勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
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Part4
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:04:14.46 ID:
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翌日 城内 謁見の間
勇者「ーー報告は以上です、陛下」
王「うむ。ご苦労であったな。しかし、その犯人とやらが気になるな……」
勇者「はい。ですが、現状では足がかりすらありません」
王「そうだな……。それと、あの手配書の人物はどうだ?」
勇者「村の者にも一応聞いてみましたが、誰も見ていないと」
王「そうかぁ……」
勇者「(そういえばこの手配者の人物……美人だよなぁ……)」
王「勇者よ」
勇者「はっ」
王「次の任務を言い渡す」
勇者「はい」
衛兵「こちらに詳細は書いている。目を通しておくように」ペラッ
勇者「これは……」
衛兵「お前には連続殺人犯を追ってもらいたい」
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:10:24.40 ID:
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訓練場
兵士長「ふんっ!!!」ギィィィン!!!!
兵士「ぐわぁ!?」
兵士長「しっかり構えろ!! 敵はお前よりも常に強者であると思え!!!」
兵士「は、はい!!!」
勇者「せーんぱい、ちぃーっす」
兵士長「む。少し休憩にする」
兵士「はい!」
勇者「すんません、訓練指導中に」
兵士長「構わん。それよりどうした?」
勇者「俺、別の任務言い渡されたんすけど」ペラッ
兵士長「……ああ、東の町で問題になっている事件か」
勇者「これ、町の兵士がやることじゃないんすかぁ?」
兵士長「知らないのか? もう何人も兵士がやられてる。お手上げ状態なんだとよ」
勇者「……マジっすか? それ、俺がやるんすか? かんべんしてくださいよぉー」
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:18:22.07 ID:
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兵士長「お前だからやるんだよ。農村での一件で陛下はお前のことを褒めていた。お前になら、この案件を任せられると思ったんだろう」
勇者「がんばりすぎたわけっすね」
兵士長「がんばりすぎるぐらいが丁度いいんだよ。勇者はな」
勇者「女の子にはぜぇーんぜん、モテないのに……。これじゃあ、女の子とデートする前に死んじゃうかもしれねえっすね」
兵士長「俺も手伝ってやりたいがな……」
勇者「先輩は例の幻覚剤だかをばら撒いた犯人探しっすよね。俺もそっちがいいっすよ。危険度でいえばこっちやべぇっす。ぱないっす」
兵士長「今回は傭兵所で誰か連れて行け」
勇者「いやっすよ。あそこの戦士、ちょーこわいんすもん。俺が乙女になっちゃいそうっす」
兵士長「我侭言うなよ。死にたいのか?」
勇者「一人のほうがマシっすぅ」
兵士長「あのなぁ……」
勇者「俺のパートナーは可愛い女の子って決めてるんで!!」
兵士長「分かった分かった。好きにしろよ。死んでも後悔するなよ」
勇者「ハッハー! 死んだら後悔できねーっすよ!! 先輩、バカじゃねー!?」
兵士長「こっちこい。出発前に鍛え直してやろう」グイッ
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:23:29.84 ID:
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城下町
勇者「うー……いってぇ……。あんな本気にならなくてもいいのに……」
勇者「……」
女性「ふんふーん」
勇者「そこの美人さん。俺と危険な毎日を過ごしてみませんか?」
女性「失せろ」
勇者「……」
勇者「よしっ。行くか!」
勇者「……墓参りは……いっか……」
勇者「あーでも……なんかあるたびに報告するのは恒例みたいなもんだし……やらないと気持ち悪いし……でも、昨日の夜もしたし……」
勇者「うーん……いや、いけばあのシスターに会えるかもしれないなぁ……」
勇者「そして……たぶん……」
シスター『これは神のお導きかもしれませんね……』
勇者『きっとそうだよ』
シスター『だいてっ!』
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:29:27.48 ID:
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墓地
勇者「ぬふふふふ……」
勇者「いやぁー。そうなったら、任務どころじゃねーっすねぇ……にょほほほ……」
シスター「よいしょ……」ヨロヨロ
勇者「……」
勇者「(イター!!! これはもう運命の赤い糸だぜぇ!!!)」
シスター「ふぅ……」
勇者「やぁ。また会いましたね」キリリッ
シスター「あ……。なにか?」
勇者「水、運ぶの手伝いますよ」
シスター「……」
勇者「ほら、遠慮なんて君には似合わない。俺に身も心もゆだねてみなよ。さぁ、決して俺は怪しくなーい。勇気をだして、とびこんでみるんだ」
勇者「すると、どうだ。俺の雄大な心に触れた君は、きっと知ることになるだろう。本物の愛を」
シスター「邪魔です。どいてください」
勇者「あ、すんません」
