってないかもな……)」
兵士長「お。戻ってきたか。待ってたぜ」
勇者「先輩。どうかしたんすか?」
兵士長「明日からの魔女狩りだがな、お前は遊撃扱いだとよ」
勇者「自由にしていいってことっすね。なら、先輩の部隊にいれてくださいよ」
兵士長「そのつもりだ。だが、お前はその前にあの女の子を家まで送るんだろ? 隊との合流はそのあとだな」
勇者「そうなっちゃうっすか」
兵士長「俺たちの行動予定表渡しとく。ま、がんばって追いつけ」
勇者「うぃーっす」
兵士長「あの子、やっぱりなんかあるか?」
勇者「あるでしょうね。狼に育てられたってのはきっとデマっすよ。あんなにちゃんと喋ってるんすから」
兵士長「人間の教育係がいるか」
勇者「ちゃんとした母親がいるのかもしれないっす」
兵士長「あっちもこっちも面倒だな。勇者様は大変だぁねぇ。お疲れさん」

144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:21:35.80 ID:WNVHldV5o
翌朝 宿舎 勇者の部屋
勇者「すぅ……すぅ……」
勇者「あぁ……そんなぁ……きょうかいで……そんな……のぞむところよぉ……ぬふふ……」
『勇者殿!! 勇者殿!!』ドンドン
勇者「ん……なんすかぁ……いい夢みてたのにぃ……。まぁ、正夢になるだろうけど……にゅふふふ……」
『勇者殿!! 起きてください!!』
勇者「もー! なんすかぁー!?」
兵士「おはようございます!!」
勇者「うっす。で、なんすか? 俺、もう少しゆっくり寝てられるんすけど」
兵士「城門のところにあの子どもがいるんですよ」
勇者「子ども……?」
兵士「ほら、昨日勇者殿が連れていた女の子です」
勇者「……なんかしたっすか?」
兵士「あいつを探しにきたと叫びながら無理やり中に入ろうとしたところを衛兵に取り押さえられたみたいで」
勇者「すぐいくっす」

145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:27:42.92 ID:WNVHldV5o
城下町 城入り口
門兵「こら、暴れるな!!」
狼少女「はなせぇ!!! ガルルルル!!! ここにいるのはわかってるんだー!!!」
勇者「なにしてんだ?」
狼少女「あー!! ……こないから探しにきた」
勇者「あのなぁ」
狼少女「朝になったのにこないから探しに来た。お前、やっぱりうそつきだ」
勇者「もうちょっと寝かせてくれよ」
狼少女「まぁ、いたからいい。ゆるしてやる。逃げなかったんだな。ほめてやる」
勇者「すんません」
門兵「いや、いいんだが。それよりもこの子は?」
勇者「任務中に色々あって保護してるだけです」
門兵「そうか。俺はてっきりモテないあまりに……」
勇者「どういう意味っすか?」
門兵「ま、まぁ、がんばってくれ。俺は応援してるぞ」

146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:35:05.80 ID:WNVHldV5o
食堂
狼少女「はむっ……はむっ……」モグモグ
勇者「朝からよく食うな」
兵士長「いよぉ。きいたぜぇ。姫様が迎えにきたらしいじゃねえか」
勇者「何が姫様っすか。こっちはいい迷惑っすよ。神父さんにも謝らなきゃいけなくなったし」
兵士長「この様子じゃ帰れねえんだな」
勇者「でしょうね」
狼少女「んぅ? やらないから」
勇者「いらねぇよ」
兵士長「どうして狼とつるんでいるのかはわからねえが、能力は人間と同じか。離れた場所に連れて来られたら帰り道が分からない」
勇者「……」
兵士長「お前しか頼るやつがいないんだな」
勇者「こいつつれてちゃ日課のナンパにいけねぇっすよぉ」
兵士長「いいじゃねえか。教会のシスターと懇ろなんだろ?」
勇者「でへへへ。じつはぁ、そーなんすよぉ。任務が終われば一緒にホテルで……でぇっへっへっへ……あぁー。まちきれないっすぅー」

147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:41:43.48 ID:WNVHldV5o
兵士長「んじゃ、合流するの楽しみにしてるぜ」
勇者「うぃーっす」
狼少女「うぃーっす」
勇者「真似すんなよ」
狼少女「すまん」
兵士長「ハハッ。仲良いいなぁ」
勇者「うっさいっす!!」
狼少女「はむっ……はむっ……」
勇者「大人しく待ってろっていっただろ。何逃げ出してきてんだよ」
狼少女「ふんっ」
勇者「お前のおかげでこっちは迷惑してるんだよ。わかってんのかぁ?」
狼少女「しらん」
勇者「知らんってなんだ!?」
狼少女「はむっ……」
勇者「食ったら教会に行くぞ。彼女に好感度、確実に落ちてるなぁ……」

148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:48:20.36 ID:WNVHldV5o
教会
シスター「よかったです。朝起きたら、もう姿がなかったので心配していたんです」
勇者「心配をおかけして本当に申し訳ありません。ほら、お前も謝れ」
狼少女「……」
勇者「おい」
シスター「いいですよ。無事で何よりです」
勇者「そう言っていただけるとありがたい。ーーこれ、貴女のために花を買ってきました」
シスター「わぁ……。綺麗……。いいのですか?」
勇者「勿論っ」
シスター「ふふっ」
勇者「うぇっへっへっへ……」
狼少女「ガウッ!」ガブッ
勇者「なんだよ。邪魔すんな」
シスター「では、ミサの途中ですので。勇者様、お気をつけて」
勇者「あ……。は、はい。必ず、帰ってきますから。そのときはよろしくしましょう。いえ! よろしくお願いします!!」