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:35:00.33 ID:
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シスター「……」バシャ
勇者「一人でお墓の手入れしてるの? 大変だろう。重労働にもほどがある。どれ、俺が神父に言ってきてやろう。仕事量を減らせと」
シスター「……なにか、私に用ですか?」
勇者「用というか、そうですねぇ……」
シスター「はぁ……。それでは失礼します」
勇者「待ってくれ!! 俺を見て、何か思い出せないか!?」
シスター「え……?」
勇者「ん?」
シスター「……」
勇者「そう。俺は勇者なんだ。顔ぐらいみたことあるだろ?」
シスター「そういえば、今朝の新聞に貴方の顔が……」
勇者「ははははは。いやぁー、バレてはしかたない。どうです、勇者の俺とお茶でも」
シスター「帰ってください!」
勇者「あ、はい」
シスター「ふんっ」
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:40:35.17 ID:
nfVCKxWoo
城下町
勇者「カーッペ!!! なんでぇ!! この町はぁ!!! おわってんなぁぁ!!!! ボケー!!! アホー!!!!」
門兵「おい」
勇者「この町の女はクズしかいねー!!!!」
門兵「……」
勇者「頭の悪い女しかいねー!!! 男は即刻別の町に引っ越すべきだー!!!」
勇者「この世界には神様なんかいないんだー!!! 運命の赤い糸なんてのも嘘っぱちだぁー!!!」
勇者「恋人がいるやつー!!! 結婚してるやつー!!! 両想いのやつー!!!」
勇者「みんなくだばっちまえー!!!!」
門兵「……おい」
勇者「……なんすか?」
門兵「これで涙拭けよ」スッ
勇者「……あざす」
門兵「がんばれよ。俺、応援してるからさ」
勇者「はい。ありがとうございます。行って来ます。あなたもがんばってください」
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:45:20.43 ID:r3A1DDx9O
あかん、この勇者好きだww
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:46:45.66 ID:
nfVCKxWoo
東の町
勇者「ここか……」
兵士「あの。失礼ですが……」
勇者「俺はこういうものです」ペラッ
兵士「国王陛下の勅命状……!? ゆ、勇者殿でありますか!!!」
勇者「まぁ、そうなってます」
兵士「あの……」
勇者「連続殺人の件で来ました。詳しい事情を聞きたいんですけど」
兵士「こちらにどうぞ。案内します」
勇者「……静かですね。この町」
兵士「連続殺人犯が捕まっていないのです。誰も外に出ようとはしませんよ」
勇者「兵士も何人かやられているとか」
兵士「……何人ではないです」
勇者「え?」
兵士「何十人とやられています……」
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 21:57:21.08 ID:
nfVCKxWoo
詰め所
隊長「勇者殿、ここまで足を運んでもらったことはありがたいのですが……。その、お一人だけ、ですか?」
勇者「今、奇妙な事件が起こっていて、そちらのほうの調査もありますから」
隊長「あぁ、例の家畜が凶暴化したとかいう……」
勇者「そこで陛下は俺をここへ遣わせたわけですが。俺では力量が足りていないでしょうか?」
隊長「ま、まさか。寧ろ役不足であると思われます」
勇者「……そうですか?」
隊長「既に同志が30人も惨殺されています……。町民を合わせると被害者は50人を超える次第で……」
勇者「異常事態じゃないですか。何故、今まで応援要請を出さなかったんですか」
隊長「我々にも面子というものが……」
勇者「面子を守るために市民を犠牲にしたのか」
隊長「……」
勇者「そりゃ、ゴーストタウンみたいにもなりますね」
隊長「……面目ない」
勇者「俺に謝られても困ります」
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:05:36.32 ID:
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隊長「最初の犠牲者は今から10日前です」
勇者「10日前……?」
隊長「その日だけで、7人もの犠牲者が出てしまって……」
勇者「……」
隊長「その日から毎日数人、ときには10人を超える犠牲者も……」
勇者「調査中の兵士も殺された……」
隊長「ええ……」
勇者「犯人の手がかりは一切ないんですか」
隊長「……」コクッ
勇者「……」
勇者「(洒落になんねーっすよぉ……。まじっすかぁ……。町でたら死ぬじゃないっすかぁ……)」
隊長「勇者殿……あの、この事件は我々だけでも……」
勇者「……とにかく、事件現場を教えてもらえますか?」
隊長「わかりました。私がご案内しましょう」
勇者「(あー。こりゃ、ダメだ。俺、死んだっすわぁー)」
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:12:01.52 ID:
nfVCKxWoo
路地裏
隊長「ここが第一の事件現場です」
勇者「血がまだ残ってますね」
隊長「3人、ここで……。あとの4人は、向こうの路地です」
勇者「目撃者もいないらしいですね」
隊長「深夜の犯行だったので」
勇者「(まぁ、ありえなくはないか……)」
隊長「事件後は町民も出歩かなくなったためにさらに目撃情報は期待できなくなりまして……」
勇者「そうですか」
隊長「……次へ行きますか」
勇者「あ、はい」
勇者「……」
勇者「(目撃者を全員殺してる……? そんなことできるか……?)」
勇者「(誰にも見られず10日連続で人を殺し続けるなんて……)」
勇者「うーん……かえりてぇ……こえぇっすよぉ……」
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:17:14.05 ID:
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広場
隊長「昨日はここで殺人がありました」
勇者「こんな町のど真ん中で!?」
隊長「はい。白昼の犯行でした」
勇者「なら誰か何か聞いてるんじゃないっすか? 悲鳴とかそういうの」
隊長「いえ……」
勇者「マジっすか」
隊長「はい」
勇者「……」
隊長「何か?」
勇者「いや。別に」
隊長「これからどうされますか?」
勇者「あ、えーと……一応、自分なりに調査してみたいんで……」
隊長「護衛、つけましょうか?」
勇者「いいのですか? じゃあ、女の子の兵士所望」
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:21:10.33 ID:
nfVCKxWoo
兵士「勇者殿、私が護衛につきます!!」
勇者「あ、どうも。よろしく」
兵士「はい!!」
勇者「女の子の兵士ぐらいさぁ、雇うべきだと俺は思うんだけど」
兵士「はぁ、私もそう思いますが。中々女性で兵士になってくれることはないですからねぇ」
勇者「はぁーあ。やってらんねぇ」
兵士「勇者殿。あの、私はこれで中性的な顔であると自負していますが」
勇者「はぁー!?」
兵士「……!?」ビクッ
勇者「でも、男っすよね?」
兵士「え、ええ」
勇者「俺は女の子がいいんすよ!! 顔も胸も下半身も!!!」
兵士「申し訳ありません」
勇者「聞き込み、いくっすよ」
兵士「ま、待ってください!! 私からはなるべく離れないようにしてください!!」
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:26:14.18 ID:
nfVCKxWoo
酒場
勇者「いいですか」
店主「……どうぞ」
勇者「昨日、表の広場で殺人事件があったのは知ってますよね?」
店主「あんた誰だ」
兵士「無礼者!! この方は勇者殿であるぞ!!!」
店主「なに……」
勇者「これこれ。勇者とかいうな。自慢してるみたいになっちゃーー」
店主「……」グイッ
勇者「ぐぇ!? な、んすかぁ……!?」
兵士「きさまぁ!!! 何をしている!!! 離せ!!!」
店主「……っ」
勇者「大事な人、殺されたんですか?」
店主「おねがいだ……ゆうしゃさま……かたきを……かたきをとってくれ……うぅ……」
勇者「……」
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:31:29.48 ID:
nfVCKxWoo
店主「ーーすまない。つい……」
勇者「いえいえ」
店主「三日前です。息子が殺されちゃってねぇ……」
勇者「そうでしたか」
店主「この町の兵士たちは何もしないし……この怒りをどうすりゃいいのか……」
兵士「……」
店主「お願いだ!! 勇者様!! 息子の無念を……!!!」
勇者「分かってますよ。落ち着いてください」
店主「はぁ……」
勇者「(ここまで言われたら、やるしかないか……)」
店主「……」
勇者「なんすか?」
店主「勇者様、結構男前じゃねえか」
勇者「そっすか? まぁ、勇者ですからね」キリリッ
店主「……ちょっと待っててくれねえかい?」
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:37:03.90 ID:
nfVCKxWoo
兵士「なんでしょうね?」
勇者「さぁ?」
店主「勇者様。待たせちゃったねぇ」
勇者「どうかしま……!?」
町娘「……」
店主「自慢の娘でさぁ」
勇者「こんにちは。勇者です」キリッ
町娘「はい……。父から……ききました……」
店主「どうだ、悪い話じゃないだろ?」
町娘「で、でも、急に言われても……」
店主「なにいってんだ。お前もいい年だ。そろそろだなぁ」
町娘「だからって……勇者様の都合もあるじゃない……」
兵士「あの、なんの話でしょうか?」
店主「勇者様。殺人犯が捕まった暁には、うちの娘と結婚してやってーー」
勇者「よろこんでぇ!!!!」ガタタッ!!!
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 22:47:37.80 ID:
nfVCKxWoo
町娘「えぇ……!? そ、そんな簡単に……!?」
勇者「憎き殺人犯、いえ、ご家族の仇は、俺が討ちます。だから、遠慮なく結婚しまひょっ。うひょっ」
町娘「でも……」
兵士「何故?」
店主「実はね、この事件が起こる前から見合いを何度も奨めたんだが、縁がなくてね」
兵士「はぁ」
店主「別の町でお見合いする予定だったんだが、この事件が起きちまってそれもパァ。んで、息子も……」
兵士「……」
店主「平和になったら、こいつにぐらいは幸せ掴んでほしいんだよ。だから、今のうちに勇者様と約束を取り付けておくのも悪くないとおもってよ」
町娘「父さん。私はあんなことがあったばっかりなのに、そんなこと考えられないわ」
店主「分かってる。でもよ、お前にはあいつの分まで幸せになってほしいんだ。分かってくれよ」
町娘「だけど……」
店主「勇者様……根暗なやつだけど、いい子なんだ……。結婚してくれとはいわねえ、ただ……こいつにさ、人並みの幸せってやつを……みせてくれねえかい?」
勇者「任せてください。必ず幸せにしてみせます」
町娘「ほ、本気ですか?」